
機材提供:デル・テクノロジーズ株式会社
デルの『Alienware 27 4K デュアル解像度ゲーミングモニターAW2725QF(以下、”AW2725QF”)』は、27インチサイズのゲーム用ディスプレイです。記事執筆(2024年12月末)では7万円後半と、4Kゲーミング用としてはお手頃な値段で販売されています。

Alienware 27 4K デュアル解像度ゲーミングモニターAW2725QF
しかしこの機種は、普通のディスプレイとはちょっと異なります。4K(3840×2160ドット)のディスプレイとしてだけではなく、フルHD(1920×1080ドット)のディスプレイとしても使えるのです。

eスポーツ系のゲームを楽しむときは27インチのフルHD 330~360Hzで利用

ディスプレイ下部のボタンを2回押す ※ショートカットが解像度変更モードに設定されている場合

映像がキレイな大作ゲームをプレーしたり作業を行なったりする場合は、4K 165~180Hzで使用。解像度の切り替えには3~4秒程度かかります
「4Kディスプレイの解像度をフルHDに落とせば、同じでしょ」と思うかもしれません。しかし、これが全然別モノなんです。フルHD時には最大360Hzのeスポーツレベルで、4K時には最大180Hzでの動作が可能。解像度によってリフレッシュレートが変わることは、普通ではありません。
しかも4K表示が可能なディスプレイなのに、フルHD表示で映像がボヤけることなくクリアーに映し出されます。これも普通の4Kディスプレイでは、あり得ないことです。
PCやゲーム機などのデバイスによってディスプレイを使い分けている人もいると思いますが、AW2725QFならそんな工夫は必要なく、これ1台でOK。実際に使ってみると、思ってた以上に画期的なゲーミングディスプレイでした。
そこで今回はメーカー提供の実機を使って、外観や映像品質、実際に使った感想などをレビューします。

Alienware 27 4K デュアル解像度ゲーミングモニターAW2725QF
おことわり
・この記事の検証では、メーカー提供機材を利用しています。また記事中のリンクからほかのサイトを開き物品を購入すると、当サイト運営元が報酬を得る場合があります。
・記事執筆にあたり、機材を1週間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。
・記事の公開にあたり、メーカーによる事前の確認や校閲は受けていません。
スペック
画面サイズ | 27インチ |
---|---|
パネル | IPS 非光沢 |
解像度 | 1920×1080ドット(フルHD)または3840×2160ドット (4K) |
画素ピッチ | 横0.1554mm×縦0.1554mm |
リフレッシュレート | 最大360Hz(フルHD時)、最大180Hz(4K時) |
応答速度 | 1ms(GtG) / 0.5ms(GtG) |
色域 / 輝度 | 95% DCI-P3 / 400㏅/㎡(標準)、600㏅/㎡(HDRピーク) |
映像入力 | HDMI2.1×2 / DisplayPort 1.4×1 |
HDR | Dolby Vision / VESA DisplayHDR 600 |
VRR | VESA AdaptiveSync / NVIDIA G-SYNC Compatible |
スピーカー | なし |
チルト角度 | 前方5度~後方21度 |
ピボット / スイーベル | 対応 / 左右20度 |
高さ調節 | ±110mm |
VESAマウント | VESA100 |
サイズ / 重量 ※スタンド含む |
幅611.44mm 奥行き243.7mm 高さ408.68mm / 約7.15kg |
インターフェース | USB3.2 Type-Bアップストリーム、USB3.2 Type-Aダウンストリーム×3、USB Type-Cダウンストリーム(PD非対応、15W充電対応) |
付属品 | 電源ケーブル、HDMIケーブル、DPケーブル、USBケーブル など |
パッケージと設置
パッケージ

AW2725QFのパッケージ ※メーカー貸出機材として使われていたため、外箱がガムテープで補強されています

パネル以外の同梱物
設置方法

ベース部分にスタンドを取り付け。ネジは手で回すタイプで、工具は必要ありません

背面部にカチッとはめればOK。組み立ては非常に簡単です
ディスプレイアームの取り付け

背面のスタンド取り付け部分にVESA100のネジ穴が用意されています。ディスプレイアームを利用する際は、ネジで取り付けてください
配線が目立ちにくい

スタンドにはケーブルをまとめるためのガイド(穴)が用意されています

設置条件にもよりますが、今回の検証では背面のケーブルがほとんど目立ちませんでした
本体の外観
デザイン

AW2725QFの前面

背面の外観

電源を入れると、背面のLEDが点灯します。OSDでオン / オフや光の色を設定可能

側面から見た様子。可動範囲の大きいスタンドを使っているため、ややゴツい印象です

画面左上には引き出し式のヘッドホンホルダー

そこそこ大きめのヘッドホンをかけられます
可動範囲

画面のスイーベル(首振り)は左右20度

チルト角度は前方5度から後方21度まで

高さ調節は最大11cmまで

ピボットは左右90度の回転に対応しています
インターフェース

底面部中央付近には、OSD操作用のジョイスティックとUSB端子。Type-CがUSB PD非対応なのは残念

背面側右には映像出力端子

背面側左には電源コネクターとUSB端子類が用意されています
スピーカー
Alienware 27 4K デュアル解像度ゲーミングモニターAW2725QFはスピーカー非搭載です。また3.5mmのステレオジャックも用意されていません。音声を再生するにはPCやゲーム機側にヘッドホンやスピーカーを接続したり、USB接続のスピーカーを利用してください。
OSD

底面部中央のジョイスティックを押すと表示されるメニュー。ここから各機能のショートカットを利用できるほか、上方向を推すと詳細メニューが現われます

詳細メニュー。基本操作はジョイスティックを押すまたは右方向に倒すことで決定、左方向に倒すことでキャンセル
ゲーム系機能
主な機能
プリセットモード | 映像のプリセット設定を選択する |
---|---|
ゲーム向上モード | タイマーやフレームレートなどの表示切り替え |
オーバークロック | フレームレートの最大値を上げる。オーバークロック時はHDRが有効化 |
応答時間 | 映像の応答時間を変更することで、残像感を減らす |
暗さスタビライザー | 画面の暗い部分を明るく映し出す |
AlienVision | 画面の中央の映像を加工する |

「暗さスタビライザー」の効果。影などで見えづらい部分がある際に有効にすると、暗い部分だけが明るく表示されます

AlienVisionの一例。画面中央部分の映像を加工することで、ゲームを有利に進められる場合があります。ただし大会によってはチート扱いになる場合があるので注意

「十字線」では照準のような線が表示されます(ちょっとわかりづらいのですが)
映像系の機能

「輝度/コントラスト」では画面の明るさやコントラストを調整可能。ただしHDR有効時は調整できません

映像入力に関する設定を行なう「入力信号」

背面のロゴや電源ボタンの光を調整する「AlienFX照明」

映像の基本設定を行なう「ディスプレイ」

画面分割で2系統の映像を表示する「PIP/PBPモード」

ワイプのようにふたつ目の画面を表示したり、画面を割合で分割したりできます(分割方法はプリセットからの選択のみ)

ジョイスティックを1回押したときに表示される簡易メニューの動作を設定できる「カスタマイズ」
映像品質
画面サイズと解像度

AW2725QFではふたつのネイティブ解像度が用意されています。ひとつは27インチのフルHD

もうひとつは27インチの4K。2種類の解像度を、好きなタイミングで変更可能です。ただしゲーム中に解像度を変更すると映像が乱れる可能性があるので、ゲームをプレーする前に切り替えるといいでしょう

27インチのフルHDでは画像がやや粗く感じますが、27インチの4Kは非常に高精細に感じます
画素密度の比較
画面サイズと解像度 | 画素密度 |
---|---|
23.8” FHD | 93ppi |
27” FHD | 82ppi |
27” WQHD | 109ppi |
27” 4K | 163ppi |
31.5” WQHD | 93ppi |
31.5” 4K | 140ppi |
映像の色合いと明るさ

映像は自然な色合いです。sRGB 99~100%の一般的なPC用ディスプレイと比べて、色が鮮やかに感じます。特にsRGB系ディスプレイでは弱い赤系統の色がしっかり出ているようです

公称値では95% DCI-P3とのことですが、筆者所有のカラーキャリブレーター(i1Display Pro)ではDCI-P3のカバー率が90.6%でした。おそらく機器の誤差による差だと思います
色域測定結果(プリセット:標準)
sRGBカバー率 99.6% | sRGB比 126.1% |
DCI-P3カバー率 90.6% | DCI-P3比 93% |

ディスプレイ映像のガンマカーブを確認すると、青が少し弱く出ている(上方向へ出ている)ことがわかります。ゲーム用チューニングの影響かもしれません

画面の明るさは最大時で464nit(SDR時)。ディスプレイとしてはかなり明るいと思います
HDR

上がHDRオフで、下がHDRオン時。単に明るくなるだけでなく、光と影の明暗差がより自然に映し出されています

ゲームでのHDRの違い。光との影のメリハリが強く、より印象的な映像で描かれています

映像については鮮やかではあるものの、miniLEDやOLEDほどではありません。しかし映像の見やすさ(視認性の高さ)については十分すぎるほどのクオリティーです。おそらくそのあたりを意識してチューニングが施されているのでしょう
ゲーム向けの機能について
リフレッシュレート

フルHDでは標準で330Hz、OC時で最大360Hzのリフレッシュレートに対応しています。画面の動きはとにかくなめらかで、視線移動時のブレはまったく感じません。いつもよりゲームがうまくなってように感じました(気のせいかもしれませんが)

ゲームや使っている機種によっては、リフレッシュレートがあまり伸びない可能性があります。PC側はRTX 4060 Ti以上は欲しいところ

4Kでは標準で180Hz(OC/HDR有効)、OC無効時で最大165Hzに対応しています。4Kのなめらかな動きは臨場感が爆上がりですが、RTX 4070以上のグラボが必要かもしれません
フルHD 330~360Hzの見え方

シャッタースピード1/1600で撮影したフルHD 330Hzの画面。残像が3~4フレーム程度見えていますが、それぞれの間隔が短いので残像感はあまり感じられませんでした

144Hzの機種の映像だと、残像の間隔が大きく空いています

OC時340Hzの映像

OC時350Hzの映像

OC時360Hzの映像。正直なところ330Hzとの違いはほとんどわかりませんでした
4K 165~180Hzの見え方

シャッタースピード1/1600で撮影した4K 165Hzの画面。フルHD時と比べて残像が濃く残っていますが、実際の映像ではそれほど気になりませんでした

OC時 170Hzの映像

OC時 175Hzの映像

OC時 180Hzの映像。これも165Hzとの差は感じられませんでした……
映像の残像について

OSD上の「応答速度」では「高速」(1ms)が標準に設定されています。「最速」では0.5ms。やはり応答速度が速いほうが、残像が目立たないかもしれません。オーバーシュート(逆残像)も控えめです ※フルHD 330Hz時

4K 165Hz時における応答速度の違い。「最速」でもオーバーシュートは目立ちません
ゲーム機での利用
PS5

PS5での動作を確認。ディスプレイからは音が出ないので、別途サウンド機器を用意してください

フルHD時は120Hzに対応。VRRも利用可能です

4K時も同様にVRR / 120Hz駆動に対応しています
考察とまとめ
ふたつのネイティブ解像度は不具合が起きにくい
解像度の高い4K / WQHDディスプレイでは、解像度をフルHDに下げることはできます。しかしこれだと、ゲームによっては不具合が起きることがあるんですよね。たとえば解像度をフルHDに指定すると強制的にウィンドウモードになったり、あるいはゲームが排他的フルスクリーン非対応のためボーダレスウィンドウでプレーするしかなかったり……。
しかしAW2725QFでは「4KをフルHDにダウンスケール」した映像のため、こういったウィンドウ / フルスクリーン時の不具合は一切ありません。いろんなゲームをプレーする人には、これはかなり便利というか有利なのではないでしょうか。
フルHD表示でも映像がぼやけない
あとスゴイのが、4K表示できるディスプレイでフルHDでも映像がボヤけない点です。普通は4KディスプレイでフルHD表示すると映像がじんわりとにじむようにボヤけるのですが、ネイティブフルHDでは細部のディティールまでしっかりと映し出されています。どうやってんの? これ。

ネイティブフルHDなら、4KディスプレイのフルHD表示のように映像がぼやけることがありません
これはフルHDの300Hz以上でプレーしようというときだけでなく、PCやゲーム機で4Kだと性能的にキツイからフルHDに落としてみようってときでも、ディスプレイを変えることなくそのままでプレーできるってことなんですよね。機材によってディスプレイを変えなくてすむのは便利です。
300Hzオーバーはなめらかだけど……
330~360Hzでゲームを試したところ、動きはヌルッヌルです。視野のブレとか、全然気にならないレベル。ただ正直なところ、筆者には240Hzディスプレイとの違いを体感できませんでした。遅延が少ないとのことですが、そこまでゲームもうまくないので……。
4K 165Hzはリアルさが段違い
高精細な映像で迫力が増す4Kゲーミングですが、高リフレッシュレートだとリアルさが段違いにアップします。その美しさは、思わず見とれるほど。4Kでゲームするなら、やはり高リフレッシュレートには対応しておきたいですね。それなりにハイスペックなPCが必要ですけど。
7万円台なら高コスパ
記事執筆時(2024年12月末)におけるAW2725QFの価格は7万7799円。HDR 600対応の27インチ4Kディスプレイの相場は安くて7万円台なので、4Kディスプレイとして考えるならそこそこお買い得です。
しかしAW2725QFは、最大360HzのネイティブフルHDモードに対応。上記のようなさまざまなメリットを考えれば、非常に高コスパと言っていいと思います。いろんなデバイスでいろんなゲームを楽しみたい人におすすめです。

Alienware 27 4K デュアル解像度ゲーミングモニターAW2725QF