ノートPCでゲームや画像加工が快適に!
NVIDIA GeForce MX150は、ノートパソコンのグラフィックス性能を強化する専用パーツ(以下、dGPUと表記)です。CPU内蔵のグラフィックス機能(Intel HD Graphicsなど、iGPUとも呼ばれる)に比べて性能が高く、dGPUを搭載したパソコンであればゲームや画像加工、動画編集などの作業をより快適に行なえます。
dGPUの効果
- 3Dゲームがより快適に動く
- クリエイティブ系ソフトが高速化
- 動画の編集/変換が高速化 など
今回は2017年半ばから使われ始めたGeForce MX150について、ベンチマーク結果を交えながら実際の性能についてレビューします。
なおベンチマークテストには、レノボ・ジャパンの15.6型ノートパソコン「ideapad 520」を使用しました。主なスペックは以下のとおりです。ベンチマーク結果は機種やパーツ構成、環境、タイミングなどによって大きく変わることがありますので、あくまでも参考程度にとらえてください。
■テスト機(ideapad 520)の主なスペック
CPU | Core i7-8550U |
---|---|
グラフィックス | GeForce MX150(2GB) |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 250GB SSD(SATA) |
940MXの後継でGT1030のラップトップ版
GeForce MX150は、予算10万円前後で高性能なビジネス向けノートパソコンで採用されています。以前は同じ価格帯のモデルでGeForce 940MXというdGPUが使われていましたので、その後継と考えていいでしょう。
GeForce MX150のスペックを確認を確認すると、デスクトップ版のローエンド向けdGPUであるGeForce GT 1030とよく似ていることに気が付きます。おそらくGeForce MX150は、GeForce GT 1030のノートパソコン版(ラップトップ版)という位置付けなのかもしれません。GeForce MX150のGPUコアは非公開なのですが、GeForce GT 1030と同じGP108が使われているものと思われます。
dGPUがあれば3Dゲームが快適に楽しめると説明しましたが、すべてのdGPUで3Dゲームが快適になるわけではありません。NVIDIA製dGPUの場合、基本的には名前に「GTX」と付いているものがゲーム向けとされています。それ以外のdGPUは、グラフィックス機能を強化することで普段の作業をサポートするものという位置付けです。
しかし各種ベンチマークテストを試したところ従来のGeForce 940MXよりも性能が高く、中規模クラスの3Dゲームであればストレスなく楽しめることがわかりました。GeForce MX150は本来ゲーム向けではありませんが、ゲームにも役立つdGPUだと考えていいでしょう。
3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D性能を計測する「3DMark」の結果は、以下のとおりです。
3DMarkベンチマーク結果 | |
Time Spy(DX12) | 1,070 |
---|---|
Fire Strike(DX11) | 3,051 |
Sky Diver(DX10) | 9,716 |
Cloud Gate(DX10) | 10,410 |
Ice Storm(DX9) | 45,303 |
以下のグラフを見ると、CPU内蔵のIntel HD Graphics 620や前世代のGeForce 940MXよりもスコアが高い、つまり高性能であることがわかります。ゲーム向けのエントリーdGPUであるGeForce GTX 1050よりはスコアが低いものの、なかなかの結果です。筆者が過去に検証したデータを参照すると、GeForce GTX 950M相当のパフォーマンスでした。
比較機について
※Intel HD Graphics 620のテストにはideapad 520を使用
国内の人気ゲームはフルHDでも快適
ゲーム系ベンチマークを試してみたところ、タイトルによっては最高画質では少々厳しいものの、画質を落とせば1920×1080ドットのフルHDでも快適に楽しめる結果が出ました。
■ゲーム系ベンチマークの結果(1920×1080ドット)
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) | |||
---|---|---|---|
最高品質 | 高品質(ノートPC) | 標準品質(ノートPC) | |
3206(やや快適)※平均21.4 FPS | 4882(快適)※平均32.8 FPS | 7054(非常に快適)※平均48.7 FPS | |
FF14:蒼天のイシュガルド(DX9) | |||
最高品質 | 高品質(ノートPC) | 標準品質(ノートPC) | |
4247(快適)※平均34.5 FPS | 6104(とても快適)※平均48.9 FPS | 8397(非常に快適)※平均69.7 FPS | |
ドラゴンクエストX | |||
最高品質 | 標準品質 | - | |
9049(とても快適) | 10492(すごく快適) | - | |
PSO2 EPISODE4 | |||
最高画質 | 標準画質 | 最低画質 | |
3690 | 12561 | 31229 | |
ドラゴンズドグマオンライン | |||
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
4412(快適) | 4796(快適) | 4926(快適) |
ちなみにFF14紅蓮のリベレーターでは標準品質時に「非常に快適」という評価でしたが、平均FPSが理想とされる60FPSを下回っています。チームバトルなど負荷の高い場面では画面がカクつく可能性があるので、DirectX 9モードで画質を調整するといいでしょう。
PSO2ではスコアが5000以上なら快適に遊べるとのことですが、こちらもシーンによっては画面がカクつくかもしれません。簡易描画設定「1」(最低画質)あたりで考えておいたほうが無難です。
ちなみに解像度を下げれば画面は小さくなりますが、そのぶんゲームがよりスムーズに動くようになります。ただしFF14のみ、解像度を下げると逆に動作が重くなる現象が見られました。FF14で使われている特定の機能が原因なのかもしれません。
■ゲーム系ベンチマークの結果(1280×720ドット)
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) | |||
---|---|---|---|
最高品質 | 高品質(ノートPC) | 標準品質(ノートPC) | |
2422(普通)※平均15.9 FPS | 2469(普通)※平均16.2 FPS | 2473(普通)※平均16.2 FPS | |
FF14:蒼天のイシュガルド(DX9) | |||
最高品質 | 高品質(ノートPC) | 標準品質(ノートPC) | |
3173(やや快適)※平均25.5 FPS | 3252(やや快適)※平均25.9 FPS | 3433(やや快適)※平均27 FPS | |
ドラゴンクエストX | |||
最高品質 | 標準品質 | - | |
12270(すごく快適) | 12553(すごく快適) | - | |
PSO2 EPISODE4 | |||
最高画質 | 標準画質 | 最低画質 | |
7985 | 15163 | 33487 | |
ドラゴンズドグマオンライン | |||
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
5869(快適) | 6087(快適) | 6115(快適) |
海外ゲームはちょっと厳しい
海外ゲームのゲーム内ベンチマーク機能を使ったテストの結果は、以下のとおりです。比較的新しい作品でオープンワールドのように描画範囲の広いゲームについては、フルHDだと厳しい結果となりました。平均30FPSあればプレーできなくはないですが、画面のカクつきが目立つかもしれません。
■海外ゲームのベンチマーク結果(1920×1080ドット)
Ghost Recon Wildlands | |||
---|---|---|---|
ウルトラ | 高 | 低 | |
3.57 FPS | 15.3 FPS | 27.61 FPS | |
Rise of the Tomb Raider(DX12) | |||
最高 | 中 | 最低 | |
13.37 FPS | 26.51 FPS | 37.02 FPS | |
Tom Clancy’s The Division(DX12) | |||
ウルトラ | 中 | 低 | |
12.3 FPS | 21.5 FPS | 32.2 FPS | |
Far Cry Primal | |||
最高 | ノーマル | 低 | |
17 FPS | 25 FPS | 29 FPS | |
GRID Autosport | |||
ウルトラ | ミディアム | ウルトラ・ロー | |
39.24 FPS | 84.83 FPS | 187.97 FPS |
解像度を1280×720ドットあたりに下げれば、最低画質で平均60FPSに近づくタイトルもあります。ただそこまでするくらいなら、はじめから海外ゲームを快適に楽しめるゲーミングノートPCを買うほうがおすすめです。GeForce GTX 1060以上のdGPUを搭載したモデルなら、十分に楽しめるでしょう。
GeForce GTX 1060搭載のゲーミングノートPC
実際にゲームを試してみた
PUBG(PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS)
「ドン勝」でおなじみPUBGでは、最低画質(「非常に低い」)でも平均47.3 FPSという結果でした。普通にプレーはできますが、視界移動やエイミングの際に若干カクつくことがあります。またこのゲームは比較的CPU依存が高いので、CPUによっては結果が大きく変わるかもしれません。
Skyrim SE(The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition)
Skyrim SEでは、大型都市ソリチュードの街なかを走り回ったときのFPSを計測しました。低画質なら平均54.5 FPSで、もうちょっとで快適レベルです。ただし最小FPSがちょっと低いので、シーンやエフェクトによってはカクっと感じるかもしれません。
Quake Champions
基本プレー無料のFPS「Quake Champions」(現在はアーリーアクセス作品として販売中)は処理が比較的軽く、ゲーム性能がそれほど高くなくても快適に動きます。GeForce MX150では標準品質や最高品質でも体感的にはサクサクだったのですが、ノンストレスでプレーするには画質を「Low」にまで下げたほうがいいかもしれません。
ゲームも仕事もじっくりやりたい人に
ということで、今回はGeForce MX150のゲーム性能についてレビューしました。CPUの性能によってはベンチマーク結果が上下することもありますが、概ね高性能だと言えるでしょう。ゲーミングノートPCではないにも関わらず、これだけの結果が出たのは驚きです。
ゲーミングノートPCは高性能ですが、値段が10万円を超えることが少なくありません。しかしGeForce MX150搭載モデルなら、ゲーミングノートPCよりも安く入手できます。パソコンの主な用途は仕事、でもたまにはゲームで遊びたいという人におすすめです。