ポイント
- 第3世代Ryzenモバイル搭載
- 使いやすいキーボード
- アルミボディによる高い堅牢性
ThinkPad E14 Gen 2 (AMD)のスペック
画面サイズ | 14インチ |
---|---|
解像度 | ・1366×768 ・1920×1080 |
CPU | ・Ryzen 3 4300U ・Ryzen 5 4500U ・Ryzen 7 4700U |
メモリー | ・4GB ・8GB ・16GB ※最大24GB |
SSD | ・256GB SSD ・512GB SSD ・1TB SSD |
HDD | なし |
グラフィックス | Radeon |
LTE | 非対応 |
MILスペックテスト | MIL-STD-810Gクリアー |
幅×奥行き | 324×220mm |
厚さ | 17.9~18.9mm |
重量 | 1.59~1.64kg |
バッテリー | 最大 約14.8時間 |
※2020年7月2日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
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画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | ・TN ・IPS |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | ・Wi-Fi 5 (11a/b/g/n/ac) ・Wi-Fi 6 (11a/b/g/n/ac/ax) |
Bluetooth | 対応 |
USB3.1 | 1 (Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | 1 (USB3.1 Gen1) |
Thunderbolt 3 | - |
メモリーカード | - |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD 720p (92万画素) |
顔認証カメラ | オプション |
指紋センサー | オプション |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | ※オプションで追加可能 |
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶価格について
- ▶まとめ
デザインと使いやすさ
安くても質感の高いボディ
ThinkPad E14 Gen2 (AMD) は税込5万円台からの、比較的リーズナブルな機種です。しかしボディには質感と剛性 (ねじれに対する強さ)に優れるアルミ素材が使われており、安っぽさは感じられません。
抜群の堅牢性
ThinkPad E14 Gen2 (AMD)は「MIL-STD-810G」、通称「MILスタンダード」と呼ばれる米国防総省の調達基準テストをクリアーしています。簡単に言うと、米軍が現場での利用にOKを出せるほど頑丈であるということ。そのぶん壊れにくいと考えていいでしょう。
さらに落下テストやディスプレイの開閉テストなど、さまざまな品質テストも行なわれています。ThinkPad E14 Gen2 (AMD)はリーズナブルな機種ですが、ThinkPadシリーズならではの高い堅牢性 (壊れにくさ)も実現しています。
X1 Carbonと同クラスの大きさ
接地面積は幅324×奥行き220mm。A4サイズ (幅297×奥行き210mm)よりもひと回り大きい程度と考えれば、サイズ感をイメージしやすいでしょう。14インチタイプとしてはとてもコンパクトです。ちなみにThinkPad X1 Carbon 2019 / 2020年モデルは幅323×奥行き217mm。実物でサイズを比較してみましたが、ほとんど変わりませんでした。ただし高さは18.9mmとやや厚めです。
画面はちょっとコンパクトな14インチ
画面の大きさは14インチです。ノートPCの主流である15.6インチよりもひと回り弱小さいのですが、それほど画面が小さくは感じません。解像度は1920×1080ドットと1366×768ドットの2種類。現在は1920×1080ドットのモデルしか販売されていませんが、1366×768ドットのモデルは後日発表されるとのことです。
今回試用したのは、1920×1080ドットのフルHDモデル。文字の大きさは2~2.8mm (スケーリング150%)でやや小さいのですが、読みづらくは感じませんでした。
自然な色合いのIPSパネルがおすすめ
ディスプレイは1366×768ドットがTNパネルで、1920×1080ドットがIPSパネルです。画面が見やすいのは、色合いが自然で文字がクッキリと映し出されるIPSパネル。TNパネルでは映像がやや青みがかる上に、コントラストが低いので文字がかすれて表示されます。
今回試用したのはフルHDのIPSパネルで、写真や動画は自然な色合いで映し出されました。ただ画面が若干暗く、色の鮮やかさはわずかに失われているように感じます。明るさは動画の視聴や文書作業には十分。ただしバッテリー駆動時は画面が若干暗くなるので注意してください。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 59.8% |
---|---|
sRGB比 | 59.9% |
Adobe RGBカバー率 | 44.4% |
Adobe RGB比 | 44.4% |
違和感のないキーボード
キーボードはテンキーなしです。標準では日本語配列ですが、購入時のオプションで英字配列に変更できます。またバックライトも有料オプションです。キーピッチ (キーとキーの間隔)は実測19mmで、キーボードとしては理想的なサイズ。キーの大きさはどれも均一で特殊な配置もなく、違和感なく使えます。
便利なトラックポイント
ThinkPadシリーズと言えば、キーボード中央の赤いトラックポイントが特徴です。マウスパッドと異なるのは、キーボードを利用している最中でも手を大きく動かすことなくカーソルを操作できる点。慣れると手放せなくなる人もいるほど便利な機能です。
確かなタイプ感
キーストローク (キーを押し込む深さ)は実測で平均1.67mmでした。ノートPCの標準である1.5mmよりも深く、またキーを押した瞬間に固めのクリック感があるので、手応えがしっかり感じられます。
タイプ音は基本的には静かなのですが、Enterキーを押した際の「チャキッ」とした音が少し目立ちます。また上から打ち下ろすように入力するとタンタンと響くので注意してください。
インターフェースは少なめ
周辺機器接続用のインターフェース (端子類)は多くありません。USB端子は合計3ポートで、うち1ポートがType-C。あとは映像出力用のHDMIと有線LAN、ヘッドホン端子が用意されています。SD / microSDカードスロットには非対応である点に注意してください。
生体認証はオプション
生体認証機能は顔認証用のIRカメラと、指紋センサーに対応しています。どちらも有料オプションなので、必要に応じて追加してください。モデルによっては、あらかじめ対応している場合もあります。
Webカメラはシャッター付き
ディスプレイ上部のWebカメラは92万画素。ビデオ会議などに利用できます。カメラは手動によるシャッター付き。シャッターが小さくてやや扱いづらいのですが、Webカメラ経由の盗み見を防ぐことが可能です。
Type-Cは映像出力と充電に対応
USB PD 18W充電 | × |
---|---|
USB PD 30W充電 | △ ※低速充電 |
USB PD 45W充電 | ◯ |
USB PD 65W充電 | ◯ |
映像出力 | ◯ |
Type-C端子は映像出力とUSB PDによる充電が可能です。ただしワット数の低い充電器では充電できない、もしくは充電に時間がかかる場合があります。標準の充電器が65Wなので、65W以上の充電器やモバイルバッテリーを利用するといいでしょう。
スピーカーはそこそこ高音質
スピーカーはリーズナブルなノートPCとしては高音質です。音の出る部分が接地面に向いているためややこもった感はあるものの、解像感が高く音にやや厚みが感じられます。音楽をカジュアルに聞く程度なら、十分なクオリティーと言えるでしょう。ビデオ会議や音声通話でも問題なく利用できます。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
モデル名 | スタンダード |
---|---|
CPU | Ryzen 3 4300U |
メモリー | 8GB ※4GBから増設 |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics (CPU内蔵) |
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
Ryzen 3でも高いパフォーマンス
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 4700U |
15166
|
Core i7-10710U |
13685
|
Core i7-1065G7 |
12016
|
Core i5-1035G4 |
10844
|
Core i7-10510U |
10257
|
Core i5-1035G1 |
9667
|
Core i5-10210U |
9584
|
ThinkPad E14 (Ryzen 3 4300U) |
9152
|
Ryzen 5 3500U |
8398
|
Core i3-10110U |
5553
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
Core m3-8100Y |
4172
|
Celeon N4120 |
2771
|
Celeron 4205U |
2021
|
Celeron N4020 |
1665
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ThinkPad E14 Gen2 (AMD)では、第3世代のRyzenモバイル4000シリーズが使われています。Ryzen 3 4300U搭載の試用機でベンチマークテストを行なったところ、非常に優れた結果が出ました。CPUの総合性能を計測するテストでは第10世代Core i5と同等クラス、負荷の高い作業で求められるマルチコア性能のテストでは第10世代Core i7と同等クラスです。
RyzenシリーズのなかでRyzen 3は下位クラスに位置づけられているのですが、インテルの中上位クラスであるCore i5 / i7と変わりません。そこそこ負荷の高い作業でも、快適にこなせるでしょう。値段が安いことを考えると、非常にコスパの高いCPUです。
ちなみに上位のRyzen 7 4700Uでは、さらに優れた結果が出ています。この結果はThinkPad E14 Gen2 (AMD)によるものではありませんが、同程度のパフォーマンスを期待していいでしょう。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 4700U |
2576
|
Core i7-10710U |
2214
|
Core i7-1065G7 |
1625
|
Ryzen 3 4300U |
1560
|
ThinkPad E14 (Ryzen 3 4300U) |
1544
|
Core i7-10510U |
1486
|
Core i5-1035G4 |
1480
|
Core i5-1035G1 |
1456
|
Core i5-10210U |
1435
|
Ryzen 5 3500U |
1397
|
Core i3-10110U |
918
|
Ryzen 3 3200U |
643
|
Core m3-8100Y |
523
|
Celeron N4120 |
435
|
Celeron N4020 |
328
|
Celeron 4205U |
293
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能も優秀
GPUの性能差
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
GTX 1050 |
5912
|
MX250 |
3400
|
Iris Plus |
2880
|
MX230 |
2443
|
ThinkPad E14 (Radeon Ryzen 3) |
2330
|
Radeon Vega 8 (Ryzen 5) |
2251
|
Radeon Vega 3 (Ryzen 3) |
1837
|
UHD (Comet Lake Core i7) |
1335
|
UHD (Comet Lake Core i5) |
1273
|
UHD (Comet Lake Core i3) |
859
|
UHD 600 (Celeron) |
486
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsを利用します。3Dグラフィックス性能のベンチマークテストでは、CPU内蔵タイプとしては非常に優れた結果が出ました。外付けの専用GPUには及ばないものの、ゲームやクリエイター向けソフトで多少の効果を期待できます。
軽めのゲームなら快適
ゲーム系ベンチマークを試したところ、動作がごくごく軽いドラクエ10では快適に楽しめるとの評価でした。リーグ・オブ・レジェンド (LoL)やPSO2など同程度のゲームであれば、画質を調整することで楽しめるでしょう。FF14など少し重めのゲームだとかなり厳しいようです。
※テストはすべてフルHDで実施
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (中量級 / DX11)
画質 | スコア / 評価 / 平均FPS |
最高品質 | 2008 / 12.9 FPS |
高品質 | 2777 / 18.4 FPS |
標準品質 | 3791 / 25.4 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 6877 / 快適 |
標準品質 | 9073 / とても快適 |
低品質 | 10142 / すごく快適 |
幅広いシーンで活用できる高い汎用性
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) |
目安:4100
8902
|
Productivity (ビジネス利用) |
目安:4500
7093
|
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) |
目安:3450
4068
|
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
PCを使った作業の快適さを計測するPCMark 10のテストでは、すべてのテストで快適に使える目安のスコアを上回りました。Core i5搭載機種だとコンテンツ制作のテストで目安を超えられないことが多いのですが、Ryzen 3 4300Uの試用機では難なくクリアーしています。普段使いやビジネスはもちろん、ちょっとした動画編集や写真加工にも利用できるでしょう。
デュアルSSD構成に対応
ストレージはSSDのみ。内部的に2.5インチストレージ用のスロットがあるかどうかは不明です。M.2スロットは2スロット用意されているようで、ひとつめのスロットには256 / 512GBのSSDを、ふたつめのスロットには1TB SSDを選択できます。注文時のカスタマイズでは、デュアルSSD構成にも対応していました。
テスト機ではSSDにPCIe 3.0 x4の超高速タイプが使われていました。書き込み性能はそれほ高くはないものの、十分高速と言えるでしょう。ウィンドウズの反応もよく、全体的にキビキビと動きます。
ウィンドウズの起動は12秒程度
ウィンドウズの起動時間は平均12.34秒でした。最近のSSD搭載機種は15秒程度が平均 (筆者調べ)ですので、なかなか高速です。実際に何度か起動や再起動を繰り返しても、待たされている感はほとんどありませんでした。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 12.7秒 |
---|---|
2回目 | 12.3秒 |
3回目 | 12.3秒 |
4回目 | 12.2秒 |
5回目 | 12.2秒 |
平均 | 12.34秒 |
駆動時間は十分
バッテリー駆動時間の公称値は14.8時間です。最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、11時間56分でバッテリー残量が5%に達し休止状態へ移行しました。
ThinkPad E14 Gen2 (AMD)は基本的に据え置き用の機種ですが、並みのモバイルノートPCよりもバッテリーが長もちします。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Ryzen 3モデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 14.8時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 11時間56分 |
Video (動画視聴) | 中 | ※計測中 |
50%充電までにかかった時間 | - | 29分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間43分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
価格について
現在ThinkPad E14 Gen2 (AMD)には、パーツ構成の異なる複数のモデルが用意されています。それぞれのパーツ構成と価格は以下のとおり。タイミングによっては新たなモデルが追加されたり、パーツ構成が変わったりすることもあります。
なお公式サイトではRyzen 5モデルのメモリー容量が4GB、Ryzen 7モデルでは8GBと書かれていますが。実際にはそれぞれ8GBと16GBです。Ryzen 3モデルは4GBですがプラス3200円程度で8GBにアップグレードできるので、ぜひ8GBにして購入してください。
ラインナップ
スタンダード | |
---|---|
※販売停止中 | |
パフォーマンス | |
7万2644円 | |
プレミアム | |
10万0672円 | |
価格.com限定 スタンダード | |
※販売停止中 | |
価格.com限定 パフォーマンス | |
6万2920円 | |
価格.com限定 プレミアム | |
8万9980円 |
※2020年8月17日時点
価格.com限定モデルについては、以下のリンクからご確認ください。
リンク
👉ThinkPad E14 Gen 2 (AMD)価格.com限定モデル (レノボ公式サイト)
ノートPCの常識を覆す驚異のコスパ
よかった点
値段に対してCPUが驚くほど高性能です。最安のRyzen 3モデルはギリ5万円台で、メモリーを8GBに増設しても税込6万3000円程度。なのにベンチマークテストでは、10万円台のCore i7相当のスコアが出ています。Ryzen 7ならCPUパフォーマンスはゲーミングノートPC並みです。
しかもそれだけ高性能であるにも関わらず、本体はコンパクトでバッテリーも長持ち。しかも高品質なフルメタルボディを採用しつつ、MILスタンダードをクリアーする高い堅牢性も備えています。これまでの常識を覆す性能とコスパと言っていいでしょう。
気になる点
インターフェース類が少ない点が気になります。特にSDカード非対応である点は残念です。USB接続のカードリーダーを使えばなんとかなりますが、できれば用意して欲しかったと思います。