HP M34d WQHDカーブドディスプレイは、画面サイズが34インチで解像度が3440×1440ドットの大型湾曲ディスプレイです。100Hzの高リフレッシュレートやデュアルスピーカーに対応するほか、65WのUSB PD給電も可能。さまざまな機能を備えながらも、ほぼ5万円で買えるコスパの高さが魅力です。
ポイント
- 😄 3440×1440ドットの広いデスクトップ
- 😄 USB PD 65W対応
- 😄 デュアルスピーカー搭載
- 😄 リフレッシュレートは100H
- 😄 VESA100対応
- 😄 ステレオスピーカー搭載
- 🙄 設置に場所を取る
今回は筆者が購入したHP M34d WQHDカーブドディスプレイの実機を使って、外観や映像品質、実際に使った感想などをレビューします。他社製品なら安くても6万円台はするお買い得な機種なので、大型湾曲ディスプレイの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶パッケージと設置について
- ▶本体の外観
- ▶OSD
- ▶映像品質
- ▶ゲームでの使用感
- ▶実際に使って困った点
- ▶まとめ
スペック
液晶サイズ | 34インチ |
---|---|
パネル | VA 非光沢 |
解像度 | 3440×1440ドット (アスペクト比 21:9) |
リフレッシュレート | 100Hz |
最大表示色 | 1677万色 |
コントラスト比 | 3500:1 |
色域 / 輝度 | sRGBカバー率 99% / 250nit |
応答速度 | 5ms(OD時) |
映像入力 | HDMI 2.0 ×2 / DisplayPort 1.2 ×1 / USB type-C |
G-SYNC / FreeSync | 非対応 |
スピーカー | デュアルスピーカー |
ピボット / スイーベル | 非対応 |
高さ調節 | ±100mm |
VESAマウント | VESA100 |
サイズ / 重量 | 幅809.4mm 奥行き234.9mm 高さ518mm / 10.5kg |
インターフェース | USB3.2 ダウンストリーム×4 / USB3.0アップストリーム×1 |
付属品 | 電源ケーブル / USB Type-Cケーブル / HDMIケーブル など |
※2021年11月18日時点
パッケージと設置について
HP M34d WQHDカーブドディスプレイの箱はかなり巨大です。一般的な通路や部屋は問題なく通れるはずですが、重さは本体のみで約10.5kg、外箱を含めればおよそ12~13kgはあるでしょう。けっこう重いので、持ち上げる際には注意してください。
本体の外観
デザイン
アスペクト比21:9の34インチディスプレイはなかなか巨大ですが、デザインがスッキリとしているので圧迫感はありません。カラーはブラックで主な素材は樹脂(プラスチック)ではあるものの、安っぽさは感じられませんでした。ただ細部でちょっと作りの甘いところがありました。とは言え、安いことを考えれば仕方がないでしょう。
可動範囲
ディスプレイの可動は前後のチルトと上下の高さ調節のみ。画面が回転するピボットやスイーベル(左右の首振り)には対応していません。公式サイトには「前後スライド機能もあります」と書かれているのですが、スライド機構は用意されていませんでした。スタンド底面にゴム足がないので前後に引きずりやすい点を指しているのかもしれません。
インターフェース
映像入力はHDMI 2.0とDisplayPort 1.2、USB Type-C(DP Alt)に対応しています。さらにUSB3.0のアップストリーム対応で、最大4ポートのUSB端子(Type-A)を利用可能です。
スピーカー
パネルの底面部には、スピーカーが配置されています。左右それぞれに配置されているのですが「デュアルスピーカー」と表記されているのでステレオではないかと思ったのですが、スピーカーのテストを行なったところ、ちゃんとLRにわかれたステレオスピーカーでした。
サウンドは、思っていた以上に高音質でした。ディスプレイの内蔵スピーカーはたいてい「あるだけマシ」のレベルであることが多いのですが、HP M34d WQHDカーブドディスプレイのスピーカーは普通に聴けるスピーカーです。ややこもった感があり外付けスピーカーほど高音質ではありませんが、少なくとも1~2Wのしょぼいスピーカーっぽくはありません。ビデオ会議や動画視聴はもちろん、ちょっとしたゲームや音楽再生などにも使えるでしょう。
OSD
OSD(画質や機能の設定画面)には、さまざまな機能が用意されています。ただしHP M34d WQHDカーブドディスプレイはどちらかと言えば汎用性の高い製品で、特定用途向けにカリカリにチューニングするようなディスプレイではありません。また専用製の高い機能も用意されていないので、実際にはサラッと使う程度でしょう。なのでここでは、比較的使うであろう機能のみを紹介します。
映像品質
画面サイズと解像度
画面サイズは34インチで、解像度は3440×1440ドット。アスペクト比 (画面の縦横比率)は21:9で、一般的な16:9に比べるとかなり横長です。画面はユーザーを包み込むようにゆるやかに湾曲しており、画面が横長でも視線はそれほど遠くはありません。
Windows PCに接続すると、スケーリング(デスクトップの拡大率)は100%のドットバイドットに設定されます。この場合デスクトップの文字は2~2.8mm程度ですが、小さくて読みづらくは感じません。老眼が進む筆者(涙)でも、70cmくらい離れた状態で普通に利用できます。
映像の色合いと明るさ
ディスプレイには、VAパネルが使われています。実際に写真や映画を表示したところ、自然な色合いで映し出されました。VAパネルはコントラストが高いと言われますが、HP M34d WQHDカーブドディスプレイはそれほでもない気がします(個体差かもしれません)。
色域は公称値でsRGBカバー率99%、実測では99.5%でした。AdobeRGB / DCI-P3はあまり高くはなくプロクリエイター向けではありませんが、一般レベルであれば十分でしょう。
輝度は計測値で247nit。一般的なディスプレイ(300~400nit)と比べると数値的には暗いのですが、実際に使ったところ特に暗くは感じませんでした。明るく感じるほどではありませんが、作業には問題ないレベルです。ただMacBookやSurfaceなどの明るいノートPCで使うと、明るさの差に違和感があるかもしれません。
測定結果
sRGBカバー率 | 99.5% |
---|---|
Adobe RGBカバー率 | 81.6% |
DCI-P3カバー率 | 86.3% |
輝度 | 247nit(公称値250nit) |
カラープリセット
HP M34d WQHDカーブドディスプレイでは、OSDから画面の色合いを手軽に変更可能です。用意されているプリセットは全部で9種類。用途に応じて使いわけると便利ですが、特にこだわりないなら標準の「無彩色(またはネイティブ)」を選ぶといいでしょう。
VAパネルとIPSパネルの違い
一般的には、視野角が広く自然な色合いのIPSパネルが人気です。VAパネルはゲーミングディスプレイで使われることはあるものの、スタンダードディスプレイ向けではあまり使われていません。おそらく「IPSパネルのほうが色がいい」というイメージが強いからでしょう。
しかし実際にVAパネル(HP M34d WQHDカーブドディスプレイ)とIPSパネル(HP 34f カーブドディスプレイ)を並べて映像を比べたところ、画質にそれほどの差は感じられませんでした。実際にはやや色味が異なるものの個体差の範囲内で、色味は調整可能です。プロクリエイター向けの高級ディスプレイと比較すればハッキリとした差が感じられるかもしれませんが、一般個人向けであれば十分な画質に感じます。
ただし視野角については、IPSパネルのほうが優れています。VAパネルも視野角は広いほうですが、極端な角度ではIPSパネルのほうが色合いが自然でした。とは言え、ディスプレイをここまで極端な角度で見ることはあまりないので、特に気にしなくてもいいかもしれません。
ゲームでの使用感
リフレッシュレート
HP M34d WQHDカーブドディスプレイは、最大100Hzのリフレッシュレートに対応しています。キッチリ100Hzまでで出せるのはUSB Type-Cのみで、HDMIとDisplayでは99.982Hzまで。標準では60Hzに設定されているので、PC(Windows)側で100Hzに変更してください。
なおHP M34d WQHDカーブドディスプレイをデュアルディスプレイで使う場合、100Hzに設定したHP M34d WQHDカーブドディスプレイをメインディスプレイに設定しないと、100Hzで動作しない場合があります。
実際にゲームをプレーしたところ、60Hzと100Hzでは動きのなめらかさがまったく違いました。60Hzがザラザラとした動きで眼に負担があるのに対して、100Hzは非常にスムーズで眼への負担が軽減されるように感じます。120Hzや144Hzのほうがよりなめらかに動作しますが、カジュアルプレーなら100Hzでも十分でしょう。
ゲーム機での利用
21:9のアスペクト比に非対応のゲーム機なら、スケーリングを変えれば問題なくプレー可能です。リフレッシュレートは残念ながら60Hzまででした。高リフレッシュレートでプレーするなら、16:6のゲーミングディスプレイを使ってください。
ゲーム機での利用
ニンテンドースイッチ | 720p または 1080p / 60Hz |
---|---|
Xbox Series X | 720p または 1080p / 60Hz |
PlayStation 5 | 720p または 1080p / 60Hz |
実際に使って困った点
ウィンドウがいちいちデカイ
これはHP M34d WQHDカーブドディスプレイ側ではなくWindows側の問題ですが、開いたウィンドウが大きすぎて扱いにくく感じることがあります。エクスプローラーやブラウザー、メモ帳などでは見られないのですが、ウィンドウ位置/サイズの記録機能に非対応のソフトだといちいち調整しなくてはなりません。もしかするとなんらかのソフトを使うことで解決できるかもしれませんが、そのままではちょっと不便に感じることがあります。
また同様に、画面の左上に表示されるソフト/設定ウィンドウも距離がちょっと遠いので扱いづらい場合があります。
画面が少し歪んで見える
湾曲ディスプレイであるため仕方がないことなのですが、画面が微妙に歪んで見えます。文章などでは問題ありませんが、CADやイラスト、パースにこだわる写真などでは仕上がりに差が出るかもしれません。本格的な創作では、フラットなディスプレイを使ったほうがいいでしょう。
すべてが平均点以上のオールラウンドディスプレイ
HP M34d WQHDカーブドディスプレイは、「ゲーム用」や「クリエイター向け」など特定の作業に特化した製品ではありません。しかし、さまざまなシーンで幅広く使える高い汎用性を備えています。
まず21:9でUWQHD(3440×1440ドット)の広いデスクトップは、より多くの情報やソフト/ウィンドウを表示可能です。作業効率が大きく向上するでしょう。画質は標準的ですが、一般レベルの創作ならクオリティーは十分。スピーカーの音質もそこそこよく、別途外付けスピーカーやヘッドホンを追加しなくても使えます。
100Hzの高リフレッシュレートはPCゲーム向きではありますが、実は普段の作業にも有効。画面のスクロールやカーソルがよりなめらかに動くので、眼への負担が軽減されるのです。さらにUSBアップストリームやVESA100など、ディスプレイに求められる機能にも対応しています。
このようにHP M34d WQHDカーブドディスプレイは、「仕事」や「遊び」、「趣味」などさまざまなシーンにおいて、平均点以上の機能と品質を実現しています。これほどの仕上がりで、なぜほぼ5万円程度なのかわかりません。他社製品なら安くても6万円台以上のレベルです。非常にコスパの高いディスプレイとしておすすめします。
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