いま14インチタイプのノートPCを購入するなら、デルのInspiron 14 5000 (5415) (以下、”Inspiron 14 5415 “)がおすすめです。価格は7~8万円台でノートPCとしては普通の値段ですが、とにかく性能がスゴイ。AMDのRyzenシリーズ搭載で、10万円オーバーの他機種を軽く上回ります。本体の仕上がりも上々で、トータルのコスパの高さは抜群です。
主なラインナップ
プレミアム | |
---|---|
6万円台後半 | |
プレミアム(Office付) | |
8万円台前半 | |
プラチナ | |
8万円台半ば | |
プラチナ(Office付) | |
9万円台後半 |
※2021年5月4日時点、価格はタイミングによって変わります
ここがスゴイ①圧倒的なパフォーマンス
Inspiron 14 5415で使われているRyzenモバイル5000シリーズは、2021年1月にリリースされた最新APU(CPU)です(記事執筆時点)。CPUとしての基本性能が非常に高く、現行世代のCore i5 / Core i7を上回るほど。特に上位のRyzen 7 5700UはノートPCとしてはトップクラスで、並みのデスクトップPCをもしのぎます。
ここがスゴイ②高級感のあるボディ
筐体にはねじれに強いアルミニウムを使用。見た目や手触りからは、高級感が感じられます。重量は1.44kgで少し重いのですが、同価格帯の他機種よりもスリム&コンパクトです。ディスプレイの映像品質も普通に使えるレベル。
ここがスゴイ③メモリーを増設可能
Inspiron 14 5415のメモリー容量は8GBです。シングルチャネルで動作するため、グラフィックス処理で本来の性能を出しきれません。しかし底面部のカバーを開けば、自分でメモリーの増設が可能。最大32GBまで容量を増やせます。なおメモリーを増設するとメーカー保証のサポート外となるため、自己責任の上で行なってください。
Inspiron 14 5415のスペック
OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
---|---|
画面サイズ | 14インチ |
解像度 | 1920×1080 |
CPU | ・Ryzen 5 5500U ・Ryzen 7 5700U |
メモリー | 8GB (8GB×1) ※スロット2基、DDR4-3200、最大32GB |
SSD | ・256GB ・512GB |
HDD | なし |
グラフィックス | Radeon Graphics |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | ※表記なし |
色域 / 輝度 | NTSC 45% / 250nit |
幅×奥行き | 321.27×212.8mm |
厚さ | 17.99mm |
重量 | 最小1.442kg |
バッテリー | 4セル 54WHr ※駆動時間は非公開 |
※2021年5月4日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ・プラチナシルバー ・ピーチダスト |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | WVA(広視野角) ※IPS相当 |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5 |
USB3.2 | 2(Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 1(3.2 Gen1。DP/PD対応) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | オプション |
付属品 | 65W ACアダプターなど |
オフィス | ・なし(オプションで追加可能) ・付属モデルあり |
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
※2021年6月8日時点
旧モデルInspiron 14 5405との違い
この記事で取り上げるのは、2021年発売の「Inspiron 14 5415」です。2020年発売の前モデル「Inspiron 14 5405」とはAPU以外のパーツ構成やインターフェース構成は同じですが、サイズが若干小型化しました。またバッテリー容量も増えていますが、そのぶん重量がわずかに増えています。
新旧モデルの違い
Inspiron 14 5415 | Inspiron 14 5405 | |
---|---|---|
発売 | 2021年4月 | 2020年6月 |
APU | Ryzenモバイル5000シリーズ | Ryzenモバイル4000シリーズ |
グラフィックス | Radeon Graphics | |
メモリー | DDR4-3200 最大32GB | |
ストレージ | 256 / 512GB SSD | |
ディスプレイ | 14インチ 1920×1080 | |
無線LAN | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5 |
サイズ | 幅321.27×奥行き212.8×高さ17.99mm | 幅321.3×奥行き216.2×高さ18.4mm |
重量 | 1.442kg~ | 1.36~1.4kg |
バッテリー駆動時間 | 4セル 54WHr | 3セル 40WHr |
※2021年5月4日時点
デザインと使いやすさ
外観について
Inspiron 14 5415は値段のわりに性能が異様に高い機種ですが、だからといって本体の仕上がりが悪いわけではありません。むしろ同価格帯の他社製品よりも高品質です。デル製品は2年前まではやや野暮ったい印象でしたが、最近の機種はかなり洗練されています。
ボディは質感と剛性(ねじれに対する強さ)に優れるアルミニウム製。本体カラーとしては、プラチナシルバーとピーチダストの2色が用意されています。明るいカラーの天板と、やや暗めのパームレスト&底面部の構成。個人的にはすべて同じ色のほうが統一感があるように思います。
本体は14インチクラスとしてはコンパクトです。手持ちのThinkPad X1 Carbon 2019年モデルよりも小さく、値段を考えればなかなかの出来栄えではないでしょうか。重量は軽いわけではないものの、持ち歩けないほどではありません。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは14インチで、解像度は1920×1080ドットです。ノートPCのなかで人気の高い15.6インチよりも、画面がひと回り小さめ。とは言えデスクトップが150%に拡大表示されているので、文字が小さくて読みづらいと感じることはあまりないでしょう。作業領域としては、十分な大きさです。
映像は自然な色合いです。ちょっとマニアックに見ればやや暗めで黄色が強い印象ですが、普段の作業では違和感はないでしょう。ただ公称スペックでは色域がNTSC 45%(sRGB 62.5%相当)とのことなので、クリエイティブワーク向けではありません。
なお公称スペックに明記されている「WVA」は「Wide View Angle(広視野角)」の略で、パネルの駆動方式を表わすものではありません。映像品質や視野角は、IPSパネル相当です。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライトに対応しています。キーピッチは横19mm縦18mmで若干横長ですが、違和感はありませんでした。旧モデルに比べてキーピッチが0.3mm程度広がり、入力時に余裕が感じられます。またEnterキーや左端のShift/Ctrlキーなどが大型化されているので、キーの押し間違いが減るかもしれません。
キーストロークは実測で平均1.28mmでした。据え置き向けノートPCの標準値は1.5mm程度なので、やや浅めに作られています。しかしキーを押した瞬間のクリック感が固いため、手応えはしっかり感じられました。
個人的に気になったのは、Caps Lockキーが大きいため押し間違えてしまう点。かな入力時に誤入力して半角英数字に切り替わることが何度かありました。また指を押し戻す力が弱いため、デスクトップ向けキーボードのようにスイッチの反発力を利用した高速入力には向きません。指先で軽く触れるくらいのタッチで入力する人向きです。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は多くありません。USB端子は合計3ポートで、うち1ポートがType-C。あとは映像出力用のHDMIと、ヘッドホン端子、microSDカードスロットが用意されています。さらに多くの端子類が必要な場合は、USB Type-Cドックを利用するといいでしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | ○ |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
分解とメモリー増設
Inspiron 14 5415は、底面部のカバーを外すことで、パーツ交換や本体内部のメンテナンスが可能です。分解はネジを外してカバーをこじあければOK。途中で傷をつけたりツメを折ったりしないよう注意してください。専用の道具があると便利です。なお自分でパーツを交換するとメーカー保証のサポート外となるので、自己責任の上でお願いします。
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ベンチマーク結果
試用機のスペック
モデル名 | Inspiron 14 (5415) プレミアム |
---|---|
CPU | Ryzen 5 5500U |
メモリー | 8 / 16GB |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、AMDのRyzenモバイル5000シリーズが使われています。アーキテクチャは、前世代のRyzenモバイル4000シリーズと同じZen2ベース。しかしスレッド数が倍増しているほかGPUコアにも改良が加えられており、従来よりも高いパフォーマンスを期待できます。
Ryzen 5 5500U搭載機でベンチマークテストを行なったところ、前世代のRyzen 7 4700Uに迫るスコアが出ました。別機種ですがRyzen 7 5700Uでも前世代より高いスコアが出ており、最新世代は順当にパワーアップしていると言えます。インテルのCore i5 / i7を大きく上回る素晴らしい結果です。
CPUの総合性能を計測するPassMark Performance TestのCPU Markでは、メモリー構成によって異なる結果が出ています。30%の違いはかなり大きいので、快適に使うのであればメモリーを増設したほうがいいでしょう。
以上の結果からわかるとおり、Ryzen 5 5500UはスタンダードノートPC向けとしては非常に高性能です。CPUに高い負荷のかかる作業でも、快適にこなせるでしょう。普段使いやビジネス向けには十分すぎるほどです。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。3Dベンチマークテストを試したところ、標準構成の8GBメモリー×1ではやや低めの結果が出ました。しかしメモリーを8GB×2のデュアルチャネル構成にすると、内蔵グラフィックスとしては優秀な結果が出ています。インテル第11世代Coreプロセッサに内蔵のIris Xe Graphicsには及びませんが、ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を見込めるでしょう。Ryzenシリーズの性能を十分に活かすには、メモリーは16GB以上のデュアルチャネル構成が必須です。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。Ryzen 5 5500U搭載機で実施したところ、すべてのテストで快適に使える目安の目標値を上回りました。標準のメモリー8GB×1構成でも、他機種のCore i7-1165G7+16GBメモリーと同等レベルの結果です。8GB×2構成なら、さらに快適に利用できます。本格的なクリエイター向けPCには及びませんが、趣味レベルのちょっしたコンテンツ制作にも利用できるでしょう。
ストレージのアクセス速度
ストレージは256GBまたは512GBのSSDです。テスト機ではPCIe 3.0 x4接続の高速タイプが使われていました。通常のアクセス速度計測ではそこそこ高速な結果が出ていますが、負荷の高い処理を連続で行なうと、アクセス速度が大きく低下しました。サーマルスロットリングの影響が出ているものと思われます。大規模なアクセスが長時間持続するとパフォーマンスが低下するので、SSDに放熱シートを貼るなどの熱対策を行なったほうがいいかもしれません。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均8.52秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、起動はとても高速です。待たされている感はほとんどありませんでした。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 10.1秒 |
---|---|
2回目 | 8.2秒 |
3回目 | 8.0秒 |
4回目 | 8.2秒 |
5回目 | 8.1秒 |
平均 | 8.52秒 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は、公開されていません。そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、10時間30分で休止状態へ移行しました。バッテリー消費の少ない電源プランや電源モードを選べば伸びる可能性がありますが、これでも十分な結果でしょう。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 10時間30分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 54分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間28分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ただしバッテリー駆動時は、最大パフォーマンス設定でも性能が多少落ちる点に注意してください。CPUベンチマークテストでは最大で6.5%程度スコアが下落しました。とは言え、体感的に大きな影響があるほどではありません。
ゲーム系ベンチマーク結果
Ryzen 5 5500U+8GBメモリーの構成でゲーム系ベンチマークを試したところ、ごく軽いドラクエ10ならフルHDの高画質でなんとかというレベルでした。ただしこれはメモリーがシングルチャネルで動作しているため。8GB×2のデュアルチャネルなら、パフォーマンスが向上すると思われます。ただしそれでも重いゲームを快適に楽しめるほどではないでしょう。ゲームについてはあくまでも息抜き程度に考えておいたほうが無難です。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 536 / 動作困難 |
標準品質 | 862 / 動作困難 |
軽量品質 | 1122 / 動作困難 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 1311 / 8.2 FPS |
高品質 | 1685 / 11 FPS |
標準品質 | 2012 / 13.3 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 4434 / 普通 |
標準品質 | 6479 / 快適 |
低品質 | 7001 / とても快適 |
※1920×1080ドットの結果
フル活用するならメモリー増設が必須
よかった点
なんと言っても、高いパフォーマンスが魅力です。価格は7~8万円台ですが、性能的には10万円オーバーでもおかしくありません。これだけ高性能なPCがこの価格で入手できるのは驚きです。
加えてInspiron 14 5415は、本体やディスプレイの品質がいい点もポイントです。ライバル機種としてはレノボのIdeaPadシリーズが挙げられますが、値段はInspiron 14 5415よりも安いものの、本体が若干安っぽい&映像が黄色いなどの欠点があります。総合的な満足度では、Inspiron 14 5415のほうが上です。
加えてメモリースロットが2ポート用意されており、比較的自由に増設できる点も魅力。特に他社のRyzen 5モデルはメモリー容量を増やせない機種が多く、性能をフルに活かせているとは言えません。その点Inspiron 14 5415であれば、パフォーマンスを十分に引き出せるでしょう。Ryzenシリーズの真価を存分に活用したい人におすすめします。
気になる点
メモリーが8GB×1構成で、標準ではパフォーマンスが十分に引き出せていない点が気になります。メモリーを自分で増設すれば解決するのですが、手を加えたくない人も多いでしょう。せめてRyzen 7 5700Uモデルでは、16GBメモリー搭載でもよかったのではないかと思います。
※2021年6月8日時点
*
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