HPの『HP 14s-fq』は、14インチサイズの据え置き用ノートPCです。CPUはモバイルRyzen 5000シリーズまたはAMD 3020eで、上位モデルなら普段の作業を快適にこなせます。本体はそこそこ軽量&コンパクトで、扱いやすい点がポイント。
位置付け的にはエントリー(入門)向けのため、本体品質はややチープです。とは言えこだわらないなら、普通に使えるでしょう。通常価格はけっこう割高なので、公式サイトや楽天直営ショップでセール販売されているときに狙ってください。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
HP 14s-fq
スペック
OS | Windows 11 Sモード / Home |
---|---|
ディスプレイ | 14インチ 1920×1080 IPS 光沢 タッチ非対応 |
CPU | AMD 3020e / Ryzen 3 5300U / Ryzen 5 5625U |
メモリー | 4GB(4GB×1) / 8GB(4GB×2) |
ストレージ | 128 / 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
通信 | 11ac+Bluetooth 5.0 / Wi-Fi 6+Bluetooth5.2 |
インターフェース | USB Type-C×1(データ通信のみ)、USB Type-A×2、HDMI、SDカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅324mm、奥行き225mm、高さ17.9~21mm / 約1.33kg |
バッテリー | 最大 8時間30分(3020e) / 最大 9時間30分(Ryzen) |
本体デザイン
HP 14s-fqは、エントリー(入門向け)クラスのノートPCです。と言っても「使い方がわかりやすい」わけではなく、どちらかと言えば「あまりお金をかけたくない人向け」。価格を抑えた作りで、全体的にチープ感があります。
サイズと重量
一般的な15.6インチタイプよりも本体はコンパクトですが、特別小さいというほどではありません。ただ重さは1.33kgと、エントリークラスとしては軽量です。とは言えこれは強度の低い樹脂素材を使っているため。持ち歩ける重さですが、衝撃や圧力にはあまり強くないはずなので注意してください。
ディスプレイについて
ディスプレイは良くも悪くも普通です。画面サイズは14インチで、解像度は1920×1080ドット。最近はアスペクト比(画面比率)16:10のディスプレイが増えてきており、従来の16:9はかなり横長に感じます。映像品質もほどほどですが、普通に使うぶんには問題ないでしょう。
キーボードについて
キーボードは、ややクセがあります。慣れれば問題なく使えるはずですが、慣れるまでにちょっと時間がかかるかもしれません。タイプ感は軽めで、入力時には指がやや揺れるような印象を受けました。とは言え、この価格帯のノートPCとしては標準的な仕上がりです。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 5500U |
---|---|
メモリー | 8GB(4GB×2、DDR4-3200) |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUは、AMD 3020eまたはRyzen 3 5300U / Ryzen 5 5625Uです。ただし今回はひと世代前のRyzen 5 5500U搭載モデルを試用しています。Ryzen 5 5625Uではより高い性能を期待できるでしょう。
CPU性能を計測するテストでは、同じCPUの平均値を上回る結果が出ました。おそらくこれは、メモリーがデュアルチャネルで動作しているため。たまに8GB×1でシングルチャネルの機種もありますが、そんな構成の機種よりは高いパフォーマンスを期待できます。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark 10 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 6800U |
22327
|
Ryzen 7 5825U |
20302
|
Core i7-1260P |
20058
|
Ryzen 5 5625U |
18897
|
Core i5-1240P |
18571
|
Core i7-1255U |
17176
|
Core i5-1235U |
14919
|
HP 14s(Ryzen 5 5500U) |
14257
|
Ryzen 5 5500U |
12362
|
Core i7-1165G7 |
11723
|
Core i5-1135G7 |
11249
|
Core i3-1215U |
10818
|
Ryzen 3 5300U |
9527
|
Core i3-1115G4 |
6750
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Ryzen 3 5300Uについては性能は低いものの、軽めの作業であれば問題なく使えるでしょう。AMD 3020e搭載モデルはCPU性能がさらに低く、メモリーも4GBしかないためおすすめできません。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。最近の内蔵タイプとしては性能は低め。ゲームやグラフィックスソフトでの効果は、あまり期待できません。あくまでも、文字や数値中心の作業用と考えてください。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Ryzen7) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
1302
|
HP 14s(Radeon) |
1015
|
Radeon |
1000
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
試用機ではなぜかOpenGLがうまく動作しなかったため、コンテンツ制作のテストを実施できませんでした。そのほかの一般用途 / ビジネス用途のテストでは、そこそこ優秀な結果が出ています。Ryzen 5モデルであれば、普通に使える性能です。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
8800
9477
10606
10594
10647
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7397
6534
8578
9536
6968
6759 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
※計測不能
5363
7972
6685
5997
6342 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Yoga 770 | Ryzen 7 6800U / 16GB / Radeon 680M |
▶HP Pavilion 15-eh | Ryzen 7 5825U / 16GB / Radeon |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間はRyzen 3 / 5モデルで最大9時間30分とされています。ただしこれはパフォーマンスをグッと落とした状態での計測結果で、実際の駆動時間は公称値よりも短いのが一般的です。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から11時間13分でバッテリー切れとなりました。公称値よりもだいぶ長い結果ですが、バッテリー駆動時はパフォーマンスが抑えられている可能性があるので注意してください。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Ryzen 5モデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 最大 9時間30分 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 11時間13分 |
充電率50%までの時間 | - | 50分 |
満充電になるまでの時間 | - | 2時間11分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム性能
Ryzen 5 5500U搭載モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、軽いゲームなら普通に楽しめそうな結果が出ました。ただしやや重い程度の中量級以上のタイトルになると、画質を落としても厳しそうです。AMD 3020eモデルやRyzen 3モデルでは、ゲームのプレーは考えないほうがいいでしょう。
検証結果まとめ
- ・中量級以上のタイトルはムリ
- ・超軽いゲームならOK
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
ベンチマーク結果
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 2505 / 17 FPS |
高品質 | 3459 / 23.7 FPS |
標準品質 | 4466 / 31 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
ベンチマーク結果
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 8719 / とても快適 |
標準品質 | 11286 / すごく快適 |
低品質 | 12258 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
値段しだいではアリ
Ryzen 5モデルなら、非常に高性能です。大作ゲームや高度な動画編集には向かないものの、数値や文字中心の作業であれば難なくこなせるでしょう。軽めの作業に限定するなら、Ryzen 3モデルもアリ。AMD 3020eモデルは安いものの、性能が低すぎるので避けたほうが無難だと思います。
エントリー向け、つまり「お金をかけたくない人向け」の機種だけあって、本体の仕上がりはそれなりです。しかし記事執筆時点(2023年1月)の通常価格は、かなりお高め。同じ値段でもう少し高品質なモデルを入手できます。
価格の目安としてはRyzen 3モデルで5万円台、Ryzen 5モデルで6万円台あたりで狙ってください。大きく値下げしたり、大量のポイント還元があるときが狙い目です。お買い得情報については、当サイトやTwitterで配信しています。
HP 14s-fq
*
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