『HP ENVY TE02』は、第12世代CoreプロセッサとGeForce RTX 30シリーズを搭載するパワフルなクリエイティブワーク向けPCです。ゲーミングPCと同等クラスの性能でありながら、外観がスタイリッシュである点が特徴。高品質ディスプレイをつないで、動画編集や3D制作を行ないたい人に向いています。
すでに最新のCPU / GPUが登場していますが、性能はそこそこ高めでまだまだ現役レベルで活用できます。値段も比較的安く、32GB以上のメモリーとWindows 11 Proを搭載している点を考慮するとコスパは高めです。ただし熱対策として、パフォーマンスをやや抑え気味に調整されている様子が見られました。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
この記事の目次
- ▶ スペック
- ▶ 本体デザイン
- ▶ 分解方法とパーツ交換について
- ▶ ベンチマーク結果
- ▶ まとめ
HP ENVY TE02
スペック
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | Core i7-12700K / Core i9-12900K ※サイドフロー空冷 |
チップセット | Z690H |
グラフィックス | RTX 3060 Ti(8GB) / RTX 3070 Ti(8GB) / RTX 3080 Ti(12GB) |
メモリー | 32 / 64 / 128GB ※DDR4-3200、スロット×4 |
ストレージ | 1TB SSD |
拡張スロット | PCI Express Gen5 x16×1、M.2×3 |
ドライブベイ | 2.5/3.5インチ兼用×1 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.0、有線LAN(1Gbps) |
サイズ / 重量 | 幅165mm、奥行き396.1mm、高さ448mm / 約13.75kg |
電源 | 600W / 800W 80PLUS GOLD |
本体デザイン
本体の外観
インターフェースについて
分解方法とパーツ交換について
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-12700K |
---|---|
メモリー | 32GB(16GB×2) DDR4-3200 |
ストレージ | 1TB SSD |
グラフィックス | GeForce RTX 3060 Ti(8GB) |
※各種ベンチマークテストは、Windows 11の電源プランを「バランス」に電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「HP Command Center」の「システムコントロール」で「デバイスモード」を「パフォーマンス」に設定して実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
CPU性能
今回試用したのは第12世代Coreプロセッサ搭載モデルですが、すでに第13世代Coreプロセッサ搭載の新モデルが登場しています。同じグレードのCPUであれば、第12世代よりも第13世代のほうが高性能です。
第12世代Core i7-12700K搭載の試用機でベンチマークテストを行なったところ、同じCPUの平均値よりも低い結果が出ました。おそらく熱対策として、あえてパフォーマンスを落としているのかもしれません。そのほかのCPUでも、同様の症状が発生する可能性があります。とは言えこれでも十分高性能なので、特に大きな問題ではないでしょう。
CPU性能
CPU | 3DMark Time Spy CPU Score |
---|---|
Core i9-13900K |
19981
|
Core i7-13700K |
18868
|
Core i9-13900 |
18341
|
Core i9-12900K |
18180
|
Core i7-13700 |
16447
|
Core i5-13600K |
16311
|
Core i7-12700K |
16209
|
Ryzen 9 7950X |
15453
|
ENVY TE02(Core i7-12700K) |
15443
|
Core i7-12700 |
14957
|
Core i5-13500 |
14894
|
Ryzen 9 7900X |
14853
|
Ryzen 7 7700X |
13520
|
Ryzen 9 5900X |
13090
|
Core i5-13400 |
12294
|
Ryzen 7 5800X |
11366
|
Ryzen 7 5700X |
10633
|
Ryzen 5 7600X |
9867
|
Core i5-12400 |
9316
|
Ryzen 5 5600X |
8111
|
Core i3-13100 |
6525
|
Core i3-12100 |
6463
|
※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値
グラフィックス性能
GPUには前モデルでRTX 30シリーズ、新モデルでRTX 40シリーズが使われています。今回試用したのはRTX 3060 Tiモデルで、3Dベンチマークテストでは平均値に近い妥当なスコアが出ました。CPU性能はやや低めではあったものの、GPUについては十分なパフォーマンスを引き出せているようです。
GPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
36120
|
RTX 4080 |
28119
|
RTX 4070 Ti |
22746
|
RTX 3090 Ti |
21766
|
RTX 3090 |
19903
|
RTX 3080 Ti |
19600
|
RTX 4070 |
17836
|
RTX 3080 |
17654
|
RTX 3070 Ti |
14839
|
RTX 3070 |
13647
|
RTX 3060 Ti |
11726
|
ENVY TE02(RTX 3060 Ti) |
11340
|
RTX 3060 |
8733
|
RTX 3050 |
6204
|
GTX 1650 |
3555
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」は、「Photoshop」と「Lightroom Classic」を使ったテスト。「Image Retouching」は「Photoshop」メインでメモリーとGPUの性能が影響しやすく、「Batch Processing」は「Lightroom Classic」メインでCPUとストレージの性能が影響しやすい傾向にあります。「Video Editing」は「Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間からスコアが算出される仕様です。
Core i7 + RTX 3060搭載の試用機では、全体的に見て優秀な結果が出ています。テストによっては、同格以上のGPU搭載機よりも優れたスコアでした。個人向けのクリエイティブワーク用PCとしては問題ないパフォーマンスです。
Procyonベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Photo Editing ※写真加工全般 |
9465
8965
9000
7925 |
Image Retouching ※Photoshop中心 |
9020
7340
7465
7631 |
Batch Processing ※Lightroom中心 |
9932
10950
10853
8232 |
Video Editing ※Premiere |
7276
4836
6926
6262 |
比較機のスペック
▶XPS 8950 | Core i7-12700KF / 16GB / GTX 1650S |
---|---|
▶Alienware Aurora R13 | Core i7-12700KF / 16GB / RTX 3070 |
▶Alienware Aurora R12 | Core i9-11900KF / 32GB / RTX 3090 |
発熱について
CPU温度
ベンチマーク時におけるCPUの温度は概ね79度前後でした。CPUベンチマークテストは同じCPUの平均値を下回る結果が出ていましたが、やはり熱対策のためにあえてパフォーマンスを落としていたようです。できる限り高い性能を求める人には向いていませんが、一般的な用途であればこれでも十分でしょう。
GPU温度
GPUに高い負荷がかかるストレステストを行なったところ、GPU全体の温度を表わす”GPU温度”は最終的に84度あたりを推移していました。また部分的な最大温度である”GPUホットスポット温度”は98度前後を推移しています。もしかするとグラボの冷却がいまひとつなのかもしれません。
これでも問題ないと判断できるかもしれませんが、個人的にはもう少し温度を下げたいところです。標準収録ユーティリティでパフォーマンスを調整したり、「MSI Afterburner」などのソフトでGPUのクロックやファン速度を調整するといいでしょう。
GPU搭載デスクトップPCを見た目で選びたい人向け
ベンチマーク結果をご覧いただくとおわかりのように、HP ENVY TE02では熱対策としてパフォーマンスがやや抑えられています。個人レベルでの利用には十分な性能ではあるものの、より高いパフォーマンスを求めるのであれば、バチバチに冷却性能を高めた機種を選んだほうがいいでしょう。
ただそのような超高性能PCは黒くてゴツく、見た目があまりよくありません。さらに値段もお高めです。PC環境をスタイリッシュにキメたい、なおかつそこそこ安くそろえたい人には、HP ENVY TE02が向いています。
標準でThunderbolt 4 / USB4に対応している点もポイントです。高品質ディスプレイはThunderboltに対応している場合が多いので、これらを1台あるいは複数台で使うのに便利。
気になるのは、冷却性能があまり高くない点です。同型のゲーミングPCである『OMEN 25L』よりもCPU / GPUの温度が高めに出ていました。とは言え、クリエイティブ用途では高負荷の状態がゲーミングPCほど長く続かないので、それほど問題ではないかもしれません。
HP ENVY TE02
*
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