マインクラフトをとことん楽しむなら、外付けGPUを搭載したゲーム性能の高いパソコンが必要だと言われています。しかしながら実際のところ、どれほどの性能が必要なのかはあまり知られていません。そこで手頃な価格で人気の高いGPU「NVIDIA GeForce GTX 960」を使って、マインクラフトがどれだけサクサク動くのかを検証する、というのがこの企画の狙いです。
第1回目の今回は、MOD(追加の改造プログラム)を導入していない状態、いわゆる「バニラ」な状態で、さまざまな設定のFPSを計測しました。テストに利用したのは筆者所有のマウスコンピューター製デスクトップPC「MDV ADVANCE MDV-GZ7700B-SH2」です。
MDV-GZ7700B-SH2の主なスペック | |
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-6700K(4.0GHz) ※カスタマイズオプション適用 |
メモリー | DDR4 16GB |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 960(2GB) |
ストレージ | 256GB M.2 SSD(Samsung SM951、PCI Express接続)+2TB HDD ※カスタマイズオプション適用 |
なおベンチマーク結果はパーツ構成やテストの実施タイミングによって変わる可能性があります。あくまでも参考程度に捉えてください。
お知らせ
この機種はすでに販売が終了しています。以下のリンクから、別の記事をご覧ください。
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テストの条件について
今回のテストで利用している環境は、以下のとおりです。
マインクラフトのベンチマークテスト環境
- クライアントソフトはバージョン1.8.8(2015年12月1日時点での最新版)
- Javaのヴァージョンは8.0.660.18(64ビット)
- FPSの計測には「Fraps」を利用
- テスト環境のデスクトップは2560×1440ドット(スケーリング設定は100%)
- GTX960のドライバーのヴァージョンは358.50
- Profile Editorでメモリー容量を4GBに設定
- ビデオ設定は「雲の表示」を「オフ」、「最大フレームレート」を「無制限」、「垂直同期の使用」を「オフ」に設定。それ以外は標準設定のまま
チャンクを変更したFPS計測結果
まずは「チャンク(chunk)」の違いによるFPS計測結果を紹介します。チャンクとはマインクラフトにおける描画距離の単位のことで、設定画面の「ビデオ設定」から変更可能です。
標準では、描画距離が「12 chunks」に設定されています。この数字を大きくすることで遠くの背景まで画面に描かれるようになりますが、そのぶん処理が重くなります。反対にチャンクを小さくすると遠くの風景は省略されるようになりますが、全体的な処理速度は速くなります。
FPSを計測するにあたっては以下の操作を行なうことで、テスト時の環境が近い状態になるようにしています。
- 1分間操作しないまま停止
- チートコマンド「time set 1000」を入力して、ゲーム内の時間を設定
- 平原(Plains)を通常速度で1分間歩きまわる
フルHD環境でのFPS計測結果
1920×1080ドットのウィンドウモードでのFPS(画面の描画速度を表わす指針)計測結果は、以下の表のとおりです。なお今回は標準設定である854×480ドットのウィンドウモードは試していません。標準設定のサイズはスペックの低い環境のためのもので、外付けGPUを搭載したパソコンでは大画面でのプレーが前提となるからです。
GeForce GTX 960でのFPS計測結果(1920×1080ドット、ウィンドウモード) | |||
チャンク | 最小 | 最大 | 平均 |
---|---|---|---|
12(標準) | 271 FPS | 627 FPS | 447.3 FPS |
16 | 191 FPS | 445 FPS | 275.9 FPS |
20 | 147 FPS | 259 FPS | 180 FPS |
32(最大値) | 99 FPS | 296 FPS | 171 FPS |
ゲームを快適に楽しむなら、FPSの平均値が60以上あればOKと言われています。上記の表を見ればおわかりのように、フルHD(1920×1080ドット)のごく標準的なプレーであれば、GTX960は明らかにオーバースペックであることがわかります。
2560×1440ドットでのFPS計測結果
WQHD(2560×1440ドット)のフルスクリーンモードでの計測結果は、以下の表のとおりです。フルHDの結果とそれほど変わらない結果となったのは、ウィンドウモードとフルスクリーンモードの違いによるものかもしれません。
GeForce GTX 960でのFPS計測結果(2560×1440ドット、フルスクリーンモード) | |||
チャンク | 最小 | 最大 | 平均 |
---|---|---|---|
12(標準) | 321 FPS | 492 FPS | 434.2 FPS |
16 | 208 FPS | 409 FPS | 275.2 FPS |
20 | 150 FPS | 303 FPS | 204.1 FPS |
32(最大値) | 99 FPS | 227 FPS | 150.3 FPS |
ベンチマークでは快適にプレーできるレベルの結果が出ていますが、実際にはちょっと厳しい場面もありました。たとえば32 chunksや20 chunksの設定では、クリエイティブモードで高速移動すると描画が追いつかない場面がしばしば見受けられます。
また32 chunksに設定した状態でワールドを新規作成すると、ゲームの開始まで若干の間が生じるほか、ゲーム開始から5~10分程度はFPSが極端に落ち込みます。今回の検証では、FPSが50前後にまで落ちることを確認しました。チャンクを低くした状態でワールドを新規作成するとFPSが落ち込むことはないので、ワールド作成後にチャンクを変更することをおすすめします。
これらの症状はGPUの性能というよりも、メモリーやCPUの性能が影響していると思われます。テストに利用した機材は現時点で比較的ハイスペックな構成であるため、個人向けPC(SLI搭載機やワークステーションなどを除くという意味)で劇的に改善するのはちょっと難しそうです。チャンクはあまり高めに設定しないほうがいいでしょう。
「アンプリファイド」のFPS計測結果
マインクラフトの「アンプリファイド」とは、通常よりも多くのブロックで構成されたワールドのことです。ワールド新規作成時のワールド設定で指定できますが、この世界をプレーするには高いスペックが必要という注意書きが表示されます
実際のワールドを見ればおわかりのように、アンプリファイドの地形はデフォルトで断崖絶壁です。スタート地点でいきなり高い岩の上に登場したりすると、安全な場所に降りるまでかなりの時間がかかることもあります。
大量のブロックが使わるため高いスペックが必要とのことですが、2560×1440ドットのフルスクリーンでかつ32 chunksに設定しても平均FPSは120.1とスムーズにプレーすることができました。ただし通常ワールドと同様に描画の遅れが生じますので、クリエイティブの高速移動時にはストレスがたまるかもしれません。あくまでもサバイバルでコツコツと地道にプレーするのに向いています。
アンプリファイドでのFPS計測結果(2560×1440ドット、フルスクリーンモード) | |||
チャンク | 最小 | 最大 | 平均 |
---|---|---|---|
32(最大値) | 81 FPS | 185 FPS | 120.1 FPS |
「バニラ」ならGTX960で問題なくプレー可能
今回はMODなしのバニラな状態でFPSを計測してみましたが、負荷の高いワールドおよび設定でも、スムーズにプレーできる結果が出ました。GeForce GTX960は、マインクラフトをプレーするのに十分すぎる性能を持っていると言っていいでしょう。