デルの『Inspiron 13 ノートパソコン』(以下、”Inspiron 13 5330″)は、13.3インチディスプレイ搭載のモバイルノートPCです。CPUは、インテルの第13世代Coreプロセッサを採用。一般的な13インチタイプよりも本体が小さいながらも、高いパフォーマンスを実現しています。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Core i3-1315U / 8GB / 256GB/ FHD+ | 9万7000円 |
Core i5-1340P / 16GB / 512GB/ QHD+ | 10万7939円 |
Core i7-1360P / 16GB / 512GB / QHD+ | 12万1536円 |
※2023年10月18日時点
CPU性能を計測するテストでは、かなり優秀な結果が出ました。値段はそれほど安くはないものの、高いパフォーマンスのモバイルノートPCとしてはアリです。ただし熱が高く、部分的に熱さを感じたり、排気音が大きく感じることがあるでしょう。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Inspiron 13 5330
スペック
発売日 | 2023年1月31日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
ディスプレイ | 13.3インチ 1920×1200ドットまたは2560×1600ドット WVA 300nit 100% sRGB |
CPU | Core i3-1315U / Core i5-1340P / Core i7-1360P |
メモリー | 8 / 16GB LPDDR5-4800 ※オンボード |
ストレージ | 256 / 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | UHD /Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
インターフェース | Thunderbolt 4(USB PD充電 / 映像出力対応)×2、USB 3.2 Gen1 Type-A ×1、HDMI(最大1920×1080@60Hz)、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
生体認証 | 指紋認証(オプション) |
サイズ / 重量 | 幅296.68mm、奥行き213.5mm、高さ14.35~15.65mm / 約1.24kg |
バッテリー | 4セル 54Whr ※駆動時間は非公開 |
本体デザイン
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-1340P(12C16T、Pコア×4+Eコア×8、28W) |
---|---|
メモリー | LPDDR5x-4800 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第13世代の薄型ノートPC向けであるCore i3-1315U / Core i5-1340P / Core i7-1360Pが使われています。
中位モデルのCore i5-1340P搭載機でCPUベンチマークテストを行なったところ、非常に優秀な結果が出ました。モバイルノートPCとしては非常に高性能です。
ちなみに電源モードを標準の「バランス」と高パフォーマンス設定の「最適なパフォーマンス」でテストを行なったところ、消費電力が低いはずの「バランス」のほうで優れた結果が出ました。おそらく「最適なパフォーマンス」ではCPUの熱が上昇し、その影響で性能が抑えられたのかもしれません。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Inspiron 13 (Core i5-1340P, バランス) |
21481
|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Inspiron 13 (Core i5-1340P, 最適なパフォーマンス) |
20018
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Core i7-1355U |
15636
|
Core i3-1315U |
13033
|
Ryzen 3 7330U |
10909
|
Core i3-N305 |
10265
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Ryzen 3 7320U |
9249
|
Intel N100 |
5638
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Inspiron 13 (Core i5-1340P, バランス) |
3803
|
Core i7-1360P |
3670
|
Core i5-1335U |
3665
|
Core i7-1355U |
3606
|
Core i3-1315U |
3573
|
Inspiron 13 (Core i5-1340P, 最適なパフォーマンス) |
3411
|
Ryzen 7 7735U |
3289
|
Ryzen 7 7730U |
3228
|
Ryzen 5 7530U |
3136
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3089
|
Ryzen 5 7520U |
2573
|
Ryzen 3 7320U |
2485
|
Core i3-N305 |
2279
|
Intel N100 |
1971
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のUHD Graphics(Core i3)またはIris Xe Graphics(Core i5/i7)が使われます。3Dベンチマークテストの結果は同じIris Xe Grapghicsの平均値よりもやや上程度。最近の内蔵グラフィックスとしては標準的な結果です。ゲームやクリエイター向けソフトでは、多少の効果が見込めるでしょう。
内蔵グラフィックスの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3445
|
Radeon(RDNA 3) |
2862
|
Radeon 680M(Zen3+) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR) |
1528
|
Inspiron 13 (Iris Xe, Core i5+LPDDR5) |
1457
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR) |
1302
|
Radeon (Zen3) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR) |
1149
|
Radeon (Zen2+) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ストレージ性能
ストレージには、256GBまたは512GBのSSDが使われています。使用機で使われていたのはキオクシアの「BG5シリーズ」(KBG50ZNS512G)です。PCIe Gen4 x4の高速規格に対応していますが、アクセス速度の計測結果はPCIe Gen3 x4程度でしかありません。
ただしこれは、SSDからの発熱を抑えるためだと思われます。計測結果はBG5シリーズの公称スペック(R 3500MB/s、W 2700MB/s)と大きく変わりません。Inspiron 13 5330では内部の熱を抑えるために、あえて速度を抑えたSSDを使っているのでしょう。高速タイプではないものの、一般的な利用には十分な性能です。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は大きく上回っています。しかしマルチコア性能が強く影響するビジネス利用のテストでは、スコアがやや伸び悩みました。CPUに高い負荷のかかる処理のため、発熱を抑えるためにパフォーマンスが落ちているのかもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10272
10616
10917
9869
10258
10501 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7278
10003
9572
8854
7417
7622 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6737
6018
6536
8298
6026
6624 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 | Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon |
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公開されていません。そこでCore i5モデルを使ってビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から10時間31分で休止状態へ移行しました。それほど重くはない処理とは言え、これだけもてば十分なはずです。なお電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Core i5モデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 10時間31分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 54分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間29分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
熱と騒音について
今回試用したCore i5-1340Pモデルでは、高負荷時にキーボード上部がかなり熱くなりました。機器が不調で計測できなかったのですが、触り続けるのがツラく感じるほどの熱さです。本体内部の熱は、かなり上昇していると思われます。
電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定して高負荷時におけるCPUの温度を計測したところ、平均では97.3℃、最大では100度に達していました。仕様上の最大クロックはPコアで4.60GHz、Eコアで3.40GHzとされていますが、実機ではPコアでおよそ2.87GHz、Eコアで2.35GHzと低く抑えられています。
センサーのログを確認すると、Pコアでサーマルスロットリング(熱による性能低下)がたびたび発生していました。やはり熱による影響が出ているようです。
駆動音(ファンの回転音や排気口からの風切り音)は、高負荷時に大きく聞こえます。外出先で利用するなら、標準設定あるいはパフォーマンスを抑えた静音設定で利用するといいでしょう。屋内で利用する際は、ノートPC冷却台などの熱対策も有効です。
駆動音の計測結果
電源オフ | 36.8dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 36.8dBA前後 | ほぼ無音 |
軽作業中 | 37dBA前後 | 待機時とほぼ変わらない |
高負荷時 | 48.4dBA前後 | 排気音が大きい。体感的には、ゲーミングノートPCと同等レベル。静かな場所ではうるさく聞こえる |
性能は高いが熱も高い
筐体は、非常にコンパクトです。ミドルレンジ(中級)クラスの機種でありながら、高級感もあります。重さは1.2kgでモバイルノートPCとしては特別軽いわけではありませんが、性能や頑丈さを考えれば納得できるでしょう。高性能なモバイルノートPCとしてはアリです。
しかし、CPUの熱が高い点が気になります。筐体もそれなりに熱くなっていますし、そのぶん排気音も大きめです。ヘッドホンやイヤホンを使いながら作業すれば気にならないかもしれませんが、静かな環境で作業したい場合には熱対策が必要となるでしょう。そのあたりを外出先でも対応できるならアリ。
Inspiron 13 5330
*
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