レノボのThinkPad E14 Gen 3(AMD)は、モデルによって8~16GBのメモリーが搭載されています。さらにカスタマイズ対応モデルでは、メモリー容量を12~24GBに増設可能です。増設によってPCの性能をパワーアップできますが、どのくらいのメモリーを増設すればいいのかわからない人は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事ではThinkPad E14 Gen 3(AMD) Ryzen 3 5300Uモデル(筆者購入機)のメモリー増設時の効果について解説します。
この記事の目次
ThinkPad E14 Gen 3(AMD)
6万7650円~
メモリー構成について
ThinkPad E14 Gen 3(AMD)は、8GBのオンボード(マザーボード直付け)メモリーを搭載しています。さらにメモリースロットが1基あり、メモリー(メモリーモジュール)を挿すことで容量を8GB以上に増設可能です。
カスタマイズ対応モデルでは、メモリー容量を以下の4種類のなかから選べます。カスタマイズ非対応の固定構成モデルでは、8GB(オンボード8GB×1)または16GB(オンボード8GB + スロット8GB)のみです。
カスタマイズ可能なメモリー構成
合計容量 | 構成 |
---|---|
8GB | オンボード8GB |
12GB | オンボード8GB + スロット4GB |
16GB | オンボード8GB + スロット8GB |
24GB | オンボード8GB + スロット16GB |
オンボード8GB構成のモデルが多いのですが、性能を重視するなら12GB以上の構成がおすすめです。これはメモリーモジュールを追加することで、メモリーが高速な”デュアルチャネル”で動作するため。Ryzenモバイル搭載機種では特に、グラフィックス性能が大きくアップします。
メモリーは、自分で追加してもOK。注文時のパーツカスタマイズよりも、自分で作業したほうがコストを安く抑えられます。作業に不安があるなら、カスタマイズオプションを利用するといいでしょう。
CPU性能について
まずは、CPUのレンダリング性能(高度な数値演算)を計測するCINEBENCH R20の結果から。Ryzen 3 5300U + 8GBメモリーの位置付けは、以下のグラフのとおりです。現行世代と前世代のCPUで比較すると、下位CPUながらかなり高性能な部類に属します。
CPUの性能差(スタンダードノートPC向け)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 5700U |
3512
|
Ryzen 5 5500U |
2817
|
Ryzen 7 4700U |
2767
|
Ryzen 5 4500U |
2252
|
Core i7-10710U |
2214
|
Core i5-1135G7 |
2063
|
ThinkPad E14 (Ryzen 3 5300U) |
2010
|
Core i7-1165G7 |
1963
|
Core i7-1065G7 |
1612
|
Ryzen 3 4300U |
1581
|
Core i7-10510U |
1476
|
Core i5-1035G4 |
1480
|
Core i5-1035G1 |
1437
|
Core i5-10210U |
1408
|
Core i3-1115G4 |
1314
|
Core i3-10110U |
918
|
Ryzen 3 3250U |
860
|
Athlon Silver 3050U |
624
|
Celeron N4120 |
435
|
Celeron N4500 |
426
|
Celeron N4020 |
327
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
メモリー容量を変えて同じテストを行なったところ、大きな違いは現われませんでした。CINEBENCH R20については、メモリー容量で結果はあまり変わらないと考えていいでしょう。
メモリー容量によるCPUの性能差
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
8GB |
2010
|
12GB |
2006
|
16GB |
2001
|
24GB |
2023
|
続いて、CPUの総合性能を計測するPassMark PerformanceTest 9.0 CPU Markの結果。こちらのテストには整数演算や圧縮 / ソート処理なども含まれており、どちらかと言えば一般的な軽めの処理が想定されています。
まずは先ほどと同様に、Ryzen 3 5300Uの位置付けから。総合性能では先ほどのレンダリング性能からやや落ちるものの、第10世代のCore i5に相当する優秀な結果です。現在のノートPC向けCPUのなかでは、中位クラスの性能と言っていいでしょう。
CPUの性能差(スタンダードノートPC向け)
CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 5700U |
18449
|
Ryzen 7 4700U |
15141
|
Ryzen 5 5500U |
14737
|
Core i7-10710U |
13685
|
Ryzen 5 4500U |
12939
|
Core i7-1165G7 |
12643
|
Core i7-1065G7 |
12016
|
Core i5-1135G7 |
11434
|
Core i5-1035G4 |
10844
|
Core i7-10510U |
10257
|
Core i5-1035G1 |
9667
|
ThinkPad E14 (Ryzen 3 5300U) |
9550
|
Core i5-10210U |
9329
|
Ryzen 3 4300U |
9154
|
Core i3-1115G4 |
7398
|
Core i3-10110U |
5553
|
Ryzen 3 3250U |
4968
|
Athlon Silver 3050U |
3851
|
Celeron N4120 |
2771
|
Celeron N4500 |
2010
|
Celeron N4020 |
1658
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PassMark 9.0では、メモリーをスロットに挿すことでスコアが大きく上昇しました。おそらくデュアルチャネルの効果が現われているのでしょう。メモリー容量が増えるほどスコアも上昇しますが、12GB→16GBと16GB→24GBの違いは微増レベルです。
メモリー容量によるCPUの性能差
CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
---|---|
8GB |
9550
|
12GB |
11263
|
16GB |
11467
|
24GB |
11668
|
グラフィックス性能について
3D性能を計測するベンチマークテストでも、メモリーを追加することでスコアが大きくアップしています。ただし12GBと16GB、24GBでは性能に大きな違いは出ていません。DirecX 12のテストでは12GBよりも16GBでやや有利ですが、ThinkPad E14 Gen3(AMD)でプレーできる軽めのゲームはDirecX 11以下が中心。ゲームのためにメモリーを増設するなら、12GBで十分です。
メモリー容量別Directx 12性能の違い
CPU | 3DMark Time Spyスコア |
---|---|
8GB |
547
|
12GB |
783
|
16GB |
866
|
24GB |
884
|
メモリー容量別Directx 11性能の違い
CPU | 3DMark Fire Strikeスコア |
---|---|
8GB |
1740
|
12GB |
2695
|
16GB |
2718
|
24GB |
2741
|
作業の快適さについて
PCMark 10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。開発元が指針として提示した目標値を超えることで、その分野の作業を快適に行なえるとされています。ただし処理自体はそれほど重くはなく、特にコンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集など)については趣味レベル程度と考えてください。
結果を比べると、追加メモリーの有無でスコアが変わることがわかります。ただし12GBと16GB、24GBで大きな違いはありませんでした。性能面では大容量メモリーを追加してもあまり意味はなさそうですが、扱うデータ容量が大きければ大容量メモリーの効果は現われるはずです。
ゲーム性能について
ゲーム系ベンチマークでも、グラフィックス性能のテストと似たような結果でした。メモリーを追加することでスコアは大きく伸びますが、容量の大きさはあまり影響しません。少しでもスコアの伸ばすなら16GB以上はアリですが、結果を見る限りでは12GBでも十分に思えます。
FF15ベンチ (重量級 / DX11)
メモリー容量別ベンチマーク結果
CPU | FF15ベンチスコア ※フルHD最高画質 |
---|---|
8GB |
529
|
12GB |
831
|
16GB |
915
|
24GB |
919
|
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (中量級 / DX11)
メモリー容量別ベンチマーク結果
CPU | FF14ベンチスコア ※フルHD最高画質 |
---|---|
8GB |
1285(8 FPS)
|
12GB |
2191(14.3 FPS)
|
16GB |
2245(14.6 FPS)
|
24GB |
2279(14.8 FPS)
|
※60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)
メモリー容量別ベンチマーク結果
CPU | ドラクエ10ベンチスコア ※フルHD最高画質 |
---|---|
8GB |
4203
|
12GB |
7788
|
16GB |
7951
|
24GB |
8245
|
※評価は8GBが「普通」、あとはすべて「とても快適」
ということで、今回はThinkPad E14 Gen 3(AMD) Ryzen 3 5300Uモデルのメモリー増設の効果についてまとめました。メモリーモジュールには個体差や相性があるので一概には言えませんが、増設で性能の底上げを図るのであれば12GBでも十分なようです。
とは言えメモリー容量が多ければ大容量データを扱う際の負担が軽減するなど、ベンチマーク結果には表われない効果も確かにあります。よっぽど大きなデータを扱わないのであれば、12GBまたは16GBを選ぶといいでしょう。
ThinkPad E14 Gen 3(AMD)
6万7650円~
*
当サイトでは2~3万円台の格安ノートPCから高性能ノートPCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報やお買い得情報を当サイトのTwitterアカウントでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
ツイッターでこまめブログをフォローする
関連記事