最新モデル発売中!
この記事で取り上げているHP ENVY 13-ad100・000は旧モデルで、現在は最新モデルのHP ENVY 13-ah0000が発売されています。詳しくは以下のリンクからレビュー記事をご覧ください。
HP ENVY 13-ah0000レビュー
日本HPのHP Envy 13(エンビィ13)は、13.3型で解像度1920×1080ドットの液晶ディスプレイを搭載したノートパソコンです。最大の魅力は税込み価格が9万円台後半からとお手頃でありながら、高品質な本体デザインを採用している点。MacBook Air 13インチモデルよりも薄くて軽く、ボディの素材にアルミとマグネシウムを使うことで高い質感を実現しています。
特に注目したいのが、高性能なパーツを搭載した上位モデルです。CPUはCore i5-7200Uでメモリー容量は8GBとハイエンド向けとしては標準的ですが、ストレージには512GBの大容量SSDを採用しています。上位モデルの価格は税込み12万円前後なのですが、この値段で512GB SSD搭載はほかのモデルではあり得ません。
■HP Envy 13のポイント
ここがイイ! | ここが残念 |
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今回はメーカーからお借りしたHP Envy 13(HP ENVY 13-ad000)について、デザインや使い勝手、実際の性能などをレビューをします。
この記事の目次
HP ENVY 13-ad000
税込9万円代後半(Core i3)
税込12万円前後(Core i5)
軽量スリム&質感が高い
高級感あふれる本体デザイン
HP Envy 13の本体カラーはシルクゴールドのみ。ゴールドと言ってもキンキラキン☆ではなく、華やかでありながらも落ち着いた雰囲気です。ボディの素材には質感と剛性(ねじれに対する強さ)に優れるアルミニウムとマグネシウム合金が使われています。
ヒンジ部分は鏡面仕上げで、タッチパッドのフチはダイヤモンドカット加工。この部分のきらめきが、デザインのアクセントとなっています。
スリムでコンパクトな13.3型
HP Envy 13は、本体サイズがコンパクトです。A4用紙をひと回り大きくした程度で、標準的なバッグにはすんなり収まります。高さは16mmでスリムな点も魅力。
重量は1.24kg
カタログ上の公称値では、HP Envy 13の重さは約1.24kgとされています。実際の重さを測ってみたところ、本体のみで1.219kg、電源アダプター込みで1.5kgという結果でした。特別軽いわけではありませんが、気軽に持ち運べる範囲内です。
MacBook Airよりも軽くてスリム
HP Envy 13は、AppleのMacBook Air 13インチモデルよりも薄くて軽量です。それぞれ実物を並べて比べてみましたが、HP Envy 13のデザインもなかなかのもの。詳しくは関連記事をご覧ください。
発色がよく高精細な液晶ディスプレイ
13.3型でフルHD
HP Envy 13の液晶ディスプレイは13.3型で、解像度は1920×1080ドット。最近はより解像度の高いモデルもありますが、13.3型ではフルHDがもっとも標準的です。写真は精細に表示されるほか、1画面あたりの情報量も多く、さまざまな作業に向いています。
発色と視野角に優れるIPSパネル
液晶ディスプレイには、自然な発色と高いコントラストが特徴のIPSパネルが使われています。映像の色合いは鮮やかで、違和感を感じません。
液晶ディスプレイの表面は、光沢ありのグレアタイプです。光の映り込みはありますが、気になる場合は角度を変えて調整してください。
キーボードの完成度はもう少し
テンキーはなし
HP Envy 13のキーボードは、テンキーなしの89キー構成です。キーピッチ(キーとキーの間隔)は18.6mm。理想とされる19mmよりもわずかに狭く、実際に入力してみるとわずかに窮屈さを感じました。
キー配列がやや特殊
英数字キーについては標準的な配列で、違和感なく利用できます。しかしキーボード右端に立てに並んだ特殊キーがクセモノ。使い始めのうちはHomeキーとBack Spaceキーを押し間違える場面がたびたびありました。慣れれば普通に使えるようになるかもしれません。
バックライトを使わないとキーが見えづらい
キーボードはバックライト付きです。普通は暗い場所で利用する際に点灯するのですが、HP Envy 13はキートップの文字が薄いので、常時点けておいたほうがいいかもしれません。
タッチタイピングをマスターしていれば問題はありませんが、キーボードを見ながら打つ人にとっては若干使いづらく感じるでしょう。せめてキーとキーフレームが別の色になっていれば、個々のキーを判別しやすくなるのですが。
タイプ感が軽い
キーストロークは公称値で約1.8mmとされています。実際に使ってみましたが、キー入力時のクリック感がとても軽く、手応えを感じられません。そのせいもあって、ストロークが1.8mmあるようには感じませんでした。またキーを強く押すと、ややたわみが生じます。
端子類は十分な構成
USB 4ポート搭載
インターフェースとしてはUSB3.1 Type-A×2(Gen1)、USB3.1 Type-C×2(Gen1)、microSD/SDHC/SDXC、ヘッドホン出力などが用意されています。13.3型でありながら、4つのUSB端子を利用できるのはなかなか貴重です。ただしUSB3.1と言っても高速なGen2ではなく、USB3.0と同じGen1である点に注意してください。
BANG & OLUFSENのクアッドスピーカー搭載
スピーカーはキーボード上部にふたつ、底面部にふたつ、合計4つ配置されています。スピーカーの数が多いだけあって、サウンドの迫力はなかなかのもの。低音部はそれほどではありませんが、特に中音部のノビがいいように感じました。
音質については好みがわかれますが、動画の再生程度なら十分楽しめます。個人的には音楽用には少々物足りなく、外付けスピーカーを利用したいところです。
バッテリーは実働14時間
カタログ上の公称値では、バッテリー駆動時間は約14時間とされています。そこで実際の駆動時間を調べるために以下の条件でテストを行なったところ、開始から14時間4分でバッテリー切れとなりました。ほぼ公称値どおりの結果です。
バッテリー駆動時間計測時のテスト条件
- Windows 10の電源プランを「省電力」に
- 液晶ディスプレイの明るさを40%に設定
- 輝度(明るさ)の自動調節機能はオフ
- 無線LANとBluetoothはオン
- ボリュームは50%に調整
- 「BBench」で10秒ごとのキー入力と60秒ごとのWebアクセスを有効化
- 満充電の状態からテストを行ない、休止状態へ移行するまでの時間を計測
ただしこのテストは、バッテリーの消費量がかなり控えめです。実際に作業しながらだと、駆動時間はもっと短くなるでしょう。おそらく8時間程度でしょうか。それでも十分なバッテリー性能だと言えます。
Surface Laptopよりも高性能
HP Envy 13のスペック
続いては、HP Envy 13のパフォーマンスについて。今回試用したのはCore i5+8GBメモリー+512GB SSD搭載のスタンダードモデルです。HP Envy 13には2種類のモデルが用意されており、それぞれのスペックは以下の表のとおり。下位モデルでは今回のテストよりも低い結果となる点に注意してください。
■HP Envy 13のスペック
ベーシックモデル | スタンダード | |
OS | Windows 10 Home / Pro 64ビット | |
CPU | Core i3-7100U(2.40GHz) | Core i5-7200U(2.50GHz) |
グラフィックス | Intel HD Graphics 610(CPU内蔵) | |
メモリー | 4GB ※オンボード | 8GB ※オンボード |
ストレージ | 256GB SSD | 512GB SSD |
光学ドライブ | なし | |
ディスプレイ | 13.3型、1920×1080ドット、光沢、タッチ非対応 | |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth v4.2 | |
カメラ | 有効画素数92万画素 | |
インターフェース | USB3.1(Type-A、Gen1)×2、USB3.1(Type-C、Gen1)×2、USB2.0×2、、microSD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 | |
バッテリー | 約14時間 | |
サイズ/重量 | 幅305×奥行き215×高さ14~16mm/1.24kg |
なおHP Envy 13には、Core i7搭載モデルは用意されていません(2017年9月時点)。Core i5とCore i7で性能が大きく変わるわけではないのですが、少しでも高性能なほうが快適に使えるのでちょっと残念です。
今回は参考までに、Surface Laptopの結果もまとめました。HP Envy 13とはSSDの容量が256GBである点が異なりますが、CPUの種類やメモリー容量は同じです。
Windows 10の快適さ
Windowsエクスペリエンスインデックス(システム評価ツールの結果) | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
プロセッサ | 7.6 | 7.6 |
メモリ | 8.2 | 7.9 |
グラフィックス | 6.6 | 6.7 |
プライマリハードディスク | 9 | 6.75 |
Windows 10利用時の快適さを診断する「Windowsエクスペリエンスインデックス(システム評価ツールの結果)」では、上記の結果となりました。CPUやグラフィックスの性能についてはあまり変わりませんが、メモリーとストレージでけっこう差がついています。体感できるほどではありませんが、Surface Laptopよりもスコアがいい点は評価したいところです。
CPUの性能
CPUの計算性能を計測する「CINEBENCH R15」では、マルチコア性能を表わす「CPU」で「293cb」という結果でした。同じCPUを搭載するSurface Laptopに比べて13%程度スコアが低めです。
CINEBENCH R15ベンチマーク結果 | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
CPU | 293cb | 332cb |
CPU(シングルコア) | 128cb | 128cb |
日本HPのノートパソコンでは、本体を薄型にする代わりに性能を若干抑えているような傾向が見られます。おそらく内部の熱が上がりすぎないようにするためでしょう。HP Envy 13でもCore i5-7200U本来の性能を出し切れていないように見えます。
ただし性能が変わるのは、マルチコア(マルチスレッド)を利用する場面でのこと。シングルコアのスコアは同じですので、一般的な処理ではそれほどの違いが出るわけではありません。
■(参考)CPUの性能差
名称 | 開発コード | コア数 | CINEBENCH R15スコア(平均値) |
---|---|---|---|
Core i7-7500U | Kaby Lake | 2/4 |
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Core i5-7200U | Kaby Lake | 2/4 |
|
Core i3-7100U | Kaby Lake | 2/4 |
|
Celeron 3865U | Kaby Lake | 2/2 |
|
SSDのアクセス速度
SSDのアクセス速度を計測したところ、HP Envy 13では非常に優れた結果が出ました。ただし出荷タイミングによっては異なるSSDが使われている可能性があります。
CrystalDiskMarkベンチマーク結果 | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
Seq Q32T1リード | 1800MB/秒 | 653.5MB/秒 |
Seq Q32T1ライト | 1054MB/秒 | 239.8MB/秒 |
Surface LaptopでもPCIe接続のSSDが使われているのですが、アクセス速度はグッと落ちています。ちょっとした作業では違いを体感できないかもしれませんが、たとえば大容量ファイルを頻繁に読み書きするような場面ではHP Envy 13のほうが有利です。
パソコンとしての総合性能
総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 8」および「PCMark 10」の結果は、以下の表のとおりです。Core i7よりもワンランク下のCore i5でありながら、非常に優れた結果が出ています。3Dゲームや動画のエンコードなどCPU非常に高い負荷がかかる処理でない限り、快適に利用できるでしょう。
注目したいのは、多くのテストでSurface Laptopよりも優れた結果が出ている点です。CPU性能のテストでは劣りますが、総合的な性能ではHP Envy 13のほうが上回っています。ただしSurface LaptopのCore i7モデルでは、より高い結果が出るかもしれません。
PCMark 8 Home acceleratedの結果 | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
総合スコア | 3702 | 3511 |
Web Browsing – JunglePin | 0.342 s | 0.353 s |
Web Browsing – Amazonia | 0.144 s | 0.145 s |
Writing | 3.66 s | 5.08 s |
Photo Editing v2 | 0.174 s | 0.180 s |
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2 | 30.0 fps | 30.0 fps |
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2 | 46.0 ms | 46.3 ms |
Casual Gaming | 33.5 fps | 36.5 fps |
PCMark 8 Home acceleratedの結果 | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
総合スコア | 4551 | 4410 |
Web Browsing – JunglePin | 0.341 s | 0.351 s |
Web Browsing – Amazonia | 0.144 s | 0.145 s |
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2 | 30.0 fps | 30.0 fps |
Video Chat v2 / Video Chat playback 2 v2 | 30.0 fps | 30.0 fps |
Video Chat v2 / Video Chat playback 3 v2 | 30.0 fps | 30.0 fps |
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2 | 52.0 ms | 51.0 ms |
Photo Editing v2 | 0.175 s | 0.182 s |
Batch Photo Editing v2 | 14.7 s | 15.1 s |
Video Editing part 1 v2 | 9.9 s | 11.1 s |
Video Editing part 2 v2 | 16.6 s | 17.7 s |
Mainstream Gaming part 1 | 10.1 FPS | 10.0 FPS |
Mainstream Gaming part 2 | 5.2 FPS | 5.1 FPS |
Video To Go part 1 | 6.1 s | 6.8 s |
Video To Go part 2 | 8.9 s | 9.4 s |
Music To Go | 17.02 s | 17.60 s |
PCMark 10 Extendedの結果 | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
総合スコア | 2271 | 2176 |
Essentials | 7389 | 6653 |
– APP Start-up Score | 9546 | 7591 |
– Video Conferencing Score | 6699 | 6699 |
– Web Browsing Score | 6309 | 5791 |
Productivity | 5955 | 5431 |
– Spreadsheets Score | 6535 | 6271 |
– Writing Score | 5428 | 4705 |
Digital Content Creation | 2221 | 2245 |
– Photo Editing Score | 2673 | 2641 |
– Rendering and Visualization Score | 1354 | 1443 |
– Video Editing Score | 3028 | 2971 |
Gaming | 736 | 748 |
– Graphics Score | 962 | 970 |
– Physics Score | 5021 | 5001 |
– Combined Score | 310 | 322 |
3Dグラフィックス性能
3Dパフォーマンス計測する「3DMark」の結果は、以下の表のとおりです。軽めのゲームであれば画質や解像度を調整することである程度プレーできますが、重量級の3Dゲームは厳しいでしょう。
■3DMarkベンチマーク結果
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
Fire Strike | 921 | 905 |
Sky Diver | 3946 | 3458 |
Cloud Gate | 6147 | 5617 |
Ice Storm | 56447 | 49303 |
ドラクエ10ベンチ
「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」の快適さを計測する「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」では、標準画質であれば快適に遊べるという評価が出ています。Surface Laptopと大きな差がついているのはちょっと意外でした。
ドラクエ10ベンチの結果 | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
1280×720ドット、標準品質 | 9079(とても快適) | 8101(とても快適) |
1920×1080ドット、標準品質 | 5042(快適) | 4886(普通) |
FF14ベンチ
「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマークでは、一見遊べそうな評価が出ています。ただし理想とされる60FPSには遠く及びません。画面のカクつきがかなり目立つはずですので、プレーは考えないほうが無難です。
FF14ベンチ(1280×720ドット、標準品質)の結果 | ||
HP Envy 13 | Surface Laptop | |
---|---|---|
FF14 蒼天のイシュガルド(DirectX 9) | 2775(やや快適)※平均21.8 FPS | 2420(普通)※平均18.6 FPS |
FF14 紅蓮のリベレーター(DirectX 11) | 2031(普通)※平均12.9 FPS | 1708(設定変更を推奨)※平均10.7 FPS |
本体の発熱について
ベンチマーク中の内部の温度を計測したところ、CPU温度は最大で83度でした(内蔵グラフィックス機能では最大86度)。CPUの限界温度(100度)まで若干の余裕がありますが、温度は高めです。
高コスパなモバイルノートPCとして狙い目
ということで、今回は日本HPの13.3型ノートパソコン「HP Envy 13」のレビューをお届けしました。MacBookよりも軽量コンパクトで薄く、Surface Laptopよりも高性能で、なおかつMacBookやSurfaceよりも安いとなれば、心動かされる人は多いのではないでしょうか。
一般的には性能面は十分なのですが、ちょっと物足りなさを感じる人がいるかもしれません。Core i7や16GBメモリー、より高性能なグラフィックス機能を求めるなら、MacBookやSurfaceシリーズをおすすめします。そこまでの性能を求めないなら、HP Envy 13は十分検討する価値があります。
なおHP Envy 13は、日本HPの直販サイトで販売されています。支払い方法や納期などについては、公式サイトの販売ページでご確認ください。