もしあなたがラグジュアリーなインテリアに囲まれたこだわりの部屋で仕事をするとしたら、どんな道具を選びますか? おそらく、文具にもこだわるでしょう。モンブランの万年筆やダ・ヴィンチのシステム手帳など、デザインと使い勝手に優れるアイテムを選ぶはずです。
では、PCについてはどうでしょうか。削り出しアルミのシルバーボディを採用したノートPCを使いますか? それとも、ブラックで無骨なボディのPCですか? 残念ながらプレミアムな空間にマッチするPCは、これまで存在しませんでした。そう、HP Spectre 13が登場するまでは――。
筆者は年間100台以上のPCに触れたりレビューしたりしていますが、HP Spectre 13は近年まれにみるデザインの優れたクラムシェル型ノートPCです。このPCを手に取ると、これまで「優れたデザイン」とされていたモデルが、ギークな人たちのためのものだったことがわかります。まるで、別次元で創りだされたような存在感。HP Spectre 13こそが、真のエグゼクティブモデルと言えるでしょう。
その研ぎ澄まされたデザインは、所有する喜びを十分に感じさせるものです。ダークグレーを基調としたシックなデザインに、アクセントとしてのブロンズゴールドが放つ透明感のある輝き。極限まで薄くされた、抜身の刀のようなフォルム。高い堅牢性と質感を実現したボディ。過去にこれほど洗練されたモデルがあったでしょうか。
デザイン性の高さもさることながら、筆者が特に注目したいのは外側から駆動機構が見えない「シリンダーヒンジ」を採用している点です。
駆動部分を見せないという点において、シリンダーヒンジは巧妙かつ野心的なギミックです。本体を閉じると、どこから開くのか一瞬ためらってしまうほど。微塵のムダもなく、スキのないデザインを実現しています。
先進的なデザインで類を見ないエレガントさを持つHP Spectre 13ですが、少し残念な点もあります。それはブロンズゴールドがまるでジュエリーのような輝きを放つように研磨されているため、触れたときの指紋が目立ってしまうことです。
指紋はそのまま放置しておくと、輝きが鈍ることがあります。したがってこまめに拭き取る必要がありますが、この点は仕方がないでしょう。お気に入りの道具を長期間使うためにも、日々のメンテナンスを心がけてください。どんな逸品でも、手入れなしでは長持ちしないことをご存知のはずです。
HP Spectre 13はデザインのみならず、使い勝手にも強いこだわりが感じられます。キーボードは十分なサイズが確保されており、入力時のストレスを感じさせません。ストロークが1.3mmとやや浅いものの、確かなタイプ感を実現しています。またバックライトを搭載することで、明るさを抑えた部屋でも個々のキーを確実に視認できます。
インターフェースとしては、最新規格であるUSB Type-C端子が3ポート用意されています。先日、国際的なIT展示会であるCOMPUTEXを取材して感じたのですが、これからUSB Type-Cが爆発的に普及することは間違いありません。多くのユーザーは従来のType-Aを望むかもしれませんが、世界市場はType-Cに舵を切っているのです。もしあなたがHP Spectre 13を手に入れれば、ほかのPCユーザーにこう言うことができます。「あれ、まだType-Aを使ってるんだ」と。
けれども、ときにはUSB Type-A端子を使いたくなるときがあるかもしれません。これからはUSB Type-Cが主流になるとはいえ、これまでに構築した資産があるからです。そんなときのために、「USB Type-C変換トラベルドック」を用意しておくといいでしょう。従来のUSB Type-A端子を利用できるほか、HDMIやVGA、イーサネットなども利用できます。重量は76gと軽くコンパクトなので、バッグに入れて持ち歩いても苦になりません。
HP Spectre 13はスペックに関しても、モバイルノートPCとして最上位クラスのパフォーマンスを実現しています。CPUには第6世代のCore i5/i7プロセッサーを採用し、ストレージとしてPCIe Express接続のM.2 SSD(NVMe)を搭載。スピードと容量の両面で満足できる仕上がりとなっています。
しかし高性能CPUを搭載していながら本体がこれだけ薄いと、排熱が十分に行なわれるのか気になるところです。HP Spectre 13にはファンが2基用意されていますが、内部の熱が効果的に排出されるのかどうかは、まだ使っていない現在ではわかりません。デュアルファン仕様のモバイルノートPCは数が少なく効果も高いと思われますが、もしかすると高い負荷がかかった途端にファンが唸りを上げ、落ち着いた雰囲気に悪影響を及ぼす可能性があります。
けれども、ちょっと待ってください。あなたはHP Spectre 13でどんな作業をするつもりでしょうか? ゾンビやゴブリンの狩りに明け暮れたり、溜まった録画番組を片っ端からエンコードするわけではありませんよね? 現在の株式市場を確認したり、海外サイトで世界情勢やオピニオンの記事を読んだり、ビジネスの資料を確認したりするのがメインのはずです。だったら安心してください。そのような用途であればHP Spectre 13は唸りを上げることなく、おだやかに鎮座し続けることでしょう。
今回は、スペックについては多く語りません。なぜなら、HP Spectre 13はスペックで選ぶPCではないからです。まずはHP Spectre 13の先進的なデザインと自分のフィーリングがマッチしているのを認識した上で、スペックを検討するといいでしょう。ロジックではなく、インスピレーションで選ぶことをおすすめします。
公式サイトをチェック
- HP Spectre 13 製品詳細 (HP Directplus)
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