2024年発売のパソコンミニPCレビュー

Minisforum MS-01レビュー:「逸般の誤家庭」向け小型ワークステーション【PR】

4.0
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Minisforum MS-01レビュー

製品提供:Micro Computer (HK) Tech Limited

「Minisforum MS-01」は、CPUとしてインテル第12/13世代のHシリーズを搭載するミニPCです。メーカーとしては「小型ワークステーション」とのことですが、標準ではグラボ(GPU)は搭載されていません。しかし小さなグラボを使える拡張スロットや、高速ストレージを最大3基まで使える拡張性、そして最大10Gbpsの高速通信が可能な強力なネットワーク機能などを装備。プロレベルの高度な処理に対応できる高いポテンシャルを秘めています。

Minisforum MS-01

一般的なミニPCよりも大きい「Minisforum MS-01」

 

ただ正直なところで言えば、普通の個人用にはここまで必要ありません。ネットワーク機器やらなんやらを自分で作ったり調整したりしたい、高度な使い方向けです。もちろん普通に使ってもいいのですが、自分であれこれ改造したりパーツをモリモリ詰め込んだりしたい、いわゆる「逸般の誤家庭」向けと言っていいでしょう。その点で考えると、このサイズとこの価格でいろいろ遊べそうな機種は、ほかにはなかなかありません。

 

この記事ではメーカーから提供された実機を使って、外観や性能、実際の使い心地などをレビューします。

Minisforum MS-01

Minisforum MS-01

公式サイトを見る

おことわり

このレビュー記事では、メーカー提供品を10日間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。

スペック

発売日 2024年6月
OS Windows 11 Home
CPU Core i9-13900H / Core i9-12900H / Core i5-12600H
メモリー DDR5-5200 32GB ※SO-DIMM、スロット×2、最大64GB
SSD 1TB PCIe SSD
グラフィックス Iris Xe Graphics(CPU内蔵)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN(2.5Gb)×2、10Gbps SFP×2
インターフェース USB4×2、USB3.2 Gen2×2、USB3.2 Gen1×1、USB2.0×2、HDMI(4K@60Hz)×、有線LAN×2、10G SFP×2、ヘッドホン端子
ドライブベイ なし
スロット PCIe 4.0 x16(転送速度はPCIe 4.0 x8)
M.2スロット×4(ストレージ用×3[うち1基はU.2対応]、Wi-Fi用×1)
付属品 HDMIケーブル、電源アダプター、U.2変換プレートなど
サイズ 幅196×奥行き189×高さ48mm

Windowsのラインセンス

Minisforum MS-01に搭載されているOSはWindows 11 Homeで、正規版のOEM(プリインストール版)ライセンスです。Windows 11 Homeにはボリュームライセンス版がないため、ミニPCでよくあるライセンス周りの心配は不要です。

Minisforum MS-01

正規のOEMライセンスが使われています

技適マークについて

無線通信機器に必要な技適マークは、本体に同梱のマニュアルにシールとして貼られていました。

Minisforum MS-01

マニュアルに技適マークのシール

 

上記番号は「総務省電波利用ホームページ」の検索結果で「MediaTek Inc.」の「MT7922A22M」のものとして登録されているのを確認しました。おそらく本体ではなく、内部で使われているWi-Fiカードとアンテナによるものだと思います。

関連リンク

総務省電波利用ホームページ

PSEマークについて

電源アダプターには「電気用品安全法」の基準に適合していることを表わすPSEマークがプリントされています。

Minisforum MS-01

電源アダプターにPSEマーク

 

価格(記事執筆時)

スペック 価格
Core i9-13900Hベアボーン(OSとメモリー、SSDなし) 10万4580円
Core i9-13900H / 32GB / 1TB 13万4580円
Core i9-12900Hベアボーン(OSとメモリー、SSDなし) 7万9980円
Core i9-12900H / 32GB / 1TB 10万7580円
Core i5-12600Hベアボーン(OSとメモリー、SSDなし) 6万6980円
Core i5-12600H / 32GB / 1TB 9万4980円

※2024年8月4日時点

パッケージ

Minisforum MS-01

Minisforum MS-01のパッケージ

Minisforum MS-01

箱の中身

Minisforum MS-01

付属のHDMIケーブル

Minisforum MS-01

付属の電源アダプターは180Wの丸口タイプ。重さは647g。ミニPC用としては、かなり大きめです

Minisforum MS-01

付属のU.変換プレート。形状は2.5インチストレージと同じですが、PCIe 4.0 x4接続と同程度のアクセス速度が出ます。利用には別途U.2 SSDが必要

初期設定の際にキーボードから「@」を入力できず、Microsoftアカウントでサインインできない場合があります。その際はアカウント名に「test」、パスワードに「test」と入力してからわざとエラーを起こし、ローカルアカウントを作成してください。ネットワーク先の接続設定で「インターネットに接続していません」を選択しても、回避できます。Windows 11を使えるようになったら、「設定」→「時刻と言語」→「言語と地域」→「日本語(言語のオプション)」→「キーボード」→「レイアウトを変更する」で日本語キーボードに設定します

外観

Minisforum MS-01の本体は、「ミニPC」と呼ぶにはちょっと大きめです。どちらかと言えば「ThinkCentre M75q」のようなコンパクトPCと言ったほうがいいでしょう。一般的なデスクトップPCよりは小さいものの、デスク上ではそれなりの存在感があります。

Minisforum MS-01

Minisforum MS-01の外観

Minisforum MS-01

一般的なミニPCよりもだいぶ大きめ。コンパクトPCの「ThinkCentre M75q」よりもわずかに大きめです

Minisforum MS-01

スマホ(Pixel 8 Pro)とのサイズ比較

Minisforum MS-01

天板面。筐体はすべて金属製です

Minisforum MS-01

本体底面部

Minisforum MS-01

横幅は実測で18.91cm

Minisforum MS-01

縦方向の奥行きは実測で19.58cm

Minisforum MS-01

高さは実測で4.82cm

Minisforum MS-01

底面部のゴム足を含めた設置時の高さは5.05cm

Minisforum MS-01

重さは実測で1.416kgでした。一般的なミニPCは500~700gあたりで、実際に手で持つとかなり重く感じます

Minisforum MS-01

通気口が前面と背面、天面と底面にあることから、エアフロー的には縦置きのほうが効果的かもしれません。ただしこの状態だと安定しないので注意

 

インターフェース構成

端子類はとても充実しています。特にネットワーク系は10Gbsp SFP+×2、2.5Gbps有線LAN×2と、一般的な用途ではオーバースペックと言えるほど。本来はミニワークステーション的な位置付けですので、高度な分野で利用するためのものと考えたほうがいいでしょう。もちろん個人でも利用できますが、そこはいわゆる「逸般の誤家庭」向けです。

Minisforum MS-01

前面には電源ボタン、ヘッドホン端子、USB3.2 Type-A、USB2.0×2

Minisforum MS-01

背面には10Gbps SFP+×2、2.5Gbps有線LAN×2、USB4×2、HDMI2.0×1、USB3.2 Gen2×2、電源コネクター

Minisforum MS-01

側面にインターフェース類はありません

改造・パーツ交換について

本体の分解方法

Minisforum MS-01は、背面のツマミを引き出すだけで本体内部にアクセスできます。この点は非常に便利ですが、パーツの交換 / 増設にはネジや部品を外す必要があるので注意してください。

Minisforum MS-01

背面部のツマミを押しながら引き出せば、本体内部が現われます

Minisforum MS-01

カバーを外した状態

Minisforum MS-01

反対側

Minisforum MS-01

天面側

Minisforum MS-01

底面側

メモリーの増設方法

Minisforum MS-01

メモリーを換装するには、まず空冷ファンのネジを外します

Minisforum MS-01

空冷ファンを外すと、メモリースロットが現われます

Minisforum MS-01

検証機ではCrucial製品が使われていました。DDR-5600のメモリーですが、本体の仕様では対応しているのはDDR-5200

Minisforum MS-01

また規格としてはDDR-5600として認識されているものの、速度は4800MHzが上限とされていました

SSDの増設・換装

Minisforum MS-01

SSDを増設・換装する場合は、まず空冷ファンを外します

Minisforum MS-01

3基のM.2スロット

Minisforum MS-01

U.2 SSDを利用する場合は、一番左のスロットを利用します

Minisforum MS-01

またマザーボード上のスイッチで、M.2 / U.2の切り替えを行ないます

Minisforum MS-01

検証機で使われていたSSD

拡張ボードの取り付け

Minisforum MS-01

マザーボード上の拡張スロットに、ハーフハイトで170mm以内までの拡張ボードを取り付けられます

Minisforum MS-01

スロットにロープロ対応の玄人志向製RX 6400のグラボを付けた状態

Minisforum MS-01

ブラケット部分はツメで固定します

Minisforum MS-01

グラボをピッタリ収められる点が驚き

そのほかの部分

Minisforum MS-01

Wi-FiカードはMediaTekのMT7922A22M

ベンチマーク結果

検証機のスペック

CPU Core i9-12900H(14コア20スレッド、最大5.0GHz、45~115W)
メモリー DDR5-5600 32GB(16GB×2)
ストレージ 1TB NVMe SSD
グラフィックス Iris Xe Graphics ※CPU内蔵

※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります

パフォーマンス設定について

ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「バランス」に設定した上でテストを行なっています。電源アダプターは接続した状態です。

CPU性能

CPUとしては、インテル第13世代のCore i9-13900H、または第12世代のCore i9-12900H / Core i5-12600Hが使われています。本来はゲーミングノートPC向けのCPUで、性能はゲーミングデスクトップPC向けCPUほどではないものの、一般的な用途には十分なほど高性能です。

 

今回の検証機で使われていたのは、旧世代のCore i9-12900Hです。しかしCPU性能を計測する「CINEBENCH R23」では、優秀な結果が出ました。最新CPUにはやや及びませんが、10~13万円クラスのミニPCのなかでは、なかなか高性能です。

 

最近のミニPCの性能比較

CPU PassMark CPU Mark Score
検証機(Core i9-12900H)
S1720
M14156
GEEKOM NUC AE7(Ryzen 9 7940HS)
S1781
M14483
MINISFORUM UM773 Lite(Ryzen 7 7735HS)
S1571
M12478
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H)
S1723
M11651
GMKtec NucBox G3(Intel N100)
S796
M2882

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

 

一般用途向けのスタンダードデスクトップPCと比べても、CPU性能では上回っています。

 

デスクトップPCとの比較

CPU PassMark CPU Mark Score
検証機(Core i9-12900H)
S1720
M14156
Inspiron 3030S(Core i5-14400)
S1700
M11873
IdeaCentre 5i Gen 8(Core i5-13400)
S1772
M11826
Inspiron 3020(Core i5-13400)
S1723
M11651

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

グラフィックス性能

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。グラフィックス性能を計測する3Dベンチマークテストでは同じIris Xeの平均値を上回っているものの、最近の内蔵グラフィックスとしてはそれほど高性能ではありません。文字中心の作業には問題ないものの、高いグラフィックス性能を必要とする大作ゲームや高度な動画編集には不向きです。

 

ノートPC向けGPUの性能(DirectX 12)

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 3050
4874
Intel Arc Graphics(Meteor Lake)
3759
GTX 1650
3444
Radeon 780M(RDNA3)
2727
Radeon 680M(RDNA2)
2350
Radeon 760M(RDNA3)
2282
検証機(Iris Xe)
1779
Iris Xe
1522
Radeon 660M(RDNA2)
1189

※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。

 

テスト結果の見方

テスト名 概要
Essentials
(一般利用)
ソフトの起動やWeb閲覧、ビデオ会議など一般的な作業を想定。CPUのシングルコア性能が強く影響する
Productivity
(ビジネス利用)
表計算とワープロにおいて、中規模クラスのデータを扱うテスト。CPUのマルチコア性能が影響しやすい
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
写真加工と3D製作、動画編集を扱うテスト。CPU性能とグラフィックス性能が強く影響する

 

目標値は大きく上回っており、一般的な作業であれば快適に利用できるでしょう。ただしマルチコア性能が要求されるビジネス利用のテストでは、Ryzen系に比べてスコアが低めでした。おそらく熱による影響が出ているのかもしれません。

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
(一般的な利用)
目標値:4100
検証機10849
LarkBox7142
M75q10256
UM77310783
GT13P10921
AE711205
Productivity
(ビジネス利用)
目標値:4500
検証機7023
LarkBox4879
M75q9930
UM7739785
GT13P6840
AE710332
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
目標値:3450
検証機7978
LarkBox2515
M75q5707
UM7738695
GT13P7429
AE79899

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

比較機のスペック(ミニPC)

LarkBox X 2023 Intel N100 / 12GB / UHD
ThinkCentre M75q Gen2 Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon(Vega)
UM773 Lite Ryzen 7 7735HS / 16GB / Radeon 680M(RDNA2)
GEEKOM GT13 Pro Core i9-13900H / 32GB / Iris Xe
GEEKOM NUC AE7 Ryzen 9 7940HS / 32GB / Radeon 780M(RDNA3)

クリエイティブ性能

「UL Procyon」は、世界的にも利用者が多く「デファクトスタンダード」とも言えるアドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測します。「PCMark 10」と比べて、より高度で実践的なテストを行なう点が特徴です。

テスト結果の見方

テスト名 概要
Photo Editing 「Photoshop」と「Lightroom Classic」を利用した、写真の加工・出力に関する総合評価
Video Editing 「Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間からスコアが算出される

 

検証機とそのほかのミニPCの結果は、以下のグラフのとおり。10万円前後のミニPCとしては、なかなか優秀な結果だと思います。ただインテルCPUはPremierに強いのですが、そのメリットがあまり現われていないようにも見えます。この部分についても、熱の影響が出ているのかもしれません。

クリエイティブ性能の比較

CPU UL Procyon
検証機
P5349
V7755
MINISFORUM UM773 Lite
※エラー
V7234
GEEKOM GT13 Pro
P4631
V5491
GEEKOM NUC AE7
P5772
V7195

※「P」は「Photo Editing」、「V」は「Video Editing」。スコアは当サイトの実機計測結果

比較機のスペック(ミニPC)

UM773 Lite Ryzen 7 7735HS / 16GB / Radeon 680M
GEEKOM NUC AE7 Ryzen 9 7940HS / 32GB / Radeon 780M
GEEKOM GT13 Pro Core i9-13900H / 32GB / Iris Xe

グラボ増設の効果について

Minisforum MS-01は拡張スロットにグラボを追加可能ですが、使えるグラボは限られています。手頃な価格でそこそこの効果を期待できそうなのは、玄人志向「RD-RX6400-E4GB/LP」でしょう。現在は2万円前後で購入できます。

Minisforum MS-01

玄人志向「RD-RX6400-E4GB/LP」

 

グラボを追加すれば、グラフィック性能は大きく向上します。ただしエントリー向けGPUのRX 6400だと、効果はほどほど。ゲームをガッツリ楽しむのには、少し物足りません。2万円追加してこの程度であれば、Intel Arc Graphics内蔵タイプかもうちょっと上のGPUを搭載したゲーミングPCを選んだほうが、ゲームを楽しむのには有利です。

 

ノートPC向けGPUの性能(DirectX 12)

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 3050
4874
Intel Arc Graphics(Meteor Lake)
3759
GTX 1650
3444
検証機(RX 6400)
3432
Radeon 780M(RDNA3)
2727
Radeon 680M(RDNA2)
2350
Radeon 760M(RDNA3)
2282
検証機(Iris Xe)
1779
Iris Xe
1522
Radeon 660M(RDNA2)
1189

※スコアはUL Solutionsによる平均値

 

PCMarkやProcyonのベンチマークスコアも向上しました。クリエイティブワーク系の作業では、効果が期待できそうです。

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
(一般的な利用)
目標値:4100
グラボなし10849
グラボあり10808
Productivity
(ビジネス利用)
目標値:4500
グラボなし7023
グラボあり9990
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
目標値:3450
グラボなし7978
グラボあり9574

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

 

クリエイティブ性能の比較

CPU UL Procyon
グラボなし
P5349<
V7755
グラボあり
※エラー
V9439

※「P」は「Photo Editing」、「V」は「Video Editing」。スコアは当サイトの実機計測結果

 

ゲームは中規模クラスのタイトルまでなら、なんとかなりそうです。ただし常時高負荷な状態に耐えられるゲーミングPCではないため、息抜き程度のプレーにとどめておくほうがいいでしょう。

 

Minisforum MS-01

Apex Legendsは射撃訓練場で80~100 fpsあたり。シーンによっては、60 fps台まで落ち込むことがありました

Minisforum MS-01

激重のCyberpunk 2007では最低画質で平均40 fps程度。グラボを追加しても、けっこう厳しいレベルです

熱と騒音について

CPUの熱について

※計測時の室温は28度前後。室温が変わると、結果が異なる場合があります

CPUに高い負荷がかかる「CINEBENCH R23」実行時の温度と消費電力、クロックを調べたところ、温度は全体を通して90度前後を推移していました。モニタリングデータ上では、サーマルスロットリングが発生しています。温度については危険なほど高いというわけではありませんが、常時この状態が続くのは好ましくありません。

 

消費電力はPL1が55W、PL2が80Wに設定されています。61~80Wの高出力状態が70秒程度続いたあと、最後まで55W前後を推移していました。

Minisforum MS-01

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移

各項目の平均値と最大値

Pコア平均クロック 平均2986MHz 最大4139MHz
Eコア平均クロック 平均2421MHz 最大3217MHz
CPU温度 平均88.9度 最大92度
CPU消費電力 平均56.3W 最大80W

 

ただこれはCPUベンチマーク時のことであって、普通に使うぶんには熱を気にする必要はありません。たとえば一般的な作業を想定したPCMark 10だと、実行中のCPU温度は平均58.1度でまったく問題ない範囲です。

駆動音について

騒音(ファンの回転音や通気口からの風切り音)は置き方や配置場所によって聞こえ方が変わるものの、基本的には静かではありません。CPUとメモリー用とでファンが2基使われているため、それなりに大きく聞こえます。ただ軽めの作業中心であれば、そんなに気になるほどではないでしょう。

駆動音の計測結果

待機中 38.2dB前後 ファンの回転音がうっすらと聞こえる
軽作業時
(PCMark 10)
40.1dB前後 排気音がハッキリと聞こえるが、まだ気にしないでいられるレベル
高負荷時(CINEBENCH) 49dB前後 甲高いファンの回転音と、ちょっと大きな排気音が聞こえる。うるさすぎるほどではないが、長時間聞き続けるとストレスが溜まるかも
(参考)エアコンの最大出力時 48~58dBA前後

考察とまとめ

Minisforum MS-01

拡張性の高さは魅力

まずはなんと言っても、拡張性の高さが魅力です。筆者が把握する限りでは、「M.2スロットを3基」「PCIeスロット対応」「ネットワーク端子を4ポート」を備えたコンパクトPCはほかには見当たりません。あったとしても、非常にニッチな業務用製品ではないでしょうか。

これらすべてをフル活用すれば、相当高度な処理を行なえるはずです。ただあまりにもニッチすぎるので、一般的な個人レベルで必要かどうかという点には疑問が残ります。

熱と音の大きさには注意

ファンを2基搭載しているとは言え、筐体が小さいだけあって高負荷時のCPU温度はそれなりに高めです。またその際の駆動音も大きく聞こえます。感じ方は人によって異なりますが、眼の前に置くよりも多少距離を離したほうがストレスが少ないでしょう。

また拡張ボードを使える点がメリットのひとつではありますが、グラボでファンが使われていると合計3つのファンが動くことになるので、やはり音はそれなりに大きく聞こえます。

逆にもっと音を大きくしてもいいのであれば、UEFI(BIOS設定)からPL1 / PL2やファン設定を変更して、よりパワフルにチューニングすることもできます。そんな柔軟性の高さは、ある意味で魅力のひとつと言えるかもしれません。

Minisforum MS-01

UEFIからPL1とPL2を変更可能 ※意味不明な人は触らないほうが無難

なにに使うのかハッキリしているならアリ

使い方に関してパッと思いつくところなら、ネットワーク機能を活かした自作のNASやルーター、サーバーなどが順当なところでしょう。メーカーが提唱するような、ミニワークステーション的な利用もアリ。そんな用途に使わないのであれば、Minisforum MS-01ではない普通のミニPCを選んでください。何度も言いますが、普通の人向けではなく「逸般の誤家庭」向けです。

Minisforum MS-01

Minisforum MS-01

公式サイトを見る

記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

お買い得パソコン評論家。毎日各メーカー・各ショップのWebページを500p以上チェックして、安くてお得なパソコンを探しています。元雑誌・書籍編集者で、PC系フリーライターでもあるオジサン。文章に関わる仕事を始めてから25年以上。最高195万PV/月

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