デルのNew Inspiron 15 3000 (3576) は、高性能でありながら価格の安さにこだわったノートPCです。CPUは第8世代のCore i5/i7でメモリーは8GB、ストレージは標準で256GB SSDとスペック的にはハイエンドクラス。本体デザインや映像品質、キーボードの使い勝手は格安モデル相当ですが、そのぶん価格が安く抑えられています。
New Inspiron 15 3000の特徴
作業しやすいフルHDの非光沢
1920×1080ドットのフルHDディスプレイを標準搭載。情報量が多い上に眼に優しい非光沢仕様で、作業がはかどります。
dGPUにRadeon 520搭載
dGPU(専用グラフィックス機能)としてAMDのRadeon 520を使用(一部対象外)。専用ビデオメモリー搭載なので、Windows 10が軽快に動作します。
DVDの再生と書き込みに対応
DVDの再生やファイルのバックアップが可能なDVDスーパーマルチドライブを標準搭載。映画視聴などのエンタメ利用にも向いています。
今回はメーカーからお借りした実機を使って、New Inspiron 15 3000 (3576) の本体デザインや使い勝手、実際の性能などをレビューします。
この記事の目次
- 1:スペックとラインナップ
- 2:本体デザインについて
- 3:液晶ディスプレイについて
- 4:キーボードについて
- 5:インターフェースと拡張性
- 6:駆動時間や発熱、騒音について
- 7:ベンチマーク・検証結果
- 8:まとめ
New Inspiron 15 3000 (3576)
税込7万円台から
スペックとラインナップ
Inspiron 15 3000の種類
2018年6月上旬現在、デルの公式サイトには「Inspiron 15 3000」という名前のモデルが5種類存在します。どれも本体の外観はほぼ同じですが、CPUやメモリー、ストレージなどのスペックが異なる点に注意してください。
Inspiron 15 3000の分類
呼び方 | 型番 | 主な特徴 | 価格 | 詳細 |
---|---|---|---|---|
15インチ | 3552 | 2016年2月発売でもっとも古いモデル。CPU性能がかなり低い | 3万円台後半~ | レビューを読む |
New 15インチ(Celeron) | 3573 | 最新のCeleron N4000を搭載。性能はやや控えめ | 3万円台後半~ | 解説記事を読む |
New 15インチ(AMD) | 3565 | AMD製CPU搭載モデル。性能は控えめ | 3万円台後半~ | レビューを読む |
New 15インチ | 3567 | 第7世代Core iプロセッサー搭載。フルHDモデルあり | 4万円台後半~ | レビューを読む |
New 15インチ(Intel) | 3576 | 第8世代Core iプロセッサー搭載。標準でdGPU/フルHDディスプレイ/SSDに対応 | 8万円前後~ | ※この記事 |
※2018年6月12日時点。構成や価格は変更される場合があります
New Inspiron 15 3000 (3576)のスペック
New Inspiron 15 3000 (3576)の特徴は、CPUにインテルの第8世代Core i5-8250U/Core i7-8550Uを搭載している点です。また標準でdGPU(専用グラフィックス機能)としてAMDのRadeon 520を採用しているほか、フルHDの非光沢ディスプレイや256GB SSD、DVDスーパーマルチドライブなどを搭載しています。
New Inspiron 15 3000 (3576)のスペック
OS | Windows 10 Home / Pro |
---|---|
CPU | Core i5-8250U / Core i7-8550U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 1TB HDD または 256GB SSD(SATA) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 または Radeon 520(2GB) ※SSDモデルのみ |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ディスプレイ | 15.6インチ、1920×1080ドット、非光沢、タッチ非対応 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1、100BASE-TX対応有線LAN |
インターフェース | USB3.1 Gen1(フルサイズ)×2、USB2.0×1、HDMI、有線LAN、SDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力 |
セキュリティー | TPM 2.0、セキュリティースロット、マカフィーリブセーフ 1年版 |
カメラ | 92万画素 |
サイズ/重量 | 幅380×奥行き260.3×高さ23.65mm/約2.13kg~ |
バッテリー駆動時間 | 4セル40Whr ※駆動時間は非公開。テスト結果はコチラ |
※2018年5月1日時点。構成や価格は変更される場合があります
ラインナップ
New Inspiron 15 3000 (3576) には全部で7種類のモデルが用意されていますが、基本となるのは以下の3種類です。残りの2種類は基本モデルと同じスペックで、Office Personal 2016が付属しています。
New Inspiron 15 3000 (3576)の基本モデル
プレミアム | |
---|---|
税込7~8万円台 | |
プレミアム SSD | |
税込8~9万円台 | |
プラチナ SSD | |
税込9~10万円台 |
※2018年6月12日時点
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関連リンク
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本体デザインについて
外観は格安モデル相当
New Inspiron 15 3000 (3576)の中身はハイエンドモデル相当ですが、本体デザインは格安モデルと変わりません。実際に3~4万円台で販売されているCeleronモデルやE2-9000モデルと本体デザインを比べたところ、ほぼ同じでした。これはNew Inspiron 15 3000 (3576)が「高いスペックを安い価格で」をコンセプトにしたモデルだからです。
B4サイズよりやや大きい
New Inspiron 15 3000 (3576)の接地面積は幅380×奥行き260.3mmです。B4サイズ(幅364×奥行き257mm)よりもひと回り大きい程度と考えると、サイズ感をイメージしやすいでしょう。実物を目の前にするとやや大きめに感じますが、15インチクラスのノートPCとしては標準的な大きさです。
高さは公称値で23.5mm、ゴム足を含めた実測値では25mmでした。数値的にはそれほど薄くありませんが、かと言って厚みが気になるほどでもありません。15インチタイプとしては標準的です。
重量は2kgオーバー
重量はカタログ上の公称値で約2.13kg、試用機では実測2.181kgでした(重さは個体によってバラツキがあります)。持ち歩けないわけではありませんが、日常的なモバイル用途にはちょっと厳しい重さです。デスクに据え置きで使うことをおすすめします。
アクセサリー類の重さ(実測値)
電源アダプター | 328g |
---|
液晶ディスプレイについて
見やすいフルHDの非光沢画面
液晶ディスプレイのサイズは15.6インチ(15.6型)。ノートPCとしては、もっとも人気の高い大きさです。解像度は1920×1080ドットのフルHD。格安モデルに多い1366×768ドットに比べてより多くの文字を表示できる上に、写真や動画が精細に表示されます。
液晶ディスプレイの表面が非光沢のノングレア仕上げである点もポイント。眼精疲労の原因とも言われる映り込みが抑えられており、長時間集中して作業できます。
映像品質は格安モデル相当
液晶ディスプレイの解像度が高い点は高評価ですが、色合いがあまりよくありません。映像は青みがやや強く、コントラストは低め。表面の非光沢仕上げの影響もあり、色のメリハリが感じられませんでした。
格安モデルではよく見られる映像品質なのですが、1366×768ドットでは気にならないものの、フルHDではけっこう気になります。全体的に色が薄く感じました。とは言うものの内容はちゃんと確認できますので、映像品質にこだわらないなら問題なく使えるでしょう。
キーボードについて
キーボードはテンキー付きで、標準的な日本語配列を採用しています。キーピッチ(キーとキーの間隔)は実測19mmと十分なサイズ。ただしEnterキーがかなり細く、使い始めのうちは若干の違和感がありました。とは言え、使い続けるうちに慣れるでしょう。
キーストローク(キーを押し込む深さ)を測ったところ、1.5mmよりやや浅い程度でした。おそらく1.2~1.3mm程度だと思われます。キー入力時のクリック感は固めですが、ストロークが浅いため多少の物足りなさを感じました。
気になるのは、キーを軽く押しただけでもキーボードがたわむ点です。特にホームポジション(「F」キーと「J」キー)周辺のキーでたわみがやや大きく、入力時にグラつきが生じます。価格を抑えるためとは言え、この点は残念です。
ただしタイプ音は比較的静かです。指を滑らせるように軽く打つと「タクタクタク」という音で、特に気になりません。上から打ち下ろすようにして強くタイプするとそれなりに響きますが、高音域の耳障りな音は聞こえませんでした。
タッチパッドはサラサラとした手触りで、キビキビと動作しました。マルチジェスチャーもスムーズで、普通に利用できます。誤操作を防ぐためにクリック感はやや固めで、押した瞬間にカチッという音が聞こえました。
インターフェースと拡張性
用意されているインターフェース(端子類)は、十分な構成です。VGA(D-sub15ピン)は非対応ですが、困る場面は少ないはず。なお有線LANは転送速度が最大100Mbpsである点に注意してください。
右側面のインターフェース
- ① 電源コネクター
- ② 100BASE-TX対応有線LAN
- ③ HDMI
- ④ USB3.1 Gen1(フルサイズ)
左側面のインターフェース
- ⑤ SDメモリーカードスロット
- ⑥ ヘッドホン出力
- ⑦ USB2.0
- ⑧ 光学ドライブ
- ⑨ セキュリティースロット
パーツの交換は不可能ではありませんが、キーボードや光学ドライブを事前に外す必要がありちょっと面倒です。手順は公式サイトにまとめられているので、参考にしてください。
関連リンク
- Inspiron 15-3576サービスマニュアル(英語)
当サイトではNew Inspiron 15 3000 (3576) と同型のInspiron 15 3000(3567)について、メモリー増設やSSD交換の手順をまとめています。今回は貸出機を使ったため内部まで確認していませんが、ほぼ同じ手順で作業できるはずです。
https://komameblog.jp/review/inspiron15-3567-02/
駆動時間や発熱、騒音について
バッテリー駆動時間計測結果
ここからは、CPUにCore i5-8250Uを搭載したプレミアムモデルの検証結果を紹介します。CPUがCore i7-8550Uのプラチナモデルだと異なる結果が出る可能性が高い点に注意してください。
当サイトでの計測方法でバッテリー駆動時間のテストを行なったところ、以下の結果となりました。New Inspiron 15 3000 (3576) は据え置き用の15.6インチタイプですが、モバイルノートPCにも劣らない結果が出ています。実際の駆動時間は作業によって異なりますが、電源につないでいない状態でもそこそこ長時間利用できるでしょう。15.6インチタイプとしては優れたバッテリー性能です。
バッテリー駆動時間のテスト結果
BBenchによる計測 | 9時間56分 |
---|---|
PCMark 8による計測 | 4時間24分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
CPUと表面の温度について
CPUの温度を確認したところ、FF14ベンチ実行中に最大で99度に達しました。内部はかなり高温です。
ただしキーボード面はそれほど熱くなりません。排熱機能が効果的に動作しているものと思われます。
※本体温度の計測方法はコチラ
駆動音の計測結果
負荷の軽い作業では、駆動音(ファンの回転音や通気口からの排気音)はあまり聞こえません。しかし動画変換や3Dゲームなど負荷の高い作業では、排気音が大きくなります。うるさくて作業に集中できないほどではありませんが、静かな場所では注意しながら作業したほうが良さそうです。
駆動音の計測結果(室温22.6度)
電源オフ時 | 36.6dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 37.4dBA | ほぼ無音 |
動画視聴 | 38.8dBA | ファンの回転音がわずかに聞こえる |
動画変換 | 44.9dBA | 排気音がはっきりと聞こえるが、うるさいほどではない |
3Dゲーム | 50.5dBA | 排気音がけっこう大きい |
※駆動音の計測方法はコチラ
起動時間はやや早い
起動時間(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまで)は平均14.38秒でした。SSD搭載モデルとしては平均よりもちょっと速い程度です。特に待ち時間が長く感じるほどではありません。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
14.9秒 | 14.2秒 | 14.2秒 | 14.3秒 | 14.3秒 | 14.38秒 |
消費電力は低い
通常、dGPUを搭載したモデルは消費電力がdGPUなしモデルよりも大きくなります。しかしNew Inspiron 15 3000 (3576) はdGPUとしてRadeon 520を搭載しているにも関わらず、消費電力が低めでした。dGPU非搭載のモデルと、ほとんど変わりません。
ただしこれは、Radeon 520のパフォーマンスがそれほど高くないためだと思われます(後述)。
1分間の平均消費電力(REX-BTWATTCH1による計測)
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
7.2W | 12W | 30.6W | 53.4W |
※消費電力の計測方法はコチラ
ベンチマーク結果
前述のとおり、今回のテストではCore i5-8250U搭載のプレミアムモデルを使ってテストを実施しています。ベンチマーク結果はパーツ構成や個体差、環境、タイミングなどによって大きく変わることがある点を、あらかじめご了承ください。
試用機のスペック
CPU | Core i5-8250U |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD(SATA) |
ストレージ性能
アクセス速度の計測結果から、New Inspiron 15 3000 (3576)はSATA接続のSSDが使われていることがわかります。試用機ではシーケンシャルライトがやや遅いものの、HDDよりははるかに高速です。
CPU性能
マルチコア性能を計測するCINEBENCH R15では、Core i7-8550Uの平均値よりもはるかに優れた結果が出ました。ただし数値計算性能メインのPassMarkでは、Core i7-8550Uよりもやや低めです。突発的に出た結果かもしれませんが、熱によるパフォーマンスの低下も見られず、なかなか優秀なスコアだと言えます。
3D性能
New Inspiron 15 3000 (3576) はdGPUとしてRadeon 520を搭載していますが(SSDモデルのみ)、3D性能を計測するベンチマークテストではCPU内蔵のグラフィックス機能よりもちょっといい程度でした。おそらくこれはメインメモリーの一部をビデオメモリーに割り当てないためで、3D処理をサポートするためではないのでしょう。
dGPU非搭載の機種ではグラフィックス処理を行なう際にメインメモリーの一部が割り当てられるため、そのぶんのパフォーマンスが低下する恐れがあります。しかしNew Inspiron 15 3000 (3576) はRadeon 520内の専用ビデオメモリー(2GB)を利用するため、メインメモリーの使用領域が減りません。あくまでもWindows 10を快適に使うためのdGPUであると考えてください。
とは言うものの、ドラクエ10など軽めの3Dゲームであれば快適に楽しめそうです。中規模クラスのFF14については標準品質で「やや快適」という評価ですが、FPSがかなり低いのでおすすめしません。
ゲーム系ベンチマーク結果(1920×1080ドット)
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中規模クラスの目安 | |||
---|---|---|---|
最高品質 | 高品質(ノートPC) | 標準品質(ノートPC) | |
1257(設定変更が必要)※7.742 FPS | 1912(設定変更を推奨)※12.249 FPS | 2834(やや快適)※18.696 FPS | |
ドラゴンクエストX ※軽めのゲームの目安 | |||
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
6629(快適) | 9371(とても快適) | 11221(すごく快適) |
中身はハイエンド級の高コスパモデル
ベンチマーク結果を見るとおわかりのように、New Inspiron 15 3000 (3576)は性能的にはハイエンドクラスです。しかし値段は税込でも8万円前後からとリーズナブル。本体デザインや液晶ディスプレイの映像品質、キーボードの使い勝手などについては格安モデルと変わらないものの、純粋にPCとしての性能だけを考えればコスパは高いと言えるでしょう。
デザインや使い勝手にはこだわらず、とにかく高い性能のノートPCを安い価格で入手したいという人におすすめです。
New Inspiron 15 3000 (3576)のまとめ
- ハイスペックなのに安い
- フルHDで非光沢の画面
- ディスプレイとキーボードが格安モデル相当
New Inspiron 15 3000 (3576)
税込7万円台から
※記事中の価格や構成は記事執筆時点のもので、変更される場合があります