レノボ・ジャパンはThinkPadシリーズの新モデルとして、12.5型のモバイルノートPC「ThinkPad X260」を発表しました。直販価格は12万7500円(税別)から。2016年1月19日から発売されていますが、直販サイト「レノボ・ショッピング」での販売は1月28日を予定しています。
発表日と同じ1月19日行なわれたThinkシリーズの発表会で、実機に触れてきました。そこで今回は、展示機を使った簡易レビューを交えながらThinkPad X260の概要を紹介します。
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ThinkPad X260とThinkPad X250のスペックを比較
まずは新モデルのThinkPad X260のスペックを確認してみましょう。参考までに、前モデルThinkPad X250の仕様もまとめています。なおThinkPad X260のスペックはまだ正式なものではなく、現時点では選択できない場合もあります。たとえば発売日である1月28日時点では、1366×768ドットの液晶ディスプレイしか選択できません。
2016年1月28日時点で選択できないオプション
- 1600×900/1920×1080ドットのディスプレイ
- NVMe対応SSD
上記の2点については、今後オプションが選択可能になるものと思われます。
ThinkPad X260とThinkPad X250の主なスペック | ||
モデル名 | ThinkPad X260 | ThinkPad X250 |
---|---|---|
直販価格(税別) | 12万7500円から | 11万9880円から |
OS | ・Windows 10 Home/Pro 64ビット ・Windows 7 Professional 32/64ビット |
・Windows 8.1/8.1 Pro 64ビット ・Windows 10 Home/10 Pro 64ビット ・Windows 7 Professional 32/64ビット |
CPU | ・Core i7-6600U(2.60GHz) ・Core i7-6500U(2.50GHz) ・Core i5-6300U(2.40GHz) ・Core i5-6200U(2.30GHz) ・Core i3-6100U(2.30GHz) |
・Core i7-5600U(2.60GHz) ・Core i5-5200U(2.20GHz) ・Core i5-5300U(2.30GHz) ・Core i3-5010U(2.10GHz) |
メモリ | DDR4 4/8/16GB | DDR3L 4/8/16GB |
グラフィックス | Intel HD Graphics 520 | Intel HD Graphics 5500 |
ストレージ | ・500GB HDD ・500GBハイブリッドHDD ・1TB HDD ・128/192/256/512GB SSD ・NVMe対応 SSD(PCI Express接続) |
・500GB HDD(5400/7200rpm) ・1TB HDD ・128/192/256/512GB SSD |
光学ドライブ | なし | |
ディスプレイ | ・1366×768ドット、光沢なし ・1366×768ドット、IPS、光沢なし ・1600×900ドット ・1920×1080ドット |
・1366×768ドット、光沢なし ・1366×768ドット、IPS、光沢なし ・1366×768ドット、IPS、マルチタッチ対応 ・1920×1080ドット、IPS、光沢なし ・1920×1080ドット、IPS、マルチタッチ対応 |
有線LAN | 1000BASE-T対応 | |
無線機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac+Bluetooth 4.1 | ・なし ・IEEE802.11a/b/g/n/ac+Bluetooth 4.0 ・IEEE802.11a/b/g/n+Bluetooth 4.0 ・IEEE802.11b/g/n+Bluetooth 4.0 |
Webカメラ | ・なし ・92万画素 |
・なし ・92万画素 |
主なインタフェース | USB3.0×3、HDMI、MiniDisplayPort、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリカードスロット、ヘッドホン出力、ドッキングコネクター | USB3.0×2、アナログRGB(D-sub15ピン)、MiniDisplayPort、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリカードスロット、ヘッドホン出力、ドッキングコネクター |
バッテリー構成 | 【リア】 ・3セル(23.2Wh) ・6セル(47Wh) ・6セル(72Wh) 【フロント】 ・なし ・3セル(23.2Wh) |
・3セル(リア) ・6セル(リア) ・3セル(フロント)+3セル(リア) ・3セル(フロント)+6セル(リア) |
バッテリー駆動時間(JEITA2.0) | 最大11時間 | 最大11.2時間 |
本体サイズ | 幅305.5×奥行き208.5×高さ19.3~20.3mm | ・幅305.5×奥行き208.8×高さ21.5mm(タッチ対応モデル)
・幅305.5×奥行き208.5×高さ19.9~20.3mm |
重量 | 1.34kg(最軽量構成時) | ・1.49kg(タッチ対応/3セル+3セル/HDD) ・1.45kg(タッチ非対応/3セル+3セル/HDD) ・1.43kg(タッチ非対応/3セル+3セル/SSD) |
オプション | ・スマートカードリーダー ・指紋センサー ・キーボードバックライト |
・スマートカードリーダー ・指紋センサー ・キーボードバックライト ・16GBマイクロSSD(キャッシュ) |
ThinkPad X260とThinkPad X250の違いは?
豊富なオプションが用意されているためスペックの情報量が膨大になり、上記の表は少しわかりづらくなっています。そこでThinkPad X260とThinkPad X250の違いを簡単にまとめると、以下のとおりです。
ThinkPad X260が変わった点
- CPUがBroadwell世代からSkylake世代に変わった
- メモリーがDDR3からDDR4に変わり、転送速度が1.3倍高速化された
- SSDにPCI Express接続のNVMe版を選べるようになった
- アナログRGB端子(VGA、D-sub15ピン)がなくなり、代わりにHDMI端子が追加された
- USB3.0端子が2ポートから3ポートに増えた
- 約90g軽量化された
- Bluetoothが4.0から4.1にアップグレードした
- 液晶ディスプレイの解像度に1600×900ドットを選べるようになった
- バッテリー駆動時間が0.2時間(約12分)短くなった
Skylake世代とBroadwell世代の性能差
ThinkPad X260のもっとも大きなポイントは、CPUにSkylake世代のCore iシリーズが使われている点です。動作周波数が向上して処理性能がアップしているほか、グラフィックス性能や省電力性能もアップグレードしています。
ThinkPad X260では選択可能なCPUとしてCore i7-6600UとCore i5-6300U、Core i3-6100Uの3種類が用意されています。一般的なモバイルノートパソコンで使われているCore i7-6500UやCore i5-6200Uよりもワンランク上のCPUで、処理性能で優っているほかに、インテルのvProテクノロジーに対応している点が特徴です。
さまざまなCPUのベンチマーク結果を掲載している「PassMark CPU Benchmarks」によると、Skylake世代のCPUはBroadwell世代よりも高いスコアが出ています。
ここで注目したいのは、新世代のCore i5/Core i3が前世代のCore i7/Core i5に近いスコアが出ているという点です。たとえばSkylakeのCore i5-6300Uのスコアは、BroadwellのCore i7-5600Uとあまり変わりません。純粋にCPUの計算性能だけで見るなら、ThinkPad X260でのCore i5モデルならThinkPad X250のCore i7モデル相当の性能を期待できると言っていいでしょう。
また同じSkylake世代のCPUを搭載したほかのモデルと比べても、ワンランク上のCPUを搭載しているThinkPad X260にアドバンテージがあります。下記のグラフは、Skylake世代のCore i7-6500UとCore i7-6600U、Core i5-6200UとCore i5-6300Uのベンチマークスコアをまとめたもの。この結果から見ても、ThinkPad X260には高いパフォーマンスを期待できそうです。
もっともベンチマーク結果は本体の熱設計や使っているパーツの構成、ドライバーソフトの相性などで大きく変わります。そのため、上記の結果は必ずしもThinkPad X260の性能を表わしているとは限りません。ThinkPad X250から本体デザインや基盤の設計に大きな変わりがなければある程度のパフォーマンスアップは期待できると思いますが、あくまでも参考程度にとどめておいてください。
メモリー規格がDDR3LからDDR4に変わって転送速度は約1.3倍に
Skylake世代のCPUはDDR4規格のメモリーに正式対応したことで、DDR4メモリーを搭載するモデルが増えてきました。ThinkPad X260でもDDR4(PC4-17000)が使われており、ThinkPad X250のDDR3L(PC3L-12800)と比べると転送速度が約1.3倍に向上しています。そのぶん、パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
PCI Express接続のNVMe SSDはどれくらい高速なのか?
ThinkPad X260ではストレージに最大512GBのNVMe対応SSDを搭載できる点が、ひとつのウリとなっています。ノートPCで利用するわけですから、フォームファクタはM.2以外にないでしょう。PCI Express接続については第2世代(Gen2)か第3世代(Gen3)かまだ判明していません。もし第2世代だとすると、アクセス速度は若干遅くなります。と言っても、HDDよりははるかに高速なのですが。
NVMe対応のM.2 SSDはサムスン製品が現在の主流で、主なラインナップとしては以下の3シリーズが用意されています。
主に使われているサムスン製NVMe対応M.2 SSD
- 950 PROシリーズ
- SM951シリーズ
- PM951シリーズ
上記のなかでもっとも高速なのは950 PROシリーズで、SM951、PM951と続きます。それぞれのアクセス速度の公称値は、以下の表のとおりです。
サムスン製NVMe対応M.2 SSDの公称アクセス速度(PCIe Gen3接続時) | ||
シーケンシャルリード | シーケンシャルライト | |
---|---|---|
950 PRO 256GBモデル | 2200MB/秒 | 900MB/秒 |
950 PRO 512GBモデル | 2500MB/秒 | 1500MB/秒 |
SM951 256GBモデル | 2150MB/秒 | 1200MB/秒 |
SM951 128GBモデル | 2000MB/秒 | 600MB/秒 |
SM951 256GBモデル | 2150MB/秒 | 1200MB/秒 |
SM951 512GBモデル | 2150MB/秒 | 1550MB/秒 |
PM951 128GBモデル | 600MB/秒 | 128MB/秒 |
PM951 256GBモデル | 1000MB/秒 | 280MB/秒 |
PM951 512GBモデル | 1050MB/秒 | 560MB/秒 |
同じNVMeでも、SM951とPM951ではかなりの違いがあります。特にPM951の128GBモデルではシーケンシャルリードが600MB/秒でシーケンシャルライトが128MB/秒と、SATA接続のSSDと同等レベルかライト性能がだいぶ劣ると言えるでしょう。願わくば、ThinkPad X260にはSM951クラスのSSDが使われてほしいものです。
しかし悲しいことに、Surface Pro 4やXPS 13でPM951が使われているという実績があります。この点を考慮すると、ThinkPad X260でもPM951が使われる可能性が高いのではないでしょうか。ちなみに展示機では、そのあたりのことを確認できませんでした。
実際のことろは使ってみなければわかりませんが、NVMeでもストレージ性能が高くない可能性があります。もしThinkPad X260のSSDがそれほど高速ではないという話があれば、SATA接続SSDの検討もおすすめします。
ThinkPad X260の外観をチェック!
ここからは、ThinkPad X260の外観面について紹介します。今回試用したのはイベント展示機で、実際の製品とは異なる可能性がある点をあらかじめご了承ください。
本体サイズについて
本体の大きさは幅305.5×奥行き208.5×高さ19.3~20.3mmで、前モデルのThinkPad X250とほぼ変わりません。本体カラーはブラックで、表面は光沢のないサラサラとしたマットな手触りでした。
重量は最軽量構成で1.34kgです。前モデルに比べて、約90g軽くなっています。実際に手にしてみるとそれほど軽くはないのですが、まあ持ち歩けるかなという印象でした。
14型や15.6型のモデルと比べると、サイズはかなりコンパクトです。
インターフェースについて
ThinkPad X260にはインターフェースとして、USB3.0端子×3、HDMI、MiniDisplayPort、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリカードスロット、ヘッドホン出力、ドッキングコネクターが用意されています。ThinkPad X250との違いは、USB3.0端子が1ポート増えた点と、映像出力端子がアナログRGB端子(VGA、D-sub15ピン)からHDMI端子に変わった点です。
キーボードについて
キーピッチはフルサイズ(19mm)で、6列88キーの日本語配列を採用しています。いまはまだ不明ですが、オプションとして英字配列が用意されるかもしれません。キーストロークは12.5型モデルとしてはかなり深く、タイプ感は良好です。強く押すとそれなりに歪みは発生しますが、気になるレベルではありませんでした。底打ち感がなくタッチも柔らかいので、軽快に入力できます。筆者も外出先での仕事用に欲しくなってしまいました。
快適な使用感はそのままで基本性能が大きく向上
展示機を使ってみた限りでは、ThinkPad X250との大きな違いは感じられませんでした。しかしThinkPad X250がかなり評判のいいモバイルノートPCでしたので、その良さが継承されているとも言えるでしょう。
外観は変わらないながらもパーツ構成は大きく変わっており、パフォーマンスの向上は期待できそうです。現在ThinkPad X250を使っている人でも、より快適に使うために買い換える価値があるかもしれません。もちろん、ThinkPadやモバイルノートPCをはじめて購入する人にもおすすめです。
発売日から30%オフの割り引きセールを実施中!
1月28日から直販モデルの販売が開始されました。発売日であるにも関わらず、ThinkPad X260の価格が30%オフになるクーポンが提供されています。
対象となるのは、ストレージにSSDを搭載した2種類の「特別価格バリューパッケージ」です。それぞれのしようと価格は以下の表のとおり。期間限定ですので、お早めにどうぞ。
クーポン適用で30%オフになる特別パッケージ | ||
ThinkPad X260:SSD特別価格 バリューパッケージ |
ThinkPad X260:SSD特別価格 ハイパフォーマンスパッケージ |
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---|---|---|
CPU | Core i5-6200U(2.3GHz) | Core i7-6500U(2.5GHz) |
メモリー | DDR4 8GB | DDR4 8GB |
ストレージ | 192GB SSD(SATA) | 192GB SSD(SATA) |
ディスプレイ | 1366×768ドット、光沢なし | 1366×768ドット、IPS、光沢なし |
税込価格 (クーポン適用後) |
11万7558円 | 13万410円 |
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