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GMKtec EVO-T1レビュー:Core Ultra 9搭載の高性能&高機能ミニPC

3.5
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GMKtec EVO-T1レビュー:Core Ultra 9搭載の高性能&高機能ミニPC【PR】

製品貸出:GMKtec

GMKtecのEVO-T1は、インテルのハイエンドCPU「Core Ultra 9 285H」を搭載した高性能ミニPCです。最大の特徴は、3基のNVMe SSDスロットとeGPU接続用のOculinkポートを備えた、コンパクトタイプとしては高い拡張性。将来のクリエイティブ作業からゲーミングまでを見据えた、ハイエンドミニPCを検討している人に向いています。

GMKtec EVO-T1

GMKtec EVO-T1

GMKtec EVO-T1

使用イメージ

この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、外観や性能、実際の使い心地などをレビューします。

おことわり

このレビュー記事では、メーカー提供品を1週間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。

スペック

発売日 2025年8月
OS Windows 11 Pro
CPU Core Ultra 9 285H(16コア、16スレッド)
NPU性能 13 TOPS
メモリー DDR5-5600 64 / 64GB ※最大128GB
SSD 1 / 2TB M.2 PCIe 4.0×4 SSD
グラフィックス Intel Arc 140T(CPU内蔵)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN(2.5Gb)×2
インターフェース USB4×1、USB3.2 Gen2 Type-C(PD/DP)×1、USB3.2 Gen2 Type-A×3、USB2.0×2、HDMI×1、DisplayPort×1、Oculink、有線LAN×2、ヘッドホン端子
スロット M.2スロット×4(ストレージ用×3、Wi-Fi用×1)
付属品 HDMIケーブル、電源アダプターなど
サイズ 幅154×奥行き151×高さ73.6mm(約1.71L)
重量 約910g

Windowsのラインセンス

テスト機では、個人利用が可能なOEMライセンスのWindows 11 Proが使われていました。日本国内(大手量販店 / アマゾン / 楽天など)で入手できるGMKtec製品については、Windowsのライセンスについて心配する必要はないと思います。

GMKtec EVO-T1

ライセンスのチェック結果

技適マークについて

無線通信機器に必要な技適マークは、本体底面部に記されています。

GMKtec EVO-T1

EVO-T1の技適マーク

上記番号は「総務省電波利用ホームページ」に登録されてはいるものの、「型式または名称」の項目に「T1」は登録されていませんでした。ただし検索結果はタイミングによっては表示されないことがあり、後日表示される可能性があります。

関連リンク

総務省電波利用ホームページ

PSEマークについて

電源アダプターには「電気用品安全法」の基準に適合していることを表わすPSEマークがプリントされています。ただし届出事業者名は「株式会社hatano」という会社で、もしかすると登録を代行した会社名かもしれません。電源アダプターについては、別会社の製品を使っていると思われます。

GMKtec EVO-T1

電源アダプターにPSEマークを確認

 

システムのフルスキャン結果

検証前にWindows Defenderのフルスキャンを実施し、検知可能な脅威が存在しないことを確認しています。

GMKtec EVO-T1

Windows Defenderのフルスキャン結果

パッケージ

GMKtec EVO-T1

EVO-T1のパッケージ。いつものGMKtec製品よりもかなり大型です

GMKtec EVO-T1

箱の中身

GMKtec EVO-T1

VESA対応ディスプレイに設置するための取り付けマウンタ

GMKtec EVO-T1

付属のHDMIケーブル

GMKtec EVO-T1

電源アダプターは148.2W(19V/7.8A)の丸口タイプ

外観

高級感のあるデザイン

EVO-T1の外観は、非常に特徴的です。ブラックとブロンズゴールドの2色構成で、見た目は高級感のある仕上がり。ブロンズゴールドの部分はアルミ製で、樹脂製の本体とは別のパーツとして独立しています。おそらくデザイン性の向上と、空冷ファンからの保護を目的としたものでしょう。もしかするとエアフローの部分で多少の影響はあるかもしれませんが、その効果は限定的だと思います。

GMKtec EVO-T1

GMKtec EVO-T1の外観

GMKtec EVO-T1

ブロンズゴールドの部分はアルミ製の別パーツ。別パーツを使うことで、浮遊感のあるデザインを実現しています

GMKtec EVO-T1

電源を入れると天面側の空冷ファンのLEDが点灯しますが、アルミカバーで覆われているので見た目の変化はほとんどありません

ミニPCとしては大きめ

EVO-T1は製品カテゴリーとしてはミニPCではあるものの、一般的なミニPCと比べてだいぶ大きめです。コンパクトな激安タイプと比べると、体積比では3倍以上もあります。とは言え普通のデスクトップPCと比べればだいぶコンパクト。デスクに配置すれば、大きさが気になることはないでしょう。

 

ミニPCのサイズ比較

機種名 サイズ 体積
GMKtec EVO-X2(Ryzen AI Max+ 395) 193 × 185.8 × 77 mm 約2.76L
GMKtec EVO-T1 154 × 151 × 73.6 mm 約1.71L
GEEKOM A9 MAX(Ryzen AI 9 HX 370) 135 × 132 × 46.9 mm 約0.84L
GMKtec EVO-X1(Ryzen AI 9 HX 370) 110 × 107 × 68 mm 約0.8L
Mac mini 2024(M4) 127 × 127 × 50 mm 約0.8L
GEEKOM AIR12(Intel N150) 117 × 112 × 34.2 mm 約0.45L

 

GMKtec EVO-T1

サイズは幅154×奥行き151×高さ73.6mm

GMKtec EVO-T1

縦向きにも設置すれば、設置面積はだいぶ小さくすみます

GMKtec EVO-T1

手で持つとそれなりの大きさと重さを感じます

GMKtec EVO-T1

底面部のゴム足を含めた高さは78.5mm

GMKtec EVO-T1

だいぶ厚みを感じます

GMKtec EVO-T1

左からM4 Mac mini(0.8L)、EVO-T1(1.71L)、GEEKOM AIR12(0.45L)。設置面積は小さいものの、筐体サイズは一般的なミニPCよりもだいぶ大きめ

GMKtec EVO-T1

スマホ(Geegle Pixel 10 Pro XL)とのサイズ比較

GMKtec EVO-T1

設置イメージ

インターフェース構成

端子類は十分な構成

周辺機器用のインターフェースは数も種類も豊富です。Type-CがUSB4を2ポートではなく、USB4とUSB 3.2 Gen2の組み合わせなのは、製造コストの上昇を考慮した結果でしょう。eGPU接続用のOculinkとNVMe対応M.2スロット3基を用意することで高速な転送手段はある程度担保されたと判断し、USB4を1ポートに抑えていると思われます。

ちなみに前面のUSB Type-Aにサンディスク製のUSBメモリーとダイソー製ワイヤレスマウスのUSBレシーバーを接続するとマウスの動きが極端に遅くなる症状に遭遇しました。これがPC本体側によるものなのか、USB機器側によるものなのかは不明です。

GMKtec EVO-T1

前面には左からリセットボタン、電源ボタン、USB3.2 Type-A✕2、USB3.2 Gen2 Type-C、ヘッドホン端子

GMKtec EVO-T1

背面は電源コネクター、ヘッドホン端子、HDMI、DisplayPort、USB4、Oculink、USB2.0✕2、2.5Gb有線LAN✕2

GMKtec EVO-T1

右側面

GMKtec EVO-T1

左側面

Type-C端子は映像出力とデータ通信用

前面のUSB3.2 Gen2 Type-Cと背面のUSB4は、データ通信と映像出力に加え、USB PDにも対応しています。ただし、このUSB PD機能の利用には注意が必要です。

付属のACアダプターが148.2Wという高出力であることからわかるように、EVO-T1は高い電力を要求します。そのため、一般的に広く出回っているUSB PD充電器(30~100W)では電力不足で駆動させることはできません。

仮に140W以上の高出力なPD充電器を用意した場合でも、PC側との相性や電力供給のネゴシエーションがうまくいかず、正常に動作しない可能性があります。試しに筆者手持ちの140W充電器(Anker 717 Charger)を使ってみましたが、EVO-T1を起動させることができませんでした。

結論として、EVO-T1をUSB PDで駆動させることは想定せず、付属の電源アダプターを使用するのが賢明です。

GMKtec EVO-T1

PD 140W充電器(Anker 717 Charger)と240W対応Type-Cケーブルを使ってみましたが、起動しませんでした

改造・パーツ交換について

本体の分解方法

EVO-T1は、カバーを外すことでメモリーやSSDの交換・増設を行なえます。ふたつのカバーを外す必要があるのでちょっと手間がかかりますが、作業自体はそれほど難しくはありません。

GMKtec EVO-T1

まずは底面部の四隅に設置された突起部分を外します

GMKtec EVO-T1

突起を手で外せない場合は、ゴムをはがしてからドライバーを使えばOK

GMKtec EVO-T1

カバーを取り外した状態

GMKtec EVO-T1

さらに左右側面のネジを外します

GMKtec EVO-T1

本体カバーを外した状態

GMKtec EVO-T1

カバーとマザーボードがケーブルでつながっているので、引きちぎらないように注意しましょう

EVO-T1

マザーボード全体

EVO-T1

マザーボード四隅のネジを外し、インターフェース部分のシールをはがすと、マザーボードを取り外せます。アンテナ線を引きちぎらないよう注意

メモリーの増設方法

メモリーの規格はDDR5-5600 SO-DIMMで、最大128GBまで対応しています。

GMKtec EVO-T1

メモリースロットは2基。対応メモリーはDDR5-5600で最大容量は128GB

GMKtec EVO-T1

テスト機ではADATAの32GBメモリー✕2が使われていました

GMKtec EVO-T1

筆者手持ちの64GB✕2に交換

GMKtec EVO-T1

128GBでの動作を確認

 

SSDの増設・換装

EVO-T1は、3基のストレージ用M.2スロットを用意しています。すべてNVMe PCIe 4.0 x4で、各スロットの最大容量は8TB(合計最大24TB)。普通に使うぶんには、空きスロットに追加すればいいだけなので比較的簡単です。

GMKtec EVO-T1

PCIe 4.0 x4 Type-2280のM.2スロットを3基用意(うち空きは2基)

Wi-Fiまわりなど

EVO-T1

Wi-FiカードはIntel AX201NGW

EVO-T1

ボタン電池はマザーボードの裏側

エアフローについて

EVO-T1のエアフロー(冷却用の空気の流れ)は、天面&底面吸気の背面排気です。背面のケーブルで排気口をふさがないよう注意してください。

GMKtec EVO-T1

天面側の空冷ファンは、メモリーやSSDの冷却用

EVO-T1

CPU冷却用のファンは底面部。ホコリを取るなどのメンテナンスはアルミカバーを外すだけで、比較的簡単です

GMKtec EVO-T1

背面の排気口。ケーブル等でふさがないようにしましょう

ベンチマーク結果

パフォーマンス設定について

ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、設定した上でテストを行なっています。また各テストはUEFI(BIOS設定)画面からパフォーマンス設定を「Quiet」(静音設定)と「Balance」(標準)、「Performance」(高出力設定)、に切り替えて実施しました。

電力設定

項目名 概要 PL1 / PL2
Quiet 性能を抑えることで駆動音を低減する。消費電力が低い 45W / 45W
Balance ※標準 性能と静音性のバランスを考慮したモード 54W / 54W
Performance もっとも高性能だが騒音も大きい 70W / 80W

 

ちなみにEVO-T1本体には「FAN-MODE」ボタンが用意されています。名称から察するにファンの強弱でパフォーマンスを調整できるのだと思いますが、今回はソフトウェア的な不具合が生じて一度クリーンインストールを行なったため、ボタンは利用しませんでした。

 

EVO-T1

「FAN-MODE」と書かれたボタンがあるのですが、今回は使用しませんでした

 

補足:BIOS画面の開き方

電源オン直後にキーボードの「ESC」キーを押すと(連打すると確実)、UEFI(BIOS設定)画面が表示されます。

EVO-T1

EVO-T1のUEFI(BIOS設定)画面

パフォーマンスの設定

EVO-T1

「Main」タブの「Power Mode Select」でモードを変更後、状態を保存して再起動することでパフォーマンス設定を変更できます

メモリーの割り当てについて

EVO-T1では、標準で64GBまたは96GBのメモリーが搭載されています。今回試用したのは64GBメモリーモデルで、標準では64GB中63.5GBがシステムメモリーに割り当てられていました。

EVO-T1

64GBメモリーのうち63.5GBがシステムに割り当てられており、専用ビデオメモリーはありません

UEFI(BIOS設定画面)では、メモリーの一部を専用GPUメモリーに割り当てることが可能です。ただし割り当てられるのは最大32GBまで。システムメモリーが128GBあっても、32GBより大きくすることはできませんでした。

EVO-T1

「Adovanced」タブの「System Agent(SA) Configuration」→「Graphics Configuration」→「Igfx Gsm2」で専用ビデオメモリーを最大32GBまで割り当てられます

EVO-T1

128GBメモリーに増設しても、専用GPUメモリーは最大32GBまで

統計データとの比較

※標準の「Balance」で計測

総合性能ではギリギリでハイエンド

ベンチマークテスト「PassMark PerformanceTest」の総合スコアを統計データと比較すると、上位「74パーセンタイル」とのこと。ゲーミングPCやモバイルノートPCなどPC全体で見た場合、EVO-T1の位置づけギリギリハイエンドクラスといったところでしょう。

 

EVO-T1

総合性能では「ギリギリではハイエンドクラス」

CPU性能では「上の中」

CPU性能だけで見ると「87パーセンタイル」と、高めの結果です。ゲーミングPCやクリエイター向けPCなどの高性能機種を含めた統計でも、上位クラスに位置します。

GMKtec EVO-T1

CPU性能では「上の中」クラス

CPU性能は非常に優秀

CPU性能を計測する「CINEBENCH R23」の結果は以下のとおり。マルチコア性能ではRyzen AI 9 HX370にやや及びませんでしたが、シングルコア性能ではダントツの強さです。

 

ミニPCの性能比較

CPU CINEBENCH R23 Score
GEEKOM A9 MAX(Ryzen AI 9 HX370)
S2033
M20823
GMKtec EVO-T1(Core Ultra 9 285H) ※Performance
S2171
M20107
GMKtec EVO-T1(Core Ultra 9 285H) ※Balance
S2172
M18282
GMKtec EVO-T1(Core Ultra 9 285H) ※Quiet
S2093
M16832
GEEKOM A8 Max(Ryzen 9 8945HS)
S1830
M16639
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS)
S1788
M16176
ACEMAGIC S3A(Ryzen 7 PRO 8845HS)
S1752
M15217
ThinkCentre M75q Gen5(Ryzen 7 PRO 8700GE)
S1810
M14957
GMKtec NucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H)
S1558
M13374
MINISFORUM UM773 Lite(Ryzen 7 7735HS)
S1571
M12478
GMKtec NucBox G3 Plus(N150)
S793
M2723
GMKtec NucBox G10(Ryzen 5 3500U)
S675
M2190

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

高性能デスクトップPCにも匹敵する性能

EVO-T1で使われているCore Ultra 9 285Hは、本来はノートPC向けのCPUです。しかしCPUベンチマークテストでは、一般用途向けのスタンダードデスクトップPCで使われているCPUと同等クラスの結果が出ています。

 

デスクトップPC向けCPUとの比較

CPU PassMark CPU Mark Score
Core Ultra 7 265
49478
Core i7-14700
41157
GMKtec EVO-T1(Core Ultra 9 285H) ※Balance
36423
Ryzen 7 7700X
35622
Ryzen 7 8700G
31626
Core Ultra 5 225
31176
Ryzen 5 7600X
28320
Core i5-14400
25320
Ryzen 5 8600G
25281

※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値

グラフィックス性能

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIntel Arc 140Tが使われます。グラフィックス性能を計測する3Dベンチマークテストでは、ミニPCとしては非常に優秀な結果でした。AMD RyzenシリーズのRadeon系よりもベンチマークスコアが高く、ゲームやグラフィック処理の面での効果を期待できます。

 

ミニPCのグラフィックス性能

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 3050 Laptop平均値
4874
GMKtec EVO-T1(Arc 140T) ※Performance
3950
GMKtec EVO-T1(Arc 140T) ※Balance
3940
GMKtec EVO-T1(Arc 140T) ※Quiet
3940
GTX 1060 Laptop平均値
3685
GEEKOM A9 MAX(Radeon 890M)
3436
GMKtec NucBox K11(Radeon 780M)
3036
MINISFORUM UM773 Lite(Radeon 680M)
2363
NucBox M7(Radeon 680M)
2358
Minisforum MS-01(Iris Xe)
1779
NucBox M5 Plus(Radeon Vega)
1104
NucBox G2 Plus(N150,Intel)
431

※スコアは当サイト計測値、平均値はUL Solutionsのデータを参考にしました

ストレージ性能

テスト機では、ストレージにCrucial P3 Plus(CT1000P3PSSD8)が使われていました(出荷タイミングによっては別のSSDが使われている場合があります)。PCIe 4.0 x4としては最速クラスではないものの、実利用には十分な速度です。

GMKtec EVO-T1

テスト機の内蔵SSDのアクセス速度計測結果

GMKtec EVO-T1

内蔵SSDの詳細情報

 

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。

 

テスト結果の見方

テスト名 概要
Essentials
(一般利用)
ソフトの起動やWeb閲覧、ビデオ会議など一般的な作業を想定。CPUのシングルコア性能が強く影響する
Productivity
(ビジネス利用)
表計算とワープロにおいて、中規模クラスのデータを扱うテスト。CPUのマルチコア性能が影響しやすい
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
写真加工と3D製作、動画編集を扱うテスト。CPU性能とグラフィックス性能が強く影響する

 

テストではすべての項目で、目標値を大きく上回っています。なかでも特にコンテンツ制作のスコアが、ミニPCとしては優秀です。一般的な使い方であれば、問題なく利用できるでしょう。

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
(一般的な利用)
目標値:4100
Quiet10646
Balance10239
Performance10720
G3Plus7019
M710414
GT13P10921
A8Max10699
A9Max10978
Productivity
(ビジネス利用)
目標値:4500
Quiet10715
Balance9038
Performance10676
G3Plus4645
M78860
GT13P6840
A8Max10059
A9Max9761
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
目標値:3450
Quiet11748
Balance11832
Performance12180
G3Plus2751
M78694
GT13P7429
A8Max9826
A9Max11280

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

比較機のスペック(ミニPC)

NucBox G3 Plus Intel N150 / 8GB / UHD
NucBox M7 Ryzen 7 PRO 6850H / 16GB / Radeon
GEEKOM GT13 Pro Core i9-13900H / 32GB / Iris Xe
GEEKOM A8 Max Ryzen 9 8945HS / 32GB / Radeon 780M
GEEKOM A9 Max Ryzen AI 9 HX 370 / 32GB / Radeon 890M

クリエイティブ性能

「UL Procyon」は、世界的にも利用者が多く「デファクトスタンダード」とも言えるアドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測します。「PCMark 10」と比べて、より高度で実践的なテストを行なう点が特徴です。

テスト結果の見方

テスト名 概要
Photo Editing 「Photoshop」と「Lightroom Classic」を利用した、写真の加工・出力に関する総合評価
Video Editing 「Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間からスコアが算出される

 

テスト機とそのほかのミニPCの結果は、以下のグラフのとおりです。グラボを搭載したデスクトップPCには及ばないものの、ミニPCのなかでは非常に優秀だと思います。

 

クリエイティブ性能の比較

CPU UL Procyon
ThinkCentre Neo Ultra(Core i7-14700, RTX4060) ※参考
Photo7676
Video28145
GMKtec EVO-T1(Core Ultra 9 285H) ※Balance
Photo6264
Video9816
GEEKOM A9 Max(Ryzen AI 9 HX 370)
Photo7424
Video9669
GMKtec NucBox K11(Ryzen 9 8945HS)
Photo6401
Video9432
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS)
Photo6053
Video9484
GEEKOM A8 Max(Ryzen 9 8945HS)
Photo6557
Video9483
GMKtec NucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H, Radeon 680M)
Photo4614
Video7941
GEEKOM AE7(Ryzen 9 7940HS, Radeon 780M)
Photo5772
Video7195
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H, Iris Xe)
Photo4631
Video5491

※「Photo」はPhoto Editing、「Video」はVideo Editing。スコアは当サイトの実機計測結果

AI性能

推論性能

LM Studio(0.3.30)から「gpt-oss-20b」をロードして「ミニPCのメリットとデメリットを詳しく教えてください」と入力した際の出力結果は以下のグラフのとおり。「tok/sec(token per second)」が大きいほど、推論性能が高いことを表わします。

64GBメモリーと128GBメモリーの状態でテストを行ないましたが、結果に大きな差は現われませんでした。誤差の範囲と言えるでしょう。

 

推論性能

機種 gpt-oss-20b token per second
GMKtec EVO-T1 64GB
17.4
GMKtec EVO-T1 128GB(VRAM 32GB)
16.9
GMKtec EVO-T1 128GB
16.88
GEEKOM A9 Max
14.34
IdeaPad Slim 5 Gen 10(Ryzen 7 8845HS / Radeon 780M / DDR5-5600 32GB)
14.11

※スコアは当サイト計測値

比較機のスペック(ミニPC)

IdeaPad Slim 5 Gen 10 Ryzen 7 8845HS / Radeon 780M / DDR5-5600 32GB
GEEKOM A9 Max Ryzen AI 9 HX 370 / Radeon 890M / DDR5-5600 32GB

画像生成性能

画像生成の検証には、UL Solutions「Procyon」の「AI Image Generation Benchmark」を利用しました。生成モデル「Stable Diffusion 1.5(FP16)」で512×512ドットの画像を出力するテストを行なっています。

1枚あたりの平均出力時間は18.99秒。デスクトップPC向けのGeForce RTX50シリーズでは1枚あたり2秒から数秒程度で出力できることを考えるとやや非力な気もしますが、内蔵GPUだけでこれほど動くのあれば健闘していると思います。

 

画像生成テストのスコア

検証機 Procyon AI Image Generation Stable Diffusion 1.5(FP16)
GMKtec EVO-T1
329
GEEKOM A9 Max
292

※スコアは当サイト計測値

画像1枚あたりの平均出力時間

検証機 Procyon AI Image Generation Stable Diffusion 1.5(FP16)
GMKtec EVO-T1
18.99秒/枚
GEEKOM A9 Max
21.37秒/枚

※スコアは当サイト計測値

 

より大きな1024×1024ドットの画像を生成する「Stable Diffusion XL(FP16)」のテストでは、1枚あたりの画像出力時間が約106秒と、だいぶ時間がかかっています。メモリーの一部を専用GPUメモリーに割り当てても、違いはありませんでした。大きな画像の出力については弱いものの、OCulinkやUSB4経由でeGPUを利用すれば、性能は大きく伸びるでしょう。

 

画像生成性能の比較

検証機 Procyon AI Image Generation Stable Diffusion XL (FP16)
GMKtec EVO-T1 64GB
354
GMKtec EVO-T1 64GB(VRAM32GB)
354
GEEKOM A9 Max 32GB(VRAM16GB)
294

※スコアは当サイト計測値

画像1枚あたりの平均出力時間

検証機 Procyon AI Image Generation Stable Diffusion XL (FP16)
GMKtec EVO-T1 64GB
105.91秒/枚
GMKtec EVO-T1 64GB(VRAM32GB)
105.72秒/枚
GEEKOM A9 Max 32GB(VRAM16GB)
21.21秒/枚

※スコアは当サイト計測値

ゲーム性能

※テストは電源モード「Balance」で行なっています

FF14ベンチ

FF14ベンチマークでは、ミニPCとしては非常に優秀なスコアを記録しました。標準画質で「平均ほぼ60 fps」は、内蔵グラフィックスにおけるひとつの「壁」を超えたと評していいでしょう。快適に遊べるかについては少々微妙なところもありますが、長年ベンチマークテストを行なってきたPCマニアとしては感慨深い結果です。

GMKtec EVO-T1

 

評価とフレームレート

フルHD 最低画質 8829(快適) 平均59.43 fps
フルHD 最高画質 4755(普通) 平均33.93 fps

 

FF14ベンチの結果

機種 FF14黄金のレガシーベンチマーク最高画質
EVO-T1(Intel Arc 140T) ※Quiet
4762
EVO-T1(Intel Arc 140T) ※Performance
4759
EVO-T1(Intel Arc 140T) ※Balance
4755
GEEKOM A9 Max(Radeon 890M)
4299
NucBox K8 Plus(Radeon 780M)
3923
NucBox K11(Radeon 780M)
3898
GEEKOM A8 Max(Radeon 780M)
3840
NucBox M7(Radeon 680M)
3190
NucBox M5 Plus(Radeon Vega)
1748

※スコアは当サイト計測値

エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(やや軽い)

GMKtec EVO-T1

フレームレート

最低画質 概ね130 fps前後。ターゲットが多少粗く表示されるのが気にならないなら十分楽しめる
中画質 100 fps前後。普通に楽しめるレベル
最高画質 数値的には60 fps前後だが、プレー中のカクつきが目立った

サイバーパンク2077(超重い)

GMKtec EVO-T1

フレームレート

フレーム生成 最低画質 ウルトラ画質 レイトレ最高画質
無効 45.91 fps 30.51 fps 5.87 fps
有効  78.79 fps 55.46 fps 12.58 fps

モンスターハンターワイルズ ベンチマーク(超重い)

GMKtec EVO-T1

フレームレート

フレーム生成 最低画質 中画質
無効 9494(28.11 fps) 7342(21.67 fps)
有効 7702(45.67 fps) 6127(36.06 fps)

※最低画質はグラフィックスがとてもガビガビなのでおすすめしません。中画質から徐々に画質を下げるといいでしょう

マインクラフト 統合版(軽い)

GMKtec EVO-T1

フレームレート

標準画質
(フルスクリーン、チャンク50)
フラットな地形では平均50~60fps程度。モブや構造物が増えると30fpsまで落ちる。スムーズでなくてもいいなら、なんとか遊べるレベル
ハイブランドビジュアルズ
(フルスクリーン、チャンク16)
フラットな地形では平均45fpsあたりまでいくものの、概ね30fps前後。動きはスムーズではないが、気にならないなら遊べるかも。高所から遠くのチャンクを読み込み際に30fpsを割ることもある

熱と騒音について

※環境が変わると、結果が異なる場合があります

CPU温度はだいぶ高い

高負荷時におけるCPUの温度と消費電力のモニタリングデータは、以下のグラフのとおり。CPU温度は全体的に高めで、「Balance」時では平均84.8度、「Performance」時では平均98.7度、最大ではどちらも102度と出ています。「Quiet」時では平均79.3度 / 最大94度とやや抑えられていますが、それでもほかのミニPC(Ryzen系)の省電力設定と比べると温度は高めです。

センサーを確認すると、「Balance」時と「Performance」時でサーマルスロットリング(熱による性能低下)が発生していました。このあたりはインテルCPUの性質でもあり、ある程度は仕方がありません。極力風とおしのいい場所に設置して、内部に熱がこもらないよう心がけてください。

 

Core Ultra 9 285Hの概要

コア数 16コア(Pコア✕6+Eコア8+LP Eコア✕2)
最大クロック 5.4GHz(Pコア:5.4GHz, Eコア:4.5GHz, LP Eコア:2.5GHz)
消費電力 PBP:45W, MTP:115W

 

GMKtec EVO-T1

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力、コアクロックの推移(パフォーマンス設定「Balance」時)

GMKtec EVO-T1

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力、コアクロックの推移(パフォーマンス設定「Performance」時)

GMKtec EVO-T1

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力、コアクロックの推移(パフォーマンス設定「Quiet」時)

モード別の平均値 / 最大値

Balance
(PL1:54W/PL2:54W)
Performance
(PL1:70W/PL2:80W)
Silent
(PL1:45W/PL2:45W)
CPU温度 84.8度 / 102度 98.7度 / 102度 79.3度 / 94度
CPU消費電力 53.4W / 54.2W 70.1W / 77W 44.7W / 45.2W

筐体温度は低い

高負荷時においても、本体の熱はほとんど感じられませんでした。ただし底面部の排気口からの温風で、背面がほんのり温まります。電源アダプターは少し温かい程度です。

GMKtec EVO-T1

高負荷時における筐体の表面温度と、排気口付近の温度

GMKtec EVO-T1

電源アダプターの表面温度

 

騒音はほどほど

騒音(空冷ファンのモーター音や排気口からの風切り音)は控えめですが、電源モードを「Performance」に設定するとけっこう大きく聞こえます。気になるようなら、置き場所を調整するといいでしょう。

 

駆動音の計測結果

Windows Update 軽作業中 高負荷時
電源オフ時 31.7dB
Balance 39dB(排気音がしっかり聞こえるが、うるさくはない) 37~43dB(排気音がやや大きく聞こえることがときおりある 44dB(排気音は少し大きいが耳障りな音ではないので、普通にガマンできるレベル。静かな場所では気になるかも
Performance 44dB(排気音が少し大きいが、短時間で静まる) 38~45dB(排気音がやや大きく聞こえることがときおりある ) 47dB(排気音がだいぶ大きく聞こえる。USB扇風機くらい
Quiet 35.2dB(ファンのモーター音がわずかに聞こえる程度) 35.5dB(ファンのモーター音がわずかに聞こえる程度。体感的には無音に近い) 36.3dB(モーター音と排気音がわずかに聞こえる。体感的にはとても静か)
(参考)エアコンの最大出力 48~58dB前後

考察とまとめ

ACEMAGIC S3A

拡張性とグラフィックス性能の高さがポイント

GMKtec EVO-T1は、一般的なミニPCとは一線を画す拡張性を備えたユニークなモデルです。競合製品で広く採用されているAMDのRyzenシリーズではなく、インテルのCore Ultra 9 285Hを選んだ理由は、スペックやベンチマーク結果から感じ取ることができます。

最大のポイントは、CPUが提供するPCIeレーンの豊富さ(28レーン)にあるでしょう。これにより、3基のNVMe SSDスロットとeGPU接続用のOculinkポートという、高い拡張性を実現しています。ストレージやグラフィックス性能の将来的な強化を重視するユーザーのニーズに応えつつ、実用性とコストの両面でバランスの取れた構成です。

CPU性能はノートPC向けながら非常に高く、内蔵グラフィックスのIntel Arc 140Tもベンチマークテストでは良好な結果を示しました。ソフトウェアの互換性や安定性の面でインテル製CPUに信頼を置くユーザーにとっても安心感があります。

その一方で、高負荷時のCPU温度が高い点については、インテル製CPUでは仕方がないとは言え残念です。また筐体サイズもミニPCとしては大きく、設置に場所取ったり、見た目の面でそれなりの存在感があったりします。一般的なミニPCとは少し毛色が異なりますが、その尖ったコンセプト二共感できるのであれば、非常に面白い製品だと思います。

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記事を書いた人
こまめ

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