ドスパラのRegulus(レグルス) AR5-Qは、ミニタワー型のスタンダードなデスクトップPCです。最大の特徴は、CPUにAMDのRyzen 5 2400Gが使われている点。インテルのCore iプロセッサーと比べてグラフィックス性能が高く、コストパフォーマンスに優れると言われる最新(2018年5月時点)のCPUです。
Regulus AR5-Qの特徴
AMD Ryzen 5 2400G搭載
AMDのCPUはインテル製よりもコストパフォーマンスに優れると言われています。特に内蔵のグラフィックス性能が優秀です。
十分な拡張性
ドライブベイは合計6つでPCI Express x16スロットやPCIe接続のM.2スロットにも対応。大型のグラフィックボードも利用可能です。
この記事ではメーカーからお借りしたRegulus AR5-Qを使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
この記事の目次
- 1:Regulus AR5-Qのスペック
- 2:本体の外観と内部
- 3:消費電力と駆動音、CPU温度について
- 4:ベンチマーク結果
- 5:まとめ
Regulus AR5-Qのスペック
OS | Windows 10 Home ※カスタマイズ可 |
---|---|
チップセット | AMD B350 Chipset(Micro ATX) |
CPU | AMD Ryzen 5 2400G |
メモリー | 8GB(最大32GB) |
ストレージ | 1TB HDD ※SSD対応、カスタマイズ可 |
グラフィックス | Radeon RX Vega 11(Ryzen 5 2400G) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ ※カスタマイズ可 |
通信機能 | 1000BASE-T対応有線LAN ※無線LANの利用には子機が必要 |
インターフェース | USB3.0×6(前面×2+背面×4)、USB2.0×2(背面)、VGA(D-sub15ピン)、DVI、HDMI、有線LAN、、ヘッドホン出力/マイク入力、オーディオ端子類 |
拡張スロット | PCI Express x16 ×1、PCI Express x1 ×1、M.2スロット(PCIe対応) |
ドライブベイ | 5インチ×2、3.5インチオープン×2、3.5インチシャドウ×2 |
電源 | 450W 静音電源(80PLUS BRONZE) ※カスタマイズ可 |
サイズ/重量 | 幅190×奥行き420×高さ360mm/約7.8kg |
サポート | 電話サポート対応、メーカー保証1年間 ※延長サービス対応 |
※2018年5月30日時点。構成は変更される場合があります
スペック上の注意点
- 無線LAN非対応 ※子機が必要
- メモリーカードスロットは有料オプション
パーツカスタマイズ対応
Regulus AR5-Qはストレージ構成や電源、空冷ファンなどのパーツを変更できます。上位パーツにアップグレードすればより快適に利用可能です。用途や予算に合わせて、好みの構成にカスタマイズしましょう。
パーツカスタマイズの注意点
- SSDは2.5インチのみ
- メモリーは8GBのみ ※自分で増設は可能
そのほかのRegulusシリーズ
ドスパラの「Regulus」は、AMD製のCPUを搭載したミニタワー型デスクトップPCのシリーズです。この記事で取り上げているRegulus AR5-Q以外にも、さまざまなモデルが用意されています。
Regulusシリーズのラインナップ
モデル名 | CPU | グラフィックス | 税込価格 |
---|---|---|---|
Regulus AM | A4-7300 | Radeon HD 8470D | 4万7498円~ |
Regulus AG | A6-9500 | Radeon R5 | 5万6138円~ |
Regulus AR3 | Ryzen 3 2200G | Radeon Vage 8 | 6万4778円~ |
Regulus AR3 | Ryzen 3 2200G | Radeon Vage 8 | 6万4778円~ |
Regulus AC5 | Ryzen 5 2600 | GeForce GT 1030 | 8万8538円~ |
Regulus AS5 | Ryzen 5 2600 | GeForce GTX 1050 | 9万9338円~ |
Regulus AJ5 | Ryzen 5 2600 | GeForce GTX 1060(3GB) | 11万6618円~ |
Regulus AC | Ryzen 7 2700 | GeForce GT 1030 | 11万0138円~ |
Regulus AS | Ryzen 7 2700 | GeForce GTX 1050 | 11万8778円~ |
Regulus AJ | Ryzen 7 2700 | GeForce GTX 1060(3GB) | 13万1738円~ |
※2018年5月30日時点。価格や構成は変更される場合があります
各モデルの詳細については、公式サイトでご確認ください。
関連リンク
本体の外観と内部
スタンダードなミニタワー型
Regulus AR5-Qでは「ミニタワー型」と呼ばれる標準的な大きさのPCケースが使われています。本体の幅は19cmとやや大きめですが、十分机の上にも置けるサイズです。
デスクトップの主な分類
ミドルタワー型 | ミニタワー型 | スリム型 | コンパクト型 |
拡張性:◎ 省スペース性:× 冷却性能:◎ |
拡張性:○ 省スペース性:△ 冷却性能:○ |
拡張性:△ 省スペース性:○ 冷却性能:△ |
拡張性:× 省スペース性:◎ 冷却性能:△ |
インターフェースは十分な構成
周辺機器接続用のインターフェース(端子類)は、前面と背面に用意されています。基本的には数も種類も十分な構成ですが、標準ではメモリーカードスロットが用意されていない点に注意してください。必要な場合は、購入時のオプションでメモリーカードスロットを追加できます。
また標準では無線LAN(Wi-Fi)にも対応していません。無線LANでネットに接続する場合は、USB接続や拡張ボードタイプの無線LAN子機が必要です。
前面のインターフェース
- ① USB3.0
- ② ヘッドホン出力/マイク入力
- ③ リセットボタン
- ④ 電源ボタン
背面I/Oパネルのインターフェース
- ① PS/2(キーボード/マウス接続用)
- ② USB2.0
- ③ DVI
- ④ VGA(D-sub15ピン)
- ⑤ HDMI
- ⑥ USB3.0
- ⑦ 1000BASE-T対応有線LAN
- ⑧ オーディオ端子類
十分な拡張性
側面のカバーを取り外すことで、本体内部にアクセスできます。PCI Expressの拡張スロット(2スロット占有タイプにも対応)や合計6つのドライブベイを用意するなど、拡張性は十分。コスパの高い格安なモデルでも、実用的に使える拡張性を備えています。
マザーボードのスロット類
- ① PCI Express x1
- ② M.2 スロット(PCIe対応)
- ③ PCI Express x16
消費電力と駆動音、CPU温度について
今回の検証で使った試用機のスペックは以下の表のとおりです。検証/ベンチマーク結果はパーツ構成や個体差、環境、タイミングなどによって大きく変わる点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Pro |
---|---|
CPU | Ryzen 5 2400G |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 1TB HDD |
グラフィックス | Radeon RX Vega 11(APU内蔵) |
消費電力について
消費電力は、同クラスのミニタワー型デスクトップPCと比べてやや高めです。インテル製CPUと比較すると、Core i7-7700/8700相当でした。とは言え、電気代に大きな差が出るほどではないと思われます。
1分間の平均消費電力
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
30.6W | 33.6W | 97.8W | 73.2W |
※消費電力の計測方法はコチラ
駆動音について
待機中や負荷の軽い状態でも、駆動音(ファンの回転音や排気音など)がはっきりと聞こえます。ただし気になるほどではありません。高負荷時では多少音が大きくなるものの、うるさく感じるほどではありませんでした。静音性は優秀だと言えます。
駆動音の計測結果
電源オフ | 36.8dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 46.0dBA | ファンの回転音がはっきりと聞こえるが、うるさいほどではない |
動画視聴 | 45.9dBA | 同上 |
動画変換 | 46.9dBA | ファンの回転音が少し大きい |
3Dゲーム | 46.7dBA | 同上 |
※駆動音の計測方法はコチラ
CPU温度について
CPUの最大温度は、動画変換時の81度でした。高温ではありますが、ほかのパーツに悪影響を及ぼすほどではないでしょう。少しでも温度を下げたい人は、購入時に空冷ファンや電源をアップグレードすることをおすすめします。
CPUの最高温度
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
47℃ | 40℃ | 81℃ | 58℃ |
※本体温度の計測方法はコチラ
起動時間は30秒程度
起動時間(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまでの時間)は平均37.3秒です。HDD搭載機としては速いのですが、これは電源のオンオフを連続して試したためだと思われます。長時間使ったあとやWindows Updateなどが実行されたあとでは、起動に1分程度かかるでしょう。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
57.8秒 | 36.5秒 | 35.8秒 | 30.8秒 | 25.6秒 | 37.3秒 |
Regulus AR5-Qのベンチマーク結果
試用機のスペック
OS | Windows 10 Pro |
---|---|
CPU | Ryzen 5 2400G |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 1TB HDD |
グラフィックス | Radeon RX Vega 11(APU内蔵) |
ストレージ性能
試用機で使われていた1TB HDDは、アクセス速度がそこそこ速めでした。普通に使うぶんには問題ないでしょう。ストレージにSSDを追加すれば、より快適に利用できます。
CPU性能
グラフィックス機能を内蔵するAMDのCPUは本来「APU」と呼ばれますが、この記事ではわかりやすさを優先してあえて「CPU」と表記しています。
CPU性能を計測するベンチマークテストでは、第8世代のCore i3とCore i5の中間くらいの性能を示す結果となりました。CPU性能だけで見れば、Core i5-8400搭載機のほうがコストパフォーマンスがいいかもしれません。
CPUの性能比較 その1
CPU | CINEBENCH R15のCPUスコア |
---|---|
Core i7-8700 |
|
Core i5-8400 |
|
Regulus AR5-Q(Ryzen 5 2400G) |
|
Core i3-8100 |
|
※ほかのCPUの結果は当サイト計測の平均値
CPUの性能比較 その2
CPU | PassMark PerformanceTestのCPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8700 |
|
Core i5-8400 |
|
Regulus AR5-Q(Ryzen 5 2400G) |
|
Core i3-8100 |
|
※ほかのCPUの結果は当サイト計測の平均値
3D性能
グラフィックス機能は、CPU内蔵タイプとしては高めです。現行世代であるIntel UHD Graphics 630のデータはまだないのですが、前世代Intel HD Graphics 630と比べると3DMarkで2倍以上のスコアが出ています。
3D機能の性能比較
CPU | 3DMark Fire Strikeのスコア |
---|---|
GeForce GTX 1060 |
|
GeForce GTX 1050 |
|
Regulus AR5-Q(Radeon RX Vage 11) |
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HD Graphics 630(Core i7) |
|
※ほかのGPUの結果は当サイト計測の平均値
ドラクエ10などの軽めの3Dゲームであれば、問題なくプレーできる結果が出ています。FF14などの中規模クラス以上になると、ちょっと厳しいでしょう。ただし解像度を1280×720ドットに下げれば、なんとか遊べるレベルにはなるかもしれません。
ゲーム系ベンチマーク結果(フルHD)
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中規模クラスの目安 | |||
---|---|---|---|
最高品質 | 高品質(デスクトップPC) | 標準品質(デスクトップPC) | |
2396(普通)※15.768 FPS | 2545(やや快適)※16.850 FPS | 4052(快適)※27.584 FPS | |
ドラゴンクエストX ※軽めのゲームの目安 | |||
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
8137(とても快適) | 10710(すごく快適) | 11584(すごく快適) |
Magnate IMとどちらを買うべきか?
ドスパラからはRegulus AR5-Qと同じミニタワー型のデスクトップPCとして、Core i5-8400搭載のMagnate IMというモデルが発売されています。価格は同じ税込み6万6938円で、外観や機能についてもほぼ同じ。違いはCPUがRyzen 5 2400GかCore i5-8400であるかという点です。
※リンク先はCore i7-7400搭載モデルのレビュー
前述のベンチマーク結果をご覧いただくとわかるとおり、CPU性能だけで見ればCore i5-8400のほうが有利です。対してRegulus AR5-Qで使われているRyzen 5 2400Gは、内蔵グラフィックス性能が高いというメリットがあります。この違いをどう捉えるかが、判断の分かれ目となるでしょう。
グラフィックス性能が高いと、画像加工や動画編集などのクリエイティブ系ソフトの処理が一部高速化される場合があります。その意味では内蔵グラフィックス性能の高いRyzen 5 2400GはインテルのCore iシリーズよりもクリエイティブな作業の面で有利です。
しかし本格的な作業には、より高いパフォーマンスが必要です。できればCPUはCore i7クラス、グラフィックス機能にはGeForce GTX 1050以上が欲しいところ。Ryzen 5 2400Gに内蔵されているRadeon RX Vega 11のグラフィックス性能が高いとは言っても、バリバリと使いこなすにはパワー不足の感が否めません。
とは言うものの、そこまで高性能でなくてもいいという人にとって、Regulus AR5-Qは検討するべき候補のひとつとなりえます。普段は文書作成や事務処理などが中心で、ごくまれにちょっとした画像や動画を作るというケースで真価を発揮するでしょう。
Regulus AR5-Qのまとめ
- グラフィックス性能が高め
- 大型の拡張ボードを利用可能
- ドライブの増設スペースも十分
関連リンク
※記事中の価格や構成は、記事執筆時のものです。予告なく変更される場合もございますので、あらかじめご了承ください。