レノボ・ジャパンの「ideapad Y700 (15)」は、グラフィックス機能としてGeForce GTX 960M(4GB)を搭載する、15.6型のゲーム用ノートパソコンです。人気のゲームを快適に楽しめる性能を持ちながらも、基本モデルで税込み9万9533円(送料無料、2016年10月11日時点)とリーズナブルな価格で販売されています。
今回はメーカーからお借りした実機を使って、各種ベンチマークや実際のゲームの快適さについてレビューします。手ごろなゲーミングノートパソコンを探している方は、ぜひ参考にしてください。
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ideapad Y700 (15)のスペック
ideapad Y700 (15)ではラインナップとして、全部で4種類のパッケージ(モデル)が用意されています。それぞれのスペックは、以下の表のとおり。それぞれ購入時にメモリー容量やストレージの種類を変更したり、4K解像度の液晶ディスプレイを選択できるなど、豊富なカスタマイズメニューが用意されている点が魅力です。
ideapad Y700 (15)のスペック(2016年10月7日時点) | ||||
128GB SSD搭載スタンダードパッケージ | 256GB SSD搭載ハイパフォーマンスパッケージ | 128GB SSD+500GB HDD搭載バリューパッケージ | 128GB SSD+500GB HDD搭載ハイパフォーマンスパッケージ | |
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OS | Windows 10 Home 64ビット | |||
CPU | Core i5-6300HQ(2.30GHz) | Core i7-6700HQ(2.60GHz) | Core i5-6300HQ(2.30GHz) | Core i7-6700HQ(2.60GHz) |
メモリー | 8GB PC4-17000 | 16GB PC4-17000 | ||
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 960M(4GB)+Intel HD Graphics 530(CPU内蔵) | |||
ストレージ | 128GB SSD | 256GB SSD(SATA) | 128GB SSD(SATA)+500GB HDD | |
光学ドライブ | オプション(BTOで追加可能) | |||
ディスプレイ | 15.6型、1,920×1,080ドット、光沢なし、IPS | |||
通信機能 | 1000BASE-T対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1 | |||
Webカメラ | HD 720p(92万画素相当) | |||
主なインタフェース | USB3.0×2、USB2.0×1、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力、マイク入力 | |||
バッテリ駆動時間(JEITA2.0) | 6.3時間 | 5.9時間 | 6.3時間 | 5.9時間 |
本体サイズ/重量 | 幅387×奥行き277×高さ26mm/2.6kg | |||
税込み価格(送料無料) | 9万9533円 | 11万9880円 | 14万6880円 | 17万1720円 |
今回試用したのはデュアルストレージ構成の「128GB SSD+500GB HDD搭載バリューパッケージ」です。なお各種ベンチマークの結果は、パーツ構成や環境、タイミングによって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
3D系ベンチマーク測定結果
ideapad Y700 (15)で使われているGeForce GTX 960は、ミドルレンジ(中位クラス)のGPUです。海外の大作ゲームをプレーするには少々厳しい性能ですが、国内で人気のゲームであれば高解像度&最高画質でも快適にプレーできます。
またCPUにCore i7-6700HQを搭載した「パフォーマンスパッケージ」では、4GBのビデオメモリーを搭載しています。一般的なGeForce GTX 960搭載ゲーミングノートPCでは2GBのビデオメモリーを搭載していることが多いので、これらのモデルと比べて高いパフォーマンスを期待できるでしょう。なおCPUにCore i5-6300HQを搭載したモデルでは、2GBのビデオメモリーを搭載しています。
3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D性能を計測する「3DMark」では、ゲーミングノートPCとしては標準的なスコアです。国内の人気ゲームを楽しむには、十分な性能を持っています。
ただし試用機ではCore i5-6300HQを搭載しているため、同じGeForce GTX 960M(2GB)を搭載したCore i7-6700HQ搭載モデルよりも、スコアがわずかに低くなっています。とは言うものの、その差は4%でほとんど誤差レベルですので、ゲームの快適さに大きな影響はないでしょう。
ゲーム系ベンチマークテスト計測結果
国内で人気のゲームの快適さを計測するベンチマークでは、5種類のテストのうち2種類で最高評価が出ています。残りの3種類についても、「快適」との評価です。
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク | ||
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5855(とても快適) ※平均47FPS | 1920×1080ドット、最高品質、DirectX 9 ※7000以上で平均60FPS超え | |
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク | ||
4333(快適) ※平均33.2FPS | 1920×1080ドット、最高品質、DirectX 11 ※7000以上で平均60FPS超え | |
ドラゴンクエストXベンチマークソフト | ||
12588(すごく快適) ※最高評価 | 1920×1080ドット、最高品質 | |
ドラゴンズドクマオンライン ベンチマークソフト | ||
7373(とても快適)※最高評価 | 1920×1080ドット、最高品質 | |
PSO2キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4 | ||
7245 | 1920×1080ドット、簡易描画設定6(最高画質) ※快適に遊べる目安は5000以上 |
実際のゲームプレーでのFPS計測結果
続いては、実際にゲームをプレーしたときのFPS計測結果を紹介します。
「FPS」とは画面の描画速度を表わす指針で、この値が大きいほどゲーム画面が滑らかに動きます。理想は平均60FPS以上ですが、この数値を大きく下回ると画面がカクカクしてしまい、プレーを快適に楽しむことができません。人によって感じ方は異なりますが、60FPS以上で快適、30FPSでギリギリ遊べるレベルと考えてください。
OverwatchのFPS計測結果
ブリザード・エンターテインメントのアクションシューティング「Overewatch(オーバーウォッチ)」のFPSを計測したところ、1920×1080ドットの「エピック(最高画質)」では平均47.29FPSという結果でしたが、次に高画質な「ウルトラ」では平均80.01FPSという結果になりました。これよりも低い画質では、テストを行なっていません。
エピック画質の47.29FPSでもプレーできないことはないのですが、最小FPSがグンと落ち込んでいる場面があり、素早い動きが求められる対戦型FPSでは不利になる可能性があります。ideapad Y700でOverwatchを快適に楽しむのなら、ウルトラ画質を選ぶといいでしょう。実際のプレー中では、それぞれの画質の画質の違いは気になりません。
OverwatchのFPS計測結果(1920×1080ドット) | |||
画質 | 最小FPS | 最大FPS | 平均FPS |
---|---|---|---|
エピック(最高画質) | 21.83 | 226.81 | 47.29 |
ウルトラ | 52.84 | 134.32 | 80.01 |
Rise of the Tomb RaiderのFPS計測結果
トゥームレイダーシリーズの最新作「Rise of the Tomb Raider」はグラフィックス重視の作品で、快適にプレーするにはかなり高めの3D性能が必要となります。ideapad Y700でゲーム内のベンチマークを試してみたところ、最低画質で画面のカクつきを気にすることなく遊べるという結果になりました。
Rise of the Tomb Raiderのベンチマーク結果(1920×1080ドット、FXAA) | ||||
画質 | 山頂 | シリア | 地熱谷 | 総合スコア |
---|---|---|---|---|
最高 | 29.66 | 19.73 | 18.29 | 22.49 |
高 | 38.17 | 29.77 | 29.14 | 32.51 |
中 | 43.34 | 31.4 | 34.33 | 36.65 |
低 | 55.03 | 37.16 | 42.5 | 45.35 |
最低 | 67.54 | 44.06 | 52.35 | 55.27 |
DirectX 12を利用するとパフォーマンスが向上することもあるらしいのですが、設定を変更してもスコアは向上しませんでした。
Rise of the Tomb Raiderのベンチマーク結果(1920×1080ドット、DirectX 12、FXAA) | ||||
画質 | 山頂 | シリア | 地熱谷 | 総合スコア |
---|---|---|---|---|
最高 | 30.87 | 21.76 | 15.72 | 21.93 |
高 | 36.87 | 27.58 | 27.79 | 30.93 |
中 | 41.29 | 29.77 | 35.24 | 35.77 |
低 | 50.15 | 35.3 | 42.17 | 42.96 |
最低 | 53.1 | 40.34 | 52.16 | 49.02 |
画質を落とせばなんとかプレーできるのですが、グラフィックス重視の作品で画質を落とすのはあまりおすすめしません。画質を落とすよりは、解像度を下げることをおすすめします。1280×720ドット程度なら、「中」画質でもなんとか遊べるはずです。
VR性能の計測結果
最近はVRコンテンツが、急速に普及しつつあります。そこで「HTC VIVE」や「Oculus Rift」用のチェックツールを使って、ideapad Y700でVRコンテンツを楽しめるか調べてみました。
結果は残念ながら、どちらも「不可」です。CPUとGPUの性能が足りないとのことで、Core i7-6700HQを搭載した上位モデルでも少々厳しそうです。
システム系ベンチマーク測定結果
次に、パソコンの基本性能を計測する各種ベンチマークテストの結果を紹介します。前述のとおり、今回はCPUにCore i5-6300HQを搭載した「128GB SSD+500GB HDD搭載バリューパッケージ」を試用しました。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミングなどによって大きく変わることがある点を、あらかじめご了承ください。
Windowsエクスペリエンスインデックス
Windows 10の総合的な快適さを計測する「Windowsエクスペリエンスインデックス(Windowsシステム評価ツールの結果)」については、以下の表のとおりです。各スコアの最高点は「9.9」ですので、それぞれのテストで比較的優れた結果が出ていることがわかります。
試用機のWindowsエクスペリエンスインデックス | |
プロセッサ(CpuScore) | 7.8 |
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メモリ(MemoryScore) | 7.9 |
グラフィックス(GraphicsScore) | 6.1 |
プライマリハードディスク(DiskScore) | 8.1 |
CINEBENCHベンチマーク結果
ideapad Y700で使われているCore i5-6300HQは、4コア/4スレッドで動作するハイエンドノートパソコン向けのCPUです。同じくハイエンド向けのCore i7-6700HQよりも性能面では劣りますが、モバイルノート向けのCore i7-6500Uよりもはるかに高い性能を持っています。
CINEBENCH R15の結果の目安(「CPU」のスコア) | |
Core i7-6700K | 760~880cb |
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Core i7-6700 | 730~820cb |
Core i5-6500 | 550cb前後 |
Core i7-6700HQ | 670~680cb |
Core i7-6500U | 270~320cb |
Core i5-6200U | 260~290cb |
CrystalDiskMarkベンチマーク結果
「CrystalDiskMark」でシステムストレージに使われているSSDのアクセス速度を計測してみたところ、シーケンシャルリードで548.2MB/秒という結果でした。一般的なHDDが100MB/秒程度ですので、およそ5倍のアクセス速度ということになります。シーケンシャルライトは158MB/秒ですが、こちらもHDDより1.5倍程度高速です。
ただしSSDの容量は128GBで、あまり容量はありません。規模の大きいゲームを数本インストールすると、残り容量がかなり少なくなってしまいます。そんなときに役立つのが500GBのHDDです。システムストレージをSSDにすることで普段の作業は快適に行なえる上に、500GBのHDDにゲームをインストールすれば容量不足で困ることもありません。ゲーミングノートPCを購入するなら、デュアルストレージ構成を強くおすすめします。
PCMark 8ベンチマーク結果
総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 8」では、かなり高めのスコアが出ています。Core i7-6700HQと比べるとCPU性能が影響するテストでスコアがやや落ちていますが、Core i7搭載のモバイルノートパソコンよりも優れた結果となりました。
PassMark PerfomanceTest 8.0ベンチマーク結果
「PassMark PerfomanceTest 8.0」の結果も、かなり優れています。CPU性能を表わす「CPU Mark」は「6312」と十分な結果です。ちなみにCore i7-6700HQだと8800前後、Core i7-6500Uだと4700前後ですので、ちょうど中間くらいと言えるでしょう。
内部の発熱をチェック
ベンチマーク中のCPUとGPUの温度を確認したところ、CPUは最高55度、GPUは最高67度でした。限界温度(それぞれ100度あたり)には、まだ余裕があります。本体の熱はキーボード上部がやや温かくなる程度で、特に気になりませんでした。またファンの音もそれほど大きくはありません。熱によるパフォーマンスの低下や駆動音は、気になるレベルではないでしょう。
本体の外観をチェック!
ここからは、ideapad Y700の本体デザインについてレビューします。なお、どのパッケージでも基本的なデザインやサイズ/重量は変わりません。
スタイリッシュ&スリムなボディ
ideapad Y700は、スリムでスタイリッシュなデザインが特徴です。グラフィックス機能としてGeForce GTX 960Mを搭載しながらも、本体の高さはわずか26mmしかありません。15.6型ノートパソコンとしては平均よりもやや厚めですが、ゲーミングノートPCとしてはかなりスリムです。
本体カラーはブラックですが、光のあたり方によってはガンメタルやダークグレーのようにも見えます。見た目はメタリック調ではありますが、素材にはパソコンではよくある樹脂(プラスチック)が使われていました。
フットプリント(接地面積)は幅387×奥行き277mmです。B4サイズ(幅364×奥行き257mm)よりもふた回り大きく、一般的な15.6型ノートパソコンよりもやや大きめ。しかしゲーム用モデルとしては標準的です。
非光沢でも色鮮やかな液晶ディスプレイ
ideapad Y700では、光沢のないノングレアパネルを採用しています。ただし実際にはハーフグレア(半光沢)といったところでしょう。標準的なノングレアパネルよりも、光の映り込みがやや強く出ていました。
ノングレアは光の映り込みが少ないため、眼が疲れにくいメリットがあります。しかしその半面、光沢ありのグレアパネルに比べてコントラストが低く、色の鮮やかさに欠けるという欠点もありました。しかし半光沢のideapad Y700ではノングレアほどコントラストが低くなく、映像は鮮明かつ自然な色合いです。
いい意味で標準的なキーボード
ideapad Y700のキーボードはテンキーありの106キー構成で、標準的な日本語配列を採用しています。キーピッチ(キーの大きさを表わす目安)は実測で19mm。Enterキー周辺ではやや狭くなっていますが、総合的には違和感なく普通に使えるキーボードです。
キーストロークは、実測で1.5mmでした。入力時に「カクっ」とした軽めの手応えがあります。底打ち感はややありましたが、気になるレベルではありませんでした。
スイッチの駆動部分にブレがないので、キー入力時に「カチャカチャ」という耳障りな音は聞こえません。タイプ音は「タタタタ」と控えめで、比較的静かです。
十分なインターフェースと低音部に迫力のあるスピーカー
インターフェースとしては、USB3.0×2、USB2.0×1、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力、マイク入力などが用意されています。光学ドライブは非対応ですが、最近のゲームはダウンロードするタイプが多いので、特に問題はないでしょう。必要であれば、別途外付けドライブを用意してください。
ideapad Y700にはJBLのスピーカーとサブウーファーが搭載されており、ゲームを迫力のあるサウンドで楽しめます。実際のサウンドを聞いてみたところ、音がとてもクリアーに再生されました。また音量も大きく、ボリュームを20%程度にしても十分聞こえます。さらにドルビーの効果では臨場感のあるサラウンドサウンドを楽しめました。
9万円台で買えるお得なゲーミングノートPC
ということで、今回はレノボ・ジャパンの15.6型ノートPC「ideapad Y700 (15)」についてレビューしました。ベンチマーク結果をご覧いただくとおわかりのように、国内外で人気のゲームをプレーするには、十分な性能を持っています。またデザインや各部の使い勝手にも優れ、ゲームを快適に楽しむことが可能です。全体的なクオリティーは、同価格帯のゲーミングノートPCよりも高め。基本モデルで10万円切りとは思えないほどの仕上がりでした。
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