ノートパソコンをパワーアップする手段のひとつとして、メモリーを増設する方法があります。メモリー容量が増えることでソフトの動作がより早くなったり、Windowsを快適に使えるようになったりします。
しかし、容量をどの程度増やせばいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。4GBから8GBに増設するのはなんとなく効果がありそうですが、8GBから16GBに増やしたときにどの程度の効果を得られるのかイメージしづらいと思います。
そこで今回はノートパソコンのメモリー容量を4GB/8GB/16GBに変更して、それぞれでベンチマークテストを実行しました。テストに使ったパソコンは、デルのInspiron 15 3000スタンダードモデルです。CPUにCore i3-6006Uを搭載した格安な15.6型ノートパソコンで、CPU性能がそれほど高くないぶん、メモリー容量の変更による影響が強く現われると思われます。
この記事の目次
メモリー容量別ベンチマーク結果
テストに使ったInspiron 15 3000 スタンダードモデルの主なスペックは以下のとおりです。本来はストレージに1TBのHDDが搭載されていますが、筆者が120GBのSSD(SATA接続)に交換しています。
Inspiron 15 3000 スタンダードモデル | |
---|---|
CPU | Core i3-6006U |
メモリー | 4GB/8GB/16GB(自分で増設) |
ストレージ | 120GB SSD(本来は1TB HDD) |
なお今回のテストでは4GB時は4GBのメモリーモジュールを1枚、8GB時は8GB×1枚、16GB時は8GB×2枚の構成で使用しています。16GB時のみデュアルチャネルで動作しているため多少性能がよくなっている可能性がありますが、劇的に変わるほどではありません。
Windows 10の快適さ
Windowsエクスペリエンスインデックス(システム評価ツールの結果) | |||
4GB | 8GB | 16GB | |
---|---|---|---|
プロセッサ | 7.1 | 7.1 | 7.1 |
メモリ | 5.9 | 7.4 | 7.6 |
グラフィックス | 6.2 | 6.2 | 6.2 |
プライマリハードディスク | 8.05 | 8.05 | 8.05 |
Windows 10の快適さを表わすWindowsエクスペリエンスインデックス(システム評価ツールの結果)を試したところ、上記の表の結果となりました。
メモリー容量が4GBから8GBに増えると「メモリ」のスコアが1.5ポイントも増えるのですが、8GBから16GBでは0.2ポイントしか増えていません。メモリーを8GBから16GBにしても、Windows 10の快適さには大きく影響しないということなのでしょう。ただしソフトによってはメモリー容量の影響が強く出ることもありますので、あくまでもシステムの快適さにはあまり影響しないということかもしれません。
パソコンとしての総合性能
続いては、パソコンとしての総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 8」の結果です。日常的な作業の快適さを計測する「Home accelerated」では、Webページの閲覧や動画視聴などの結果はほぼ変わらないものの、写真編集や動画のエンコード、軽めのゲームなどのテストでメモリー容量が増えるほど結果が良くなっています。
スコアが上昇したテストに共通するのは、グラフィックス性能が比較的大きく影響する点です。メモリー容量が増えることでグラフィックス性能が向上し、総合的なパフォーマンスがアップしたと考えられます。
クリエイティブ系ソフトの快適さを計測する「Creative accelerated」でも、まったく同じ傾向が見られました。オフィス業務の快適さを計測する「Work accelerated」でもあまり違いは見られなかったものの、表計算ソフトの快適さを表わす「Spreadsheet」でメモリー容量が多くなるほど優れた結果が出ています。エクセルでデータ量の多いワークシートを扱うなら、メモリー容量が多いほうがやや有利ということでしょう。
「PassMark PerformanceTest 8.0」の結果は以下のとおり。メモリー容量が増えるほどグラフィックス関連のスコアが伸びているのはこれまでと同じですが、CPU性能を表わす「CPU Mark」のスコアも微増しています。メモリー容量が増えたことで、計算処理に余裕が生まれているのかもしれません。
PassMark PerformanceTest 8.0ベンチマーク結果 | |||
4GB | 8GB | 16GB | |
---|---|---|---|
CPU Mark | 3001 | 3183 | 3201 |
2D Graphics Mark | 322.8 | 339.2 | 372.4 |
3D Graphics Mark | 772 | 824 | 954 |
Memory Mark | 1352 | 1666 | 2007 |
Disk Mark | 3064 | 3342 | 2713 |
PassMark(総合スコア) | 1698 | 1837 | 1959 |
3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D性能を計測する「3DMark」では、8GBと16GBで大きな差が出ています。システム系では8GB→16GBの効果は低いのですが、3Dグラフィックス周りではビデオメモリーの容量が増えるぶん、効果が高いのかもしれません。
3DMarkベンチマーク結果 | |||
4GB | 8GB | 16GB | |
---|---|---|---|
Fire Strike | 588 | 683(+16.1%) | 807(+18.2%) |
Sky Diver | 2793 | 3009(+7.7%) | 3304(+9.8%) |
Cloud Gate | 4172 | 4622(+10.7%) | 5080(+9.9%) |
Ice Storm | 40913 | 44661(+9.1%) | 53670(+20.2%) |
ドラクエ10ベンチ
「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」では、メモリー容量が4GBから8GBに増えるとスコアもアップしますが、評価が変わるほどではありません。16GB以上を搭載することで、大きな効果が得られるようです。
ドラクエ10ベンチ結果(1280×720ドット) | |||
4GB | 8GB | 16GB | |
---|---|---|---|
標準品質 | 5000(快適) | 5901(快適) | 7528(とても快適) |
最高品質 | 3982(普通) | 4918(普通) | 6328(快適) |
FF14ベンチ
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」でもドラクエ10ベンチのときと同様、4GB→8GBよりも8GB→16GBのほうがスコアが大きくアップしています。
FF14ベンチ結果(1280×720ドット) | |||
4GB | 8GB | 16GB | |
---|---|---|---|
標準品質(ノートPC) | 3014(やや快適)※平均24.3FPS | 3688(快適)※平均29.9FPS | 4707(快適)※平均38.3FPS |
高品質(ノートPC) | 2011(普通)※平均15.5FPS | 2476(普通)※平均19.3FPS | 3365(やや快適)※平均26.9FPS |
最高品質 | 1529(設定変更を推奨)※平均11.7FPS | 1822(設定変更を推奨)※平均14.2FPS | 2339(普通)※平均18.5FPS |
マイクロソフト オフィスの快適さ
「PCMark 8」の機能を使ってマイクロソフト オフィスの快適さを計測したところ、4GBから8GBで微増しているものの、8GBから16GBでスコアが減っています。これはパフォーマンスがダウンしたわけではなくタイミングによるもので、誤差の範囲内と考えていいでしょう。
この結果からメモリーを4GBから8GBに増やすことでオフィスのパフォーマンスが多少改善されるものの、8GBから16GBに変えてもほとんど変わらないことがわかります。
アドビ製ソフトの快適さ
同じく「PCMark 8」の機能を使って、アドビ製ソフトの快適さも計測しました。「After Effets CC」のテストで必ずエラーが発生してしまうため総合スコアが出ていませんが、各ソフトの結果を見ると、メモリー容量が増えるほどスコアが良くなっています。
特に、大容量&超高解像度の画像ファイルを扱う「Photoshop heavy」の結果が劇的に向上しています。つまりメモリー容量が増えるほど、容量が大きくて処理の重い画像ファイルを扱いやすくなるということです。
ビジネスには8GBでOK!ゲームや画像処理には16GB以上
ということで今回はInspiron 15 3000 スタンダードモデルを使って、メモリー容量別のベンチマーク結果を紹介しました。Windows 10をビジネスや普段の作業で使うなら、4GBから8GBへの増設がもっともコスパが高いという結果が出ています。ゲームや画像処理などでCPU内蔵のグラフィックス機能を使うのであれば、16GB以上に増設したほうが有利です。用途に応じて、最適なメモリー容量を選んでください。
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