ドスパラのraytrek R5-CAは、15.6インチのタイプのクリエイター向けのノートPCです。8コアのCore i7-10875HとミドルレンジGPUのGeForce RTX 3060搭載で、メモリーは大容量の32GB。画像加工や動画編集などの重い処理でもサクサクとこなせます。
raytrek R5-CAのスペック
OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 1920×1080 |
CPU | Core i7-10875H(8コア16スレッド) |
メモリー | 32GB(16GB×2) ※スロット2基、PC4-23400、最大64GB |
SSD | 1TB NVMe SSD ※M.2 SSDは2枚まで利用可能 |
HDD | なし |
グラフィックス | RTX 3060(6GB) |
リフレッシュレート | 60Hz |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | ※表記なし |
色域 / 輝度 | sRGBカバー率 約99% Adobe RGBカバー率 約76% |
幅×奥行き | 359×243mm |
厚さ | 24.31mm |
重量 | 約2.0kg |
バッテリー | 約8.6時間 |
※2021年5月21日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | 表記なし ※IPS相当 |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | 3列 |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | Wi-Fi 6(最大2.4Gbps) |
Bluetooth | 5.1 |
USB3.2 | 2(Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | 1(3.2 Gen2、DP対応) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1(2.1) |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD画質(92万画素) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | 180W ACアダプターなど |
オフィス | なし(オプションで追加可能) |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
※2021年5月21日時点
raytrek R7との違い
この記事で取り上げるのは、15.6インチサイズの「raytrek R5-CA」です。ドスパラからは同じくクリエイター向けノートPCとして「raytrek R7」というモデルが発売されています。raytrek R7のほうがGPUの性能が高く、ディスプレイのスペックも上。しかしそのぶん値段が高く、キー配列のクセが強いなどの欠点があります。
raytrek R5-CAとraytrek R7の違い
raytrek R7 | raytrek R5-CA | |
---|---|---|
ディスプレイ | 17.3インチ 2560×1440 | 15.6インチ 1920×1080 |
CPU | Core i7-10875H | |
グラフィックス | RTX 3070 | RTX 3060 |
メモリー | 32GB | |
ストレージ | 1TB SSD | |
リフレッシュレート | 165Hz | 60Hz |
sRGBカバー率 | 約100% | 約99% |
有線LAN | 2.5Gbps | 1Gbps |
メモリーカード | microSD | SD |
顔認証 | 対応 | 非対応 |
サイズ | 幅391.4mm 奥行き260.8mm 高さ20mm |
幅359mm 奥行き243mm 高さ24.31mm |
重量 | 約2.3kg | 約2.0kg |
バッテリー駆動時間 | 約7.1時間 | 約8.6時間 |
※2021年5月21日時点
raytrek R7の詳細については、レビュー記事でご確認ください。
デザインと使いやすさ
外観について
raytrek R5-CAは高性能パーツを組み込んだクリエイター向けノートPCですが、本体サイズはわりとコンパクトです。多少厚みがあるものの、接地面積は普通の15.6インチノートPCとあまり変わりません。ムダのないスッキリとしたデザインで、スタイリッシュな印象を受けます。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは15.6インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHD。ノートPCと一般的なスペックです。リフレッシュレートは、一般のPCやテレビなどと同じ60Hz。デスクトップの文字は1.8~2.4mm程度でやや小さいものの(スケーリング125%)、読みづらい字はありませんでした。ディスプレイの表面は光沢なしのノングレアで、映り込みが抑えられています。
映像は自然な色合いで違和感はありません。ただ画面が若干暗く、そのぶん色が寒色系に見えます。公称スペックによると色域はsRGBカバー率が約99%で、Adobe RGBカバー率が約76%とのこと。印刷や本格的なクリエイティブワークには、もう少し色域の広い外付けディスプレイを利用したほうがいいでしょう。趣味レベルであれば問題ありません。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 97.8% |
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sRGB比 | 103.4% |
Adobe RGBカバー率 | 75.7% |
Adobe RGB比 | 76.7% |
キーボードについて
キーボードはバックライト対応の日本語配列です。数値入力に便利なテンキーが付いていますが、一般的な4列構成ではなく3列構成である点に注意してください。下から2行目の記号キーがやや小ぶりですが、英数字キーについては違和感なく使えるでしょう。
キーピッチは実測で18.5mm。一般的な19mmよりもわずかに狭く作られています。実際にキーボードを使ってみると確かにやや窮屈に感じますが、普通に使えるレベルです。キーストロークは実測で平均1.63mm。計測時にストロークが深いキーと浅いキーが混在していたため平均値はやや深めでしたが、体感的には1.5mm程度に感じます。
キーを押した瞬間のクリック感はやや固め。入力時にしっかりとした手応えが感じられます。ただ指を押し戻す力が弱いので、慣れないうちは指を持ち上げることを意識してタイプしたほうがいいかもしれません。またキートップがややグラつくのですが、長文を入力するのでなければ問題なく使えると思います。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は十分な構成です。左右側面にUSB端子があるので取り回しの自由度が高く、繋ぎっぱなしで使う端子類は背面に配置されているのでケーブルがジャマになりません。
またSDカードサイズのメモリーカードスロットが用意されている点もポイント。デジカメで撮影した画像を、手軽に取り込めます。Type-Cは充電には非対応ですが、電源アダプターが180Wと高出力なので仕方がないでしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | × |
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USB PD 30W充電 | × |
USB PD 45W充電 | × |
USB PD 65W充電 | × |
USB PD 100W充電 | × |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-10875H |
---|---|
メモリー | 32GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | RTX 3060(6GB) |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「Control Center」の「Turbo Mode」を有効化、さらに「Fan Boost」をオンにした最大パフォーマンス設定で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第10世代のCore i7-10875Hが使われています。すでに最新の第11世代CoreプロセッサHシリーズがリリースされていますが、まだまだ現役レベルの性能です。
試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ同じCPUの平均値をやや下回りましたが、ゲーミング / クリエイター向けノートPCとしては中位クラスの結果が出ています。最高性能ではないものの、ハイエンド向けとしては十分なパフォーマンスです。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、専用グラフィックスのGeForce RTX 3060が使われます。GTX / RTXシリーズとしてはミドルレンジクラスのGPUですが、前世代のミドルハイクラスであるRTX 2070を上回る結果が出ました。旧世代のミドルレンジであるRTX 2060からは、40%近くもスコアが向上しています。現行世代ではあくまでもミドルレンジですが、パフォーマンスは相当高いと考えていいでしょう。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。raytrek R5-CAでは、すべてのテストで快適に使える目安の目標値を上回りました。一般利用ではスタンダードノートPCとあまり変わらないものの、ビジネス利用(表計算やワープロ)やコンテンツ制作(動画編集や写真加工、3D制作)では高い効果が出ています。
なおPCMark 10によるコンテンツ制作のテストは、やや軽めのクリエイティブワークを想定しています。そのため、RTX 3060とRTX 3070ではスコアに大きな差が出ていません。重いデータを扱わないのであれば、RTX 3060でも十分です。
ストレージのアクセス速度
ストレージは1TBのNVMe(PCIe 3.0 x4)SSDです。注文時のカスタマイズで容量を変えたり、さらにSSDをもうひとつ追加したりできます。
アクセス速度を計測したところ、非常に優秀な結果が出ました。しかし負荷の高い処理を連続で行なうと、シーケンシャルライトの速度が大きく低下しています。サーマルスロットリングの影響が出ているのかもしれません。大量の大容量ファイルを連続して書き込む際に、パフォーマンスが低下する可能性があります。パーツカスタマイズで信頼性の高いSSDを選ぶか、SSDに放熱シートなど貼ったりするといいでしょう。
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。
raytrek R5-CAでは、「Photo Editing」の「Batch Processing」で優れた結果が出ました。このテストはLightroom Classicメインで、主にCPU性能とストレージ性能が影響します。高速なSSDが使われているため、高いスコアが出ているのでしょう。Photoshopメインの「Image Retouching」ではGPU性能が影響するため、ハイエンドGPU搭載機種よりも低い結果が出ています。とは言え、写真や画像の加工には十分なパフォーマンスです。
動画編集の「Video Editing」でもスコアが高く、RTX 3080搭載のハイエンド機と変わらない結果です。このテストではフルHD(H.264)および4K(H.265)動画の出力にかかった時間が計測されるのですが、ストレージ性能が影響しているのかもしれません。ただ動画編集時のレスポンスとしては、GPU性能が高いほうが有利です。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均24.76秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、若干起動に時間がかかっています。とはいえ、待たされていると感じるほどではありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 25.6秒 |
---|---|
2回目 | 25.0秒 |
3回目 | 24.8秒 |
4回目 | 24.2秒 |
5回目 | 24.2秒 |
平均 | 24.76秒 |
駆動音計測結果
raytrek R5-CAでは、標準収録ソフト「Control Center」で、パフォーマンスモードを変更できます。PL1やPL2などCPUの電圧調整も可能ですが非常にデリケートな設定なので、慎重に行なうか触らないほうがいいでしょう。
PCに高い負荷がかかると空冷ファンが強く稼働し、駆動音(ファンの回転音や通気口からの風切り音)が大きく聞こえます。夜の静かな時間帯では、周囲に気を配ったほうがいいかもしれません。
駆動音の計測結果
電源オフ | 38.4dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 38.7dBA | ほぼ無音だが、耳をすますとファンの回転音がわずかに聞こえる |
Turboモード高負荷時 | 54.2dBA | 排気音がかなり大きく聞こえる。部屋の外からでもわずかに聞こえるほど |
Fan Boost有効時 | 54.2dBA | 同上 |
ゲーム系ベンチマーク結果
raytrek R5-CAはゲーミングノートPCではありませんが、ゲーム系ベンチマークテストも試してみました。最新のミドルレンジGPUを搭載しているだけあって、重量級ゲームでも快適に遊べる高いパフォーマンスです。フルHD解像度であれば、概ねどんなゲームでも楽しめるでしょう。
ただしリフレッシュレートが60Hzなので、eスポーツレベルのプレーには不向きです。高リフレッシュレートでプレーするなら、外付けのゲーミングディスプレイの利用をおすすめします。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 7401 / 快適 |
標準品質 | 10159 / とても快適 |
軽量品質 | 11373 / とても快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 15782 / 119.2 FPS |
高品質 | 17543 / 145.6 FPS |
標準品質 | 19006 / 162.1 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 21567 / すごく快適 |
標準品質 | 21713 / すごく快適 |
低品質 | 22159 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
ワンランク上のミドルレンジクリエイティブノートPC
よかった点
RTX 3060による高いパフォーマンスが魅力です。位置付け的にはミドルレンジクラスですが、実質的にはミドルハイ程度と考えていいでしょう。さらにCPUは8コアでメモリー容量は32GBと十分な構成で、重い処理でも快適。RTX 3060搭載機種としては値段がやや高めではありますが、ハイスペックであることを考えれば納得できます。画像加工から動画編集まで、幅広く活用できる機種です。
気になる点
本体価格が18万円台であることを考えれば、もう少しレディスプレイの品質がよくてもいいのではというのが正直な感想です。趣味レベルでは十分なのですが、ハイアマチュアクラスになると映像の色合いが物足りなくなるかもしれません。ハイスペック構成であることを考えれば値段的には悪くないのですが、それでも安い買い物ではないのでその点が気になります。
※2021年5月21日時点
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