マイクロソフトのSurface Laptop 4 15インチモデルは、2496×1664ドットのディスプレイを搭載するノートPCです。高品質な本体デザインと高いパフォーマンスが魅力。特にAMDのRyzen 7 4980Uを搭載したモデルは、薄型ノートPCとしては最高クラスの性能を誇ります。そのぶん値段もややお高めですが、確かな満足感を得られるでしょう。
Surface Laptop 4 15インチモデルのスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
画面サイズ | 15インチ |
解像度 | 2496×1664 |
CPU | ・Core i7-1185G7 ・Ryzen 7 4980U |
メモリー | 8 / 16 / 32GB |
SSD | 256GB~1TB |
HDD | なし |
グラフィックス | ・Iris Xe ・Radeon |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | ※表記なし |
色域 | ※表記なし |
幅×奥行き | 339.5×244mm |
厚さ | 14.7mm |
重量 | 1542g |
バッテリー | ・最大17.5時間(AMD) ・最大16.5時間(インテル) |
※2021年4月21日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ・プラチナ ・マットブラック |
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画面の表面 | 光沢 |
パネルの種類 | PixelSense |
タッチ / ペン | 対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | 1 |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 1 |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | - |
HDMI | - |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
その他 | Surface Connect |
Webカメラ | 720p HD(92万画素) |
顔認証カメラ | 搭載 |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | Office Home & Business 2019 |
この記事では日本マイクロソフトよりお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶モデル構成について
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年4月21日時点
モデル構成について
Surface Laptop 4 15インチモデルには、パーツ構成の異なる複数のモデルが用意されています。本体カラーはプラチナとマットブラックの2色が用意されていますが、パーツ構成によっては選べない色もあるので注意してください。
ラインナップ
構成 | 価格 |
---|---|
Ryzen 7 4980U / 8GB / 256GB | 16万1480円 |
Ryzen 7 4980U / 8GB / 512GB | 17万2480円 |
Ryzen 7 4980U / 16GB / 512GB | 21万8680円 |
Core i7-1185G7 / 16GB / 512GB | 23万1880円 |
Core i7-1185G7 / 32GB / 1TB | 30万2280円 |
※2021年4月21日時点
おすすめは今回試用したマットブラックのRyzen 7 4980U / 16GB / 512GB構成です。詳しくは後述しますが、CPU(APU)性能はRyzen 7 4980UのほうがCore i7-1185G7よりも優れているからです。Core i7-1185G7構成はBYODなどでvProに対応する必要がある場合に選ぶといいでしょう。
デザインと使いやすさ
外観について
Surfaceシリーズと言えば、カッコいいデザインが特徴。そのなかでもクラムシェル型のSurface Laptopシリーズは、ノートPCとしては最高クラスの完成度を誇ります。ムダのないシンプルなフォルムで、見た目は非常にスタイリッシュ。MacB○○k Pr○(伏せ字)を意識しているのは間違いないのですが、Windows PCとしてはほかに類を見ないほど高品質です。
本体カラーはプラチナとマットブラックの2色。今回試用したのはマットブラックのモデルで、スタイリッシュながらも重厚な雰囲気が感じられました。ボディは質感と剛性(ねじれに対する強さ)に優れるアルミ製です。
細部の仕上がりは非常に丁寧です。エッジは面取り加工が施されているものの、シャープさは失われていません。ディスプレイは指1本で開く(多少のコツは必要ですが)上に、閉じるときの振動も非常にソフトに感じます。
サイズはコンパクトです。ノートPCで一般的な15.6インチタイプよりも画面が小さいぶん、接地面積も小さくてすみます。そしてなにより驚くのが、その薄さ。普通のノートPCよりもはるかにスリムで、思わず二度見するほどです。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは15インチで、解像度は2496×1664ドットです。画面のアスペクト比(横と縦の比率)は3:2で、一般的な16:9に比べてやや縦長。そのぶん縦方向の文書やWebページでは多くの情報を表示できます。またタッチ操作に対応しているほか、Microsoft Pen Protocol(MPP)対応機器によるペン入力も可能です。
ディスプレイの映像はとても明るく鮮やかです。画面の明るさを最大にすると、少しまぶしく感じるかもしれません。映像は自然な色合いで、違和感はありませんでした。解像度が高いので、写真は細部までクッキリと映し出されます。また文字のギザギザ感も感じられません。映像が非常に美しいディスプレイです。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライト対応です。一部のキーがやや小さいものの、特殊な部分はなく標準的な配列。ただしDelキーの左側に電源ボタンがあり間違って打つとスリープ状態へ移行するので注意してください。あらかじめ電源オプションで電源ボタン押下時のアクションを設定しておくといいでしょう。
キートップはサラサラとした心地よい手触りです。天面がわずかにくぼんだシリンドリカル形状で、指にフィットしやすく作られています。キーピッチは実測19mmで、一般的なキーボードの標準値と同じ。使い始めから違和感なく入力できます。
キーストロークは実測で平均1.39mm。キーを押した瞬間のクリック感はやや固く指を押し戻す力もしっかりあるので、キーを高速に入力できます。ただストロークがやや浅いため、軽いタッチで入力する人向きです。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は、フルサイズのUSB端子とUSB Type-C端子、ヘッドホン端子、充電兼用のSurface Connectのみです。15インチクラスとしては非常に少ないと言っていいでしょう。特にメモリーカードスロットがないのは残念です。
アクセサリーとして用意されているSurfaceドックを使えば端子類を増やせますが、値段が3万円台とやや高価です。一応Type-Cでの映像出力は確認しましたが、公式にはサポート外とされているかもしれません。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | ○ |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 7 4980U |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、Ryzen 7 4980UまたはCore i7-1185G7が使われています。Core i7-1185G7は4コア8スレッドであるのに対し、Ryzen 7 4980Uは8コア16スレッド。負荷の高い処理で求められるマルチコア性能については、Ryzen 7 4980Uのほうが圧倒的に優れています。シングルコア性能ではCore i7-1185G7のほうが上ですが、総合性能ではRyzen 7 4980Uのほうが上と言っていいでしょう。
このことからRyzen 7 4980U搭載モデルのほうがおすすめですが、32GBメモリーやvPro(企業向けのセキュリティー/管理機能)を使いたい人はCore i7-1185G7を選んでください。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵グラフィックスが使われます。Ryzen 7 4980U搭載モデルのRadeon Graphicsは内蔵タイプとしてはそこそこ優秀ですが、第11世代Coreプロセッサ内蔵のIris Xe Graphicsのほうが上。とは言え体感的に大きな違いはないかもしれません。ゲームやクリエイター向けソフトで従来のCPUよりは高い効果を期待できますが、ゲーミングノートPC / クリエイター向けノートPCほどではない点に注意してください。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。Ryzen 7 4980U搭載のSurface Laptop 4ではすべての目標値を大きく上回っており、概ね快適に利用できそうです。ただしコンテンツ制作については一般レベルでという前提で、プロクオリティの本格的な作品作りには厳しいかもしれません。
ストレージのアクセス速度
ストレージは256GB~1TB SSDです。テスト機ではPCIe 3.0 x4接続の超高速タイプが使われおり、アクセス速度はそこそこ高速でした。負荷の高いテストを連続して行なってもアクセス速度は大きく変わらなかったので、サーマルスロットリングによる影響は小さいかもしれません。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均18.46秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、起動はやや遅め。ですが、待たされている感はありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 20.6秒 |
---|---|
2回目 | 18.0秒 |
3回目 | 18.0秒 |
4回目 | 17.9秒 |
5回目 | 17.8秒 |
平均 | 18.46秒 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間の公称値は、Ryzenモデルで最大約17.5時間とされています。しかしこれはバッテリー消費量を極端に落とした状態での結果で、実際の駆動時間とは異なる場合がほとんど。公称値よりも短いことが普通です。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、12時間13分で休止状態へ移行しました。公称値よりもわずかに短い結果でしたが、これだけもてば十分です。バッテリー消費の少ない電源プランや電源モードを選べば、さらに伸びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 7モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 最大 約17.5時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 12時間13分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 38分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間23分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
APUの発熱と駆動音について
CINEBENCH R23を10分間実行してAPUのクロックと温度を計測したところ、平均温度は69.8度でした。温度としてはそれほど高くはありませんが、時間の経過とともにクロックが徐々に下がっていることがわかります。サーマルスロットリングは検知されなかったので、CPUの熱が上がりすぎないように調整されているのでしょう。本体の熱については、気になるほどではありませんでした。
駆動音 (ファンの回転音や排気口からの風切音)は、高負荷時には大きく聞こえます。と言ってもうるさく感じるほどではありません。とは言え静かな場所では気になるかもしれないので、周囲へ配慮したほうがいいでしょう。
駆動音の計測結果
電源オフ | 37.2dBA | - |
---|---|---|
待機時 | 37.3dBA | ほぼ無音 |
高負荷時 | 43.6dBA | 背面からいきおいよく廃棄されている音が聞こえる。うるさくはないが、静かな場所では気になるかもしれない |
ゲーム系ベンチマーク結果
Ryzen 7 4980U搭載モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、ごくごく軽めのドラクエ10では、フルHDの最高画質で快適との評価でした。同様に軽めのゲームであれば、多少の画質調整でそこそこ楽しめるでしょう。と言ってもeスポーツレベルの高FPSでプレーできるわけではなく、平均60FPSをクリアーできる程度だと思います。
FF14などちょっと重めのゲームでは、解像度や画質を大幅に下げないと厳しそうです。そこまでするほどプレーしたいのであれば、GTX / RTXシリーズを搭載したゲーミングノートPCをおすすめします。あくまでも軽めのゲームを息抜き程度に楽しむのに向いています。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 1052 / 動作困難 |
標準品質 | 1613 / 動作困難 |
軽量品質 | 2229 / 重い |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 3064 / 20.5 FPS |
高品質 | 4004 / 27.5 FPS |
標準品質 | 4999 / 34.8 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 9552 / とても快適 |
標準品質 | 12010 / すごく快適 |
低品質 | 12447 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
「見た目もいい」ハイパフォーマンスなノートPC
よかった点
なんと言っても、Ryzen 7 4980Uの高いパフォーマンスが魅力です。Surface Laptop 3 15インチモデルでは値段に見合う性能ではありませんでしたが、Surface Laptop 4 15インチのRyzen 7モデルなら値段は21万円と高いものの、その価値は十分あると思います。ただし今後Ryzenモバイル5000シリーズ搭載の他機種が登場すれば、位置づけは微妙に変化するかもしれません。
また非常にクオリティーの高い本体デザインや、映像の美しいディスプレイもポイント。細部や機能、フォルムなどは前モデルと同じですが、前モデルは本当に「見た目だけはいいPC」だったのに対して、新モデルでは「見た目も性能もいいPC」に生まれ変わりました。すべてのおいて高い品質を求める人におすすめします。
気になる点
本体自体に不満はあまりないのですが、強いて言うなら値段が高い点が残念です。MacB○○k Pr○(伏せ字)よりは安いものの、単純にパフォーマンスだけを見れば割高感があります。本体デザインを含めればナシではないものの、手を出しやすい値段でないことは確か。このあたりは今後もうちょっと改善されてくれればうれしいのですが……。
※2021年4月21日時点
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