2024年発売のパソコンノートパソコンレノボレビュー

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)レビュー:すべての不満は安さでチャラに

3.0
この記事は広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

※検証には筆者購入機材と、レノボ・ジャパン合同会社による貸出機材を利用しました

レノボの「IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)」は、デスクに据え置きで使うスタンダートタイプのノートPCです。

 

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

 

ボディはプラスチック製で安っぽく、ディスプレイの映像品質はほどほど。キーボードのキー配列にもおかしな部分が見受けられました。全体的に相当チープな仕上がりです。

 

しかし、そんな欠点をすべてチャラにするほどの安さが特徴。記事執筆時は最上位のRyzen 7 7730U / 16GBメモリー / 512GB SSDの構成で、価格は7万円を切っています。ポイント還元を含めればさらにお得。いやホントに、常軌を逸した安さなんですよ。普通は安くても8~9万円台ですからね。

 

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

チープだけど普通ではあり得ないほどの安さ

 

近いうちに、どこかで値上がりするのは間違いありません。なので不満を感じるであろうことを承知で、いまのうちに買っておくのはアリだと思います。ただ購入の前に、どこが安っぽいのかをこの記事で確認してください。

 

ということでこの記事では筆者が購入した実機とメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

公式サイトを見る

おことわり

このレビュー記事では、筆者購入機材とメーカー貸し出し機材を1週間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。

スペック

発売日 2024年4月
OS Windows 11 Home ※カスタマイズでProに変更可能
ディスプレイ 15.6インチ、1920×1080(フルHD)、45% NTSC、300nit、非光沢
CPU Ryzen 3 7330U / Ryzen 5 7530U / Ryzen 7 7730U
メモリー DDR4-3200 8GB / 16GB(オンボード、増設非対応)
ストレージ 256 / 512GB NVMe SSD ※カスタマイズで最大1TB
グラフィックス Radeon Graphics(Vega、CPU内蔵)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2
インターフェース USB 3.2 Gen1 Type-C(USB PD / 映像出力対応)×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI、SDカードスロット、ヘッドホン端子
生体認証 指紋センサー
サイズ / 重量 幅359.3×奥行き235×高さ17.9mm / 約1.62kg
バッテリー 約14時間(JEITA2.0)

IdeaPad Slim 3 Gen 8のセール情報

※タイミングによっては価格が変わる場合があります。最新価格は、それぞれの販売ページでご確認ください。

メーカー直販サイト

2024年8月上旬時点において、レノボ直販サイトではIdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型(AMD)が非常に安く販売されています。特に上位のRyzen 7モデルは超お買い得。普通なら安くても8~9万円台なので、この値段は異常なレベルです。

直販サイトのセール価格

スペック 価格
Ryzen 3 7330U / 8GB / 512GB ※カスタマイズ対応 5万3900円
Ryzen 5 7530U / 16GB / 512GB 6万3690円
Ryzen 7 7730U / 16GB / 512GB 6万9960円

※2024年8月9日時点

 

カスタマイズ対応モデルはCPUやメモリーのほか、Windows 11のエディションを変更できます。HomeからProへのアップグレードにかかる追加料金は5500円。普通は1万円以上かかるので、非常にお得です。Windows 11 Proを使いたい人は、こちらのモデルを選んでください。

IdeaPad Slim 3 Gen8

カスタマイズモデルならWindows 11 Proへのアップグレード料金が5500円

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楽天の直営ショップ

レノボ・ショッピング楽天市場店では、直販サイトよりも若干高めの値段で販売されています。しかし頻繁に行なわれている10%ポイント還元キャンペーン期間中なら、ポイント還元を含めた実質価格でちょっとお得。さらに定期的に行なわれているポイント還元キャンペーンを利用すると、大量のポイントをもらえる場合があります。普段から楽天を利用しているなら、コチラがおすすめ。

楽天の価格

スペック 販売価格 実質価格
Ryzen 5 7530U / 16GB / 512GB 6万9800円 6万3455円
Ryzen 5 7530U / 16GB / 512GB / Office 9万9800円 9万0728円
Ryzen 7 7730U / 16GB / 512GB 7万9800円 7万2546円
Ryzen 7 7730U / 16GB / 512GB / Office 10万6980円 9万97255円

※2024年8月9日時点、実質価格は10%ポイント還元時

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Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピングの直営ショップでも、楽天と同じ価格で販売されています。通常時のポイント還元率は7%前後(人によって異なります)で、実質価格はあまり安くありません。

Yahoo!ショッピングの価格

スペック 販売価格 実質価格
Ryzen 5 7530U / 16GB / 512GB 6万9800円 6万5296円
Ryzen 5 7530U / 16GB / 512GB / Office 9万9800円 9万3360円
Ryzen 7 7730U / 16GB / 512GB 7万9800円 7万4651円
Ryzen 7 7730U / 16GB / 512GB / Office 10万698円 10万0078円

※2024年8月9日時点、実質価格は7%ポイント還元時

 

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外観

先ほどから何度か言及していますが、IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)の筐体はかなりチープです。見た目はそれほどでもないものの、実際に手に取るとプラスチック感が強く、とても安っぽく感じます。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

本体カラーはアークティックグレー。実際の色合いは、メタリックなグレーです

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

ボディの素材は樹脂(プラスチック)。ツルツルとした手触りで、指紋の跡が少し残ります

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

閉じた状態では、比較的スリムな印象

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

角やエッジの部分に微妙な段差があり、手で触った際に違和感を覚えます。パーティングライン(分割線)というわけではなく、場所によってはバリ(残留物による出っ張り)が残っているような感じでした

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

ディスプレイを開いた状態

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

ディスプレイはほぼ180度まで開きます

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

ディスプレイのベゼル(枠)の太さは、いまどきのノートPCとしては標準的です

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キーボード面。写真からはわかりづらいのですが、ここもメタリックな外観です(ただし素材は樹脂)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

底面部はややザラついた仕上がり

 

サイズと重量

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)は、スタンダードな15.6インチタイプです。筐体がほぼプラスチックなので重くはないものの、強度にちょっと不安を感じます。ちょっとしたことでもキズ付きやすいので、扱いには注意してください。持ち歩きよりも、デスクに据え置きで使うほうが向いています。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

大きさは幅359.3×奥行き235mm

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

B4サイズ(B5ノートの見開き)よりも少し小さい程度と考えれば、サイズ感をイメージしやすいでしょう

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

厚さ(突起部を除く)は実測で17.7mm。数値としては、モバイルタイプのスリム型ノートPCと変わらないぐらい

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

底面部のゴム足を含めた高さは21.4mm。設置時には多少の厚みを感じます

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

重さは実測で1.624kg。15.6インチタイプとしてはやや軽めです

ディスプレイ

ディスプレイには、格安タイプのパネルが使われています。色の鮮やかさやメリハリの強さはほどほどですが、文字中心の作業やカジュアルに動画を観る程度なら問題ないでしょう。

 

ただし格安パネルは品質が一定していないため、まれに「ハズレ」のパネルを引く場合があるので注意してください。ハズレパネルでは色がやや黄色がかって見えたり、明るさが足りずに青みがかって見えたりすることがあります。たとえ色に違和感を感じても、返品や交換は(おそらく)できません。格安PCを入手する場合は、このあたりを覚悟する必要があります。

 

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

2台のIdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)を並べた状態。同じ条件・表示内容でも、色味がこれだけ異なります

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

画面サイズは15.6インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHD。ノートPCとしては、もっともスタンダードなタイプです

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

色域は公称値で45% NTSC。格安ノートPCでよく使われるタイプです。スマホやタブレットほどの鮮やかさはないものの、作業には普通に使えます ※個体差によって印象がかわる場合があります

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

明るさは公称値で300nit。実際に使ってみたところ十分な明るさで、明るい照明の下でも暗く感じることはありませんでした ※個体差によって印象がかわる場合があります

キーボード

15.6インチタイプは「画面が大きくて見やすい」「数値入力に便利なテンキーが付いている」などのメリットがありますが、IdeaPadシリーズではキーボードのキー配列にかなりのクセがあります。特にEnterキー周辺が窮屈。プログラムやスクリプトの類いで、記号キーを多用する人には向いていません。日本語中心の文章を入力する人向きです。

 

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)の日本語配列キーボード

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キーボード左側

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キーボード右側

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

Enterキー周辺が窮屈で、特に「¥」キーがかなり小さく作られています

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キーボードバックライト対応

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キートップはレーザー刻印っぽい雰囲気。格安機種でよくあるシルク印刷よりも文字がはがれにくく、表面のザラつきも感じません。ここはなぜか高品質です(おそらくThinkBookシリーズと同じ部品を使っているからかも)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キーボードのたわみは多少ありますが、比較的少なめでした。使っていてグラつきが気になるほどではありません

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キーピッチは実測で18.4mm。一般的な19mmに慣れていると、指使いが窮屈に感じるかもしれません。入力時に軸のブレがあり、ストロークは浅め。カクッとしたクリック感がありますが、そのぶんタイプ音もやや大きく感じました。とりあえずは使えるものの、人によっては使いづらく感じる可能性があります

端子類

周辺機器接続用のインターフェース類は、十分な構成です。ただし有線LANには対応していないので注意してください。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

本体右側面にはSDカードスロットとUSB端子

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

左側面には奥側から電源コネクター、USB端子、HDMI端子、USB Type-C端子(USB PD / 映像出力対応)、ヘッドホン端子

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

キーボード右上の電源ボタンは指紋センサー内蔵

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

ディスプレイ上部のWebカメラはプライバシーシャッター付きで、1080p 30fps対応。格安機種は720pであることが多いので、ワンランク上のカメラが使われていたのは意外です

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

スピーカーはキーボード上部。音はノートPCとしては比較的クリアーですが、音質がいいわけではありません。1.5Wのステレオスピーカーが使われているのですが、なぜか音は左側にかたよって聞こえました(異なる2台の機材で確認)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

Dolby Atmosに対応。音質が劇的に改善されるわけではないのですが、有効にすると音がちょっと大きく聞こえます

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

排気口はこの部分。温められた空気はディスプレイに直接当たらず、まずはヒンジ部分に当たります

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

付属の電源アダプターは65Wの丸口タイプ。重さは356g

本体の分解

※本体を分解または改造すると、メーカー保証のサポート外となる可能性があります。くれぐれも自己責任の上で行なってください

底面カバーの取り外し

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

底面部のネジを外すことで、カバーを外せます。作業の際にはT5トルクスドライバーを利用してください(写真のT4では微妙に小さかった)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

スキマをこじ開けて、底面カバーを外します。このとき布をかぶせた固い板を使うと、キズ付きにくいかもしれません(それでもキズが付く場合はあります)。いつもの機種と比べてIdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)は非常に固く、取り外しに苦労しました

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

カバーを取り外した状態

メモリーの増設

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)のメモリーはオンボード(マザーボード直付け)仕様です。メモリーの増設には対応していません。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)の本体内部。メモリースロットはありません

SSDの交換

ストレージ用のM.2スロットは1基のみ用意されています。SSDを交換する場合は、あらかじめ元のSSDのクローン(コピー)を作るか、システムのクリーンインストールを行なってください。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

検証機ではType-2240のSSDが使われていましたが、Type-2280も利用可能。規格的にはPCIe 4.0 x4に対応しています

 

ベンチマーク結果

検証機のスペック

検証機① 検証機②
Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U
16GB(オンボード)
512GB SSD
Radeon Graphics(Vega、CPU内蔵)

※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります

パフォーマンス設定について

ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「バランス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています。また標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」で、3種類の電源モードを使ってテストを行ないました。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」によるパフォーマンス設定

 

この記事で表記

正式名 記事中の表記
適応パワー・モード(自動) 標準
バッテリー節約機能 省電力
バッテリー節約機能 高性能

 

CPU性能

CPUとしては、AMDのRyzen 7030Uシリーズが使われています。最近のRyzenシリーズは種類が多くてわかりづらいのですが、現行世代ではランク低いCPUだと考えればいいでしょう。この点も安さの理由のひとつです。

Ryzenシリーズ

最近のノートPCで使われる薄型ノートPC向けのRyzen Uシリーズ

 

CPU性能を計測する「CINEBENCH R23」では、最近のノートPCとしてはそこそこ優秀な結果が出ました。シングルコア性能はやや低めではあるものの、マルチコア性能は優秀です。比較機が軒並み10万円オーバーであることを考えれば、6~7万円の機種としては十分と言っていいのではないでしょうか。

 

最近のノートPCの性能比較

CPU PassMark CPU Mark Score
検証機①(Ryzen 5 7530U)※標準
S1447
M7379
検証機②(Ryzen 7 7730U)※標準
S1449
M8749
Yoga 7i Gen 9(Core Ultra 7 155H)
S1751
M8704
Inspiron 13 5330(Core Ultra 5 125H)
S1683
M9475
HP EliteBook 830 G11(Core Ultra 7 155U)
S1473
M6631
HP Dragonfly G4(Core i7-1355U)
S1554
M6789
Inspiron 14 5445(Ryzen 7 8840U)
S1707
M10666
HP Pavilion Aero 13-bg(Ryzen 5 8640U)
S1677
M9317
HP ProBook 465 G11(Ryzen 7 7735U)
S1532
M10132
HP 245 G10(Ryzen 7 7730U)
S1443
M9521
ThinkBook 16(Ryzen 5 7530U)
S1458
M7683

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

 

電源モードを変えると、スコアは変化します。ただし「標準」と「高性能」で、結果が大きく変わるわけではありませんでした。「高性能」モードではファンの駆動音が大きくなるので、普段は「標準」モードで利用するといいでしょう。

 

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

電源モードを変えた際のCINEBENCH R23の結果

 

CPU性能を計測する「PassMark CPU Mark」の統計データと比較すると、性能的にはRyzen 7モデルで中位クラス、Ryzen 5モデルでギリギリ「中の下」クラスといったところです。ただし最近のノートPCは「こんなに高性能でなにに使うの?」と言ってもいいくらいのパフォーマンスですから、中位クラスでも普段の利用にはまったく問題ありません。

 

薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)

CPU PassMark CPU Mark Score
Ryzen 7 7840U
24988
Core Ultra 7 155H
24944
Ryzen 7 8840U
24588
Core Ultra 5 125H
21813
Ryzen 7 7735U
21341
Ryzen 5 8640U
19266
Ryzen 7 7730U
18651
Core Ultra 5 125U
17935
検証機②(Ryzen 7 7730U)※標準
17768
Core 5 120U
17471
Core Ultra 7 155U
16624
Ryzen 5 7535U
16371
Ryzen 5 7530U
16190
検証機①(Ryzen 5 7530U)※標準
15588
Core 7 150U
13990
Core 3 100U
11885
Ryzen 3 7330U
10874
N100
5549

※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値

グラフィックス性能

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われています。Zen3世代のRyzen 7030Uは内蔵グラフィックスが旧世代のVegaアーキテクチャのため、性能的にはいまひとつ。実際に3Dベンチマークテストでも、最近のノートPCとしては低めの結果が出ました。文章中心の作業には問題ありませんが、ゲームのプレーやGPUを利用する高度な動画編集などは避けたほうがいいでしょう。

ノートPC向けGPUの性能(DirectX 12)

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 3050
4874
Intel Arc Graphics(Meteor Lake)
3759
GTX 1650
3444
Radeon 780M(RDNA3)
2727
Radeon 680M(RDNA2)
2350
Radeon 760M(RDNA3)
2282
Iris Xe
1522
Radeon 660M(RDNA2)
1189
検証機②(Vega)
1151
検証機①(Vega)
1141

※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。

 

テスト結果の見方

テスト名 概要
Essentials
(一般利用)
ソフトの起動やWeb閲覧、ビデオ会議など一般的な作業を想定。CPUのシングルコア性能が強く影響する
Productivity
(ビジネス利用)
表計算とワープロにおいて、中規模クラスのデータを扱うテスト。CPUのマルチコア性能が影響しやすい
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
写真加工と3D製作、動画編集を扱うテスト。CPU性能とグラフィックス性能が強く影響する

 

Ryzen 5モデルとRyzen 7モデルの標準設定でテストを行なったところ、どちらも目標値を大きく上回る結果が出ました。ひととおりの作業については、問題なく行なえるでしょう。ほかの機種と比べても、結果は悪くありません。コンテンツ制作のテストではスコアが低かったものの、クリエイティブワークで使わなければ問題ないはずです。

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
目標値:4100
Ryzen510474
Ryzen710164
Yoga11277
HP2459902
ThinkBook9961
Ins1410649
Aero10100
Productivity
目標値:4500
Ryzen59882
Ryzen79292
Yoga8283
HP2459336
ThinkBook9878
Ins1411053
Aero9964
Digital Contents Creation
目標値:3450
Ryzen55544
Ryzen75693
Yoga8866
HP2455781
ThinkBook4833
Ins148243
Aero7374

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

比較機のスペック

Yoga 7i Gen 9 Core Ultra 7 155H / 16GB / Intel Arc
HP 245 G10 Ryzen 7 7730U / 16GB / Radeon
ThinkBook 16 Gen 6 Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon
Inspiron 14 5445 Ryzen 7 8840U / 16GB / Radeon 780M
HP Pavilion Aero 13-bg Ryzen 5 8640U / 16GB / Radeon 760M

バッテリー性能

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

駆動時間

バッテリー駆動時間の公称値は、約14時間とされています。しかしこれは(おそらく)消費電力を抑えた状態の結果で、実際の利用を想定した測定結果ではありません。実際の利用では、駆動時間が短くなりがちです。

 

そこでPCMark 10のバッテリーベンチマークテストを行なったところ、開始から11時間ちょっとでバッテリー切れとなりました。公称値よりも短い結果ですが、IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)はそもそも持ち歩き向けの機種ではありませんし、これだけ持てば十分でしょう

バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 7モデル)

テスト方法 駆動時間
※公称値 14時間(JEITA2.0)
PCMark 10 Modern Office ※標準モード 11時間7分
PCMark 10 Modern Office ※省電力モード 11時間39分

※テストの条件や計測方法についてはコチラ

バッテリー駆動時の性能

ノートPCを内蔵バッテリーで利用すると、電源接続時よりもパフォーマンスが低下します。機種によって異なりますが、バッテリー駆動時にはベンチマークスコアが2~3割程度下がるのが一般的です。

 

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)でバッテリー駆動時のCPUベンチマークテストを行なったところ、シングルコア性能はやはり大きく下がったものの、マルチコア性能はあまり変わりませんでした。おそらく、そのようなチューニングが施されているのでしょう。軽めの作業をサッと終わらせたいときは、電源に接続した状態で行なったほうがいいかもしれません。

 

性能比較

CPU CINEBENCH R23
電源接続時 ※標準
S1449
M8749
バッテリー駆動時 ※標準
S1091
M8437
電源接続時 ※省電力
S1435
M7163
バッテリー駆動時 ※省電力
S1095
M7428
電源接続時 ※高性能
S1450
M9436
バッテリー駆動時 ※高性能
S1087
M9536

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

熱と騒音について

※計測時の室温は28度。室温が変わると、結果が異なる場合があります

CPUの熱について

高負荷な「CINEBENCH R23」実行中のCPU温度 / 消費電力を調べたところ、テスト開始から40秒間は消費電力が21W前後まで上昇しましたが、その後は17W前後にまで落ちました。この21Wの期間が高負荷時における高出力状態だと思われますが、温度はあまり上がっていません。おそらく最初からファンを強く回すことによって、内部の温度を低く抑えているのでしょう。瞬間的に80度あたりまで上昇することはあったものの、全体的な平均温度は69.8度とかなり低く抑えられています。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移

本体の熱と駆動音について

高負荷時でも、本体表面の熱はそれほど感じられませんでした。キーボードがほんのり温かいなと感じる程度です。

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

本体表面の最大温度は、キーボード左側で36~37度前後。ほんのり温かく感じる程度

 

騒音(空冷ファンの回転音や通気口からの風切り音)を計測したところ、そこそこ大きく聞こえました。気温の影響にもよりますが、ちょっとした作業でもファンが強く回ることがあります。そのぶん内部は冷やされているのですが、作業中には気になるかもしれません。

 

駆動音の計測結果

待機中 37.2dB ほぼ無音。耳を近づけると、ファンの回転音が聞こえる程度
軽作業時
(PCMark 10)
44.9dB 排気音がそこそこ大きく聞こえる。体感的にはUSB扇風機の中風程度。うるさすぎるほどではないが、長時間聞き続けるとストレスを感じる
高負荷時(CINEBENCH) 45.1dB前後 同上
(参考)エアコンの最大出力時 48~58dBA前後

他機種との比較

今回は外観がチープな15.6インチということで、デルとHPから同カテゴリーの機種を選びました。

Inspiron 15 3535

デル「Inspiron 15 3535」

HP 15-fc

HP「HP 15-fc」

関連リンク

iconHP 15-fc 製品詳細(HP公式サイト)
Inspiron 15(3535)(デル公式サイト)

 

本体の質感やディスプレイの映像品質、スペックに関しては、どれも似たり寄ったりです。ですが、キーボードの配列に関しては、HP 15-fcがもっとも違和感のない作りでした。あとはそれぞれのセールのタイミングで買うべきかどうかを選べばいいかと思います。

HP 15-fc

3機種のなかではもっとも違和感のない配列の「HP 15-fc」

 

エントリー向け15.6インチタイプの比較

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) Inspiron 15 3535 HP 15-fc
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) Inspiron 15 3535 HP 15-fc
15.6インチ、1920×1080ドット、IPS、非光沢
Ryzen 3 7330U
Ryzen 5 7530U
Ryzen 7 7730U
Ryzen 3 7320U
Ryzen 5 7520U
Ryzen 5 7530U
Ryzen 7 7730U
Athlon Silver 7120U
Ryzen 3 7320U
Ryzen 5 7530U
DDR4-3200 8/16GB(オンボード) LPDDR5 8GB(オンボード)
DDR4-3200 16GB
LPDDR5 4/8GB(オンボード)
DDR4-3200 8/16GB
256GB / 512GB SSD 512GB / 1TB SSD 128 / 256 / 512GB
Type-C(PD/DP) Type-C(データ通信のみ)
指紋センサーあり 指紋センサーなし 指紋センサーあり
幅359.3mm
奥行き235mm
高さ17.9mm
重さ 約1.62kg
幅358.5mm
奥行き235.56mm
高さ18.99mm
重さ 約1.63kg
幅358mm
奥行き236mm
高さ21.5mm
重さ 約1.63kg
約14時間(JEITA2.0) ※駆動時間非公開 最大10時間(MobileMark 2018)

考察とまとめ

すべての不満を力づくで黙らせるほどの安さ

筐体はかなりチープで、ディスプレイの映像品質はほどほど。キーボードは配列にクセありと、普通なら候補から外れるくらいの仕上がりなのですが、それらの不満をすべてナシにしてしまうほど値段が安い点がポイントです。記事執筆時ではRyzen 7 7730U / 16GBメモリー / 512GB SSDで7万円切り、ポイント還元を含めればさらにお得って、どう考えても普通じゃないですよ。マジで。

 

これだけ安けりゃ、多少の不満があっても全然OKって人は多いんじゃないでしょうか。筆者もその部類です。

 

使っていてストレスは確実に感じるでしょうけれども、そのストレスを浮いたお金で解消できるならアリなんじゃないでしょうか。世の中いろいろお金がかかりますし、パソコンにだけ投資はできないですからね。

買うなら14インチ

今回は15.6インチタイプを紹介しましたが、14インチタイプならキー配列が多少マシになるはずです。本体がコンパクトなぶん剛性も高く、筐体のベコベコ感も多少は減るかもしれません。

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

14インチタイプ「IdeaPad Slim 5i Gen 8」のキーボード。テンキーがないぶん、配列にやや余裕があります

実は筆者は当初14インチタイプを購入するつもりだったのですが、間違えて15.6インチタイプを購入してしまいました。14インチのほうがわずかに値段が高い場合もありますが、そこまで大きな差はありません(記事執筆時)。チープさを多少減らしたいなら、14インチタイプも検討してみてください。

関連リンク

14インチタイプ販売ページ(レノボ公式サイト)
14インチタイプ販売ページ(楽天)
14インチタイプ販売ページ(Yahoo!ショッピング)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)

公式サイトを見る

記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

お買い得パソコン評論家。毎日各メーカー・各ショップのWebページを500p以上チェックして、安くてお得なパソコンを探しています。元雑誌・書籍編集者で、PC系フリーライターでもあるオジサン。文章に関わる仕事を始めてから25年以上。最高195万PV/月

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