ThinkPad E595は、15.6インチの液晶ディスプレイを搭載したスタンダードタイプのノートPCです。価格は最安モデルで5万7629円 (2019年8月時点)と安いにも関わらず、ボディはスリムでスタイリッシュ。キーボードも使いやすく、ビジネスから普段使いまで幅広いシーンで活用できます。
今回はメーカーからお借りしたThinkPad E595の実機を使って、デザインや性能などをレビューします。
この記事の目次
※2019年8月9日時点
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ThinkPad E595のスペック
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれていますが、この記事ではわかりやすさを優先して「CPU」と表記します
画面サイズ | 15.6インチ |
---|---|
解像度 | ・1366×768 ・1920×1080 |
CPU | ・Ryzen 3 3200U ・Ryzen 5 3500U ・Ryzen 7 3700U |
メモリー | 4~32GB |
ストレージ | ・HDD ・SSD ・SSD + HDD |
グラフィックス | ・Radeon Vega 3 (Ryzen 3内蔵) ・Radeon Vega 8 (Ryzen 5内蔵) ・Radeon RX Vega 10 (Ryzen 7内蔵) |
幅×奥行き | 369×252mm |
厚さ | 19.95mm |
重量 | 約2.1kg~ |
バッテリー | 最大 約10.8時間 |
※2019年8月9日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | ・TNパネル (1366×768) ・IPS (1920×1080) |
光学ドライブ | ー |
テンキー | あり |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | 2 (Gen1 ) |
USB3.0 | ー |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | 1 (USB3.1 Gen1) |
Thunderbolt 3 | ー |
メモリーカード | microSD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | ー |
DisplayPort | ※Type-C |
Webカメラ | 92万画素 |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | ー |
オフィス | なし ※付属モデルあり |
デザインと使いやすさ
シャープでスタイリッシュなデザイン
ThinkPadのEシリーズは、高級志向のThinkPadシリーズのなかでもリーズナブルな価格帯のモデルです。安いからと言って、作りが貧相なわけではありません。MILスタンダードなどの耐久テストは実施されていませんが、手に取ってみると非常に頑丈に作られていることがわかります。
全体のフォルムはエッジの立ったデザインで、とてもスタイリッシュ。15インチタイプでよく見られる野暮ったさは感じません。さらに深みのあるブラックの本体カラーによって、重厚感のある外観に仕上がっています。
色鮮やかなフルHDディスプレイがおすすめ
液晶ディスプレイのサイズは15.6インチで、解像度は1366×768ドットのHDと1920×1080ドットのフルHDの2種類が用意されています (購入時のカスタマイズで選択可能)。
おすすめは断然フルHD。なぜならフルHDの液晶ディスプレイでは発色に優れるIPSが使われており、写真や動画を自然な色合いで楽しめるからです。またフルHDのほうがデスクトップを広く使えるので、作業効率が大きく向上します。値段は若干高いのですが、快適に使いたいならフルHDがおすすめです。
使いやすいキーボード & トラックポイント
キーボードは数値入力に便利なテンキー付きです。標準は日本語配列ですが、購入時のカスタマイズ画面で英字配列のキーボードを選択できます (追加料金は実質2000円程度)。
キーピッチ (キーとキーの間隔)は19mmで、十分なサイズです。Enterキー周辺で一部小さいキーがありますが、違和感はありませんでした。
タイプ感は非常に良く、心地よい使い心地です。キーストロークは平均1.7mmで、標準よりもやや深め。キーを押し込んだ際に底打ち感がなく、スイッチのブレも感じられません。指先の力がダイレクトにキーに伝わるような感覚で、無駄な力が必要ないように思えました。入力時のクリック感は固めで、メカニカルスイッチほどではないものの、カクカクとした確かな手応えです。
またThinkPadシリーズならではの魅力が、トラックポイントを用意している点です。普通のマウスパッドに比べて手を動かす必要がなく、キーボード使用中でもスグにカーソルを操作できます。
タイプ音は軽めのタッチだと「タクタク」という感じで気になりません。強めに叩くとトントンと聞こえますが、うるさくは感じませんでした。基本的には静音性の高いキーボードです。
15インチでも光学ドライブなし
通常の15インチノートPCには光学ドライブが付いていますが、ThinkPad E595には搭載されていません。DVDの再生やファイルのバックアップ、DVDビデオの作成には、別途外付けの光学ドライブが必要です。
USB端子は合計4ポート (うち1ポートはType-C)です。メモリーカードや有線LANも利用可能で、最近のモデルとしては十分な構成と言えるでしょう。
電源の供給は、Type-C端子から行ないます。USB PD対応のアダプターやモバイルバッテリーを利用できますが、手持ちの機器で試したところ45W以上でないと通常の通電 / 充電状態にはなりませんでした。
USB PDからの充電
18W | × |
---|---|
24W | × |
30W | △ (低速充電) |
45W | ◯ |
ちなみに指紋センサーや赤外線カメラを使った生体認証には対応していません。指紋センサーが必要な場合は、同じ15インチのThinkPad E590をおすすめします。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
モデル名 | パフォーマンス・FHD搭載 |
---|---|
OS | Windows 10 Home |
CPU | Ryzen 5 3500U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 512GB SSD (PCIe) |
グラフィックス | Radeon Vega 8 (CPU内蔵) |
CPU性能
ThinkPad E595では、AMDのRyzenシリーズが使われています。CPU性能を計測するベンチマークテストを試したところ、試用機のRyzen 5 3500UはインテルのCore i5-8265Uよりも若干劣るもののCore i5相当と言っていい結果となりました。
他サイトのベンチマーク結果を見る限りでは、Ryzen 3も同様にCore i3相当と考えて良さそうです。ただし上位CPUであるはずのRyzen 7についてはベンチマーク結果があまりよくありません。なんらかの原因があるのかもしれませんが、性能と価格のバランスで考えるならRyzen 5を選んだほうが良さそうです。
CPUベンチマーク結果
名称 | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8565U |
9672
|
Core i5-8265U |
8595
|
ThinkPad E595 (Ryzen 5 3500U) |
8308
|
Ryzen 7 3700U ※2 |
8107
|
Core i7-7500U |
5564
|
Core i3-8145U |
5549
|
Core i5-7200U |
4948
|
Ryzen 3 3200U ※2 |
4915
|
Celeron N4000 |
1554
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均 ※2はPassMark CPU Benchmarksのデータを参考にしました
CPU選びの目安
Celeron | ・Webページを見る ・ネット動画の視聴 ・ごく簡単な文書作成 |
---|---|
Ryzen 3 | ・事務処理 ・文字中心の資料作成 ・写真の簡単な加工 |
Ryzen 5 | ・写真や画像の加工 ・データ処理 ・画像入り資料の作成 |
ストレージ性能
試用機では512GBのSSDが使われていました。接続方式はPCIe 3.0 x4の爆速タイプです。ただしシーケンシャルリードは874.3MB/秒と、爆速タイプとしてはそれほど速くはありません。とは言え、HDDよりも十分高速です。
起動時間
試用機でのウィンドウズの起動時間は平均19.22秒でした。平均としてはあまり速くはありませんが (SSD搭載機なら17秒程度)、これは一度起動に時間がかかった結果があるためです。通常は17秒程度と考えていいでしょう。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 17.4秒 |
---|---|
2回目 | 28.2秒 |
3回目 | 16.8秒 |
4回目 | 16.8秒 |
5回目 | 16.9秒 |
平均 | 19.22秒 |
3Dグラフィックス性能
ThinkPad E595ではグラフィックス処理に、CPU内蔵のRyzen Vega / RX Vegaを利用します。3Dベンチマークテストでは、インテル製CPU内蔵のIntel UHD 620 Graphicsよりも優れた結果となりました。Ryzen 5とCore i5で比較するなら、Ryzen 5のほうが34%程度高いスコアが出ています。Ryzen 3やRyzen 7についても、同様に高い結果が出ると考えていいかもしれません。
GPUの性能比較
CPU | 3DMark Fire Strikeスコア |
---|---|
MX250 |
3261
|
MX150 |
3091
|
MX130 |
1952
|
Radeon 530 |
1605
|
Radeon 520 |
1456
|
ThinkPad E595 (Radeon Vega 8) |
1418
|
UHD 620 (Core i7-8565U) |
1162
|
UHD 620 (Core i5-8265U) |
1061
|
※そのほかのスコアは2019年8月時点での当サイトの平均値
ゲーム系ベンチマーク結果
CPU内蔵のグラフィックス機能の性能が高いとは言え、3Dゲームを快適に楽しめるほどではありません。ドラクエ10などのごく軽めのゲームを画質や解像度を調整してなんとかというレベルです。高い処理性能を必要とする中量級以上のゲームについては考えないほうが無難です。
FF14:漆黒のヴィランズ (DX11) ※中量級
|
||
---|---|---|
フルHD | 最高品質 | 1201(設定変更が必要) ※7.632708 FPS |
高品質 | 1637(設定変更を推奨) ※10.93048 FPS | |
標準品質 | 2293(普通) ※15.07754 FPS | |
ドラゴンクエストX(DX9) ※軽量級
|
||
1920×1080 | 最高品質 | 4613(普通) |
標準品質 | 6207(快適) | |
低品質 | 7198(とても快適) |
リーグ・オブ・レジェンド
動作の軽いリーグ・オブ・レジェンド (LoL)でプレー中のFPSを計測したところ、プリセットの最高画質でなんとか、3番めに高画質な「やや高い」で平均60FPS前後となりました。画質を落とせば、ごく軽いゲームでもなんとかなりそうです。
リーグ・オブ・レジェンド計測結果 (フルHD)
画質 | 平均FPS | 最低FPS |
---|---|---|
非常に高い (最高画質) | 56 FPS | 37 FPS |
高い | 61 FPS | 49 FPS |
やや高い | 70.23 FPS | 59 FPS |
チームファイト タクティクス (TFT)
リーグ・オブ・レジェンドの新モードであるチームファイト タクティクスでは、プリセットの上から3つの画質ではちょっと厳しい結果となりました。「中」画質以下に調整すれば、カクつきが気にならないでしょう。
そもそもこのゲームは反射神経や素早い操作はそれほど求められないので、高いFPSが出なくても問題ないとも考えられます。ただドラフト (ピック)の際にカクついてしまい、目的のチャンピオンとは別のものをゲットしまうことがありました。画質はプレーに影響しないので、できれば解像度を落としたほうがいいかもしれません。
チームファイト タクティクス計測結果 (フルHD)
画質 | 平均FPS | 最低FPS |
---|---|---|
非常に高い (最高画質) | 43 FPS | 33 FPS |
高い | 44.66 FPS | 36 FPS |
やや高い | 49.38 FPS | 35 FPS |
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間は公称値で10.8時間とされています。当サイトの計測方法で実際の駆動時間を計測したところ、9時間37分という結果でした。公称値には及ばなかったものの、メーカーのテスト (MobileMark 2014)とは検証方法が異なるため、ある程度の差が出るのは仕方がないでしょう。
ちなみにBBenchのテストで9時間37分というのは、あまりいい結果ではありません。なぜならこのテストはバッテリー消費量が非常時に少ないからです。普通に使っていれば、数時間程度というところでしょうか。感覚的には短いものの、そもそも持ち歩き用の機種ではないため問題ないと考えることもできます。
バッテリー駆動時間のテスト結果
公称値 | 10.8時間 |
---|---|
BBenchによる計測 | 9時間37分 |
フル充電までにかかった時間 | 1時間49分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
価格について
ThinkPad E595には複数のモデルが用意されていますが、ベースとなるのは以下の3種類です。それぞれCPUの種類やメモリー容量、ストレージ構成などが異なります。
ラインナップ
スタンダード | パフォーマンス・FHD搭載 | プレミアム・FHD搭載 |
---|---|---|
Ryzen 3 3200U | Ryzen 5 3500U | Ryzen 7 3700U |
4GB | 8GB | 16GB |
128GB SSD | 256GB SSD | 256GB SSD + 1TB HDD |
1366×768 (TN) | 1920×1080 (IPS) | |
税込5万7629円 | 税込8万0924円 | 税込10万4036円 |
※2019年8月9日時点
もっとも安いのはRyzen 3搭載のスタンダードモデルですが、解像度が低くメモリー容量が少ないため少し物足りません。格安モデルとして割り切って使うならアリですが、ノートPCとしてガッツリ使うのあればRyzen 5搭載のパフォーマンスモデルを選んだほうがいいでしょう。
Ryzen 7搭載のプレミアムモデルはメモリー容量が16GBの上にSSD + HDDのデュアル構成でも10万円台と非常に安いのですが、前述のとおりなぜかRyzen 7はベンチマークスコアが伸びないらしくやや不安が残ります。Ryzen 5のメモリーやストレージを増設するか、インテル製CPUを使ったThinkPad E590に変更するのもアリかもしれません。
高い品質のモデルをできるだけ安く買いたい人に
レノボからは同じThinkPadのEシリーズとして、15インチのThinkPad E590が発売されています。見た目はどちらもほぼ同じで、CPUの種類といくつかの機能が異なる程度です。
ThinkPad E595とThinkPad E590の違い
ThinkPad E595 | ThinkPad E590 |
---|---|
・Ryzen 3 3200U ・Ryzen 5 3500U ・Ryzen 7 3700U |
・Core i3-8145U ・Core i5-8265U ・Core i7-8565U |
SSD:最大512GB HDD:最大2TB |
SSD:最大1TB HDD:最大2TB Optane対応 |
・Radeon Vega 3 (Ryzen 3内蔵) ・Radeon Vega 8 (Ryzen 5内蔵) ・Radeon RX Vega 10 (Ryzen 7内蔵) |
・UHD 620 ・Radeon RX 550X |
ブラック | ・ブラック ・シルバー |
キーボードバックライトなし | キーボードバックライト対応 |
指紋センサー非対応 | 指紋センサー対応 |
最大 約10.8時間 | 最大 約14.3時間 |
約2.1kg | 約2.1kg |
5万7629円~ | 5万8968円~ |
インテル製CPUを搭載したThinkPad E590のほうが多くの機能に対応 (追加オプションで利用可能)しているぶん、値段が若干高めです。またCPU性能についても同クラスモデルなら、ThinkPad E590のほうが上回ります。 ただThinkPad E595のほうは、値段を少しでも抑えられる点が魅力です。機能や性能はそこそこでいいからとにかく安い買いたい人に向いています。
また他社メーカーの同価格帯製品よりも、本体デザインやキーボードの使い勝手は優れています。総合的な完成度で見れば、トップクラスの出来栄えと言えるでしょう。安くて高品質な15インチノートPCを探しているなら、ThinkPad E595 / E590を検討してみてはいかがでしょうか。
※2019年8月9日時点
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