デルの「Inspiron 15 5000 (5515)(以下、Inspiron 15 5515)」ではAPU(CPU)として、AMDのRyzenモバイル5000シリーズが使われています。性能は非常に高く、インテルのCoreプロセッサを大きく上回るほど。CPUに高い負荷のかかる重い処理でも、楽々とこなせるでしょう。
高性能CPUが使われているとなると、実際にどれだけなのか気になるところ。そこでこの記事では筆者が購入した実機を使って、Inspiron 15 5515のパフォーマンスについてレビューします。
この記事の目次
試用機のスペック
モデル名 | Inspiron 15 5515プラチナ(大容量メモリー搭載) |
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CPU | Ryzen 7 5700U |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
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CPU性能について
Inspiron 15 5515では、APU(CPU)としてAMDのRyzen 5 5500UまたはRyzen 7 5700Uが使われています。ベースは前世代のRyzenモバイル4000シリーズと変わりませんが、スレッド数が倍増しさらにGPUのコア数も増えました。そのぶん高いパフォーマンスを期待できます。
なおZen3ベースのRyzen 5 5600UやRyzen 7 5800Uについては、Inspiron 15 5515では対応していません。
CPU性能を計測するベンチマークテストを行なったところ、非常に優れた結果が出ました。スタンダードノートPCやモバイルノートPC向けのCPUとしては、最高クラスのパフォーマンスです。
ゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCで使われるTDP 45WのハイパワーCPUと比べても、遜色ない性能です。
デスクトップPCで向けCPUとの比較では、Core i5以上Core i7以下といったところ。Core i5-10400でもゲーミングPCとして使われるほど高性能で、この位置でも素晴らしい結果です。
CPUの総合性能を計測するPassMark PerformanceTestでも、非常に優秀な結果でした。
CPU性能だけなら、ハイエンドゲーミングPCクラスと言っていいでしょう。一般用途向けのスタンダードノートPCとしては、十分すぎるほどのパフォーマンスです。ゲームや動画編集などについてはグラフィックス性能が大きく影響するため十分とは言えませんが、CPUパワーが求められる処理については問題なくこなせます。
今回はRyzen 7 5700U搭載機でテストを行ないましたが、Ryzen 5 5500Uでも十分すぎるほどの性能です。普通の用途であればRyzen 5 5500U、より高い性能を求めるならRyzen 7 5700Uをおすすめします。
グラフィックス性能について
グラフィックス機能としては、APU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。3D性能を計測するベンチマークテストを行なったところ、内蔵グラフィックスとしては優秀な結果が出ました。ただしインテルの第11世代Coreプロセッサに搭載されているIris Xe Graphicsのほうが、より高性能です。
GPU性能がいまひとつ伸びないのは、RyzenシリーズのRadeon Vega系GPUが何年もあまり進化しないまま使われ続けているからです。むしろ、インテルがRyzenシリーズに勝てる要素として内蔵グラフィックスを強化してきた、と考えることもできるでしょう。
とは言え、現時点でのIris XeとRadeonとで体感速度が劇的に変わることはないと思います。どちらもゲームやクリエイター向けソフトで多少の効果を見込めますが、高いグラフィックス性能を必要とするなら専用GPU付きの機種を選ぶべきです。
なお、Ryzenシリーズではメモリーがデュアルチャネルで動作するとグラフィックス性能が大きく伸びる傾向にあります。他機種ですがRyzen 5 5500Uで8GB×1と8GB×2の構成でベンチマークテストを行なったところ、8GB×2のほうで85%程度もスコアが向上しました。Inspiron 15 5515の8GBメモリーモデルはシングルチャネルなので、8GB増設することをおすすめします。
作業の快適さについて
PCMark 10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。開発元が指針として提示した目標値を超えることで、その分野の作業を快適に行なえるとされています。ただし処理自体はそれほど重くはなく、特にコンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集など)については趣味レベル程度と考えてください。
Ryzen 7 5700U+16GBメモリー(8GB×2)搭載の評価機でテストを行なったところ、すべてのテストで目標値を大きく上回りました。旧世代のRyzen 7 4700U搭載機種はもちろんのこと、現行のCore i7-1165G7搭載機種をも上回っています。非常に優れた結果です。
ストレージ性能について
Inspiron 15 5515ではストレージとして、256GBまたは512GBのM.2 NVMe SSDが使われています。評価機で使われていたSSDはサムスンのPM991aで、アクセス速度はシーケンシャルリードで3110MB/秒とかなり高速でした。
しかし負荷の高いテストを連続して行なうと、アクセス速度が大きく下がります。おそらくSSDでサーマルスロットリング(熱による速度低下)が発生しているのでしょう。放熱シートなどで熱対策を行なえば、多少は改善されるかもしれません。
なおInspiron 15 5515では、ストレージ用のM.2スロットが2ポート用意されています。SSDを追加もしくは換装することで、アクセス速度の改善や容量の増量が可能です。この点については後日試してみる予定ですので、しばらくお待ちください。
ということで、今回はInspiron 15 5515の各種ベンチマークテストの結果について紹介しました。今回はRyzen 7 5700U搭載モデルを検証しましたが、Ryzen 5 5500Uでも十分すぎるほどの性能です。一般的な用途にはRyzen 5モデル、負荷の高い処理を行なうならRyzen 7モデルを選んでください。
なお8GBメモリーモデルを購入した場合は、自分で8GBメモリーを追加することをおすすめします。ただし自分でメモリーを追加すると、メーカー保証のサポート外となる点に注意してください。16GBメモリー搭載モデルを購入するのもいいのですが、自分で増設してなにかあった際には追加したメモリーを外(以下略)。
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