レノボのThinkPad E14 Gen 3(AMD)は、14インチのディスプレイを搭載するスタンダードタイプのノートPCです。画面は一般的な15.6インチよりもやや小さいものの、そのぶん本体がコンパクト。モバイル向けの10~13インチよりも大きくて見やすく、長時間の作業にも適しています。
この記事では筆者が購入した実機を使って、ThinkPad E14 Gen 3(AMD)のディスプレイについてレビューします。
この記事の目次
ThinkPad E14 Gen 3(AMD)
6万7650円~
ThinkPad E14 Gen 3(AMD)の画面サイズと解像度
ThinkPad E14 Gen 3(AMD)の画面サイズは14インチで、解像度は1920×1080ドットです。ノートPCでもっともスタンダードな15.6インチよりも、画面がひと回り小さめ。そのぶん、本体がコンパクトにまとめられています。
ディスプレイの表面は光沢なしのノングレア仕上げ。眼精疲労の原因のひとつとも言われる映り込みが抑えられています。余計なものが目に入らないぶん作業に集中できる点もメリットです。
映像の色合いについて
ThinkPad E14 Gen 3(AMD)のカスタマイズ対応モデルでは、注文時に3種類のパネルを選択できます。表記が統一されていないのでわかりづらいのですが、チェックするべきポイントは”パネルの種類(駆動方式)”と”色域”です。
パネルの種類
表記 | 品質 |
---|---|
14.0型FHD液晶(1920×1080)光沢なし、250nit、狭額縁ベゼル、45%NTSC ガラスなし、マルチタッチ非対応 | 低 |
14.0型FHD液晶(1920×1080)IPS、光沢なし、300nit、狭額縁ベゼル、45%NTSC、マルチタッチ非対応、60Hz | 中 |
14.0型FHD液晶 (1920×1080) IPS、300nit、マルチタッチ非対応、狭額縁ベゼル、100% sRGB | 高 |
もっとも安いパネルは、コントラストが低く青みの強いTNパネルです。また視野角が狭いので、映像を斜めから見ると色や明るさが大きく変わります。個人の好みもありますが、筆者は見づらく感じるのでTNパネルはおすすめしません。
残りのふたつのパネルはどちらも発色に優れるIPSパネルですが、それぞれ色域が異なります。一般的には色域が広い(数値が高い)ほうが色の再現性が高く、本来の色合いに近いとのことです。
しかし45% NTSCのパネルと100% sRGBのパネルを並べて比較したところ、色合いが劇的に変わるわけではありませんでした。100% sRGBのほうがグラデーションの階調表現が自然で色もやや鮮やかに出ているものの、並べた上でじっくり観察しないと区別がつきません。普段から色を重視する作業を行なっているなら違いがはっきりとわかるかもしれませんが、一般レベルの作業では違いはないはずです。
色域測定結果
パネル | sRGBカバー率 | sRGB比 |
---|---|---|
45% NTSC | 62.4% | 62.7% |
100% sRGB | 98.8% | 105.4% |
ノートPCのパネルは、個体差の影響が意外に強く現われます。品質のいい「当たり」の45% NTSCパネルと「ハズレ」の100% sRGBパネルを比べれば、意見がわかれるかもしれません(ちなみに今回使ったThinkPad E14 Gen3(AMD)の45% NTSCパネルは、個人的には「当たり」だと思っています)。またユーザーによっても色の好みがわかれるはずです。
そのため、本当に色を重視する作業を行なうのであれば、高品質な外付けディスプレイを使ったほうがいいでしょう。趣味で写真や動画を楽しんだり加工したりするなら、100% sRGBのパネルを選んでもいいかなというレベル。色味を重視しないのであれば、45% NTSCのパネルで十分です。
画面の見やすさについて
スケーリング(デスクトップの拡大率)は標準で150%に設定されています。このときのデスクトップの文字の大きさは2~2.8mm程度。新聞(3~3.6mm程度)より小さいものの、見づらくは感じません。
しかし14インチに対して150%のスケーリングは、個人的には大きすぎて使いづらく感じます。文字や画像は大きく映し出されるものの、1画面あたりの情報量が少ないのです。ブラウザーやエクセル / ワードであればソフト側で拡大率を変えられるのでなんとかなりますが、ズーム機能非対応のソフトは使いづらく感じるかもしれません。
個人的には14インチは125%が使いやすく感じます。100%だとデスクトップの文字は1.4~2mm程度、エクスプローラーのファイル名は1mm以下で表示されるので小さすぎです。100%のスケーリングで情報量を増やしたいのであれば、15.6インチ以上の機種をおすすめします。
ということで、今回はThinkPad E14 Gen 3(AMD)のディスプレイについてレビューしました。ThinkPad Eシリーズは価格の安い普及帯クラスで、特にディスプレイの色味を重視しているわけではありません。写真加工や動画編集などで色合いを気にしたい場合はクリエイティブワーク向けの外付けディスプレイを利用するか、色域の広いクリエイター向けノートPCを選ぶといいでしょう。文字中心の作業や動画視聴には、問題なく使えます。