レノボのIdeaPad Flex 360 Chromebookは、価格の安さが魅力の11.6インチノートPCです。価格は3万8000円台からと、PCとしては非常にリーズナブル。画面が回転する2-in-1タイプで、さまざまなスタイルで利用できます。
主なラインナップ
スペック | 価格 |
---|---|
MediaTek MT8183 / 4GB / 32GB eMMC | 3万8438円 |
MediaTek MT8183 / 4GB / 64GB eMMC | 4万2064円 |
※2021年7月15日時点
IdeaPad Flex 360 Chromebookのスペック
OS | Chrome OS |
---|---|
画面サイズ | 11.6インチ |
解像度 | 1366×768 |
CPU | MediaTek MT8183 |
メモリー | 4GB ※オンボード LPDDR4x-1866 |
ストレージ | ・32GB eMMC ・64GB eMMC |
HDD | なし |
グラフィックス | Mali-G72 MP3 |
LTE | - |
堅牢性テスト | - |
色域 / 明るさ | 45% NTSC / 250nit |
幅×奥行き | 285×202.7mm |
厚さ | 17.45mm |
重量 | 約1.2kg |
バッテリー | 最大16時間 |
自動更新ポリシー | 2028年6月 |
※2021年7月15日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | アークティックグレー |
---|---|
画面の表面 | 光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | タッチ対応 / ペン非対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 5 |
Bluetooth | 4.2 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | - |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | 1(USB2.0、PD/DP対応) |
Thunderbolt 4 | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | - |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事では筆者が購入したIdeaPad Flex 360 Chromebookの実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年7月15日時点
※本製品はChrome OSを搭載したノートPCです。Windows向けのソフトは利用できないので注意してください。
デザインと使いやすさ
外観について
IdeaPad Flex 360 Chromebookは、画面が360度回転する2-in-1ノートPCです。普通のノートPCとして使えるのはもちろん、ちょっと大きめのタブレットとして使ったり、画面を立てて動画を観たりするに使えます。
3万円台の格安なChromebookは本体が安っぽいことが多いのですが、IdeaPad Flex 360 Chromebookはわりとしっかり作られています。ボディは樹脂(プラスチック)製ではあるものの強度が高く、手で持つと中身が詰まった印象を受けました。格安モデルにありがちなベコベコ感はありません。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは11.6インチで、解像度は1366×768ドット。3万円台の格安ノートPCとしてはよくあるスペックです。文字のドット感は多少感じられますが、画面が小さいので気になるほどではありません。文字も目を凝らすことなく、普通に見える大きさです。
ディスプレイには広い視野角と自然な色合いが特徴のIPSパネルが使われています。公式スペックによると、色域はNTSC 45%で輝度は250nit。質の高いパネルではありませんが、色に違和感はありませんでした。やや暗いため寒色系の色合いですが、格安機種で使われているTNパネルよりも色が自然です。ただコントラストがやや低く、小さいグレー系の文字だとわずかにかすれて見えます。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライト非対応です。キーボード左半分の配列は(Chromebookとしては)標準的ですが、右側がやや変則的。特に「¥」キーが非常に小さく、記号を入力しづらいかもしれません。
キーピッチは18.7mmで、標準値である19mmにわずかに足りません。キーストロークは非常に浅く、実測で平均1.03mmでした。入力時にカツッとしたクリック感があるので手応えは感じられるものの、慣れないうちはキーを押している最中に途中で止まってしまうような感覚を覚えます。キーをグッと押し込むのではなく、軽く押すようなタッチで入力するといいでしょう。
クリック感が固いため、弱い力で入力してもタイプ音がカツカツと聞こえます。うるさく感じるほどではありませんが、静かな場所では周囲への配慮が必要かもしれません。
インターフェース/機能について
USB端子は合計2ポートで、片方がフルサイズ、もう片方がType-Cです。どちらも転送速度が遅いUSB2.0。そのほかはmicroSDカードスロットとヘッドホン端子のみ。インターフェース構成は、数も種類もいまいちです。
USB Type-Cは充電と映像出力に対応しています。しかしモバイルディスプレイの場合はType-C 1本だけでは利用できないので注意してください。本体とディスプレイをType-Cでつないだ上で、ディスプレイ側にも別途電源の供給が必要です。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △ ※低電力 |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | △ ※補助電源が必要 |
ベンチマーク結果
ここからは、IdeaPad Flex 360 Chromebookのパフォーマンス (性能)について解説します。ベンチマーク結果は環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
型番 | 82KM000KJP |
---|---|
CPU | MediaTek MT8183 |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 32GB eMMC |
グラフィックス | Mali-G72 MP3 |
Octane 2.0
IdeaPad Flex 360 Chromebookで使われているMediaTek MT8183で、2019年にリリースされたARM系のCPU(SoC)です。性能よりも価格の安さが重視されており、低価格帯のChromebookやアマゾンのFire HD 10などでも使われています。
JavaScritの処理速度を計測する「Google Octane 2.0」のスコアは「9934」とかなり低めでした。場合によっては過去に発売された機種のほうが、CPU性能が高い場合があります。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Octane 2.0スコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
48847
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
48443
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
44600
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
43914
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
34408
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
16911
|
Lenovo IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
16810
|
Lenovo IdeaPad Slim 350i (Celeron N4020) |
15729
|
低価格Windows PC (Celeron N4000) |
14495
|
Lenovo S330(MT8173C) |
11460
|
Acer Tablet CT100PA(OP1) |
10490
|
Lenovo IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
9934
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
9870
|
GeekBench 5
CPUの処理速度を計測する「GeekBench 5」のマルチコアテストでは、インテルのCeleronシリーズよりも高いスコアが出ています。おそらく8コア(高速4コア+低速4コア)であるため、単純にマルチコア性能が高く出たのでしょう。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 マルチコアスコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
3626
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
3146
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
2938
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
2209
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
1812
|
Lenovo IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
1403
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
918
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
899
|
Lenovo IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
880
|
PCMark / 3DMark
アプリによる軽めの作業の快適さを計測するPCMarkは、イマイチな結果でした。実際の性能はかなり低いと考えてよさそうです。3DMarkについてはエラーで計測できませんでした。
ベンチマークスコアの比較
CPU | PCMark Work 2.0スコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
11966
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
11792
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
10653
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
10010
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
9150
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
8564
|
Lenovo IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
6743
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
6307
|
起動時間
電源オフの状態から電源ボタンを押してパスワード入力画面が表示されるまでの時間を計測したところ、平均で11.06秒でした。Chromebookとしては標準と同じかやや遅い程度ですが、SSD搭載のWindows PCでは平均15秒程度なので、起動が速く感じます。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 12.7秒 |
---|---|
2回目 | 11.8秒 |
3回目 | 10.2秒 |
4回目 | 10.2秒 |
5回目 | 10.4秒 |
平均 | 11.06秒 |
安いのはありがたいがやや遅い
よかった点
3万円台でタッチ対応の2-in-1 & 見やすいIPSパネル & 軽量コンパクトと、かなりお買い得感の高い機種です。見た目もそれほど安っぽくなく、なかなかの仕上がり。スペックとコンセプトはエイサーのSpin 311とほぼ同じですが、こちらのほうがCPU性能がわずかに高く、本体品質も高め。いまは発売直後で値段がやや高いのですが、今後割引されればお得感はさらにアップするはずです。
気になる点
レスポンスがあまりよくない点が気になります。処理に多少時間がかかるのを待てるならアリですが、軽快に使いたいならCeleron系CPUを搭載したモデルのほうがいいかもしれません。検証中に、意外と処理に時間がかかることが何度かありました。
またキーストロークの浅さも気になりました。個人の好みの問題ですが、高速入力で軽快に作業できるキーボードではありません。とは言えスマホやタブレット向けのキーボードよりは使いやすいので、これでもOKという人はいるでしょう。
※2021年7月15日時点
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