レノボのThinkBook 14 Gen 5(AMD)(以下、”ThinkBook 14 Gen5″)は、14インチのフルHDディスプレイを搭載するスタンダードタイプのノートPCです。2023年時点では最新のRyzen 7030Uシリーズ搭載で、価格は7万円台から。本体はコンパクトではあるものの、モバイル向きではなくデスクに設置する据え置き用途に向いています。
Ryzen 7030Uシリーズは旧世代の「Zen3」アーキテクチャで驚くほど高性能というほどではありませんが、各種ベンチマークテストでは普段使いやビジネスには十分な結果が出ています。なにより最新&最強世代のCPUを搭載したノートPCに比べて、安く入手できる点が魅力です。多少安っぽい部分はありますが、こだわらないなら許容範囲内でしょう。このシリーズはここ2~3年のあいだサイズも機能もほぼ変わらないので、最近のモデルを使っているなら特に買い換える必要もないと思います。
ポイント
- 😄 価格が比較的安い
- 😄 格安なのに本体が上質&頑丈
- 🙄 映像品質はほどほど
- 🙄 タイプ感は軽め
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
スペック
OS | Windows 11 Home / Pro |
---|---|
ディスプレイ | 14インチ 1920×1080 IPS 非光沢 300nit 45% NTSC |
CPU | Ryzen 3 7330U / Ryzen 5 7530U / Ryzen 7 7730U |
メモリー | 8 / 16GB DDR4-3200 ※オンボード、スロット空き1、最大32GB |
ストレージ | 256GB~1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵、Vega) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2、有線LAN(1Gbps) |
インターフェース | USB3.2 Gen2 Type-C(USB PD / 映像出力対応)×2、USB3.2 Gen1×1、HDMI、有線LAN、SDカードスロット、ヘッドホン端子 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅323×奥行き218×高さ17.9mm / 約1.4kg |
バッテリー | 約12.7時間 |
本体デザイン
サイズと重量
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 7530U |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」の「電源およびパフォーマンス」-「スマートパワー」を最高設定の「エクストリーム・パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPU(APU)としては Ryzen 3 7330U(4コア8スレッド、Zen3) / Ryzen 5 7530U(6コア12スレッド、Zen3) / Ryzen 7 7730U(8コア16スレッド、Zen3)の4種類が使われています。
Ryzen 5 7530U搭載の試用機でCPUベンチマークを行なったところ、薄型ノートPC向けCPU全体(一般用途 / モバイル用途)としては、中位クラスの結果が出ました。Ryzen 7030Uシリーズは最新CPUではあるものの、CPUアーキテクチャ(製造技術みたいなもの)的には旧世代なので実際のパフォーマンスはこんなところでしょう。そのほかのCPUについても、そう変わらない結果がでるはずです。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
11379
|
Ryzen 7 6800U |
10183
|
Core i7-1360P |
10104
|
Ryzen 7 5825U |
9740
|
Ryzen 7 7730U |
9293
|
Core i7-1260P |
9254
|
Core i5-1240P |
8928
|
Ryzen 5 5625U |
8376
|
ThinkBook 14(Ryzen 5 7530U) |
8031
|
Core i7-1255U |
7819
|
Core i5-1235U |
7664
|
Core i3-1215U |
6216
|
Ryzen 3 7330U |
5108
|
Ryzen 5 7520U |
5029
|
Intel N100 |
2252
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (シングルコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i7-1255U |
1743
|
Core i7-1250U |
1726
|
Core i7-1260P |
1680
|
Core i3-1215U |
1623
|
Core i5-1240P |
1606
|
Core i5-1235U |
1589
|
Ryzen 7 7735U |
1549
|
Ryzen 7 6800U |
1471
|
ThinkBook 14(Ryzen 5 7530U) |
1463
|
Ryzen 7 7730U |
1441
|
Ryzen 7 5825U |
1437
|
Ryzen 5 5625U |
1390
|
Ryzen 3 7330U |
1369
|
Ryzen 5 7520U |
1176
|
Ryzen 3 5300U |
1125
|
Intel N100 |
712
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は、大きくクリアーしています。スコアは非常に優秀で、最新のCore i7やRyzen 7にも引けを取らないほど。Ryzen 5モデルは位置付け的には中位クラスですが、十分快適に利用できそうです。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10616
10917
9869
10647
10093
10454 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
10003
9572
8854
6968
6759
7669 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6018
6536
8298
5997
6342
7061 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 | Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
▶IdeaPad Slim 5i Gen8 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公称値で約12.7時間とされています。しかしこれはバッテリー消費量をかなり抑えた状態での結果。実際の利用とは、結果が大きくかけ離れている場合があります。
そこでビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から5時間1分で休止状態へ移行しました。公称値よりもだいぶ短い結果ですが、これは消費電力量が大きい状態でテストを行なったため。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果(Core i7-1360Pモデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 12.7時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 5時間1分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
不満はあるがコスパは高い
ここ2~3年のThinkBook 14シリーズは毎年CPUは変わっているものの、機能やサイズはほぼ変わっていません。細かな部分ではブラッシュアップしているかもしれませんが、フィーリングはほぼ同じです。
ただ購入時のカスタマイズメニューで、ディスプレイの上位パネル(100% sRGB)を選べなくなったのは残念。45% NTSCでも問題なく作業はできますが、より上質なパネルを使いたい人もいるでしょう。そのぶん価格が安く押さえられている恩恵もあるので、判断が難しいところです。
価格は16GBメモリー搭載モデルで7万円台後半から(2023年6月末時点)。他社製品には同程度のスペックでもっと安い機種がありますが、筐体の品質と頑丈さで見ればThinkBook 14 Gen5のほうが上です。キーボードもストロークは浅いものの、安い製品に見られがちなたわみがなく普通に使えます。安さを重視しながらも、使い勝手にも多少は重視したい人向きです。
*
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