SOUNDPEATSの「Capsule3 Pro+ ワイヤレスイヤホン」(以下、”Capsule3 Pro+”)は、1万円台前半で買えるハイレゾ対応のワイヤレスイヤホンです。ポイントは、最新のトレンドである「MEMSドライバー」を搭載している点。半導体を利用した新型ドライバーとコイルを利用した従来のダイナミックドライバーを併用したハイブリッド構造によって、どの音域でもクリアーなサウンドを実現しています。
実際に使ってみたところ、音質もANCの効き具合も十分満足できるクオリティーでした。特に音の伸びやかさについては、高級イヤホンにも負けていないように感じます。当サイトでは最近安いイヤホンばかり紹介していましたが、「やっぱり値段が違うと、音も違うよね」といったとことです。
というわけで、この記事ではメーカーから提供された実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
おことわり
このレビュー記事では、機材を短期間試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。
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クーポンコード
CP3PL10PR26
スペック
発売日 | 2024年7月11日 |
---|---|
形状 | カナル型 |
重さ | 5g(片耳) / 48g(ケース収納時) |
ハイレゾ | 対応(ハイレゾワイヤレス認証取得) |
周波数特性 | 20Hz~40KHz |
ドライバー | 高音域:MEMSドライバー「Cowell」、中低音域:12mmダイナミックドライバー |
インピーダンス | ※表記なし |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
通信範囲 | 10m |
プロファイル | HSP / HFP / A2DP / AVRCP |
コーデック | SBC / AAC / LDAC |
再生時間(イヤホンのみ) | 約6.5時間 ※音量60%時 |
再生時間(ケース充電合計) | 約43時間 ※音量60%時 |
防水性能 | IPX4(イヤホンのみ) |
ノイズキャンセリング | 最大45dBのアダプティクANC |
タッチ操作 | 対応 |
外音取り込み | ○ |
ワイヤレス充電 | × ※充電はType-C |
マルチポイント | ○ |
マルチデバイス | × |
低遅延モード | ○ (70ms 低遅延) |
専用アプリ | ◯ |
片耳モード | ○ |
装着センサー | ◯ |
通話 | ○ |
パッケージ
外観とサイズ・重量
接続と専用アプリ
接続はスムーズ
今回はiPad ProとAndroid(Pixel 9 Pro XL)で利用しました。どちらも接続処理はスムーズです。ただし、最近のワイヤレスイヤホンで見かける「Google Fast Pair」には非対応のようです。
専用アプリで設定を変更
Capsule3 Pro+はスマホ用アプリ「PeatsAudio」に対応しています。プリセットからオーディオ効果を選んだり、タッチ操作時のアクションを変えたりなど、さまざまな機能を利用できます。
着け心地と音質
装着感は標準的
グッと耳のなかへ押し込むカナル型のため、人によっては圧迫感があるかもしれません。筆者もちょっと圧迫感があったのですが、イヤーピースをSサイズに変えたらだいぶ軽減しました。ただしそのぶん密着感も薄らぎ、音の聞こえ方にも影響するかもしれません。そこは人それぞれなので、各自で調整してください。
重さは、個人的には標準的だと思います。普段軽量タイプを使っているなら、多少の違和感があるかもしれませんが、スグに慣れるでしょう。スティックがあるため頭を激しく動かすと落ちてしまうかもしれませんが、普通に使うぶんには問題ないはずです。ハウジング部分は小ぶりではあるものの、いわゆる「寝フォン」タイプではないので、それなりの装着感はあります。
ANCの効き具合には満足
ANCの印象をひと言で表わすなら「自然な効き具合」といった印象です。ホワイトノイズもなく、格安タイプよりも音がしっかりキャンセルされています。ただ高級イヤホンで感じられるような「完全にシャットアウト」したような状態ではありません。キーボードや風の音といった高音域の音はそこそこ聞こえます。とは言えその状態こそが、「違和感のない自然な静かさ」と言えるのではないかと感じました。
外音取り込みも自然な音
周囲の音を聞き取りやすくする外音取り込み機能について、違和感のない音に聞こえます。イヤホンをしたままでも普通に家族と会話できましたし、人の声はとてもクリアーに聞こえます。ただ低音域が微妙にカットされているので、物音は少し軽く聞こえるかもしれません。とは言え、格安タイプの機械音っぽさと比べると、とても自然に聞こえました。
MEMSドライバー+12mmドライバーでどの音域もクリアー
音質については、事前に10時間程度のエイジングを行なってからチェックしています。
まずハイレゾ / 非ハイレゾの違いは、楽曲のすべて音が個別のボリューム感をもって次々と連続的に押し寄せてくるか、均一にならされた平面で迫ってくるかに表われると思います。ハイレゾ対応のCapsule3 Pro+はまさに前者で、各パートの音がとても表情豊かに感じられました。このあたりが「臨場感」とも呼ばれるところでしょうか。
音はどの音域も非常にクリアーです。特に高音がよく通って聞こえます。たとえば女性ボーカル+ロック調の曲で楽器の激しい音にボーカルが目立たなくなってしまうことはよくあるのですが、Capsule3 Pro+ではどちらもハッキリかつ伸びやかに聴き取れました。
このあたりはおそらく、xMEMS製「Cowell」MEMSドライバーと12mmダイナミックドライバーのハイブリッド構成によるものでしょう。電圧で音を再生するMEMSドライバーには専用のアンプが必要で、Capsule3 Pro+では「XAA-2000 Aptosパワーアンプチップ」が使われています。どちらも非常にコンパクトで、バッテリー消費もごくわずか。この小さなイヤホンにふたつのドライバーを内蔵することで、優れた音質を実現しているのだと思います。
バッテリー駆動時間は6時間13分
再生時間はイヤホンのみで6.5時間(6時間30分)、ケースで充電しながらだと43時間とされています。前述のiOS用アプリを使って音声が消えるまで再生し続けたところ、6時間13分でバッテリー残量がなくなりました。公称値よりもわずかに短いですが、これだけもてば十分でしょう。ケースで6.6回は充電できる計算ですから、よっぽどのことがない限りバッテリー切れで困ることはなさそうです。
遅延はあり
ゲームモードは遅延が70ms(0.07)です。一般的に100ms(0.1秒)以上の遅延で音のズレを感じるとのことなので理論上は音のズレを感じないはずなのですが、ゲームでは微妙な音のズレを感じました。ゲームによっては影響がないかもしれないものの、音が微妙に遅れてくると違和感があるので、気になる人はゲームで使わないほうがいいかもしれません。
Bluetooth接続感度は未確認
今回はまだ、電車や繁華街での利用を確認していません。検証する機会があったら、追記します。
他機種との違い
Redmi Buds 6 Liteと比較
Capsule3 Pro+との比較対象として、Xiaomiの「Redmi Buds 6 Lite」を選んでみました。1万円以上の価格差がある格安タイプのほうが劣っているのは当然なのですが、どれくらいの違いがあるのか興味がありましたので。
Capsule3 Pro+とRedmi Buds 6 Liteの違い
Capsule3 Pro+ | Redmi Buds 6 Lite |
1万3800円 | 2480円 |
カナル型 | |
5g(片耳) 48g(ケース含む) |
4.2g(片耳) 38.5g(ケース含む) |
高音域:MEMSドライバー「Cowell」、中低音域:12mmダイナミックドライバー | 12.4mmダイナミックドライバー |
Bluetooth 5.3 | |
SBC / AAC / LDAC | SBC |
約6.5時間(イヤホンのみ) 約43時間(ケース充電合計) |
約7時間(イヤホンのみ) 約38時間(ケース充電合計) |
IPX4 | IP54 |
最大45dBのアダプティクANC | 40dBのANC対応 |
価格が5.5倍違うから音質も5.5倍違うのかというと、当然そんなわけはありません。しかし音の良さを感じたときの心の動きは、かなりあると思います。まずハイレゾ / 非ハイレゾで全然違いますし、個々の音域のクリアーさもまるで異なりました。Redmi Buds 6 Liteでは「まあこれでも十分」という妥協感があるのですが、Capsule3 Pro+「やっぱりそこそこ高いと違うわ」という感動があります。
ANCではRedmi Buds 6 Liteではちょっと不自然かつ高音域が弱いのに対して、Capsule3 Pro+のほうが自然な静かさです。高音域ノイズの聞こえ方については、あまり変わらないように感じました。ただRedmi Buds 6 Liteのほうがシャカシャカ感は抑えられています。着け心地はRedmi Buds 6 Liteのほうが小さくて軽いぶん、耳への負担が少ないという意味で優れているように感じます。
SONY WF-1000XM4との違い
手持ちのワイヤレスイヤホンのなかでもっとも高級な「WF-1000XM4」(現時点で2万5000円前後)と音を聞き比べてみました。音質はやはり良好ではあるものの、Capsule3 Pro+のほうが低音が強調されているような印象です。このあたりはバランスの好みにもよるでしょう。音も非常にクリアーなのですが、個々の音域のクリアーさではCapsule3 Pro+も負けていないと思います。前述の女性ボーカル+ロック調の楽曲では、やはりCapsule3 Pro+のほうがボーカルがハッキリと聞こえるに感じました。ちなみに同価格帯の「Xiaomi Buds Pro 4」も同じように感じたので、ここは確実にCapsule3 Pro+の優位点だと思います。
ただ機能面ではワイヤレス充電などに対応するWF-1000XM4のほうが勝っており、ANCについても圧倒的な静かさです。このあたりが値段の差といったところでしょうか。
考察とまとめ
ワンランク上のイヤホンを狙いたい人に
最近は安いイヤホンばかり試していて「もうこれでいいんじゃない?」とか思ったりもしましたが、やはり値段が高いものには高いなりの良さはありますね。いやまあ、当たり前のことなのですが。
それはともかく、格安イヤホンを使っていて「もうちょっと音質を良くしたいナ」とか「ANCを効かせたいナ」とか考えている人には、1万円台前半はちょうど手頃な価格帯ではないでしょうか。5000円クラスのものを使っていたなら確実にワンランクアップしますし、2000~3000円クラスならツーランクはアップするはずです。2~3万円台だとなくしたときのショックもかなり大きいですし、いろんな意味でコスパは高いと思います。
MEMSドライバーが強力
Capsule3 Pro+とほかのワイヤレスイヤホンとで聞き比べてみて大きく違うと感じるのは、やはり個々の音域のクリアーさです。中低音域に埋もれがちな高音域が、高級イヤホンよりも伸びやかに感じられました。楽曲としては、ポップスやロックなどでその傾向を感じられると思います。MEMSドライバーと12mmダイナミックドライバーによるハイブリッド構造のたまものと言っていいでしょう。個人的にはとても気に入ったので、常用しようと考えています。