もっともコスパが高いゲーミングノートPCはコレ!
2017年5月の時点で、エントリー(初心者)向けのゲーミングノートPCとしてもっともコスパが高いのは、dGPU(専用グラフィックス)としてGeForce GTX 1050/1050 Tiを搭載したデルの「Inspiron 15 7000 ゲーミング」だと筆者は考えています。
ドラクエ10やFF14はもちろん、海外の重量級ゲームも(画質調整によって)快適に遊べる性能を持ちながら、最安モデルの実売価格は10~11万円前後と非常にリーズナブルです。GTX 1050/1050 Ti搭載の他社モデルだと12~15万円からですので、いかにInspiron 15 7000 ゲーミングが安いかおわかりでしょう。
しかし、PCパーツに詳しい人なら「GTX 1050/1050 Tiで大丈夫?」と思うかもしれません。確かにGTX 1050/1050 TiはエントリークラスのGPUで、中上位クラスを比べると性能は控えめです。しかし実機を検証したところ、初心者から中級者には十分なパフォーマンスであるとの結果が出ました。
そこで今回はメーカーからお借りしたInspiron 15 7000 プラチナモデルを使って、実際のゲームの快適さや本体デザインなどについてレビューします。
この記事の目次
Inspiron 15 7000 ゲーミング
税込10~11万円前後から
Inspiron 15 7000ゲーミングのスペック
Inspiron 15 7000 ゲーミングには、パーツ構成の異なる3種類のモデルがラインナップされています。それぞれのスペックは、以下の表のとおり。それぞれCPUの種類とメモリー容量、ストレージ構成が異なります。
■Inspiron 15 7000ゲーミングのスペック
CPU | スタンダード・GTX 1050搭載 | スタンダード・GTX 1050 Ti搭載 | プレミアム | プラチナ |
---|---|---|---|---|
CPU | Core i5-7300HQ | Core i7-7700HQ | ||
グラフィックス | GeForce GTX 1050(4GB ) | GeForce GTX 1050 Ti(4GB ) | ||
メモリー | DDR4 8GB | DDR4 8/16GB | ||
ストレージ | 256GB SSD | 128GB SSD + 500GB HDD | 1TB SSHD / 128GB SSD + 1TB HDD / 256GB SSD + 1TB HDD | |
光学ドライブ | なし | |||
ディスプレイ | 15.6型、1920×1080ドット、非光沢 | |||
無線機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN(11ac時最大433Mbps)、Bluetooth 4.2 | |||
インターフェース | USB3.0×3、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 | |||
バッテリー | 74Whr | |||
サイズ/重量 | 幅384.9×奥行き274.73×高さ25.44mm/約2.65kg~ | |||
標準価格(税込み) | 11万8778円 | 12万9578円 | 14万0378円 | 14万0378円から |
実売価格(税込み) | 10~11万円前後 | 11~12万円台 | 12~13万円 | 12~15万円 |
標準価格は他社製モデルとあまり変わりませんが、この値段で販売されることはめったにありません。デルでは常にセールやキャンペーンが実施されており、タイミングによって値段が大きく変わります。最新価格は以下のページからご確認ください。
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- Inspiron 15 7000 ゲーミングのセール情報
ベンチマーク結果について
Inspiron 15 7000 ゲーミングではdGPUとして、エントリークラスのGeForce GTX 1050またはGeForce GTX 1050 Ti(以下、GTX 1050またはGTX 1050 Ti)を搭載しています。初心者向けのエントリークラスとは言ってもゲームには十分な性能で、前世代のデスクトップ向けミドルレンジクラス相当のパフォーマンスを実現可能です。
GTX 1050とGTX 1050 Tiでは、GTX 1050 Tiのほうが高性能です。どちらかと言えば、GTX 1050 Tiのほうがゲームの快適さがワンランクアップするのでおすすめ。ただしGTX 1050でも国内で人気のゲームをプレーするには、十分な性能を持っています。
■ノートパソコン向けGPUの性能
GPU | 分類 | Fire Strikeスコア(平均値) |
---|---|---|
GeForce GTX 1070 | ハイエンド(上級者) |
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GeForce GTX 1060 | ミドルレンジ(中級者) |
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GeForce GTX 1050 Ti | エントリー(初心者) |
|
GeForce GTX 1050 | エントリー(初心者) |
|
検証で使った試用機のスペックは、以下の表のとおりです。今回はCore i7+16GBメモリー+デュアルストレージ構成のプラチナモデルを利用しました。なおベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミングなどによって大きく変わることがありますので、参考程度に考えてください。
■試用機(プラチナモデル)のスペック
CPU | Core i7-7700HQ |
---|---|
グラフィックス | GeForce GTX 1050 Ti(4GB ) |
メモリー | DDR4 16GB |
ストレージ | 256GB SSD + 1TB HDD |
もっとも安いスタンダードモデルでは検証を行なっていませんが、Core i5-7300HQ+GTX 1050搭載でほぼ同じスペックのHP Pavilion Power 15を検証しています。ある程度は参考になるはずですので、スタンダードモデルが気になる方はチェックしてみてください。
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3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D性能を計測する「3DMark」の結果は以下の表のとおりです。さすがにミドルレンジのGTX 1060やハイエンドのGTX 1070よりは劣りますが、前世代のハイエンド向けであるGTX 970Mとほぼ同等の結果が出ています。
■3DMarkベンチマーク結果
Time Spy(DX12) | 2,428 |
---|---|
Fire Strike(DX11,FHD) | 6,451 |
Fire Strike Extreme(DX11,WQHD) | 3,403 |
Fire Strike Ultra(DX11,4K) | 1,802 |
Sky Diver(DX10) | 18,621 |
Cloud Gate(DX10) | 19,943 |
Ice Storm(DX9) | 60,415 |
■ほかのGPUとの比較(当サイトの計測結果)
GPU | Fire Strikeスコア |
---|---|
GeForce GTX 1070 |
|
GeForce GTX 1060 |
|
GeForce GTX 980M |
|
GeForce GTX 970M |
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GeForce GTX 1050 Ti |
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GeForce GTX 965M |
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GeForce GTX 960M |
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ドラクエ10ベンチ
「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」では1920×1080ドットの最高画質で、最高評価の「すごく快適」という結果が出ました。このゲームについてはストレスなくプレーを楽しめるでしょう。
FF14ベンチ
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」でも1920×1080ドットの最高画質(DirectX 9)で、最高評価の「非常に快適」という結果です。ベンチマーク中の平均フレームレートは75.7FPSでしたので、パーティ戦でも問題なくプレーできるでしょう。
より負荷の高いDirectX 11モードではスコアがやや落ちましたが、それでも「非常に快適」という評価は変わりません。ただし平均フレームレートが58.1FPSまで低下しています。最高画質では少々厳しいかもしれませんので、設定変更をおすすめします。
最新版の「紅蓮のリベレーター」についてですが、検証タイミングの都合上、Inspiron 15 7000ゲーミングでテストできませんでした。そのため、蒼天のイシュガルドの結果からやや落ちると考えてください。おそらくDirectX 9モードでは問題ないはずですが、DirectX 11モードではシーンによってカクつきが目立つかもしれません。
海外ゲームのベンチマーク
海外ゲームのベンチマーク機能を使ってみたところ、フルHDの最高画質では平均35FPS前後という結果となりました。理想は60FPSオーバーなのですが、30FPSでもプレーできないレベルではありません。しかしシーンによっては画面がカクカクするので、設定を変更したほうがいいでしょう。
■フルHD&最高画質時のベンチマーク結果
Rise of the Tomb Raider | ||
---|---|---|
37.65FPS | 画質:最高、DirectX 12、アンチエイリアス:FXAA | |
Tom Clancy’s The Division | ||
33.8FPS | 画質:ウルトラ、DirectX 12 | |
Far Cry Primal | ||
37FPS | 画質:最高、HDテクスチャー:ON、DirectX 11 |
試しにプリセットを標準画質に変更したところ、フレームレートが55FPS前後まで改善されました。この程度なら問題なく楽しめますが、より快適にプレーしたいならさらに画質か解像度を落とすことをおすすめします。
■フルHD&中画質時のベンチマーク結果
Rise of the Tomb Raider | ||
---|---|---|
58.51FPS | 画質:中、DirectX 12、アンチエイリアス:FXAA | |
Tom Clancy’s The Division | ||
54.6FPS | 画質:中、DirectX 12 | |
Far Cry Primal | ||
55FPS | 画質:ノーマル、HDテクスチャー:OFF、DirectX 11 |
CPU性能について
CPU性能を計測する「CINEBENCH R15」では、マルチコア性能を表わす「CPU」で非常に優れた結果となりました。当サイトで計測したCore i7-7700HQの平均値を若干下回っているものの、ノートパソコンとしては十分すぎる結果です。
ちなみに前世代のデスクトップパソコン向けであるCore i7-6700のスコアが730~820cbあたりでしたので、ひと世代前のハイエンドデスクトップパソコンに迫る性能だと言っていいでしょう。
■ほかのCPUとの比較(当サイトの計測結果)
CPU | CINEBENCH R15 CPUスコア |
---|---|
Core i7-7700 |
|
Core i7-6700 |
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Core i7-7700HQ |
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Core i7-6700HQ |
|
Core i5-6300HQ |
|
Core i7-7500U |
|
Core i5-7200U |
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ストレージのアクセス速度
上位モデルには、256GB SSDと1TB HDDが搭載されています。どちらもSATA接続で、アクセス速度は平均的です。エントリー向けのゲーミングノートPCとしては、問題ない構成だと言えるでしょう。
ただしSSDの容量が256GBでは、のちのち足りなくなってくるかもしれません。最近の大作ゲームは30~60GBの容量が必要なこともあり、SSDにインストールするのであれば、いずれ既存のゲームをアンインストールすることになります。複数のゲームをより快適にな環境で残しておきたいなら、容量が厳しくなってきた段階でHDDをSSDに交換するのもアリです。
パソコンとしての総合性能
パソコンを使った作業の快適さを計測する「PCMark 8」では、ノートパソコンとしては優れた結果となりました。ゲームはもちろん、写真の加工や動画のエンコードなどでも快適に使える性能です。
VR性能について
VRコンテンツの快適さを計測する「VR Mark」では、理想とされる90FPSに若干足りない83.91FPSという結果でした。プレーできないレベルではありませんが、VRを楽しみたいのであればより性能の高い別モデルをおすすめします。
国内ゲームはOK! 海外ゲームは条件付きで可
ベンチマーク結果を総合的に見てみると、国内で人気のある中規模クラスのゲームであれば概ね快適に遊べる性能であることがわかります。海外ゲームの重量級大作ゲームであれば、画質や解像度を変更する必要があるでしょう。国内ゲーム中心で、ときどき海外ゲームをプレーしてみたい人におすすめです。
本体デザインについて
ここからは、Inspiron 15 7000 ゲーミングの本体デザインについてレビュ-します。
大きさと重量について
本体サイズは、幅384.9×奥行き274.73×高さ25.44mmです。ゲーミングノートPCとしては標準的な大きさですが、厚さについてはスリムな印象を受けました。
液晶ディスプレイについて
個人的にInspiron 15 7000 ゲーミングでいちばん残念に感じている点が、液晶ディスプレイの映像品質です。やや青みがかった色合いで、コントラストは低めでした。発色という点では、IPSパネルよりも劣ります。おそらくTNパネルが使われているのでしょう。
ただしTNパネルはIPSパネルよりも応答速度が速く、ゲーム用には向いています。コントラストが低いのも、光沢を抑えるノングレア仕上げが影響しているはずです。光沢があると光の映り込みがジャマに感じたり眼が疲れやすくなったりするので、長時間ゲームをプレーしたい人のための配慮かもしれません。
以上の点から映像品質にはやや不満は残りますがノートパソコンとしては標準的であり、ゲーム用としても悪くない液晶ディスプレイだと思います。
キーボードについて
キーボードはテンキー付きの105キー構成です。キーピッチ(キーとキーの間隔)は理想とされる19mmで、キーストローク(キーを押し込む深さ)は実測で1.5mmでした。キーストロークはノートパソコンとしては標準的なのですが、ゲーミングノートPCとしてはやや物足りなさを感じます。
タイプ時には確かなクリック感が感じられます。底打ち感はややありますが、気になるほどではありません。キーを押したときのたわみも控えめでした。
デルInspiron 15 7000 ゲーミングのキーボードのたわみ具合 pic.twitter.com/NjRdtujmbK
— こまめブログ(広告を含みます) (@littlebeansinfo) May 15, 2017
ちょっと残念なのは、Enterキー周辺のキー配列が独特点である点です。独特と言っても、デルのノートパソコンにはよくあるタイプなのですが、一部のキーが隣接しています。実際に使ってみるとそれほど違和感はないのですが、筆者の場合はBackSpaceキーを押す際に「¥」キーを押してしまうことがたびたびありました。慣れればミスは減るかもしれません。
タッチパッドは、パッドとボタンが一体化したタイプです。カーソルの追従性については問題ないのですが、クリック感が浅く感じました。ただゲームにはマウスを使うことになるので、特に気にする必要はないかもしれません。
インターフェースについて
Inspiron 15 7000 ゲーミングには周辺機器等の接続用にUSB3.0×3、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力が用意されています。ゲーミングノートPCのなかにはDisplayPortやUSB 3.1 Type-Cに対応しているものもありますが、エントリー向けとしては十分な構成です。
光学ドライブには非対応である点に注意してください。DVDやBlu-rayを利用する場合は、別途外付けドライブを用意する必要があります。
Inspiron 15 5000 ゲーミングとの違いについて
デルからはさらに安いゲーミングノートPCとして「Inspiron 15 5000 ゲーミング」というモデルが発売されています。
Inspiron 15 5000 ゲーミングは、実売価格が7~9万円程度とリーズナブルな点が魅力です。性能については安いだけあって控えめですけれども、ドラクエ10やFF14をフルHDでなんとか快適に楽しめる性能を持っています。海外ゲームについては、かなり厳しいかもしれません。
パフォーマンス面ではInspiron 15 7000 ゲーミングを大きく下回りますが、ドラクエ10やPSO2用のゲーミングノートPCをとにかく安く入手したい人におすすめです。詳しくはレビュー記事をご覧ください。
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これからPCゲームを始めたい人におすすめ
ということで、今回はデルのゲーミングノートPC「Inspiron 15 7000 ゲーミング」のレビューをお届けしました。ベンチマーク結果を見るとわかるように、FF14あたりまでならフルHDの高画質でも快適にプレーできます。FF14やドラクエ10、PSO2などからPCゲームを始めたいという人にはピッタリでしょう。海外ゲームでもオーバーウオッチなど軽めのタイトルであれば、ストレスなく楽しめます。ゲーミングノートPCとしては値段も手頃ですので、入門用におすすめします。
Inspiron 15 7000 ゲーミングは、デルの直販サイトで販売されています。購入する場合や支払い方法/納期などを知りたい場合は、公式サイトをご確認ください。
Inspiron 15 7000 ゲーミング
税込10~11万円前後から