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ALIENWARE AURORA R8レビュー
デルのALIENWARE Aurora(エイリアンウェア オーロラ)は、ミドルタワー型のゲーミングデスクトップPCです。最大の特徴はミドルタワー型としては標準的な大きさでありながら、とことんパワフルなスペックに仕上げられる点。高性能CPUや大容量のメモリー/ストレージを追加可能なほか、グラフィックボードの2枚挿し(SLI)にも対応しています。
ALIENWARE Auroraの特徴
高性能GPUを搭載可能
専用グラフィックス機能としてGeForce GTX 1080 Tiや1070 Tiに対応。2枚挿しの2way-SLIを選択すれば、さらに高いパフォーマンスを発揮できます。
ツールレスでメンテナンスしやすい
ドライバーなしでも内部にアクセス可能。グラフィックボードやストレージが取り外しやすく、メンテナンスが簡単です。
この記事ではメーカーからお借りしたALIENWARE Aurora R7(2017年10月発売)を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
この記事の目次
ALIENWARE Aurora R7
税込15万円台から
ALIENWARE Auroraのスペック
OS | Windows 10 Home ※カスタマイズ可 |
---|---|
チップセット | Intel Z370 Chipset |
CPU | Core i5-8400 / i7-8700 / i7-8700K ※カスタマイズ可 |
メモリー | 8/16GB(最大64GB) ※カスタマイズ可 |
ストレージ | HDD / SSD または SSD+HDD ※カスタマイズ可 |
グラフィックス | GeForce GTX 1050 Ti / 1060 / 1070 / 1070 Ti / 1080 / 1080 Ti ※SLI対応、カスタマイズ可 |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ ※カスタマイズ可 |
通信機能 | 1000BASE-T対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1 |
インターフェース | USB3.1 Gen1(フルサイズ)×6(前面×3+背面×3)、USB3.1 Gen2(フルサイズ)×1(背面)、USB3.1 Gen2(Type-C)×1(背面)、USB3.1 Gen1(Type-C)×1(前面)、USB2.0×6(背面)、DVI、HDMI、DisplayPort、有線LAN、ヘッドホン出力/マイク入力、オーディオ端子類 |
拡張スロット | PCI Express x16 ×2、PCI Express x1 ×2、M.2スロット(PCIe/Optane対応) |
ドライブベイ | 3.5インチ×1、2.5インチ×2 |
電源 | 850W |
サイズ/重量 | 幅212×奥行き472.52×高さ360.5mm/約14.819kg |
サポート | メーカー保証1年間 ※有料サービス対応 |
※2018年6月13日時点。構成は変更される場合があります
スペック上の注意点
-
- メモリーカードスロット非対応
- SATAポートは4基
- キーボードとマウスは有料オプション
- 購入時に空気冷却か液体冷却かを選択
ALIENWARE Auroraのラインナップ
ALIENWARE Auroraの基本モデルは、以下の4機種です。それぞれCPUやGPUの種類などが異なります。
ラインナップ
スタンダード | |
---|---|
税込16~18万円台から | |
プレミアム VR | |
税込19~23万円台から | |
スプレマシー VR | |
税込32~35万円台から | |
フルカスタマイズ | |
税込14~17万円台から |
※2018年6月13日時点。構成や価格は変更される場合があります
各モデルは、注文時にメモリー容量やストレージ構成などを変更可能です。アップグレード内容はモデルによって異なるので注意してください。上記の「フルカスタマイズ」モデルであれば、BTOのようにすべてのパーツを自由に組み合わせることができます。
本体の外観と内部
ちょっと大きなミドルタワー型
ALIENWARE Auroraは「ミドルタワー」クラスの大きさで、標準的なミニタワー型よりも大きめです。接地面積が大きいので、大きめのデスクに設置することになるでしょう。
デスクトップの主な分類
ミドルタワー型 | ミニタワー型 | スリム型 | コンパクト型 |
拡張性:◎ 省スペース性:× 冷却性能:◎ |
拡張性:○ 省スペース性:△ 冷却性能:○ |
拡張性:△ 省スペース性:○ 冷却性能:△ |
拡張性:× 省スペース性:◎ 冷却性能:△ |
インターフェースが多すぎ
周辺機器接続用のインターフェース(端子類)は、前面と背面に用意されています。USB端子は全部で15ポート用意されていますが、なににこんなにも使うのかわかりません。とは言え、少ないよりは多いほうがいいかもしれませんね。
ただしメモリーカードスロットが用意されていない点には注意が必要です。デジカメなどのデータを取り込むにはUSBケーブルを利用するか、別途メモリーカードリーダーを用意する必要があります。
前面のインターフェース
- ① USB3.1 Gen1(フルサイズ)
- ② ヘッドホン出力/マイク入力
- ③ USB3.1 Gen1(Type-C)
- ④ USB3.1 Gen1(フルサイズ)
背面I/Oパネルのインターフェース
-
- ① S/PDIFデジタル出力(同軸/オプティカル)
- ② USB2.0
- ③ 1000BASE-T対応有線LAN
- ④ DisplayPort ※非使用
- ⑤ USB3.1 Gen2(Type-C)
- ⑥ USB3.1 Gen2(フルサイズ)
- ⑦ USB3.1 Gen1(フルサイズ)
- ⑧ オーディオ端子類
- ⑨ DisplayPort
- ⑩ HDMI
ツールレスでメンテナンスしやすい
側面のカバーを取り外すことで、本体内部にアクセスできます。メモリーやストレージ、グラフィックボードはドライバーなしでも取り外し可能(M.2 SSDは必要)。手軽にメンテナンスを行なえる点が魅力です。
ただしミドルタワー型としては拡張性は低めです。グラフィックボードの2way-SLIには対応しているものの、ドライブベイは3つしかありません。そのぶん本体が(ミドルタワーとしては)コンパクトに仕上がっています。
マザーボードのスロット類
- ① PCI Express x16
- ② PCI Express x1
- ③ M.2 スロット(PCIe / Optane対応)
消費電力と駆動音、CPU温度について
今回の検証では最上位のスプレマシーVRモデルを使いました。主なスペックは以下の表のとおりです。検証/ベンチマーク結果はパーツ構成や個体差、環境、タイミングなどによって大きく変わる点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-8700K |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD+2TB HDD |
グラフィックス | GeForce GTX 1080 Ti |
消費電力について
消費電力の計測結果は以下のとおり。高性能なCPUとGPUを搭載しているため、消費電力は非常に高めです。またゲームによっても、消費電力が大きく変わります。中規模クラスのFF14ベンチと重量級のアサシンクリード オリジンズ(ACO)では、消費電力にかなりの差が生じました。
1分間の平均消費電力(室温26℃)
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | FF14:FHD | FF14:4K | ACO:FHD | ACO:4K |
---|---|---|---|---|---|---|
41.4W | 49.8W | 205.2W | 215.4W | 335.4W | 308.4W | 355.8W |
※消費電力の計測方法はコチラ
駆動音について
駆動音(ファンの回転音や排気音など)は低負荷時なら気になりません。ただし試用期間中に、突然ビックリするほど大きく聞こえることが2回ほどありました。詳しい原因は不明です。
動画変換時の駆動音はかなり大きいのですが、通常利用するQSVやNVENC(ハードウェアエンコード)では最大47.5dBAで、そこまで大きくはありません。また中規模クラスのゲームであれば、駆動音は気になるほどではありませんでした。
駆動音の計測結果(室温26℃)
電源オフ | 36.8dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 43.2dBA | ファンの回転音が聞こえるが、うるさくはない |
動画視聴 | 43.3dBA | 同上 |
動画変換 | 60.9dBA | 排気音と回転音がかなり大きい |
FF14:FHD | 45.1dBA | 回転音が聞こえるがあまり気にならない |
FF14:4K | 47.6dBA | 排気音がわずかに目立つ |
ACO:FHD | 53dBA | 排気音がけっこう大きい |
ACO:4K | 52.8dBA | 同上 |
※駆動音の計測方法はコチラ
CPU温度について
CPUの最大温度は動画変換時の95度です。かなりの高音ですが、CPUが高温になると空冷ファンが強く回転するので、ほかのパーツへの影響は少ないと思われます。
CPUの最高温度(室温26℃)
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | FF14:FHD | FF14:4K | ACO:FHD | ACO:4K |
---|---|---|---|---|---|---|
63℃ | 66℃ | 95℃ | 86℃ | 72℃ | 90℃ | 92℃ |
※本体温度の計測方法はコチラ
起動時間について
起動時間(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまでの時間)は平均20.66秒でした。標準では高速スタートアップが有効になっているため、2回目以降の起動時間が短くなっています。SSD搭載機としては標準的な結果です。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
26.0秒 | 18.9秒 | 18.8秒 | 18.7秒 | 18.9秒 | 20.26秒 |
ALIENWARE Auroraのベンチマーク結果
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-8700K |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD + 1TB HDD |
グラフィックス | GeForce GTX 1080Ti |
ストレージ性能
試用機で使われていた512GB SSDはPCIe接続の高速タイプです。2TB HDDのほうも、アクセス速度はそこそこ速めでした。
CPU性能
試用機で使われていたCore i7-8700Kは非常に高性能なCPUですが、PassMark PerformanceTestではなぜかCore i7-8700よりも低いベンチマーク結果が出ました。とは言え、1~2世代前のCPUよりも高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。CPUのオプションとして用意されているCore i5-8400でも、前世代のCore i7と同等クラスの性能を期待できます。
CPUの性能比較 その1
CPU | CINEBENCH R15のCPUスコア |
---|---|
ALIENWARE Aurora R7(Core i7-8700K) |
|
Core i7-8700 |
|
Core i7-7700K |
|
Core i5-8400 |
|
Core i7-6700K |
|
※ほかのCPUの結果は当サイト計測の平均値
CPUの性能比較 その2
CPU | PassMark PerformanceTestのCPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8700 |
|
ALIENWARE Aurora R7(Core i7-8700K) |
|
Core i7-7700K |
|
Core i7-6700K |
|
Core i5-8400 |
|
※ほかのCPUの結果は当サイト計測の平均値
3D性能
試用機で使われていたGeForce GTX 1080Tiのベンチマークスコアは以下のとおりです。GPUにGeForce GTX 1080やGeForce GTX 1070 Ti/1070を選んでも、そこそこ高いパフォーマンスを期待できます。
3D機能の性能比較
CPU | 3DMark Fire Strikeのスコア |
---|---|
ALIENWARE Aurora R7(GTX1080Ti) |
|
GeForce GTX 1080 |
|
GeForce GTX 1070 |
|
GeForce GTX 1060 |
|
※ほかのGPUの結果は当サイト計測の平均値
中規模~重量級クラスのゲームでベンチマークテストを行なったところ、フルHDでは概ね快適にプレーできるという結果がでました。ただし、なぜかFF15では画質を変えてもスコアがほとんど変わっていません。テスト中になんらかの不具合が生じていた可能性があります。
ゲーム系ベンチマーク結果(フルHD)
FF15ベンチ (DX11) ※重量級 | |||
---|---|---|---|
高品質 | 標準品質 | 軽量品質 | |
5208(やや快適) | 5167(やや快適) | 5239(やや快適) | |
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中規模 | |||
最高品質 | 高品質(デスクトップPC) | 標準品質(デスクトップPC) | |
17187(非常に快適)※124.781 FPS | 17816(非常に快適)※131.410 FPS | 19880(非常に快適)※150.861 FPS | |
Assassin’s Creed Origins (DX11) ※重量級 | |||
最高 | 中 | 超低 | |
68 FPS | 81 FPS | 86 FPS | |
Far Cry5 (DX11) ※中規模 | |||
最高 | 中 | 低 | |
109 FPS | 117 FPS | 127 FPS | |
Rise of the Tomb Raider(DX12) ※中規模 | |||
最高 | 中 | 最低 | |
113.44 FPS | 154.25 FPS | 175.02 FPS |
4K解像度でのテストも、GeForce GTX 1080 Tiとしてはやや低めの印象です。通常通りの検証を行なっているのですが、なんらかの原因で設定に不具合があった可能性があります。
ゲーム系ベンチマーク結果(4K)
FF15ベンチ (DX11) ※重量級 | |||
---|---|---|---|
高品質 | 標準品質 | 軽量品質 | |
4212(普通) | 4951(やや快適) | 5145(やや快適) | |
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中規模 | |||
最高品質 | 高品質(デスクトップPC) | 標準品質(デスクトップPC) | |
8348(非常に快適)※55.626 FPS | 9916(非常に快適)※66.077 FPS | 16031(非常に快適)※110.651 FPS | |
Assassin’s Creed Origins (DX11) ※重量級 | |||
最高 | 中 | 超低 | |
45 FPS | 58 FPS | 72 FPS | |
Far Cry5 (DX11) ※中規模 | |||
最高 | 中 | 低 | |
51 FPS | 58 FPS | 66 FPS | |
Rise of the Tomb Raider(DX12) ※中規模 | |||
最高 | 中 | 最低 | |
61.26 FPS | 77.65 FPS | 113.59 FPS |
クリエイティブ性能
性能的には最高クラス(コンシューマ向けとして)のCPUとGPUを搭載しているだけあって、て、動画変換や3D制作のパフォーマンスにも優れています。
動画変換にかかった時間
X264 | 6分14秒 |
---|---|
QSV | 5分08秒 |
NVENC | 4分53秒 |
※5分間の4K映像(XAVC-S、3.51GB)をYouTube向けの1080p(1920×1080ドット)映像に変換するのにかかった時間
PCMark 10 Digital Content Creatiuonの結果
Photo Editing | 10703 |
---|---|
Rendering and Visualization | 12289 |
Video Editing | 5689 |
VR性能
Oculus RiftやHTC Viveなどの快適さを計測するベンチマークテストでも優秀な結果が出ました。今回はWindows Mixed Reality(MR) Ultaraについては検証していませんが、必要スペックがOculus RiftやHTC Vive向けよりも低いので、問題なく動作するものと思われます。
宇宙最強クラスの性能が欲しい人に
今回試用したスプレマシー VRモデルでも非常に優れたベンチマーク結果が出ていますが、ALIENWARE Auroraはさらに高性能なスペックに仕上げることができます。メモリーは64GB、GPUはGTX 1080 Tiの2way-SLI、ストレージは2TB SSD(PCIe)+2TB HDDにアップグレードすれば、より高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。そのぶん価格は税込65万円台へとグンと跳ね上がりますが……。
それはともかく、ALIENWARE Auroraは柔軟なパーツカスタマイズに対応している点が魅力です。宇宙最強(デル自称)クラスの性能を手軽に手に入れたい人におすすめします。
ALIENWARE Auroraのまとめ
- パーツ選びが比較的簡単
- ツールレスでメンテナンスが簡単
- ドライブベイが少ない