マイクロソフトのSurface Book 2は、優れたデザインと高い性能を実現した2-in-1ノートPCです。すべての面において品質が非常に高く、ノートPCのなかではトップクラスの仕上がりと言っても過言ではありません。
ポイント
Surface Book 2の13.5インチモデルの評価
デザイン | ムダのないスタイリッシュなフォルム。質感も高く、デザイン品質は最高クラス |
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性能 | 第8世代Core i7+GTX1050の組み合わせは強力。Core i5はやや非力 |
使いやすさ | 端子類は十分な構成。キーボードは使いやすく、タブレットとしても使えるのも便利 |
軽さ | 13インチクラスとしては重いが、性能とギミックを考えると仕方がないところ |
画面 | 3000×2000ドットの画面は非常に高精細。映像は明るくて美しい |
今回はメーカーからお借りしたSurface Book 2の13.5インチモデルを使って、本体デザインや性能などをレビューします。
目次
- 1:13.5インチモデルと15インチモデルの違い
- 2:スペックとラインナップ
- 3:高品質すぎるデザイン
- 4:高精細で色鮮やかな画面
- 5:使いやすいキーボード
- 6:インターフェースと拡張性
- 7:最強クラスの性能
- 8:まとめ
Surface Book 2
税込15万円台から
13.5インチモデルと15インチモデルの違い
Surface Book 2には液晶ディスプレイの大きさが13.5インチのモデルと15インチのモデルの2種類が用意されています。それぞれの主な違いは以下のとおり。13.5インチモデルのほうが3D性能と解像度が低い代わりに、本体がコンパクトで軽く作られています。
Surface Book 2 15インチモデルと13.5インチモデルの比較
15インチモデル | 13.5インチモデル | |
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税込価格 | 30~40万円 | 15~40万円 |
CPU | Core i7-8650U | Core i5-7300U Core i7-8650U |
グラフィックス | GTX 1060(6GB) | HD Graphics 620(Core i5) GTX 1050(2GB)(Core i7) |
ディスプレイ | 15インチ 3240×2160ドット |
13.5インチ 3000×2000ドット |
大きさ | 幅343mm 奥行き251mm 高さ15~23mm |
幅312mm 奥行き232mm 高さ13~23mm |
重さ | 1905g | 1534g(Core i5) 1642g(Core i7) |
本体デザインやインターフェース構成、バッテリー駆動時間などは(公称値上は)変わりません。15インチモデルの詳細については、下記のリンクからレビュー記事をご覧ください。
スペックとラインナップ
Surface Book 2のスペック
OS | Windows 10 Pro |
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CPU | Core i5-7300U / Core i7-8650U |
メモリー | 8 / 16GB |
ストレージ | 128GB~1TB SSD |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620(Core i5モデル) / GeForce GTX 1050(2GB)(Core i7モデル) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 13.5インチ、3000×2000ドット、光沢、タッチ対応 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1 |
インターフェース | USB3.1 Gen1(フルサイズ)×2、USB3.1 Gen1 (Type-C)✕1、Surface Connect✕2、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 |
セキュリティ機能 | TPM 2.0 |
カメラ | フロント:500万画素、リア:800万画素、赤外線カメラ(Windows Hello対応) |
サイズ/重量 | 幅312×奥行き232×高さ13~23mm/約1.534kg(Core i5)、幅312×奥行き232×高さ15~23mm/約1.642kg(Core i7) |
バッテリー駆動時間 | 最大17時間 |
※2018年12月20日時点。構成や価格は変更される場合があります
Surface Book 2のラインナップ
Surface Book 2 13.5インチモデルには、パーツ構成の異なる4機種が用意されています。日常的な作業であればCPUはCore i5でも十分ですが、CGや動画、プログラミングなどの高度な作業を行なうならCore i7モデルがおすすめです。
ラインナップ
Core i5+128GB SSDモデル ※数量限定 | |
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税込15万4224円 | |
Core i5+256GB SSDモデル | |
税込20万0664円 | |
Core i7+256GB SSDモデル | |
税込26万2224円 | |
Core i7+512GB SSDモデル | |
税込33万6744円 | |
Core i7+1TB SSDモデル | |
税込39万7224円 |
※2018年12月20日時点。構成や価格は変更される場合があります
高品質すぎるデザイン
これこそが最上のデザイン!
Surface Book 2のデザインについては、「とにかくスゴイ」という感想しか出てきません。具体的にどこがスゴイのか、細かい部分も含めて紹介します。
Surfaceシリーズが素晴らしいのは、見る角度や光の強弱に影響されることなく、常に均一なライトグレーのカラーが維持されている点です。ボディには金属素材(マグネシウム合金)を使いながらも光の反射が抑えられており、強い光が当たってもテカリはまったく見られません。
パームレスト(キーボード面)は天板や底面と見た目は同じですが、表面処理が微妙に異なります。サラサラとしながらもドライな手触りで、非常に高い質感です。またエッジ部分には丸みがなく、まるで1枚の板のような印象を受けました。
注目したいのは、底面部と接地面のすき間がほとんどない点です。パームレストとデスクの段差がほとんどなく、タッチパッドを操作する際に手を自然な角度にキープできました。
キーボードの側面は高さが均一に見えますが、中央部分がゆるやかに盛り上がっています。パッと見た感じでは、ほとんど気が付きません。
Surface Book 2で特徴的なのは、蛇腹型のヒンジを採用している点です。ギミック的にも造形的にも素晴らしいのですが、個人的には少しすき間が空いてしまう点が気になります。
造形がいちいちシャープかつエレガントなので、いつまでも眺めていたくなるほどの出来栄えです。
さまざまなスタイルで利用可能
Surface Book 2は液晶ディスプレイを取り外すことでタブレットとしても利用できるほか、キーボードとの接続方法によりさまざまなスタイルで活用できます。
A4サイズよりちょっと大きい
Surface Book 2の13.5インチモデルはモバイルノートPCでは標準的な13.3インチよりも少しだけ大きな画面を採用しています。また独特の蛇腹型ヒンジを採用していることもあり、一般的な13インチノートPCよりも本体サイズがわずかに大きめです。
モバイル用としては重い
本体の重量はCore i5モデルで1.543kg、Core i7モデルで1.642kgです。モバイル用には1.5kg未満が理想的なのですが、サイズが少し大きくスペックが高いことを考えれば仕方がないでしょう。
アクセサリー類の重さ(実測値)
電源アダプター | 382g |
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Surfaceペン | 21g |
Surfaceダイヤル | 140g |
高精細で色鮮やかな画面
13.5インチの高精細ディスプレイ
液晶ディスプレイの大きさは13.5インチで、解像度は3000×2000ドット。モバイルノートPCの標準スペックは13.3インチの1920×1080ドット(フルHD)ですから、わずかに画面が大きく高精細です。
特徴的なのは、アスペクト比(横と縦の比率)が3:2である点です。一般的な16:9よりも縦方向に長いのですが、A4用紙の縦横比率に近いのでビジネス資料の表示に向いています。
映像が鮮明で色鮮やか
液晶ディスプレイの色合いを確認したところ、コントラストが高く自然な色合いでした。解像度が高いので、写真を拡大することなく細部まで確認できます。
使いやすいキーボード
キーが大きくて使いやすい
キーピッチ(キーとキーの間隔)は、理想とされる19mmです。Enterキー周辺がわずかに小さくなっていますが、特に違和感は感じませんでした。キー自体も15.5mmと大きめで、使いやすく感じます。
タイプ音は静か
キーストローク(キーを押し込む深さ)は1.6mmです。キーを押した瞬間にカクッとした軽めのクリック感がありました。個人的はややタイプ感が軽いような気がしますが、支障なく使えます。
タイプ音は静かです。指を横に滑らせるようにして打ったときは「トストストス」という音で、特に気になりません。指を打ち下ろすようにするとそれなりに響きますが、キーの軸にブレがないのでカチャカチャとはしませんでした。ただしEnterキーとスペースキーを押すと「チャクッ」という音が響きます。
クリック感が気持ちいいタッチパッド
タッチパッドはボタン一体型で十分なサイズです。よく見ると表面が半透明なガラス素材のようなもので覆われていました。
一般的なタッチパッドはクリック時に「カチッ」という音がするのですが、Surface Book 2では「コツッ」という音がします。クリック時の沈み込みは浅いものの、手応えは確実に感じられました。そのぶんクリック音はやや大きめですが、使っていて気持ちのいいタッチパッドです。
インターフェースと拡張性
映像出力はUSB Type-Cのみ
インターフェース(端子類)としては、USB3.1 Gen1(フルサイズ)×2、USB3.1 Gen1 (Type-C)✕1、Surface Connect✕2、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力が用意されています。映像出力専用の端子はなく、USB3.1 Type-CをDisplayportとして利用する点に注意してください。別売りのSurface ドックを使えば、有線LANやMini Displayport、フルサイズのUSB端子を追加できます。
Surface Book 2のCore i7モデルであればWindows Mixed Reality Ultraの必要スペックを満たしているのですが、Windows MRヘッドセット接続用のHDMI端子がないので、USB Type-CをHDMI入力に変換するアダプターが必要です。
Surface ダイヤルが便利
Surfaceシリーズにはさまざまなアクセサリーが用意されていますが、なかでも便利なのがSurfaceペンとSurfaceダイヤルです。
Surfaceペンについては、パッと見れば手書き入力用のデバイスであることがわかります。しかしSurfaceダイヤルはいまひとつ使いみちがわかりませんね。でも実際にSurfaceダイヤルを使ってみると、とても便利なものだということがわかりました。
Surfaceダイヤルはマウス代わりに使えるデバイスで、スクロールバーやメニューなどを操作できます。挙動はソフトによって異なりますが、たとえばWebページをスクロールしたり、イラスト作成ソフトで画像の向きやペン先の太さを変えたりできます。
Surfaceダイヤルにはダイヤルのほかにボタンも用意されており、ソフトによって動作を変更できます。機能を利用するためにマウスに持ち替える必要がないので非常に便利です。特にSurfaceシリーズでイラストを制作する人は、ぜひ試してみてください。
最強クラスの性能
Surface Book 2のベンチマーク結果
今回のテストで利用したモデルのスペックは以下のとおりです。ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境などによって大きく変わることがあります。
テスト機の主なスペック
CPU | Core i7-8650U |
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メモリー | 16GB |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620(CPU内蔵)+ GeForce GTX 1050(2GB) |
ストレージ | 1TB SSD |
Core i7-8650UのCPU性能を計測したところ、ノートPCでよく使われているCore i7-8550Uを10%程度上回る結果が出ました。一般的なモバイルノートPCよりも、高いパフォーマンスを期待できます。
ただしCore i5モデルで使われているCore i5-7300Uは第7世代で、CPU性能はやや低めです。オフィスを使った作業や事務作業、ちょっとした画像加工には十分ですが、重い処理にはCore i7モデルをおすすめします。
CPU性能比較(CPU Mark)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
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Surface Book 2(Core i7-8650U) |
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Core i7-8550U |
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Core i5-8250U |
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Core i7-7500U |
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Core i5-7300U |
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※そのほかのスコアは当サイト計測の平均値
専用グラフィックス機能としてGeForce GTX 1050を搭載しているだけあって、3D性能も高めです。ただし中規模クラスのゲームなら問題なくプレーできますが、重量級のゲームはちょっと厳しいでしょう。
作業の快適さを計測する「PCMark 10」でも、優秀な結果となりました。タブレット利用時の性能も計測してみましたが、GeForce GTX 1050が利用されるキーボード接続時のほうが高度な作業には有利です。
駆動時間は超長い
当サイトの計測方法によるバッテリーの駆動時間は以下のとおり。ほかのモバイルノートPCでは長くても10~12時間程度で、ノートPCとしては異様なスタミナです。
バッテリー駆動時間のテスト結果
BBenchによる計測 | 19時間11分 |
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PCMark 8による計測 | ※未計測 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
内部は高温でも排熱性能が高い
検証/ベンチマーク中のCPUの温度を確認したところ、CPUの限界温度である100度に達していました。
ただし本体はそれほど熱くはありません。多少温かく感じるものの、特に問題のない範囲です。排熱性能は高いと思われます。
※本体温度の計測方法はコチラ
ゲーム中は爆音
通常利用時の駆動音(ファンの回転音や排気音など)は静かですが、CPUやGPUに高い負荷がかかると爆音レベルにまで達します。一応Surface Book 2はゲームをそれなりに楽しめる性能ですが、実際のプレーではヘッドセットの着用をおすすめします。
駆動音の計測結果(室温20度前後)
電源オフ時 | 36.8dBA | - |
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待機中 | 36.8dBA | 音はまったく聞こえない |
動画視聴 | 37.0BA | ほぼ無音。耳を近づけると「ジジジ」という音が僅かに聞こえる |
動画変換 | ※未計測 | - |
3Dゲーム | 59.3dBA | 排気音が非常に大きい |
※駆動音の計測方法はコチラ
起動時間は11秒程度
起動(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまで)までの平均時間は11.86秒という結果でした。かなり高速です。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
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12.8秒 | 11.6秒 | 11.5秒 | 11.7秒 | 11.7秒 | 11.86秒 |
最高のWindows ノートPC
ということで、今回はSurface Book 2 13.5インチモデルのレビューをお届けしました。
予算や用途が合うならSurface Book 2は絶対に買うべきでしょう。なぜならSurface Book 2は最高のWindows ノートPCだからです。デザインや機能、ギミック、パフォーマンスのどの面から見ても仕上がりは最高クラス。トータルでここまでの完成度を誇るモバイルノートPCはほかにありません。
ただし「予算が合うなら」という条件があるように、値段が相当高い点が唯一にして最大の弱点です。今回試用したモデルは税込で39万7224円、より高性能な15インチモデルであれば最上位機種は税込で40万円をオーバーします。
この値段をどう捉えるかは人それぞれでしょう。しかし予算がハードルではないなら、Surface Book 2に決めてください。きっと高い満足感を得られるはずです。
Surface Book 2 のまとめ
- 高品質すぎるデザイン
- 高いパフォーマンス
- 秀逸なギミックとアクセサリー
- 値段が高い
Surface Book 2
税込15万円前後から