ドスパラが販売する「Critea(クリテア) DX11-H3」は、CPUにSkylakeこと第6世代のCore i3-6100Uを採用した15.6型(1366×768ドット)のノートパソコンです。標準モデルではメモリーが4GBでストレージは500GB HDDとパソコンとしての基本性能は抑えながらも、直販価格で5万9800円(税別)からとリーズナブルな価格で販売されています。
今回はメーカーからお借りした実機を使って、Critea DX11-H3の性能をベンチマークテストを使って検証しました。結論から言うと税別5万円台のノートパソコンとしては性能が高く、値段以上の価値はあると思います。3~4万円台の激安パソコンに物足りなさを感じる方は、ぜひ参考にしてください。
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基本のベンチマーク結果をチェック
今回は、Critea DX11-H3の基本モデルを使ってテストを行なっています。ドスパラではストレージに120GB M.2 SSD(SATA接続)を搭載したモデルも扱っていますが、パーツ構成や環境、タイミングが異なるとテスト結果も大きく変わることがある点に注意してください。
Critea DX11-H3のスペック | ||
Critea DX11-H3 | Critea DX11-H3 SSD搭載 | |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64ビット | |
CPU | Core i3-6100U(2.30GHz) | |
メモリー | 4GB PC3-12800(DDR3L) | |
グラフィックス | Intel HD Graphics 520(CPU内蔵) | |
ストレージ | 500GB HDD(5400回転) | 120GB M.2 SSD(SATA) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ | |
ディスプレイ | 15.6型、1,366×768ドット、光沢なし | |
通信機能 | 1000BASE-T対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2 | |
Webカメラ | HD画質(92万画素相当) | |
主なインタフェース | USB3.0×2、USB2.0×1、アナログRGB(VGA)、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 | |
バッテリ駆動時間(JEITA2.0) | 4.9時間 | |
本体サイズ/重量 | 幅386×奥行き258×高さ23mm/2.1kg | |
オフィス | なし(オプションで追加可能) |
CPU性能は高いがメモリー&ストレージは標準的
Windows 10の快適さを計測する「Windowsエクスペリエンスインデックス(winSAT.exe)」の結果は、以下の表のとおりです。CPUの性能を表わす「プロセッサ」は「7.3」と高いのですが、メモリー(メモリ)とストレージ(プライマリハードディスク)の結果は標準的な結果となりました。Windows 10の操作感については、特に可もなく不可もなくといったところです。
試用機のWindowsエクスペリエンスインデックス | |
プロセッサ(CpuScore) | 7.3 |
---|---|
メモリ(MemoryScore) | 5.9 |
グラフィックス(GraphicsScore) | 4.6 |
プライマリハードディスク(DiskScore) | 5.9 |
Core i3でもCore i5/i7に迫る高い性能
CPUの計算性能を計測する「CINEBENCH」では、意外にも高いスコアが出ています。マルチコア性能を表わす「CINEBENCH R15」の「CPU」では「248cb」という結果ですが、上位CPUのCore i5-6200Uでは260~290cb、さらに上位のCore i7-6500Uでは290~330cbあたりですので、Core i5/i7に迫る性能を持っていると言えます。
ハードディスクのアクセス速度は平均的
「CrystalDiskMark」で内蔵ハードディスクのアクセス速度を計測してみたところ、シーケンシャルリードで100.1MB/秒という結果でした。ハードディスクとしては平均的です。ただしWindows 10の快適さに大きく影響する「4K」のアクセス速度が低いので、より快適につかたい方はシステムストレージにSSDを選ぶことをおすすめします。
ネットや動画視聴、文書作成では快適に使える性能
総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 8」では、税別5万円台のノートパソコンとしては高めの結果が出ています。
ネットの快適さを表わす「Web Browsing」の結果は、ハイエンド向けのノートパソコンとあまり変わりません。また動画再生に関するワークロード(テスト)でも、最高値が出ています。ファイルの読み書きが影響するワークロードの結果はあまりよくありませんが、これはストレージにハードディスクを使っているため。軽めの作業であれば、大きな影響はないでしょう。
ただしゲーム関連や動画のエンコードなど負荷の高いテストでは、低めの結果となりました。できないわけではありませんが、処理に長い時間がかかるはずです。
CPU性能は激安パソコンの1.8~3倍程度
総合的なパフォーマンスを計測する「PassMark PerfomanceTest 8.0」の結果は、上記のとおりです。ここで、CPU性能を表わす「CPU Mark」に注目してください。Critea DX11-H3では「3508」というスコアですが、3~4万円台の激安ノートパソコンで使われているCeleronと比べると、およそ1.8~3倍程度の性能を持っていることになります。1~2万円の差でこれだけパフォーマンスが向上するのであれば、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
ゲーム系ベンチマークの結果をチェック
続いて、Critea DX11-H3の3D性能のテスト結果を紹介します。Critea DX11-H3は本来ゲームを楽しむためのパソコンではありませんが、2D描画主体のゲームや軽めのブラウザーゲームなら問題なくプレーできる性能を持っています。人気の3Dゲームについてはやや厳しいのですが、画質や解像度をグッと下げることである程度遊べるでしょう。
海外の大作ゲームはほぼムリ
総合的なゲーム性能を計測する「3DMark」では、かなり低めの結果となりました。海外で人気のゲームを楽しむには「Fire Strike」のスコアが5000以上は欲しいので、この結果ではまずムリと言わざるを得ません。どうしても海外ゲームを楽しみたいのであれば、ゲーム向けのパソコンを選んでください。
ドラクエ10は解像度を下げれば快適
「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」を解像度1280×720ドットでテストしたところ、「標準品質」で「快適」という結果となりました。このベンチマークはCPU性能が大きく影響するので、グラフィックス性能は低くてもそれなりに遊べるレベルにはなりそうです。
FF14は低解像度&低画質でなんとか
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」では、1280×728ドットの「標準品質(ノートPC)」で「やや快適」という評価でした。ベンチマークではこれが(ほぼ)最低設定ですが、ゲーム本編ではさらに画質や解像度を調整することで、ある程度遊べるようになるかもしれません(保証しているわけではない点に注意してください)。
内部の発熱をチェック
ノートパソコンはCPUやGPU、ハードディスクから発生する熱によって内部の温度が高くなりすぎると、パフォーマンスが低下することがあります。特に本体が薄くなればなるほど、その傾向は多くなるようです。Critea DX11-H3でどのくらいの熱が発生しているのかをチェックしました。
PCMark 8実行中の発熱
「PCMark 8」の「Creative accelerated」実行中におけるCPU温度(緑の線)とGPU温度(青の線)、CPU動作周波数(紫の線)を確認してみたところ、最高温度は50度ちょっとでした。CPUの限界温度は100度ですので、だいぶ余裕はあります。動画再生時にCPUの動作周波数が少し落ちていますが、これはGPUの動画再生支援機能を使っているためでしょう。全体的に熱による大きなパフォーマンスの低下は見られませんでした。
3DMark実行中の発熱
「3DMark」の「Fire Strike」実行中のCPU温度(緑の線)とGPU温度(青の線)を確認してみたところ、GPUは最高61度、CPUは最高57度でした。こちらも問題ない結果です。ちなみにベンチマーク中はキーボードの一部がやや温かくなりますが、気になるほどの温度ではありませんでした。
FF14ベンチ実行中の発熱
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」実行中の最高温度は62度でした。この結果についても、まったく問題のないレベルです。CPUの動作周波数を表わす「Clocks」を見ても、大きな低下はありません。
底面部のエアインテークによる効果?
内部の熱に関しては、どのテストでもまったく問題ない結果でした。CPUのCore i3-6100Uはもともと熱があまり高くならないので、当然といえば当然の結果かもしれません。
ただそれでもある程度の熱は発生しますから、冷却性能は重要です。Critea DX11-H3では底面部に4つのエアインテーク(通気口)が設けられており、この部分が大きな役割を果たしているのでしょう。
バッテリー駆動時間をチェック
カタログ上では、Critea DX11-H3のバッテリー駆動時間は約4.9時間とされています。しかし実際に使ってみると、駆動時間がカタログ値よりも短いことも多いもの。そこで以下の条件で、実際のバッテリー駆動時間をテストしてみました。
バッテリー駆動時間計測時のテスト条件
- Windows 10の電源プランを「省電力」に
- 液晶ディスプレイの明るさを40%に設定
- 輝度(明るさ)の自動調節機能はオフ
- 無線LANとBluetoothはオン
- ボリュームは50%に調整
- 「BBench」で10秒ごとのキー入力と60秒ごとのWebアクセスを有効化
- 満充電の状態からテストを行ない、休止状態へ移行するまでの時間を計測
テストの結果、5時間16分でバッテリー切れとなりました。それほど長いわけではないのですが、据え置き用途の15.6型ノートパソコンとしては、十分な結果です。
Core i3-6100Uは意外にも高性能!
ということで、今回はCritea DX11-H3のパフォーマンスについてレビューしました。各種テスト結果を見て驚いたのですが、CPUはCore i3-6100Uなのに予想を上回る高い結果が出ています。Core i3というとワンランク低いCPUのイメージがあったのですが、2~3年前のCore i5搭載モデルと同程度の性能と言えるかもしれません。数年前のパソコンを使っているなら、だいぶ快適に感じることでしょう。
なおCritea DX11-H3は購入時のカスタマイズオプションで、メモリー容量やストレージの種類などを変更できます。予算や好みに応じて、上位パーツへパワーアップするのがおすすめです。オプションの詳細や支払い方法、納期などについては、公式サイトでご確認ください。
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