日本HPのOMEN X by HP Desktop 900は、高いパフォーマンスと独特の本体デザインが特徴のゲーミングPCです。CPUは10コア/20スレッドのCore i9-7900X対応でメモリーは標準で64GB、ストレージは512GB SSD+3TB HDD。GPU(専用グラフィックス)にはGeForce GTX 1080 Tiを使うなど、最高クラスのスペックを実現しています。
OMEN X by HP Desktop 900のポイント
今回はメーカーからお借りした実機を使って、OMEN X by HP Desktop 900のベンチマーク結果や本体デザインなどをレビューします。
この記事の目次
OMEN X by HP Desktop 900
税込み42万円台から
OMEN X by HP Desktop 900のスペック
OMEN X by HP Desktop 900には、CPUとGPUの異なるふたつのモデルが用意されています。ハイパフォーマンスモデルはCPUがKaby Lake-XのCore i7-7740XでGPUがGeForce GTX 1080 Tiの構成、上位のエクストリームモデルはCPUがSkylake-XのCore i9-7900XでGPUがGeForce GTX 1080 Ti×2(SLI)の構成です。
OS | ハイパフォーマンスモデル(900-270jp) | エクストリームモデル(900-290jp) |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home | |
CPU | Core i7-7740X(4コア) | Core i9-7900X(10コア) |
メモリー | 64GB | |
ストレージ | 512 SSD(Samusung PM961 PCIe NVMe)+ 3TB HDD | |
グラフィックス | GeForce GTX 1080 Ti(11GB) | GeForce GTX 1080 Ti(11GB) SLI |
光学ドライブ | なし | |
通信機能 | 1000BASE-T対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2 | |
インターフェース | USB3.0(フルサイズ)×8(天面×2+背面×6)、USB3.1 Gen1(フルサイズ)×1(背面)、USB3.0(Type-C)×3(天面×2+背面×1)、HDMI、DVI、DisplayPort×3、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、SPDIFデジタル出力、ヘッドホン出力、オーディオ端子類 | |
拡張スロット | PCI Express x16×2、M.2×2 | |
ドライブベイ | 3.5/2.5インチ兼用×4 | |
電源 | 1300W(80PLUS GOLD) | |
サイズ/重量 | 幅504×奥行き406×高さ515mm/約25kg |
※2018年3月6日時点。構成や価格は変更される場合があります
3DMarkベンチマーク結果
今回のテストでは、OMEN X by HP Desktop 900のエクストリームモデルを試用しています。
試用機の主なスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-7900X(10コア) |
メモリー | 64GB |
ストレージ | 512GB SSD + 2TB HDD |
グラフィックス | GeForce GTX 1080 Ti×2(2-way SLI) |
3D性能を計測する「3DMark」では、非常に優れた結果が出ています。ただしGeForce GTX 1080 Tiの1枚挿しとスコアが変わりません。システム側ではSLIで認識されているので、なんらかの影響でスコアが伸びていないものと思われます。
Time Spy(DX12) | 8,713 |
---|---|
Fire Strike(DX11,FHD) | 20,855 |
Fire Strike Extreme(DX11,WQHD) | 12,556 |
Fire Strike Ultra(DX11,4K) | 6,670 |
Sky Diver(DX10) | 527,11 |
Cloud Gate(DX10) | 49,631 |
Ice Storm(DX9) | 185,196 |
VR性能を計測するVRMarkでも優れた結果が出ていますが、やはりGeForce GTX 1080 Ti 2-way SLIの効果は表われていません。
人気ゲームのベンチマーク結果
国内外で人気のゲームのベンチマーク結果は以下のとおりです。
ベンチマーク結果(画質を最高品質に設定)
FF15ベンチ (DX11) | |||
---|---|---|---|
4K | WQHD | フルHD | |
4055(普通) | - | 9034(とても快適) | |
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) | |||
4K | WQHD | フルHD | |
12187(非常に快適)※84.676 FPS | 14945(非常に快適)※112.984 FPS | 16449(非常に快適)※129.952 FPS | |
ドラゴンクエストX | |||
4K | WQHD | フルHD | |
19988(すごく快適) | - | 20837(すごく快適) | |
Assassin’s Creed Origins (DX11) | |||
4K | WQHD | フルHD | |
47 FPS | 70 FPS | 79 FPS | |
Ghost Recon Wildlands (DX11) | |||
4K | WQHD | フルHD | |
51.41 FPS | 77.39 FPS | 75.13 FPS | |
Rise of the Tomb Raider(DX12) | |||
4K | WQHD | フルHD | |
108.71 FPS | 142.25 FPS | 146.43 FPS | |
Hitman (DX12) | |||
4K | WQHD | フルHD | |
71.7 FPS | 95.33 FPS | 98.8 FPS | |
F1 2017 (DX11) | |||
4K | WQHD | フルHD | |
79 FPS | 129 FPS | 157 FPS |
上記ベンチマーク結果を見ると、FF14とRise of the Tomb Raiderの4Kだけスコアが妙に優れていることがわかります。ほかのタイトルでは、どうもSLIが有効になっていないようです。
そこでFF15ベンチとFF14ベンチを使って、SLIの有効/無効でベンチマーク結果がどれくらい変わるのか検証しました。
SLI有効/無効時のベンチマーク結果
SLI | 有効 | 無効 | ||
---|---|---|---|---|
解像度 | 4K | フルHD | 4K | フルHD |
FF15ベンチ | 4055 | 9034 | 4142 | 9066 |
FF14ベンチ | 12187 | 16449 | 7818 | 14844 |
FF14ではSLIの効果と見られる結果が出ていますが、FF15ではSLIの効果は見られません。またFF14の4K解像度ではスコアが56%アップしていますが、フルHDでは11%程度です。
以上の結果から考えられるのは、そもそもソフトがSLI非対応であるという点と、負荷の高さに応じてシステムが自動的にSLIを無効にしてしまう(あるいは効果を低くする)可能性があるという点です。
検証にあたってはNVIDIAコントロールパネルでパフォーマンスが最大化されるように調整しているのですが、もしかするとなんらかのチューニングが行なわれているのかもしれません(試用機は多くの人によって検証されているので、標準の状態ではない可能性があります)。また試用機だけの固有の症状で、ほかの機体では問題なくSLIが動作する可能性もあります。
いずれにしてもSLIを使いこなすには、ある程度の知識が必要となります。そのあたりを理解している人であれば、パフォーマンスを最大限に活かしきれるでしょう。
そのほかのベンチマーク結果
(参考)ほかのCPUとの違い
CPU | CINEBENCH R15 CPUスコア(実測値) |
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Core i9-7980XE |
|
Core i9-7900X |
|
Core i7-8700K |
|
Core i7-7700K |
|
Core i7-7700 |
|
動画変換にかかった時間
x264 | NVENC |
---|---|
5分34秒 | 4分48秒 |
※5分間の4K映像(XAVC-S、3.51GB)をYouTube向けの1080p(1920✕1080ドット)映像に変換するのにかかった時間
消費電力と駆動音、CPU温度について
消費電力は非常に大きい
消費電力はかなり大きく、特に低負荷時のワットパフォーマンスは非常に低い結果です。とは言うものの、高いパフォーマンスを発揮するにはより多くの電力が必要ですので、この結果は仕方がないでしょう。
1分間の平均消費電力
構成 | 待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|---|
OMEN X by HP Desktop 900 エクストリームモデル | 196.8W | 204W | 219W | 507.6W |
(参考)Core i9-7980XE+GTX 1080 Ti | 65W | ※未計測 | 216W | 400W |
(参考)Core i7-7700+GTX 1060 | 48.6W | 51.6W | 124.2W | 133.2W |
※消費電力の計測方法はコチラ
ゲーム中は駆動音が大きい
駆動音(ファンの回転音や通気口からの排気音など)の計測結果は以下のとおり。負荷の高いゲームでは音が大きくなるため、ヘッドセットの着用をおすすめします。
駆動音の計測結果
電源オフ時 | 36.8dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 42.2dBA | ファンの低い回転音が聞こえる |
動画視聴 | 40.9dBA | 同上 |
動画変換 | 48.9dBA | 回転音がはっきり聞こえるが、うるさく感じるほどではない |
3Dゲーム | 50.8dBA | 排気音と回転音がけっこう大きい |
※駆動音の計測方法はコチラ
高負荷時のCPU温度は高い
テスト/ベンチマーク中のCPU温度は最大で82度でした。高い負荷がかかる動画エンコードや重量級のゲームでは、CPUがかなり高温になるようです。
CPUの最高温度
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
46℃ | 54℃ | 82℃ | 69℃ |
※本体温度の計測方法はコチラ
本体の外観と内部
本体がとても大きい
OMEN X by HP Desktop 900はキューブ型のPCケースを斜め45度に傾けた独特のデザインを採用しています。この傾きによって冷却のための吸排気が効果的に行なわれるとともに、メンテナンスが容易になる点が大きなメリットです。ただし両サイドにデットスペースが生じるぶん、大きな設置スペースが必要となる点に注意してください。
メンテナンスが簡単!
OMEN X by HP Desktop 900の本体は単に大きいだけでなく、メンテナンスしやすいようにデザインされています。各パーツが取り外しやすい上にマザーボードが斜めに設置されているので全体を見渡しやすく、これだけ大きくてもパーツの交換は簡単です。
性能とメンテナンス性に優れるゲーミングPC
ということで、今回は日本HPのハイエンドゲーミングPC「OMEN X by HP Desktop 900」のレビューをお届けしました。
検証ではSLIの挙動に不振な点がありましたが、短い貸出期間では原因を究明できなかったためSLIについての評価は保留とします。
しかし基本性能は非常に高く、国内外の人気ゲームを快適に楽しめる高いパフォーマンスを発揮できることは間違いありません。またメンテナンス性が高く、パーツ交換による将来的なアップグレードも簡単に行なえるでしょう。ハイエンド志向のゲーマーにおすすめのモデルです。
OMEN X by HP Desktop 900のまとめ
- 重量級ゲームも楽しめる高い性能
- メンテナンスしやすい
- 本体がデカイ
OMEN X by HP Desktop 900
税込み42万円台から
※記事中の価格や構成は、記事執筆時のものです。予告なく変更される場合もございますので、あらかじめご了承ください。