デスクトップパソコンレビュー

Inspiron 3020レビュー:第13世代搭載でグラボにも対応するミニタワー型PC

3.0
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Inspiron 3020

機材貸し出し:デル・テクノロジーズ株式会社

デルの『Inspiron デスクトップ』(以下、”Inspiron 3020″)は、ミニタワー型のデスクトップPCです。DVDの再生と書き込みが可能な光学ドライブ搭載で、モデルによってはGPU(専用グラフィックスまたはグラボ)も搭載可能。事務作業からグラフィックス処理まで利用可能な、さまざまなモデルが用意されています。

Inspiron 3020

Inspiron 3020

記事執筆時の価格

スペック 価格
Core i5-13400 / 8GB / 256GB SSD + 1TB HDD 9万2290円
Core i5-13400 / 16GB / 512GB SSD 9万7289円
Core i7-13700 / 16GB / 1TB SSD 13万4290円
Core i5-13400 / 16GB / 1TB SSD / GTX 1660 SUPER 13万5889円
Core i7-13700 / 16GB / 512GBB SSD + 1TB HDD / RTX 3050 17万6899円

※2023年11月1日時点

 

レビューにあたりひととおり触ってみましたが、性能も機能もまずまずといったところ。ただし記事執筆時点の価格は、かなりお高めです。また最近人気のミニPCと比べると、筐体サイズが大きい点がネック。あえてこの大きさを選ぶのに、理由があるならアリでしょう。

この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。

 

スペック

発売日 2023年1月6日
OS Windows 11 Home / Pro、Windows 10 Pro
CPU Core i5-13400 / Core i5-13400F(グラボ付きモデルのみ) / Core i7-13700
メモリー 8GB×1 /  16GB×1 ※スロット2基、DDR4-3200、最大64GB
ストレージ 512GB / 1TB SSD / 256GB SSD + 1TB HDD / 512GB SSD + 1TB HDD
グラフィックス UHD Graphics 730 / 770(CPU内蔵)
フォームファクター ミニタワー型(14.7L) ※独自規格
M.2スロット 2 (ストレージ用×1、Wi-Fiカード用×1)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
ドライブベイ 3.5インチ×1
拡張スロット PCI Express 3.0 x16 ×1、PCI Express 3.0 x1×1
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth、有線LAN(1Gb)
電源 180W / 460W
サイズ / 重量 幅154×奥行き293×高さ324.3mm / 約4.94kg
オフィス なし / Office 2021(Personal / Home & Business)

本体デザイン

外観

Inspiron 3020

Inspiron 3020の外観。本体はブラックに見えますが、樹脂製のフロントパネルはやや青みがあります

Inspiron 3020

左側面。奥行きは293mm

Inspiron 3020

右側面

Inspiron 3020

前面と背面。幅は154mmで、高さは324.3mm

 

インターフェース構成

Inspiron 3020

前面にはスリム型のDVDスーパーマルチドライブ、電源ボタン、SDカードスロット、ヘッドホン端子、USB2.0×2、USB3.2 Gen1×1、USB3.2 Gen1 Type-C(データ通信のみ)

Inspiron 3020

背面にはライン出力、HDMI(最大1920×1080ドット)、DisplayPort 1.4、USB3.2 Gen1×2、USB2.0×2、有線LAN。グラボ付きモデルの場合は、グラボに付属の映像出力を利用します

パーツの交換について

本体の分解方法

Inspiron 3020

背面のネジを外せば、左側面からカバーを外せます

メモリーの増設

Inspiron 3020

メモリースロットは2基。対応規格はDDR4-3200で、最大容量は64B

SSDの増設

Inspiron 3020

標準のSSDは拡張スロット上部に設置されています。Type 2280も利用可能

Inspiron 3020

フロントパネル裏に3.5インチドライブベイ

そのほかのパーツ

Inspiron 3020

ファネアフローカバーを取り外した状態。Core i5-13400モデルでは、シンプルなCPUクーラーが使われていました

Inspiron 3020

グラボなしモデルでは180Wの80PLUS BRONZE電源が使われています。グラボありモデルは460W

ベンチマーク結果

試用機のスペック

CPU Core i5-13400(10コア/16スレッド)
メモリー 8GB×1 DDR4-3200
ストレージ 256GB SSD + 1TB HDD
グラフィックス UHD Graphics 730(CPU内蔵)

※各種ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります

CPU性能

CPUとしては、第13世代のスタンダードデスクトップPC向けであるCore i5-13400(10コア16スレッド)とCore i5-13400F(10コア16スレッド)、Core i7-13700(16コア24スレッド)が使われています。Core i5-13400Fがグラフィックス機能なしのCPUで、グラボ付きモデルでのみ利用可能です。

 

Core i5-13400搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、負荷の高いマルチスレッド(マルチコア)のテストでは、同じCPUの平均値をやや下回りました。シングルスレッド(シングルコア)のテストでは平均値を上回る結果が出ています。これは、CPUが熱の影響を受けている際によく見られる現象です。空冷ファンが非常にシンプルなので、熱対策が追いついていないのかもしれません。Core i7モデルだと、その影響がより大きくなる可能性があります。

 

デスクトップPC向けCPUのマルチスレッド性能

CPU 3DMark CPU Profile Max threads
Core i7-13700
12008
Core i7-12700
9583
Core i5-13400
7350
Inspiron 3020(Core i5-13400)
6939
Core i5-12400
5957
Core i3-13100
4226
Core i3-12100
4043

※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値

 

デスクトップPC向けCPUのシングルスレッド性能

CPU 3DMark CPU Profile 1 threads
Core i7-13700
1101
Core i7-12700
1021
Inspiron 3020(Core i5-13400)
976
Core i5-13400
969
Core i3-13100
941
Core i3-12100
901

※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値

グラフィックス性能

グラボなしモデルではCPU内蔵のグラフィックス機能、グラボありモデルでは専用GPUが使われます。グラボなしモデルの3Dベンチマークテスト結果はかなり低く、ゲームや動画編集での効果は期待できません。基本的に文字や数値データを扱うための機種です。グラボ付きモデルならグラフィックス系ソフトでの効果を期待できるでしょう。

 

デスクトップPC向けGPU性能(DirectX 12,WQHD)

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 3050
6204
GTX 1650
3555
Inspiron 3020(UHD 730)
561

※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。

 

テストでは、目標値は大きくクリアーしました。4~6万円台のミニPCと比べると、同程度かやや劣る程度の結果が出ています。性能面よりも、そのほかの価値で検討するべきでしょう。

 

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
(一般的な利用)
目標値:4100
検証機10496
LarkBox7142
NucBox10603
IdeaCentre10299
M75q10256
Productivity
(ビジネス利用)
目標値:4500
検証機7704
LarkBox4879
NucBox9709
IdeaCentre7128
M75q9930
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
目標値:3450
検証機5456
LarkBox2515
NucBox6044
IdeaCentre6586
M75q5707

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

比較機のスペック(ミニPC)

LarkBox X 2023 Intel N100 / 12GB / UHD
NucBox10 Ryzen 7 5800U / 16GB / Radeon
IdeaCentre Mini Gen 8 Core i5-13500H / 8GB / UHD
ThinkCentre M75q Gen2 Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon

改造して使える点が魅力?

Inspiron 3020

手のひらサイズのミニPCで十分な性能を発揮できるいま、ミニタワー型 / スリム型PCの立ち位置は微妙です。それでもあえてメリットをひねり出すとしたら、「パーツの交換が手軽」「本体内部のスペースに余裕があるので熱がこもりにくい」といったところでしょうか。人によっては、光学ドライブを内蔵できる点がうれしいかもしれません。

 

ただし、記事執筆時点ではグラボなしのCore i5モデルが8GBメモリーで9万円と、値段がかなり高めです。スリム型のVostro 3020が似たような構成で6万2900円なので、そちらを選ぶといいでしょう。

関連リンク

Vostro 3020 スモールデスクトップ(2023年1月10日発売)
タイミングによっては、Inspiron 3020も安く販売されるかもしれません。6~7万円台あたりが狙い目です。

 

ちなみにInspiron 3020は、HDMI出力で1920×1080ドットまでしか表示できません。デュアルディスプレイで使いたい、WQHDや4K解像度で使いたいなどの希望がある場合は、安い旧世代のグラボを利用するといいでしょう。

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記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

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