レノボのIdeapad S540 (15)は、15.6インチの液晶ディスプレイを搭載したスタンダードタイプのノートPCです。
特徴は最安クラスの値段でありながら、外観面の品質と機能が異様に充実している点。最安モデルは5万円前後ですが、10万円クラスの高級モデルにも引けを取らない出来栄えです。ハッキリ言って、この値段設定はおかしい!
注目ポイント
- 色鮮やかなフルHDのIPSパネル
- 充実のセキュリティー機能
- 8秒程度の超高速起動
- 実動10時間以上のバッテリー駆動
今回は筆者が購入した実機とメーカーからお借りした実機を使って、IdeaPad S540 (15)のデザインや性能などをレビューします。
この記事の目次
※2019年8月12日時点。値段はタイミングで変わるため、最新価格は公式サイトでご確認ください
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IdeaPad S540 (15)のスペック
画面サイズ | 15.6インチ |
---|---|
解像度 | 1920×1080 |
CPU | ・Core i3-8145U ・Core i5-8265U ・Core i7-8565U |
メモリー | ・4GB ・8GB |
ストレージ | ・256GB PCIe SSD ・512GB PCIe SSD ・1TB PCIe SSD |
グラフィックス | ・UHD 620 |
幅×奥行き | 358×245mm |
厚さ | 16.9mm |
重量 | 約1.8kg |
バッテリー | 約17.3時間 |
※2019年8月12日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ミネラルグレー |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | IPSパネル |
光学ドライブ | ー |
テンキー | あり |
有線LAN | ー |
無線LAN | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 4.2 |
USB3.1 | ー |
USB3.0 | 2 |
USB2.0 | ー |
USB Type-C | USB3.0×1 ※データ通信のみ |
Thunderbolt 3 | ー |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | ー |
DisplayPort | ー |
Webカメラ | 720p (92万画素相当) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | あり |
オフィス | ※付属モデルあり |
デザインと使いやすさ
格安なのに極薄&高品質なボディ
IdeaPad S540 (15)を前にしてまず驚くのが、本体デザインの良さと質感の高さです。その完成度の高さは、10万円クラスの高級機レベル。最安5万円前後のモデルとしてはあり得ません。
5~6万円クラスの15インチノートPCでは普通、ボディの素材に樹脂 (プラスチック)が使われています。多少気合いの入ったモデルでも、キーボード面 (パームレスト)にアルミが使われている程度。これは樹脂よりも金属のほうが値段が高いためです。
しかしIdeaPad S540 (15)では、天板部分とキーボード面に質感と剛性に優れるアルミ素材が使われています。なめらかな手触りでありながら固くソリッドな手応えがあり、重厚感のあるメタリックな風合いです。
厚さは16.9mmで、15インチタイプとしては最薄クラス。並みのモバイルノートPCよりも薄いくらいです。設置面積も15インチクラスとしては非常に小さく、同価格帯の他機種と比べるとふた周り以上コンパクト。この価格でなぜこのクオリティーを実現できているのかさっぱりわかりません。
明るく色鮮やかな液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイの大きさは15.6インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHDです。5~6万円台のノートPCでは1366×768ドット (HD)の機種もありますが、フルHDのほうがデスクトップを広く使えるぶん作業効率がアップします。
また発色に優れるIPSパネルが使われている点もポイントです。安いモデルで使われているTNパネルでは青みが強く、コントラスト (色のメリハリ)も低め。しかしIdeaPad S540 (15)の映像は自然な色合いで、動画や写真を楽しむのに向いています。
ただし色の再現性については、それほど高くありません。色にこだわるプロレベルの作業には向いていませんが、個人の趣味レベルであれば問題ないでしょう。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 62.8% |
---|---|
sRGB比 | 63.5% |
Adobe RGBカバー率 | 47.1% |
Adobe RGB比 | 47.1% |
画面の明るさは、実測値で296nitでした。公式スペックには明記されていませんが、想定値としては300nitあたりだと思われます。IPSパネルとしては標準的ではあるものの、画面は非常に明るく色も鮮やかに映し出されました。
ちょっとクセのあるキーボード
キーボードは日本語配列で、数値入力に便利なテンキー付きです。キーピッチ (キーとキーの間隔)は19mmと十分なサイズですが、Enterキー周辺で一部のキーが隣接したり小さくなっている部分がありました。特に「¥」キーが非常に小さいため、プログラミングなどでこのキーを多用する人には向いていないかもしれません。
キーストロークは (キーを押し込む深さ)は平均1.3mmでした。ノートPCの標準である1.5mmより浅く、タイプした際にわずかな底打ち感を感じます。ただ入力時にプチっとした固めのクリック感があるので、キーを押した手応えはしっかり感じられました。
入力時にほんのわずかな軸のブレが感じられたものの、タイプ音はカタカタと控えめで静かです。強く叩けばそれなりに響きますが、普通につかうぶんには静音性の高いキーボードです。
端子類は必要最低限
周辺機器接続用の端子 (インターフェース)類は多くありません。特に光学ドライブと有線LANに対応していない点には注意してください。少々残念ですが、これだけの薄さと安さを考えれば仕方がないでしょう。
IdeaPad S540 (15)は安いにも関わらず、指紋センサーとWebカメラのプライバシーシャッターを標準で搭載しています。セキュリティー対策についても万全です。
スピーカーは底面部の左右に配置されています。接地面に向かって音が出るため反響によって厚みが増しているものの、わずかにこもった印象を受けました。音の広がりはよく、解像感もそこそこ高め。一般的なノートPCよりも音質面では優れています。動画視聴やビデオチャットはもちろん、BGMとして音楽を聞くのにも向いています。
ベンチマーク結果
今回の検証では、Core i3搭載モデルとCore i5搭載モデルの2台を試用しました。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などによって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
型番 | 81NE001FJP | 81NE001BJP |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home | |
CPU | Core i3-8145U | Core i5-8265U |
メモリー | 4GB | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD (PCIe) | |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 (CPU内蔵) |
CPU性能
IdeaPad S540 (15)では、インテルの第8世代Core iプロセッサーが使われています。CPU性能を計測するベンチマークを試したところ、Core i5搭載機ではCore i7に迫るほどの高いスコアとなりました。これは非常に優秀な結果で、Core i7搭載機であればさらに高いパフォーマンスを期待できそうです。
もう一方のCore i3搭載機ではCore i5よりも低い結果であったものの、2~3年前のハイエンド向けノートPCで使われていたCore i7とほぼ同等レベルの性能です。事務処理や軽めの作業であれば、Core i3でも十分でしょう。
CPUベンチマーク結果
名称 | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8565U |
9672
|
IdeaPad S540 (Core i5-8265U) |
9121
|
Core i5-8265U |
8595
|
Core i7-7500U |
5564
|
IdeaPad S540 (Core i3-8145U) |
5549
|
Core i5-7200U |
4948
|
Celeron N4000 |
1554
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPU選びの目安
Celeron | ・Webページを見る ・ネット動画の視聴 ・ごく簡単な文書作成 |
---|---|
Core i3 | ・事務処理 ・文字中心の資料作成 ・写真の簡単な加工 |
Core i5 | ・写真や画像の加工 ・データ処理 ・画像入り資料の作成 |
Core i7 | ・プロ用ソフトの利用 ・大規模なデータ処理 ・企業向け機能の利用 ・小規模な動画編集 |
ストレージ性能
試用機では256GBのSSDが使われていました。普通Core i3搭載の安いモデルではSSDの容量が128GBだったりするのですが、IdeaPad S540 (15)では下位モデルでも十分な容量のSSDが使われています。
さらに驚くべきは、アクセス速度の速さです。PCIe接続のSSDにはx2接続タイプとx4接続タイプの2種類があり、5~6万円台のモデルでは通常x2タイプが使われています。しかしIdeaPad S540 (15)ではCore i3搭載の下位モデルでも、超高速なx4接続タイプが使われていました。低価格モデルとしては、かなり優秀です。
起動時間
ウィンドウズの起動時間は平均8.6秒と爆速でした。SSD搭載機の平均は17秒程度で、10秒を切るのはハイエンドクラスの高級モデルぐらいです。5~6万円台の機種としては異常な速さと言えます。
起動時間の計測結果(手動計測、Core i3モデル)
1回目 | 9.2秒 |
---|---|
2回目 | 8.8秒 |
3回目 | 8.3秒 |
4回目 | 8.4秒 |
5回目 | 8.3秒 |
平均 | 8.6秒 |
3Dグラフィックス性能
ゲームの快適さに影響する3Dグラフィックス性能はごく控えめです。CPU内蔵のグラフィックス機能であることを考えれば仕方がありません。人気ゲームを快適に楽しむなら、最低でもGTX 1050 / 1650あたりの性能は欲しいところです。
GPUの性能比較
CPU | 3DMark Fire Strikeスコア |
---|---|
GTX 1650 |
7974
|
GTX 1050 |
5176
|
MX250 |
3261
|
MX150 |
3091
|
MX130 |
1952
|
Radeon 530 |
1605
|
Radeon 520 |
1456
|
UHD 620 (Core i7-8565U) |
1162
|
IdeaPad S540 (UHD 620、Core i5) |
1096
|
UHD 620 (Core i5-8265U) |
1061
|
IdeaPad S540 (UHD 620、Core i3) |
803
|
※そのほかのスコアは2019年8月時点での当サイトの平均値
ゲーム系ベンチマーク結果
個別のゲーム系ベンチマークを試したところ、Core i5モデルで解像度や画質を調整すればドラクエ10を快適に楽しめるという評価でした。処理の重いFF14ベンチでは「普通」という評価もありますが、画面がかなりカクつくのでおすすめしません。Core i5モデルならごく軽いゲームをなんとかプレーできるレベルで、Core i3モデルはゲームのプレーを考えないほうが無難といったところです。
ゲーム系ベンチマークの結果 (フルHD)
FF14:漆黒のヴィランズ (DX11) ※中量級
|
||
---|---|---|
Core i5 | 最高品質 | 1106(設定変更が必要) ※6.76 FPS |
高品質 | 1607(設定変更を推奨) ※10.41 FPS | |
標準品質 | 2203(普通) ※14.29 FPS | |
Core i3 | 最高品質 | 687(動作困難) ※3.83 FPS |
高品質 | 957(動作困難) ※5.82 FPS | |
標準品質 | 1003(設定変更が必要) ※6.38 FPS | |
ドラゴンクエストX(DX9) ※軽量級
|
||
Core i5 | 最高品質 | 4434(普通) |
標準品質 | 5815(快適) | |
低品質 | 7241(とても快適) | |
Core i3 | 最高品質 | 2813(やや重い) |
標準品質 | 3908(普通) | |
低品質 | 4494(普通) |
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間は公称値で17.3時間とされています。当サイトの計測方法で実際の駆動時間を計測したところ、Core i5モデルで最長で12時間8分、Core i3モデルで最長15時間34分という結果でした。バッテリー消費がかなり大きいPCMark 8のテストでもそれぞれ10時間を超えていますので、実際の利用でもそれくらいはもつでしょう。そもそもIdeaPad S540 (15)は持ち歩き用ではありませんが、バッテリー性能はモバイルノートPC並みに超優秀です。
バッテリー駆動時間のテスト結果
Core i5モデル | Core i3モデル | |
---|---|---|
公称値 | 約17.3時間 | |
BBenchによる計測 | 12時間8分 | 15時間34分 |
PCMark 8による計測 | 11時間38分 | 10時間55分 |
フル充電までにかかった時間 | 2時間2分 | 2時間3分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
価格について
IdeaPad S540 (15) には複数のモデルが用意されていますが、ベースとなるのは以下の3種類です。それぞれCPUの種類やメモリー容量、ストレージ構成などが異なります。
ラインナップ
Core i3モデル | Core i5モデル | Core i7モデル |
---|---|---|
Core i3-8145U | Core i5-8265U | Core i7-8565U |
4GB | 8GB | 8GB |
256GB SSD | 256GB SSD | 1TB SSD |
1920×1080 (IPS) | ||
税込5万0544円 | 税込6万4022円 | 税込9万6163円 |
※2019年8月12日時点
Office Home & Businessが付属するモデルの価格は以下のとおりです。
オフィス付きモデルの価格
Core i3モデル | Core i5モデル | Core i7モデル |
---|---|---|
Core i3-8145U | Core i5-8265U | Core i7-8565U |
4GB | 8GB | 8GB |
256GB SSD | 256GB SSD | 1TB SSD |
1920×1080 (IPS) | ||
Office Home & Business 2019 | ||
税込7万0794円 | 税込8万4067円 | 税込11万7245円 |
※2019年8月12日時点
安いのはCore i3モデルですが、利用時の快適さを重視するならCore i5モデルが断然おすすめです。少しでもパフォーマンスを重視したいならCore i7モデルを選ぶのもアリですけれども、最近の重い処理にはメモリー容量が16GBのほうが有利ですので、ThinkPadなどのほかのモデルを選んだほうがいいでしょう。
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あり得ないコスパの15インチノートPC
IdeaPad S540 (15)の安さは、他社製品と比べても群を抜いています。光学ドライブと有線LANには非対応であるものの、似たようなスペックでも9000円から1万5000円程度も価格が異なるのです。
15インチノートPCの比較 (Core i5モデル)
IdeaPad S540 (15) | Inspiron 15 3580 | HP Pavilion 15-cu1000 |
---|---|---|
Core i5-8265U | ||
8GBメモリー | ||
256GB SSD | 128GB SSD + 1TB HDD | |
フルHD、IPS | フルHD、TN | フルHD、IPS |
UHD 620 | Radeon 520 | UHD 620 |
光学ドライブなし | DVDスーパーマルチ | |
有線LANなし | 100Mbps | 1000Mbps |
高さ16.9mm | 高さ22.7mm | 高さ24mm |
約1.8kg | 約2.18kg | 約2.07kg |
17.3時間駆動 | ※駆動時間非公開 | 9時間駆動 |
6万4022円 | 7万3421円 | 7万9920円 |
※2019年8月12日時点
その上、本体はスリムでコンパクト。外観や映像の美しさも上々です。ハッキリ言って、安すぎてヤバいレベルです。光学ドライブと有線LANが必要ないのであれば、これを選んでおけば間違いありません!
※2019年8月12日時点。値段はタイミングで変わるため、最新価格は公式サイトでご確認ください
*
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