ドスパラのraytrek R7は、17.3インチのディスプレイを搭載するクリエイター向けのノートPCです。特徴は、とにかくスペックが高い点。PCとしての基本スペックだけでなくディスプレイの品質も高く、一般的なノートPCに比べて動画編集や3D制作などを快適にこなせます。
ここがスゴイ①17.3インチ165HzのWQHDディスプレイ
一般的な15.6インチよりもひと回り大きい17.3インチディスプレイを採用。フルHDよりも精細なWQHD(2560×1440ドット)で、映像がきめ細やかに映し出されます。その上、165Hzの高リフレッシュレートに対応。なめらかな動きでストレスを感じません。
ここがスゴイ②RTX3070&32GBメモリー搭載
専用GPUはミドルレンジのGeForce RTX 3070。特に動画の編集 / 出力時に威力を発揮します。メモリーは標準で32GBもあるので、大容量のデータでも楽々と扱えるでしょう。
raytrek R7のスペック
OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
---|---|
画面サイズ | 17.3インチ |
解像度 | 2560×1440 |
CPU | Core i7-10875H(8コア16スレッド) |
メモリー | 32GB(16GB×2) ※スロット2基、PC4-23400、最大64GB |
SSD | 1TB NVMe SSD |
HDD | なし |
グラフィックス | RTX 3070(8GB) |
リフレッシュレート | 165Hz |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | ※表記なし |
色域 / 輝度 | sRGBカバー率 約100% Adobe RGBカバー率 約76% |
幅×奥行き | 391.4×260.8mm |
厚さ | 20mm |
重量 | 約2.3kg |
バッテリー | 約7.1時間 |
※2021年5月17日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | 表記なし ※IPS相当 |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | 3列 |
有線LAN | 2.5Gbps |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.1 |
USB3.2 | 3(Gen1×2、Gen2×1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 1(3.2 Gen2、DP対応) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | 1(2.1) |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD画質(92万画素) |
顔認証カメラ | 対応 |
指紋センサー | - |
付属品 | 230W ACアダプターなど |
オフィス | なし(オプションで追加可能) |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
※2021年5月17日時点
reytrek R5-CAとの違い
この記事で取り上げるのは、17.3インチサイズの「raytrek R7」です。ドスパラからは同じくクリエイター向けノートPCとして「raytrek R5-CA」というモデルが発売されています。raytrek R7のほうがGPUの性能が高く、ディスプレイのスペックも上。しかしreytrek R5-CAは値段が安く、本体がコンパクトです。
raytrek R7とraytrek R5-CAの違い
raytrek R7 | raytrek R5-CA | |
---|---|---|
ディスプレイ | 17.3インチ 2560×1440 | 15.6インチ 1920×1080 |
CPU | Core i7-10875H | |
グラフィックス | RTX 3070 | RTX 3060 |
メモリー | 32GB | |
ストレージ | 1TB SSD | |
リフレッシュレート | 165Hz | 60Hz |
sRGBカバー率 | 約100% | 約99% |
有線LAN | 2.5Gbps | 1Gbps |
メモリーカード | microSD | SD |
顔認証 | 対応 | 非対応 |
サイズ | 幅391.4mm 奥行き260.8mm 高さ20mm |
幅359mm 奥行き243mm 高さ24.31mm |
重量 | 約2.3kg | 約2.0kg |
バッテリー駆動時間 | 約7.1時間 | 約8.6時間 |
※2021年5月21日時点
raytrek R5-CAの詳細については、レビュー記事でご確認ください。
デザインと使いやすさ
外観について
raytrek R7は、17.3インチの大画面ディスプレイを搭載したノートPCです。画面が大きくて見やすいものの、本体サイズはかなり大きめ。とは言え、一般的な15.6インチに比べてひと回り大きい程度です。外観はシンプルかつスタイリッシュで、大型ノートPCでよく見られるゴツさは感じられません。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは17.3インチ。ノートPCとしては一般的な15.6インチよりも、ひと回り大きめです。解像度は2560×1440ドットのWQHD。1920×1080ドットのフルHDに比べて、ピクセル比で約1.78倍。文字や写真が、より高精細に映し出されます。特に文字のドット感がなくなめらかで、文章が読みやすく感じるでしょう。
映像は自然な色合いです。公称値によると色域はsRGBカバー率が約100%、Adobe RGBカバー率が約76%とのこと。実際に色域を計測したところ、公称値に近い結果が出ました。
ただ、映像を厳密に見るとやや赤みが弱く、黄色がかっているように見えます。プロクオリティーの映像や写真、動画で使用する場合は、キャリブレーターを使用するといいでしょう。もしくはAdobe RGBやDCI-P3のカバー率が高い外付けディスプレイを併用するのもアリ。raytrek R7でザックリと作業して、広色域ディスプレイで仕上げるといった使い方もできます。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 99.3% |
---|---|
sRGB比 | 104.3% |
Adobe RGBカバー率 | 76% |
Adobe RGB比 | 77.4% |
リフレッシュレートは165Hz。raytrek R7がクリエイター向けノートPCですが、一般的なゲーミングノートPCの144Hzよりも画面の動きがなめからです。高リフレッシュレートのディスプレイはゲーム以外でも効果があり、たとえば画面のスクロールやウィンドウ / アイコンのドラッグ、ちょっとしたアニメーションなどがスムーズに映し出されます。一度体験すると60Hzのディスプレイにちょっとイラッとしてしまうほど。ぜひ、そのなめらかさを感じてください。
キーボードについて
キーボードはかなりクセが強いので注意してください。
まず日本語キーボードではありますが、英字配列をベースにしているためEnterキー周辺が一般的なキーボードと異なります。テンキーは一般的な4列構成ではなく、やや特殊な3列構成です。また一部のキーが、変則的な箇所に配置されています。ローマ字入力なら問題ないかもしれませんが、かな入力や記号を多用するプログラミングでは違和感があるかもしれません。
キーピッチは実測で18.6mm。一般的な19mmよりもわずかに狭いのですが、違和感はありませんでした。キーストロークは実測で平均1.27mmとやや浅め。キーを押した瞬間のクリック感はしっかり感じられるものの、指を押し戻す力が感じられませんでした。デスクトップ用のキーボードで高速タイピングする人には、やや物足りなく感じるかもしれません。軽い力で入力する人向きです。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は十分な構成です。左右側面にUSB端子があるので取り回しの自由度が高く、繋ぎっぱなしで使う端子類は背面に配置されているのでケーブルがジャマになりません。
ただクリエイティブ用途であればデジカメの写真を取り込むこともあるはずなので、メモリーカードスロットはmicroSDではなくSDのほうが好ましいと思います。Type-Cは充電には対応していませんが、電源アダプターが230Wの高出力タイプなので仕方がないでしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | × |
---|---|
USB PD 30W充電 | × |
USB PD 45W充電 | × |
USB PD 65W充電 | × |
USB PD 100W充電 | × |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-10875H |
---|---|
メモリー | 32GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | RTX 3070(8GB) |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「Control Center」の「Turbo Mode」を有効化、さらに「Fan Boost」をオンにした最大パフォーマンス設定で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第10世代のCore i7-10875Hが使われています。すでに最新の第11世代CoreプロセッサHシリーズがリリースされていますが、まだまだ現役レベルの性能です。
試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ同じCPUの平均値をやや下回りましたが、ゲーミング / クリエイター向けノートPCとしては中位クラスの結果が出ています。最高性能ではないものの、ハイエンド向けとしては十分なパフォーマンスです。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、専用グラフィックスのGeForce RTX 3070が使われます。GTX / RTXシリーズとしてはミドルハイクラスのGPUですが、raytrekでは同GPUの平均値を大きく上回る優れた結果が出ました。前世代のハイエンド向けGPUであるRTX 2080を上回っています。写真や画像の加工はもちろん、動画編集や3D制作などでも高い効果を見込めるでしょう。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。raytrek R7では、すべてのテストで快適に使える目安の目標値を上回りました。一般利用ではスタンダードノートPCとあまり変わらないものの、大量のデータ処理やコンテンツ制作(動画編集や写真加工、3D制作)では高い効果が出ています。
ストレージのアクセス速度
ストレージは1TBのNVMe(PCIe 3.0 x4)SSDです。注文時のカスタマイズで容量を変えたり、さらにSSDをもうひとつ追加したりできます。
アクセス速度を計測したところ、非常に優秀な結果が出ました。しかし負荷の高い処理を連続で行なうと、シーケンシャルライトの速度が大きく低下しています。サーマルスロットリングの影響が出ているのかもしれません。大量の大容量ファイルを連続して書き込む際に、パフォーマンスが低下する可能性があります。パーツカスタマイズで信頼性の高いSSDを選ぶか、SSDに放熱シートなど貼ったりするといいでしょう。
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。
raytrek R7では、動画編集の「Video Editing」で高いスコアが出たものの、「Photo Editing」のスコアはあまり振るいませんでした。グラフの比較機②よりもCPUとGPU性能は高いはずなので、もしかするとストレージ性能が影響しているのかもしれません。どちらかというとRAW現像やイラスト制作よりも、高いGPU性能を活かした動画編集に向いています。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均24.58秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、若干起動に時間がかかっています。とはいえ、待たされていると感じるほどではありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 24.8秒 |
---|---|
2回目 | 24.7秒 |
3回目 | 24.6秒 |
4回目 | 24秒 |
5回目 | 24.8秒 |
平均 | 24.58秒 |
駆動音計測結果
raytrek R7では、標準収録ソフト「Control Center」で、パフォーマンスモードを変更できます。PL1やPL2などCPUの電圧調整も可能ですが非常にデリケートな設定なので、慎重に行なうか触らないほうがいいでしょう。
PCに高い負荷がかかると空冷ファンが強く稼働し、駆動音(ファンの回転音や通気口からの風切り音)が大きく聞こえます。高いパフォーマンスを発揮できる「Turbo Mode」ではそれほど気になりませんが、ファンが最大出力で駆動する「Fan Boost」を有効にするとかなりうるさく感じました。夜の静かな時間帯では、周囲に気を配ったほうがいいかもしれません。
駆動音の計測結果
電源オフ | 37.4dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 37.5dBA | ほぼ無音 |
Turboモード高負荷時 | 54.5dBA | 排気音が少し大きくハッキリと聞こえるがうるさくはない |
Fan Boost有効時 | 62.5dBA | 音がかなりうるさい。部屋の外にまで聞こえるほど |
ゲーム系ベンチマーク結果
ゲーム系ベンチマークテストを試したところ、概ね快適に遊べるとの評価でした。FF15ベンチでスコアがいまひとつ伸びなかったのですが、もしかするとドライバが原因かもしれません。スペック的にはフルHDの最高画質でも快適に遊べるはずです。
raytrek R7は本来ゲーム向けの機種ではありませんが、高いゲーム性能を備えています。しかも165Hzの高リフレッシュレートで、ゲーム画面の動きは非常になめらか。ターゲットを捉えやすい17.3インチの大画面で、ゲームを有利に進められるでしょう。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 5449 / やや快適 |
標準品質 | 5361 / やや快適 |
軽量品質 | 5446 / やや快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 16983 / 133.9 FPS |
高品質 | 18861 / 161.7 FPS |
標準品質 | 19905 / 174.1 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 22807 / すごく快適 |
標準品質 | 22828 / すごく快適 |
低品質 | 23298 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
クリエイティブワーク向けの高パフォーマンスノートPC
よかった点
ディスプレイのスペックの高さは圧巻です。17.3インチの大画面にWQHD(2560×1440ドット)の高解像度、そして165Hzの高リフレッシュレートと、一般的なディスプレイよりも優れています。色味についてはキャリブレーターなどを使って調整するといいでしょう。
またPCとしての基本スペックもバッチリです。8コア16スレッドのCPUにミドルハイのRTX 3070、さらに32GBメモリーで、重い処理も快適にこなせます。余裕のあるスペックが魅力の、ハイスペックなクリエイター向けノートPCです。
気になる点
ベンチマーク結果を見る限りでは、写真/画像系のテストがいまひとつでした。ストレージのサーマルスロットリングが影響しているのか、それとも試用機固有の症状なのかもしれません。とは言えミドルレンジのRTX 3070は写真やイラスト、画像の加工にはオーバースペックなので、動画編集向けと考えたほうがいいでしょう。
あとはキーボードの配列が残念です。最近は片手用キーボードや専用コントローラーを使うケースも増えてきているので大きな問題はないかもしれませんが、もうちょっと日本人向けに配慮してもらえればよかったと思います。
※2021年5月17日時点
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