レノボのIdeaPad Slim 560 Pro(16)は、Zen3世代のRyzen 5000シリーズを搭載する15.6インチタイプのスタンダードノートPCです。GTX 1650搭載モデルも用意されており、ゲームやクリエイティブワークにも利用可能。ゲーミングノートPC向けCPU / GPUが使われているとは思えないほどスリムな本体デザインも魅力です。
ラインナップ
スペック | 販売価格 |
---|---|
Ryzen 5 5600H / 8GB / 512GB SSD | 8万7296円 |
Ryzen 5 5600H / 16GB / 512GB SSD / GTX 1650 | 12万4124円 |
Ryzen 5 5600H / 16GB / 512GB SSD / Office H&B | 10万8174円 |
Ryzen 5 5600H / 16GB / 512GB SSD / GTX 1650 / Office H&B | 品切れ |
Ryzen 7 5800H / 16GB / 512GB SSD | 10万7448円 |
Ryzen 7 5800H / 16GB / 512GB SSD / Office H&B | 12万7501円 |
Ryzen 7 5800H / 16GB / 512GB SSD / GTX 1650 | 品切れ |
Ryzen 7 5800H / 16GB / 512GB SSD / GTX 1650 / Office H&B | 14万4452円 |
※2021年10月3日時点
IdeaPad Slim 560 Pro(16)のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
画面サイズ | 16インチ |
解像度 | 2560×1600 |
CPU | ・Ryzen 5 5600H(6コア12スレッド) ・Ryzen 7 5800H(8コア16スレッド) |
メモリー | ・8GB ・16GB ※オンボード、DDR4 3200 |
SSD | 512GB NVMe SSD |
HDD | なし |
グラフィックス | ・Radeon ・GTX 1650 (4GB) |
リフレッシュレート | 60Hz |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | ※表記なし |
色域 / 輝度 | 100% sRGB / 350nit |
幅×奥行き | 356×251mm |
厚さ | 16.9mm(最薄部) |
重量 | 約1.89kg |
バッテリー | 約14時間 |
※2021年10月3日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | クラウドグレー |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | 4列 |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.1 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 2 |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2(USB2.0×1、USB3.1 DP Alt/PD対応×1) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1(2.1) |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | 搭載 |
指紋センサー | - |
付属品 | 135W ACアダプターなど |
オフィス | ・なし ・Office Home & Business 2019 |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年10月3日時点
デザインと使いやすさ
外観について
IdeaPad Slim 560 Pro(16)はゲーミングノートPC向けのCPU / GPUを搭載していますが、外観は普通のノートPCと変わりません。16インチタイプのためサイズはやや大きいものの、シャープなフォルムでスタイリッシュな印象を受けます。普段使いはもちろん、ビジネスシーンでも違和感なく使えるでしょう。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは16インチで、解像度は2560×1600ドットです。一般的なフルHD(1920×1080ドット)よりも解像度が高く、映像が高精細に映し出されます。画面のアスペクト比(縦横比率)はやや縦に長い16:10。縦方向に長いページを閲覧する際に、16:9よりも作業効率がアップするでしょう。
映像はコントラストが高く、色鮮やかです。色域は公称値が100% sRGBで、実際の計測結果はsRGBカバー率96.5%。色のバランスもよく、違和感はありません。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 96.5% |
---|---|
Adobe RGBカバー率 | 74.3% |
DCI-P3カバー率 | 73.9% |
明るさは公称値で350nit、実測では320nitでした。まぶしすぎず暗すぎず、作業にはちょうどいい明るさです。 パネル表面は光沢を抑えたノングレア仕上げで目が疲れにくく、文字中心の作業にも向いています。
ディスプレイのリフレッシュレートは、一般的なノートPCと同じ60Hzです。IdeaPad Slim 560 Pro(16) ではGPU付きモデルが「ゲーミングエディション」とされていますが、ディスプレイについては動きの速いゲーム向きではありません。人気のFPS / TPS、シューター系を楽しみたいなら、高リフレッシュレートのモデルを選んだほうがいいでしょう。
キーボードについて
キーボードはテンキー付きで、バックライト対応の日本語配列です。キーピッチは実測で18.2mm。一般的なキーボードの19mmと比べると、キーとキーの間隔がかなり狭く作られています。またテンキーもやや左よりで、キーを押し間違えることがたびたびありました。
キーストロークは実測で平均1.13mm。ストロークはかなり浅めに作られています。キーを押した瞬間のクリック感は固め。手応えは感じられるものの、普段指を打ち下ろすようにして入力している人には、物足りなく感じるかもしれません。指をあまり上げ下ろしせずに、軽い力で入力する人向きです。
タイプ音はタクタクと聞こえますが、うるさくはありません。しかしEnterキーとスペースキーについてはチャキッと響くので、あまり強く打たないほうがいいでしょう。指を打ち下ろすようにして入力するとトントンと響くので、軽めのタッチ推奨です。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は多くはありませんが、一般的なノートPCとしては十分な構成です。ゲーム用として考えるとフルサイズのUSB端子は右側面だけでなく左側面にもあったほうが、ケーブルがゴチャつきにくいように思います。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | × |
---|---|
USB PD 30W充電 | △ |
USB PD 45W充電 | △ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 7 5800H |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | GTX 1650 (4GB) |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で、標準収録ソフト「Lenovo Vantage」の「電源スマート設定」を「エクストリーム・パフォーマンス」に変更した最大パフォーマンス設定で実施しています
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、Zen3世代のRyzen 5 5600H / Ryzen 7 5800Hが使われています。Ryzen 7 5800H搭載の試用機では同じCPUの平均値をやや下回ったものの、ゲーミングノートPCとしては上位クラスのパフォーマンスです。Ryzen 5 5600Hについては未検証のため不明ですが、前世代を上回るパフォーマンスを期待していいでしょう。ゲームだけでなく、負荷の高い作業を行なうのにも適しています。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 9 5900HX |
5262
|
Core i7-11800H |
5060
|
Ryzen 7 5800H |
4681
|
IdeaPad Slim 560 Pro (Ryzen 7 5800H) |
4629
|
Ryzen 7 4800H |
4307
|
Core i9-11900H |
4210
|
Ryzen 7 5800U |
3829
|
Core i7-10870H |
3679
|
Core i7-10875H |
3551
|
Ryzen 5 4600H |
3303
|
Core i5-11400H |
2992
|
Core i7-10750H |
2825
|
Core i5-10300H |
2249
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、内蔵グラフィックスのRadeon Graphicsか専用グラフィックスのGeForce GTX 1650が使われます(モデルによって異なります)。GTX 1650は前世代のエントリー向けGPUで、性能はそれほど高くありません。しかしCPU内蔵のRadeon Graphicsよりははるかに高性能です。ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を期待できます。
GPUの性能 (DirectX 12、WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
11914
|
RTX 2080 |
9599
|
RTX 3070 |
8831
|
RTX 3060 |
8262
|
RTX 2070 |
7660
|
RTX 2060 |
5860
|
GTX 1660 Ti |
5626
|
RTX 3050 Ti |
5166
|
GTX 1650 Ti |
3686
|
IdeaPad Slim 560 Pro (GTX 1650) |
3306
|
GTX 1650 |
3178
|
Iris Xe (Core i7) |
1250
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能 (DirectX 11、フルHD)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
28566
|
RTX 2080 |
25078
|
RTX 3070 |
24153
|
RTX 3060 |
21620
|
RTX 2070 |
20037
|
RTX 2060 |
15685
|
GTX 1660 Ti |
14451
|
RTX 3050 Ti |
13385
|
GTX 1650 Ti |
10123
|
IdeaPad Slim 560 Pro (GTX 1650) |
8792
|
GTX 1650 |
8758
|
Iris Xe (Core i7) |
4486
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ストレージのアクセス速度
ストレージは512GBのNVMe(PCIe 3.0 x4)SSDです。アクセス速度を計測したところ、なかなか優秀な結果が出ました。しかし負荷の高い処理を連続で行なうとアクセス速度が低下することがあります。サーマルスロットリングが影響しているのかもしれません。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。テスト結果の比較用に14インチモバイルノートPCのThinkPad X1 Carbon Gen9(Core i7-1165G7+16GBメモリー)と、クリエイター向けノートPCのraytrek R5-CA(Core i7-10875H+16GBメモリー+RTX 3060)の結果もまとめました。
Ryzen 7 + GTX 1650搭載の試用機では、非常に優秀な結果でした。コンテンツ制作ではクリエイター向けノートPCにはかないませんでしたが、GPUなしのノートPCを大きく上回る性能です。またCPU性能が影響するビジネス利用のテストでも、特に高いスコアが出ています。
GPUなしのRyzen 7モデルではコンテンツ制作のテストがやや下回る程度、Ryzen 5モデルでは全体的にスコアが下回るでしょう。とは言え、快適使える目安はクリアーできるはずです。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
9925
10193
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
9276
7072
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6814
5203
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。テスト結果の比較用にミドルレンジクリエイター向けノートPCのraytrek R5-CA(Core i7-10875H+32GBメモリー+RTX 3060)と、ハイエンドゲーミングノートPCのROG Strix SCAR 15 G533QS(Ryzen 9 5900HX+ 32GBメモリー+RTX 3080 )の結果もまとめました。
Procyonベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Photo Editing |
4695
6579
6811 |
Image Retouching |
4907
6020
6896 |
Batch Processing |
4494
7190
6728 |
Video Editing |
3268
5821
5901 |
IdeaPad Slim 560 Pro(16) のRyzen 7 + GTX 1650搭載モデルではRTXシリーズ搭載のクリエイター向けノートPCにはかないませんでしたが、それでも健闘しているほうでしょう。ただ動画編集については弱いので、本格的な(4K以上の中規模作品)を作るつもりなら高性能なクリエイター向けノートPCを選ぶべきです。
本体の熱と騒音について
FF15ベンチを10分間実行し続けた際のCPUとGPU温度を計測したところ、CPUは平均70.2度でGPUは平均72.3度でした。数値としては低めで、高熱によるパーツへの影響は少ないと思われます。動作クロックの平均は3.7GHzですが、3.2~4GHzあたりを激しく推移していました。サーマルスロットリングは発生していなかったため、温度管理がキッチリ行なわれているのでしょう。
しかし本体のキーボード上部は、かなり高温です。ゲームでよく使うWASDキー周りはそれほど熱くはないものの、排気口付近は触ると非常に熱く感じました。排気口付近がディスプレイのヒンジでふさがれているので、排気が十分でないのかもしれません。
ゲーム系ベンチマーク結果
ゲーム系ベンチマークテストや実際のゲームでFPS(描画速度の目安)をチェックしたところ、中量級のタイトルであれば画質と解像度を調整すれば平均60 FPSでプレー可能です。重いゲームについては極端に画質を下げればなんとかといったところ。
ただし16:10のアスペクト比に対応していないゲームをフルスクリーンで起動すると、画面がやや縦長に歪んでしまいます。ボーダーレスウィンドウで表示すれば歪みは解消されますが、解像度が高いのでFPSが落ちることがありました。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 3274 / 普通 |
標準品質 | 4869 / やや快適 |
軽量品質 | 6100 / 快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 9154 / 63.2 FPS |
高品質 | 12324 / 85.8 FPS |
標準品質 | 15125 / 109.3 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 20623 / すごく快適 |
標準品質 | 20869 / すごく快適 |
低品質 | 21914 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
PSO2 ニュージェネシスベンチ(やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
ウルトラ | 3339 |
中 | 10943 |
最低 | 30738 |
※1920×1080ドットの結果。5000以上が快適に遊べる目安
フォートナイト (ちょっと重い / DX12)
フルHD
画質設定 | 平均FPS / 最小FPS |
最高 | 41.7 FPS |
高 | 58.6 FPS |
中 | 139.5 FPS |
低 | 192.2 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
サイバーパンク2077 (重い / DX12)
画質設定 | 平均FPS |
ウルトラ | 16.8 FPS |
高 | 23.2 FPS |
中 | 28.5 FPS |
低 | 36 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
アサシン クリード ヴァルハラ (重い / DX12)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高 | 33 FPS / 17 FPS |
中 | 60 FPS / 36 FPS |
低 | 71FPS / 14 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
GPU付きモデルはクリエイティブワーク向け
よかった点
ゲーミングノートPC向けのCPU / GPUを搭載しながらも、本体がスリムである点が魅力です。価格もお手ごろなのに、高性能である点もポイント。
気になる点
GTX 1650搭載モデルは「ゲーミングエディション」とされていますが、特別ゲーム向けというほどではありません。確かにゲームはそこそこ動くものの、旧世代のエントリー向けGPUを使っているためパフォーマンスはいまひとつ。長期間ゲームをガッツリ楽しみたいのであれば、RTX 3050 Ti以上のGPU搭載機種を選んだほうがいいと思います。
またディスプレイのリフレッシュレートが、60Hzどまりである点も残念。対戦ゲームをプレーするのであれば、120~144Hz以上は欲しいところです。
個人的にIdeaPad Slim 560 Pro(16) は、写真や画像の加工に適していると思います。動画編集をガッツリ行なうためにはGPUパワーがやや物足りませんが、PhotoshopやLightroomなどを使うには問題ないでしょう。ゲームのためのPCではなく、作業のあいまにゲームも楽しめる程度に考えることをおすすめします。
なおこの機種を選ぶ際は、8GBメモリーモデルではなく16GBメモリーモデルを選んでください。メモリーはオンボードのため、あとから増設できないためです。
※2021年10月3日時点
*
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