デルの『Inspiron 16 ノートパソコン(5635)』(以下、”Inspiron 16 5635″)は、16インチディスプレイ搭載の据え置き用スタンダードノートPCです。モバイルRyzen 7030Uシリーズ搭載で、高いパフォーマンスとコスパの高さが特徴。大きな画面でしっかり作業したい人に向いています。
公式サイトの販売価格は、2023年8月時点で7万円台から。他社の16インチタイプと比べて、安く入手できる点が魅力です。価格が安くても、性能面はしっかり使えるレベル。各部で多少の安っぽさがあるものの、全体的には価格以上のクオリティーに達していると感じました。ただし、利用時の駆動音が少し大きい点が気になります。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Inspiron 16 5635
スペック
発売日 | 2023年3月3日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home / Pro |
ディスプレイ | 16インチ 16:10 1920×1200 広視野角パネル 250nit 45% NTSC 非光沢 タッチ非対応 |
CPU | Ryzen 5 7530U / Ryzen 7 7730U |
メモリー | 8 / 16GB ※LPDDR4x-4266 オンボード(増設非対応) |
ストレージ | 256GB / 512GB / 1TB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
インターフェース | USB3.2 Gen2 Type-C(映像出力 / USB PD対応)×1、USB3.2 Gen1×2、HDMI1.4(最大1920×1080@60Hz)、SDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅356.78mm、奥行き251.7mm、高さ15.42~18.2mm / 約1.84kg |
バッテリー | 4セル54Wh ※駆動時間は非公開 |
本体デザイン
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 7530U |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはまずWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定。その上で、標準収録ユーティリティー「My Dell」の「電源マネージャ」からサーマルモードをもっとも高性能な「超高パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPU(APU)としては、AMDのRyzen 5 7530U(6コア、TDP15W)およびRyzen 7 7730U(8コア、TDP15W)が使われています。Ryzen 5 7530Uよりも、Ryzen 7 7730Uのほうが高性能です。
Ryzen 5 7530U搭載の試用機でCPUベンチマークを行なったところ、なかなか優秀な結果が出ました。同CPUの平均値と比べても妥当な結果で、特にパフォーマンスが低下している様子は見られません。上位のRyzen 7 7730Uモデルであれば、より高い性能を期待できます。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
Inspiron 16 5635(Ryzen 5 7530U) |
17713
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Core i7-1355U |
15636
|
Core i3-1315U |
13033
|
Ryzen 3 7330U |
10909
|
Core i3-N305 |
10265
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Ryzen 3 7320U |
9249
|
Intel N100 |
5638
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
軽めの作業に強く影響するシングルスレッド(シングルコア)のテストでは、中位クラスの標準的な結果が出ています。一般的にシングル性能では、RyzenシリーズよりもCore プロセッサのほうが優秀です。軽めの作業限定なら、Coreプロセッサ搭載機のほうがコスパが高いかもしれません。
CPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Core i7-1360P |
3670
|
Core i5-1335U |
3665
|
Core i7-1355U |
3606
|
Core i3-1315U |
3573
|
Ryzen 7 7735U |
3289
|
Ryzen 7 7730U |
3228
|
Inspiron 16 5635(Ryzen 5 7530U) |
3213
|
Ryzen 5 7530U |
3136
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3089
|
Ryzen 5 7520U |
2573
|
Ryzen 3 7320U |
2485
|
Core i3-N305 |
2279
|
Intel N100 |
1971
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。Ryzen 5 7530U搭載の試用機で3Dベンチマークを行なったところ、CPU内蔵タイプとしては標準的な結果が出ました。ゲームやグラフィックスソフトで多少の効果が見込めますが、大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Zen3+) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4) |
1302
|
Inspiron 16 5635(Ryzen 5+LPDDR4x) |
1211
|
Radeon (Zen3) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon (Zen2+) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は大きく上回っており、一般的な使い方であれば快適に利用できるでしょう。負荷の高いビジネス作業のテストも優秀な結果で、仕事にも利用できます。ただしグラフィックス性能がやや低めのため、コンテンツ制作分野にはあまり向いていません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10256
10616
10917
9869
10258
10501 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
9518
10003
9572
8854
7417
7622 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5640
6018
6536
8298
6026
6624 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 | Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon |
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公開されていません。そこでビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から11時間35分でバッテリー残量が3%に達し、休止状態へ移行しました。そもそも16インチクラスは持ち歩き用ではないことを考えれば、十分な結果と言っていいでしょう。
ディスプレイの輝度やパフォーマンス設定を下げれば、さらに駆動時間が延びる可能性があります。しかしバッテリー駆動時は電源接続時に比べて、パフォーマンスが低下することがあるので注意してください。
PCMark 10バッテリーテスト検証結果(Ryzen 5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 11時間35分 |
充電率50%までの時間 | - | 52分 |
満充電になるまでの時間 | - | 2時間25分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
コスパは高いが駆動音がちょっと気になる
性能面は特に問題なく、むしろ現行世代のなかでは快適に使えるほうでしょう。価格が安い割に本体品質、いわゆるビルドクオリティーも高く、コスパの高さを感じます。ディスプレイのパネルが格安タイプなので映像品質はほどほどですが、文字中心の作業であれば問題ありません。
ただ外観紹介の部分でも軽く触れましたが、排気音の大きさが少し気になります。16インチタイプであれば本体内部のスペースに多少の余裕はあるはずで、一般的にはそれほど大きな音はしないはずです。もしかすると試用機固有の問題かもしれませんが、静かな機種を使いたい人は注意したほうがいいでしょう。ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンやヘッドホンを着用すれば、気にならないとは思います。
ちなみに第13世代インテルCoreプロセッサ搭載の同型モデル『Inspiron 16 5630』であれば、それほど大きな音は聞こえません。もっと静かな機種を使いたい人は、こちらをチェックしてみてください。
https://komameblog.jp/review/inspiron16-5630/
Inspiron 16 5635
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