レノボのLenovo 300e Chromebook 2nd Genは、画面が回転する2-in-1タイプの11.6インチノートPCです。実売価格は2万円台半ばと非常に安いにも関わらず、本体がとても頑丈に作られている点が特徴。破損が不安な人や子供用の入門機としておすすめします。
Lenovo 300e Chromebook 2nd Genのスペック
OS | Chrome OS |
---|---|
画面サイズ | 11.6インチ |
解像度 | 1366×768 |
CPU | A4-9120C |
メモリー | 4GB ※オンボード DDR4-1866 |
ストレージ | 32GB eMMC |
HDD | なし |
グラフィックス | Radeon R4(CPU内蔵) |
LTE | - |
堅牢性テスト | MIL-STD-810G準拠 |
色域 / 明るさ | 50% NTSC / 250nit |
幅×奥行き | 290×204mm |
厚さ | 20.35mm |
重量 | 約1.3kg |
バッテリー | 最大10時間 |
自動更新ポリシー | 2026年6月 |
※2021年8月8日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | タッチ対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 5 |
Bluetooth | 4.2 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 2 |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2(PD/DP対応) |
Thunderbolt 4 | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | - |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | フロント:HD 720p(92万画素) リア:500万画素 |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事では筆者が購入したLenovo 300e Chromebook 2nd Genの実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年8月8日時点
※本製品はChrome OSを搭載したノートPCです。Windows向けのソフトは利用できないので注意してください。
デザインと使いやすさ
外観について
Lenovo 300e Chromebook 2nd Genは本来教育現場向けに作られた機種で、子供が使うことを前提としています。作りは非常に頑丈で、ちょっとやそっとじゃ壊れにくい点がポイント(絶対に壊れないわけはありません)。ほかの機種よりも安心して利用可能です。
頑丈で壊れにくいぶん、本体はややゴツく作られています。ディスプレイのベゼルは非常に太く、本体はかなり厚め。また価格が安いだけあって、筐体の見た目もややチープです。デザインよりも壊れにくいことを重視する人に向いています。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは11.6インチで、解像度は1366×768ドット。2~4万円台のエントリー向けChromebookとしては、標準的なスペックです。文字はやや小さく表示されますが、読みづらくは感じませんでした。ただ1920×1080ドットのフルHDと比べると、画面あたりの情報量は少なく感じます。映像の荒さについては、特に気になりませんでした。
映像は十分な明るさですが、コントラスト(色のメリハリ)がやや弱めです。またスマホやタブレットなどと比べると、色の赤みが弱く感じるかもしれません。鮮やかさの点ではいまひとつですが、作業には支障のないクオリティーと言っていいでしょう。格安機種では青みの強いTNパネルが使われることが多いのですが、自然な発色のIPSパネルが使われているのは高評価です。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライト非対応です。キー配列はほぼ標準的ですが、EnterキーとBackSpaceキーだけ小さく作られているので注意してください。右上はロックキーで押し間違えることがあるかもしれませんが、長押ししないと反応しないので問題はありません。配列的にChromebookではよくあるタイプのキーボードで、キー入力の練習用にも問題なく使えます。
キーピッチは19mm。キーボードとしては標準的な広さです。11.6インチの小型タイプはキーとキーの間隔が狭く作られていることが多いのですが、普通のキーボードと同じサイズがしっかり確保されています。
キーストロークは平均1.34mmでした。ただし1.2~1.3mmあたりで一度止まりそのままグッと押し込むとさらに沈むので、実際には1.4mmあたりの可能性があります。この作りによりストローク感がほどほどにあり、底打ち感は感じられませんでした。
キーを押した瞬間のクリック感はやや固めです。軽いながらも指を押し返す力があり、軽快に入力できます。スイッチ部分に軸のブレがわずかにありますが、格安機種としては良好なタイプ感です。
タイプ音は比較的静かです。軽いタッチだとタクタクと聞こえますが、うるさく感じるほどではありません。ただしEnterキーとスペースキーはチャキッと音が響くので、静かな場所では意識しながら使うといいでしょう。打ち下ろすようにタイプするとタンタンと響くので、軽めのタッチ推奨です。
インターフェース/機能について
インターフェース類は多くありませんが、最近の一般的なChromebookよりフルサイズのUSB端子がひとつ多く用意されています。左右それぞれに配置されているので、USB機器の取り回しも手軽に行なえるでしょう。コンパクトな11.6インチとしては十分な構成です。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △ ※低電力 |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
※この部分は非常にマニアックなので、よくわからない人は「▶起動時間の計測結果」まで読み飛ばしてください。
ここからは、Lenovo 300e Chromebook 2nd Genのパフォーマンス (性能)について解説します。ベンチマーク結果は環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
型番 | 82CE0009JP |
---|---|
CPU | AMD A4-9120C |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 32GB eMMC |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来”APU”と呼ばれますが、この記事では混乱を避けるために”CPU”と表記しています
Octane 2.0
CPUとしては、AMDのA4-9120Cが使われています。ChromebookではインテルのCeleronやCore iシリーズ、またはMediaTekのCPUが多く、AMD製CPUが使われている機種は多くありません。なかでもA4シリーズは2019年リリースとやや古く、インテル製CPUでたとえるなら性能の低いCeleronシリーズに相当します。
JavaScritの処理速度を計測する「Google Octane 2.0」を試したところ、エントリー(入門)向け相当の性能でした。Chromebookで使われているCPU全体で見ると、「下の下」クラスです。このあたりは価格が安いことを考えれば、仕方がないでしょう。とは言え、11.6インチ2-in-1のなかでは、もっとも高性能です。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Octane 2.0スコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
48847
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
48443
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
44600
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
43914
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
34408
|
HP 14a(Pentium N5030) |
21124
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
21081
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
19455
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
16974
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
16911
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
16810
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
16234
|
IdeaPad Slim 350i (Celeron N4020) |
15729
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
12932
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
11585
|
S330(MT8173C) |
11460
|
Acer Tablet CT100PA(OP1) |
10490
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
10076
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
9934
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
9870
|
CrXPRT 2
「CrXPRT 2」はChrome OS機器の総合性能の計測する、HTML 5ベースのベンチマークテストです。前述のテストと同様Lenovo 300e 2nd Genはエントリークラスのなかでも下の下的な位置付けですが、2~3万円台の格安機種のなかでは悪くはありません。重い処理を行なわないのであれば、問題なく使えるでしょう。
ベンチマークスコアの比較
CPU | CrXPRT 2 Performanceスコア |
---|---|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
110
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
73
|
HP 14a(Pentium N5030) |
70
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
66
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
61
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
55
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
53
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
43
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
40
|
ASUS CM3 (MediaTek MT8183) |
39
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
37
|
GeekBench 5
A4-9120Cは2コア2スレッドのCPUです。CPUのコア数としてはCeleron N4020やCeleron 3350と同じはずですが、CPU性能を計測するAndroidアプリの「GeekBench 5」ではかなり低めの結果が出ました。CPU性能がどうというよりも、このアプリとの相性があまりよくないのかもしれません。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 マルチコアスコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
3626
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
3146
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
2938
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
2209
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
1812
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
1503
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
1450
|
HP 14a(Pentium N5030) |
1428
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1422
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
1403
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
1393
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
918
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
899
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
880
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
814
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
514
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
465
|
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 シングルコアスコア |
---|---|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
1015
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
921
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
826
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
520
|
HP 14a(Pentium N5030) |
511
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
461
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
447
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
431
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
397
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
301
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
292
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
287
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
270
|
PCMark / 3DMark
アプリによる軽めの作業の快適さを計測するPCMarkでは、悪くない結果が出ています。これまでのテストでは「下の下」クラスでしたが、このテストでは「下の中」クラスにまで上がりました。グラフィックス性能を計測する「3DMark」では、「下の上」あたりにまで食い込んでいます。
AMDの下位CPUはインテル製の下位CPUに比べてグラフィックス性能が高いとされており、おそらくその影響が出ているのかもしれません。CPU性能だけで見るといまひとつな印象がありますが、アプリを使った総合性能については悪くないと言っていいでしょう。
ベンチマークスコアの比較
CPU | PCMark Work 2.0スコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
11966
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
11792
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
10653
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
10010
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
9692
|
HP 14a(Pentium N5030) |
9455
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
9150
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
8714
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
8564
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
8249
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
8191
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
8064
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
6743
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
6655
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
6307
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
6177
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
5195
|
ベンチマークスコアの比較
CPU | 3DMakr Sling Shotスコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
5522
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
4648
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
4243
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
4172
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
2780
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
2538
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
2269
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
2239
|
HP 14a(Pentium N5030) |
2203
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
2107
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
1871
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1796
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
1458
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
1445
|
起動時間の計測結果
電源オフの状態から電源ボタンを押してパスワード入力画面が表示されるまでの時間を計測したところ、平均で16.18秒でした。Chromebookは10秒前後が標準値なので、やや遅めの結果です。ただしWindows 10搭載の格安ノートPCでは20秒以上かかる場合もあるので、遅すぎるというほどでもありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 16.5秒 |
---|---|
2回目 | 15.8秒 |
3回目 | 15.9秒 |
4回目 | 16.4秒 |
5回目 | 16.3秒 |
平均 | 16.18秒 |
格安2-in-1はこれでいいのでは?
よかった点
Lenovo 300e Chromebook 2nd Genは、2021年7月上旬時点で2万5000円前後で販売されています。同じ11.6インチの2-in-1としてはエイサーの▶Spin 311やレノボの▶Flex 360がありますが、これらよりも安い上にCPU性能では上。しかもとても頑丈に作られており、総合的なバリューでは11.6インチ2-in-1のなかでトップクラスと言っていいでしょう。
ただし現在は公式サイトでは品切れ中で、さらに次期モデルのLenovo 300e Chromebook Gen 3も発表されています。間もなく販売が終了するのかもしれません。早めの入手をおすすめします。
気になる点
ディスプレイのコントラストが低く、やや鮮やかさに欠ける点が気になりました。外観が少々ゴツいのですが、頑丈に作られていることを考えれば仕方がないでしょう。
※2021年8月8日時点
*
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