ファーウェイの「HUAWEI MatePad Paper」は、10.3インチのE Inkディスプレイを搭載するHarmony OS搭載タブレットです。付属のペンを使えば、書き味のいい電子ノートとして利用可能。薄くて軽くその上小さいので、持ち歩きにも向いています。

HUAWEI MatePad Paper
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、HUAWEI MatePad Paperの本体デザインや使い勝手などについてレビューします。
ポイント

完成度の高いボディ
HUAWEI MatePad Paperの本体は軽量スリムでコンパクト。ボディの素材は樹脂(プラスチック)と合皮が使われているものの、安っぽさは感じられません。フットプリントは一般的なシステム手帳よりも大きいのですが、薄さはかなりの魅力です。

HUAWEI MatePad Paper本体

厚さは公称値で6.65mm。一般的な紙の学習用ノートよりもちょっと厚い程度です

背面は合皮、あるいは合皮風の質感

タブレット本体の重さは実測で372g

天面には電源ボタン

電源ボタンは指紋センサー内蔵

底面には充電 / データ通信用のType-C。インターフェースはこれひとつのみです

付属の専用カバー

専用カバーも合皮風の素材。しっとりとした手触りで高級感があります

HUAWEI MatePad Paper本体を載せるだけで、マグネットで固定されます

専用カバー装着時の重さは実測で558g。カバーを付けたタブレットとしてはかなり軽量です
ディスプレイは10.3インチで解像度は1872×1404ドット(横向き時)。画素密度は227ppiで、非常に高精細です。文字のドット感は少ないのですが、ごくわずかにボンヤリした印象を受けました。もしかするとディスプレイ表面のノングレア(非光沢)処理が影響しているのかもしれません。
画面の明るさは比較的に自由に変更可能。バックライトにも対応しており、明るさを最大に設定すると暗い場所でも画面の内容を確認できます。

ライトをオフにした状態(左)とライトをつけた状態(右)。ライト点灯時は画面が若干寒色系です

暗い場所でも画面の内容をハッキリと確認できます
優れたペンの描き心地
HUAWEI MatePad Paperには、手書き入力用のペン「HUAWEI M-Pencil (第2世代)」が付属します。筆圧感知は4096段階で、傾き検知にも対応。ボタンはありませんが、側面をダブルタップすることで対応するさまざまな機能を呼び出せます。

付属のM-Pencil (第2世代)

ペンの長さは16cmで、太さは8.7mm。一般的な鉛筆よりもひと回り程度太く作られています。ペン先の交換にも対応

くぼみのある側面を指先でダブルタップすると、ブラシと消しゴムの切り替えが可能

本体側面にマグネットで固定可能。その際にペンへの充電も行なわれます
ペンの描き心地は、かなり上質に感じました。Androidタブレット / タブレットPCによくあるツルツルした感覚はなく、表面のわずかなザラつきにより適度な抵抗が感じられます。かといってペン先がひっかかることもなく、書き味はサラサラと滑らかでした。描き心地の良さに関しては、かなり上位の部類に入るのではないでしょうか。
ただし、描画の遅延はわずかに感じられます。と言っても明らかに遅れて描画されるほどではなく、線のカクカク感もありません。普通に使うぶんには気にならないでしょう。素早いペンの動きにもしっかりと対応しているので、むしろ従来のAndroidタブレット / タブレットPCよりも快適に使えます。

適度な抵抗が感じられる心地よい描き心地。鉛筆で画用紙に描いているような感覚です。線画のときは気になりませんが、書き殴るように文字を描くと、若干の遅延を感じます

“万年筆”や”鉛筆”など4種類のブラシを用意。太さは3段階で調整できます

手書きの文字を認識してテキスト化することも可能
アプリが極端に少ない
ここからは、HUAWEI MatePad Papeのソフトウェア面での使い勝手を紹介します。なお今回使用したのは開発機だったらしく、作業中に何度もアラートが表示されました。販売されているモデルと、多少印象が異なるかもしれません。

作業中に画面が何度もロックされることがありました。開発機のため、なんらかの認証が必要だったのかもしれません。販売中のモデルにはまったく関係ないのですが、筆者の感想と微妙に異なる可能性があります
HUAWEI MatePad PapeはE Ink電子ペーパーを採用するAndroidタブレットで、書籍リーダーや電子ノートとはコンセプトが異なります。本体にアプリをインストールして、さまざまな機能を利用できるのです。
ただし、標準で利用できるアプリが少なすぎます。プリインストールされているアプリが11種類なのはまだいいとして、公式のAppGalleryを開いても8種類しか用意されていません。

標準で用意されているアプリ

アプリストアに相当するAppGalleryを開いても、8種類しか利用できません
ホーム画面右上の検索窓をタップするとおすすめのアプリが表示されるのですが、ダウンロードページとして表示されるのは「APKPure」という野良アプリ配布サイトです。アプリ権利元の許可を得て配布しているのかは不明で、無許可で配布している可能性があります。またこのサイトは過去にマルウェアを含んだアプリを配布したことがあり、その意味で利用はおすすめできません。

ホーム画面右上をタップすると表示されるおすすめアプリ

ダウンロード元はGoogle Playを経由しない「野良アプリ(野良apk)」配布サイト。アプリの権利やセキュリティー周りで心配があります
信頼できるアプリ(APKファイル)を入手してインストールすればいいのですが、一般ユーザーにはハードルが高いと言わざるを得ないでしょう。ある程度知識のある人向けです。

たとえばAmazonアプリストアをインストールすれば、このアプリ経由でさまざまなアプリをダウンロードできます
アプリを使わずに電子ノート機能だけでなんとかしようと思っても、いまひとつな印象です。手書きメモ作成機能は素晴らしいのですが、書いたメモの有効な使い道が限られています。
たとえば作成したメモは、PDFなどに変換することでほかのデバイスでも利用できます。しかし、この手続きがすでに面倒。いまどきであればクラウドメモアプリのように、各デバイスでシームレスに共有できるべきでしょう。
また手書き文字をテキスト化することはできても、それが手書きメモ内に保存されるわけではありません。コピーされたテキストデータを、いちいち別の文書に貼り付ける必要があるのです。この手続きに、なんの意味があるのでしょうか?

ダウンロードしたりType-C経由で移動したPDFの閲覧も可能。PDFにメモを書き込める点は便利です
メモの共有はAPKファイルを使ってアプリを導入すれば、利用可能です。しかしいまどきの電子ノートであるならば、このくらいは標準機能あるいは簡単なアプリ登録で利用できるようにして欲しかったというのが正直な感想です。
ちなみにHUAWEI MatePad Papeは写真や動画なども利用できます。ただしファイルとして再生するには、別途アプリが必要。ブラウザー経由で再生すれば可能ですが、E -Ink特有の画面切り替わり時の反転表示があるため動画の再生には向きません。

写真を表示したところ。当然のことながら、モノクロで映し出されます

MP3ファイルはアプリがないと再生できませんでした

YouTubeの動画を再生できますが、動きのある場面では画面の一部あるいは全体が反転表示されます
電子書籍も少ない
ファーウェイ公式の電子書籍ストア「HUAWEI Books」では、30万点以上電子書籍がラインナップされているとのこと。そのうち国内向けの書籍は10万冊です。数の印象としては十分な気もしますが、実際のところ国内の主要サービスと比べるとそれほど多くありません。読みたい本を検索しても、出てこない可能性があります。

HUAWEI Booksに用意されている国内向けの書籍は10万点
個人的に気になるのは、書籍のセールが行なわれていない点です。いまどきは多くの電子書籍ストアで毎日のようにセールが行なわれており、手頃な値段で購入できます。そのことを考えると、ほぼ定価販売のように見えるHUAWEI Booksでは割高感がありました。
電子書籍のラインナップは今後増えるとのことですが、現時点ではあまり期待しないほうがいいでしょう。
ソフト面での改善が課題
HUAWEI MatePad Papeのデバイスとしての完成度は、かなり高いと思います。本体は軽量スリムかつコンパクトで扱いやすく、ペンの描き心地も上々です。
しかしソフトウェア面の仕上がりが残念。いろいろわかっている中上級者がリスク込みで使うならアリですが、詳しくない人は避けたほうがいいでしょう。ソフトウェア / システム面のアップデートが期待されます。

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