
GMKtecから、ミニPCの新モデル「NucBox M3 Pro」が発売されました。第13世代のCore i5-13500H搭載で、直販サイトの販売価格はベアボーンキット(OS・メモリー・SSDなし)で5万1599円、16GBメモリー+512GB SSD搭載モデルで7万8999円から。

GMKtec NucBox M3 Pro
直販サイトの価格
| 構成 | 価格 |
|---|---|
| ベアボーンキット(OS・メモリー・SSDなし) | 5万1599円 |
| 16GBメモリー+512GB SSD | 7万8999円 |
| 16GBメモリー+1TB SSD | 8万6999円 |
| 32GBメモリー+512GB SSD | 9万6999円 |
| 32GBメモリー+1TB SSD | 10万6999円 |
※2026年5月14日時点
概要
ポイントは、第13世代のCore i5-13500Hを搭載している点です。2023年リリースでやや古いCPUですが、型落ちしているぶん、最新CPUよりも価格が抑えられるメリットがあります。コア構成は12コア16スレッド(Pコア×4+Eコア×8)。2~3年前のゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCで使われていただけあって、基本性能はそこそこパワフルです。普段使いやビジネスには、問題なく利用できるでしょう。

Core i5-13500Hと、同価格帯のミニPCで使われているCPUとの比較。「CPU Mark」の数値が大きいほど高性能 ※数値はPassMark CPU Benchmarksを参考にしました
ただインターフェース構成は、ほどほどの印象です。インテルのCoreシリーズは第11世代からThunderboltに対応していますが、NucBox M3 ProのType-Cは5Gbps止まり。またメモリーは旧世代のDDR4であり、ストレージ用のM.2スロットはPCIe 4.0 x4のSSDに対応しているものの、SSD搭載モデルにはPCIe 3.0 x4のSSDが使われています。

NucBox M3 Proのスペック特徴

インターフェース構成
グラフィックス性能については、やや厳しめと考えたほうがいいでしょう。Iris XeはRyzen(Zen3+以降)のRadeonシリーズよりも弱く、大作ゲームや高度な動画編集には向きません。あくまでも事務処理向けと割り切るのが無難です。
ミニPCのグラフィックス性能
| GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
|---|---|
| GMKtec EVO-T1(Arc 140T) |
3940
|
| Minisforum MS-A2(RX 6400) |
3598
|
| GEEKOM A9 MAX(Radeon 890M) |
3436
|
| GEEKOM A8 Max(Radeon 780M) |
3016
|
| NucBox M7(Radeon 680M) |
2358
|
| Iris Xe平均値 |
1510
|
| GEEKOM A5 Pro 2026(Radeon Vega) |
988
|
| NucBox G2 Plus(N150,Intel) |
431
|
※スコアは当サイト計測値、平均値はUL Solutionsのデータを参考にしました
スペック
| 発売日 | 2026年5月 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Pro |
| CPU | Core i5-13500H(12コア、16スレッド) |
| NPU性能 | ※NPU非対応 |
| メモリー | DDR4-3200 16 / 32GB ※最大64GB |
| SSD | PCIe 3.0 x4 512GB / 1TB M.2 SSD ※スロットはPCIe 4.0 x4対応 |
| グラフィックス | Iris Xe(CPU内蔵) |
| 通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN(2.5Gb)×1 |
| インターフェース | USB Type-C(映像出力対応)×1、USB3.2 Gen2 Type-A×2、USB3.2 Gen2 Type-A×1、USB2.0×1、HDMI2.0×2、有線LAN×1、ヘッドホン端子 |
| スロット | M.2スロット×3(ストレージ用×2、Wi-Fi用×1) |
| 付属品 | HDMIケーブル、VESAマウンタ、電源アダプターなど |
| サイズ | 幅114×奥行き106×高さ42.5mm(約0.51L) |
| 重量 | 約430g |
考察:価格を抑えた割り切りモデル?
NucBox M3 Proは発売されたばかりの新製品のため、筆者は実際にこの機種を触っていません。しかしGMKtecのミニPCを17機種、さらに同価格帯のミニPCを多数レビューしてきた経験を元に、スペックから読み取れることがいくつかあります。
DDR4採用によるコストダウンが狙い
まず1点目は、NucBox M3 Proが「コストを抑えることを目的として作られた機種ではないか」ということです。最近のパーツ高騰により、ミニPCはだいぶ値上がりしました。メモリー容量の大きいハイエンド系だと、50~60%程度値上がりしている機種もあります。その一方でエントリー~ミドルレンジ系は比較的値上がり幅が小さく、機種によっては20~30%程度に納まっている場合があり、それらの機種ではたいていDDR4メモリーが使われています。つまり高騰しすぎたDDR5よりも、DDR4を使うほうが製造コストを安く抑えられるということでしょう。第13世代CoreプロセッサーはDDR4とDDR5に対応していますが、それでもあえてDDR4を使うのは、価格を安く抑えるのにほかなりません。SSDに旧世代のPCIe 3.0 x4を使っている点も、コストが影響していると考えられます。実際16GBメモリーで7.9万円、32GBメモリーで10万円切りの価格は、ミドルレンジクラスとしては安いほうだと思います。

同価格帯のミニPCで使われているCPUの比較(再掲)。Zen3+世代のRyzen 5 7640HSやRyzen 7 7735HSのほうがやや高性能ですが、こちらでは高価なDDR5メモリーが必要で、そのぶん機種の価格が上昇してしまいます ※数値はPassMark CPU Benchmarksを参考にしました
用途はデータ・テキスト処理中心
次に考えられるのは、NucBox M3 Proがおそらくデータ処理や事務作業向けに設計されているのではないかという点です。内蔵グラフィックスのIris Xeは最近のミニPCのなかでは性能が低めであり、ゲームやグラフィックス、GPUを利用した動画のエンコードなどには向いていません。またネットワーク機能やインターフェースが控えめであることからも、サーバーやネットワーク機器的な立ち位置ではなく、スタンドアロンで利用することを前提にしていると思われます。これらの作業をできないことはないのですが、満足できる効果は得られにくいでしょう。あくまでもCPUパワーを活かした作業向きです。
CPUがややオーバースペック?
12コア16スレッドのCore i5-13500Hを搭載するNucBox M3 Proは、マルチコア性能を活かした作業に向いています。エクセルで複数のワークシートを利用しながらパワポの資料を作ったり、バックグラウンドで複数のソフトを動かしたり、あるいは軽い並列処理を行なうなど、PCをガッツリ使う用途で威力を発揮するでしょう。これらの作業では、DDR4の転送速度の遅さは強く影響しません。ブラウザーでタブを10~20ページ一気に開いても、普通に使えるはずです。
しかしそこまでの作業を行なわない場合、たとえばネットのちょっとした調べ物やショッピング、簡単な文書作成、小規模なWeb会議への参加程度の作業が中心だと、そこまでの性能は必要ない場合があります。CPU的にはもうワンランク下、たとえばAmazonではCore i5-12450H搭載のNucBox M3無印モデルが6.7万円程度で販売されており、それでも十分活用できるはずです。むしろ一般的な用途では、NucBox M3 ProのCore i5-13500Hは少しオーバースペックかもしれません。そのあたりに関して、自分の使い方をよく検討する必要があります。
いまの相場ならコスパは高い
そのほかの懸念としてはCPUの発熱が挙げられますが、これは実際に計測してみないとわかりません。ただGMKtecは温度管理に対して厳密に取り組む機種が多いので、NucBox M3 Proについても発熱対策は十分に行なわれていると思います。ただしそのぶん、パフォーマンスを抑えることで高温を回避している場合があるので、そのあたりは事前に意識しておいてください。
NucBox M3 Proを総合的に見ると、値上がりが続くいまのPC市場においては、ほどほどに高コスパではないかと思います。パーツの世代や機能面でコストを抑えた傾向は見られるものの、ミドルレンジとしては十分かもしれません。値段とCPU性能のバランスを重視したい人は、チェックしてみてはいかがでしょうか。
関連リンク
GMKtec NucBox M3 Pro Intel® Core™ i5-13500H ミニPC – GMKtec JP