ROG Strix SCAR 15 G533QSは、最新パーツを搭載したハイエンドクラスのゲーミングノートPCです。CPU(APU)はAMDのZen 3世代であるRyzen 9 5900HXで、専用GPUはGeForce RTX 3080。どちらも2021年1月にリリースされたばかりで、高いパフォーマンスを実現しています。
ポイント
- デスクトップPC並みに高性能
- 広色域の165Hzディスプレイ
- RGBイルミネーション搭載
ROG Strix SCAR 15 G533QSのスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 2560×1440(WQHD) |
リフレッシュレート | 165Hz |
CPU | Ryzen 9 5900HX |
メモリー | 32GB |
SSD | 1TB SSD+1TB SSD |
HDD | なし |
グラフィックス | RTX 3080(16GB) |
LTE | - |
堅牢性テスト | - |
色域 | sRGB 100% |
幅×奥行き | 354×259.9mm |
厚さ | 27.2mm |
重量 | 約2.3kg |
バッテリー | 約10.1時間 |
※2021年2月4日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | ※表記なし(IPS相当) |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | なし(タッチパッドで代用可能) |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | Wi-Fi 6 (11a/b/g/n/ac/ax) |
Bluetooth | 5.1 |
USB3.2 | 3(Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 1(USB3.2 Gen2) |
Thunderbolt 3 | - |
メモリーカード | - |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | - |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし ※付属モデルあり |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶ゲーム性能について
- ▶まとめ
※2021年2月4日時点
デザインと使いやすさ
外観について
ROG Strix SCAR 15 G533QSの本体デザインはゲーミングノートPCらしく、ギミック感と遊び心にあふれています。本体カラーは控えめなブラックながら、各部にはRGBイルミネーションを設置。さらに外装パーツを変えられるほか、「Keystone II」と呼ばれるNFCキーに対応するなど非常に凝った作りです。
接地面積はコンパクトではあるものの、全体的なシルエットはやや厚め。若干ゴツい印象を受けますが、最高クラスのCPUとGPUを搭載していることを考えれば仕方がないでしょう。むしろデスクトップPC並のパフォーマンスを実現しながら、よくここまで小さくできたものだと感心するほどです。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは15.6インチで、解像度はWQHD(2560×1440ドット)。フルHDよりも解像度が高いぶん映像が精細に映し出されますが、そのぶん高いパフォーマンスが必要です。処理がやや重い程度の中量級タイトルならWQHDでもプレーできますが、極端に重いタイトルは少々厳しいので注意してください。
映像は自然な色合いで違和感はありません。スペックではsRGB 100%かつDCI-P3 100%とのこと。パッと見た感じではDCI-P3 100%のようには感じなかったのですが、一般的なノートPCよりも赤みがわずかに強く色鮮やかです。ハイアマチュアクラスのクリエイティブ作業にも活用できるでしょう。もちろんゲーム画面も鮮やかです。
リフレッシュレートは165Hzで、ゲームの動きは非常になめらか。ただし最近は240Hzや300Hzのリフレッシュレートに対応している機種もあるので、グレード的には標準(144Hz)よりもやや上くらいです。超高リフレッシュレートでe-Sportsレベルのプレーをキメるというよりも、高いパフォーマンスで美しいグラフィックスを楽しみたい人に向いています。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの英字配列です。配列は英数字キーは標準的ですが、ファンクションキーの構成とEnterキー周辺がやや特殊。とは言え、特に大きな影響はないでしょう。英字配列についても、慣れれば普通に使えるはずです。
特徴的なのは、光学式のメカニカルスイッチを採用している点。物理的な接触が少ないため標準的なメカニカルスイッチに比べて反応が速い上に、耐久性にも優れています。キーストロークは公称値で1.9mmとやや深く、入力時には「カツッ」とした心地よい手応えが感じられました。タイプ音はそれなりに聞こえるものの、いかにもゲーミング的な感触で筆者個人としては好みです。
インターフェースについて
周辺機器接続用のインターフェース類は、十分な構成です。電源コネクターや有線LANなど繋ぎっぱなしで使う端子は背面に配置されているので、本体の両脇がケーブルでゴチャつくことがありません。フルサイズのUSB端子の場所や数も問題なく、複数のゲーミングデバイスを難なく利用できます。ただしWebカメラやSDカードスロットなど、一部の機能に対応していない点に注意してください。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | × |
---|---|
USB PD 30W充電 | × |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
サウンドはビックリするほど高音質です。サラウンド感が高く、解像感も音の厚みも十分。ちょっとした外付けスピーカーぐらいのクオリティーに感じられます。高負荷時にはファンの音がそれなりに聞こえますが、それでもゲームの音がしっかりと聞こえました。ノートPCとしては、最高クラスの音質と言っていいでしょう。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | G533QS-R9XR3080E |
---|---|
CPU | Ryzen 9 5900HX |
メモリー | 32GB |
ストレージ | 2TB SSD |
グラフィックス | GeForce RTX 3080 |
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します。またベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあるのでご了承ください
CPU性能
CPUとしては2021年1月にリリースされたRyzen 9 5900HXが使われています。従来のRyzenシリーズに比べてアーキテクチャがZen 2からZen 3へと変わり、動作周波数やキャッシュメモリーの容量なども変わりました。
CPU性能を計測するベンチマークテストを実施したところ、従来のRyzenシリーズを大きく上回る結果が出ました。インテルの第10世代Core i7と比較しても、マルチコア性能/シングルコア性能の両面で勝っています。
CPUの性能差 (ゲーミングノートPC向け)
スタンダードデスクトップPC向けCPUと比較しても、Ryzen 9 5900HXの性能は大きく上回っています。さすがに超ハイエンドゲーミングデスクトップPC向けのCore i9やRyzen 9など(※データ未掲載)には及びませんが、ノートPCとは思えないパフォーマンスです。
CPUの性能差 (デスクトップPC向け)
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、GeForce RTX 3080が使われています。2021年1月にリリースされた最新GPUのなかでは、最上位のハイエンド向けです。
3Dグラフィックス性能を計測するベンチマークテストでは、前世代のハイエンド向けであるRTX 2080に比べてスコが15%アップしました。新世代と前世代の性能差はだいたい15~20%程度であることが多いので、順当な進化だと言えます。デスクトップPC向けGPUと比較するなら、RTX 2080 SUPER相当といったところ。ノートPC向けとしては非常に高性能です。
GPUの性能差(ゲーミングノートPC向け)
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。
ROG Strix SCAR 15 G533QSの結果は、非常に優秀です。インテル製CPUを搭載したクリエイター向けノートPCや、旧世代のクリエイター向けデスクトップPCを上回っています。ただアドビのソフトは性能が一定水準を超えると差が生じにくくなるので、CPUやGPUが改善されたからと言って結果が劇的に変わるわけではありませんでした。とは言え動画編集のテストではほかのノートPCよりも差が出ているので、その点を重視するのはアリだと思います。
UL Procyonのスコア比較
内部の発熱について
FF15ベンチを10分間実行し続けた際のCPU/GPU温度を計測したところ、CPUは平均82.4度、GPUは平均75.5度でした。CPUの最大温度は92.7度で、わりと高いところにまで達しています。ただしクロックを上げ下げすることで、細かな温度調整を行なっている様子が見られました。クロックが大きく落ちていることもありますが平均としては4GHzオーバーで、高いパフォーマンスを保っています。
排気音についてはそれなりに聞こえますが、うるさすぎるほどではありません。パフォーマンス設定を「Turbo」に変更するとファンが最大出力で動作しますが、個人的には爆音というほどではありませんでした。条件にもよりますが、隣の部屋にまで大きく響くほどではないと思います。とは言え「サーッ」という排気音がそれなりに聞こえるので、静かな場所では配慮が必要かもしれません。
ゲーム性能について
ディスプレイの解像度がWQHD(2560×1440ドット)なので高解像度でプレーを楽しみたいところ。しかしレイトレ(レイトレーシング)を有効にすると、WQHDでは60FPSを大きく割り込みます。フォトモードなどでスクショを撮影するならFPSが低くても問題ありませんが、実際のプレーではカクつきを感じるでしょう。レイトレを有効化するならフルHDまでがおすすめです。
レイトレ無効でもWQHDでは、タイトルによってはDLSSを効かせないと厳しい場合があります。特に処理の重いゲームは、画質を少し下げたほうがいいかもしれません。フルHDであれば、最高画質でも快適にプレーできるでしょう。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 12484 / 非常に快適 |
標準品質 | 12251 / 非常に快適 |
軽量品質 | 13478 / 非常に快適 |
※フルHDの結果、スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 16074 / 134 FPS |
高品質 | 17524 / 150.8 FPS |
標準品質 | 18103 / 158.2 FPS |
※フルHDの結果、平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 22467 / すごく快適 |
標準品質 | 22633 / すごく快適 |
低品質 | 23247 / すごく快適 |
※フルHDの結果
フォートナイト (ちょっと重い / DX12)
フルHD
画質設定 | 平均FPS |
DLSS:オフ/レイトレ:オフ | 137.1 FPS |
DLSS:バランス/レイトレ:オフ | 158.2 FPS |
DLSS:オフ/レイトレ:オン | 31.2 FPS |
DLSS:バランス/レイトレ:オン | 66.7 FPS |
※画質は「最高」、レイトレ設定は最高品質、平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
サイバーパンク2077 (重い / DX12)
フルHD
画質設定 | 平均FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:オフ | 68.8 FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:バランス | 67.5 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:オフ | 36.7 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:バランス | 52.7 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
WQHD
画質設定 | 平均FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:オフ | 46.7 FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:バランス | 67.4 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:オフ | 23.5 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:バランス | 45.9 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
アサシン クリード ヴァルハラ (重い / DX12)
フルHD
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高 | 74 FPS / 42 FPS |
中 | 98 FPS / 45 FPS |
低 | 107 FPS / 66 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
WQHD
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高 | 60 FPS / 35 FPS |
中 | 78 FPS / 46 FPS |
低 | 91 FPS / 52 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ウォッチドッグス レギオン (重い / DX12)
フルHD
レイトレーシング品質 | 平均FPS / 最低FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:オフ | 74 FPS / 44 FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:バランス | 78 FPS / 40 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:オフ | 52 FPS / 38 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:バランス | 62 FPS / 43 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
WQHD
レイトレーシング品質 | 平均FPS / 最低FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:オフ | 61 FPS / 38 FPS |
画質:ウルトラ/DLSS:バランス | 72 FPS / 32 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:オフ | 44 FPS / 37 FPS |
画質:レイトレーシングウルトラ/DLSS:バランス | 56 FPS / 35 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
早くも2021年のゲーミングノートPC決定版が登場!?
よかった点
なんと言ってもRyzen 9 5900HX+RTX 3080の高いパフォーマンスが魅力です。現時点ではノートPCで最高クラスの性能と言っていいでしょう。並のハイエンドデスクトップPCすら上回る実力には驚くほかありません。このパフォーマンスを超えるゲーミングノートPCは、2021年には現われないのではないでしょうか。
また高リフレッシュレート対応のディスプレイやほぼnキーロールオーバーのキーボードなど、ゲーマー向けの機能が充実している点もポイント。さらにわくわくするようなギミックが各所に用意されている点も見逃せません。性能的にも機能的にも、トップクラスの仕上がりです。最高品質を求める人におすすめします。
気になる点
ある程度は仕方がないのですが、値段が税込30万円オーバーなのはさすがに高いですよね。ただこれまでのゲーミングノートPCでもハイエンド機は30万円を超えていましたので、この点についてはそんなものかなという気もします。値段が購入時の足かせにならないのであればおすすめです。
※2021年2月4日時点
*
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