HPのデスクトップPC「Victus 15L Desktop」には、グラボなしモデル(モデレートモデルまたはグラフィックスレスエディション)とRadeon RX 6600 XT搭載モデルの2種類が用意されています。ゲームに利用するなら、グラボありモデルのほうがお手軽。しかしあえてグラボなしモデルを選び、別に買ったグラボを自分で追加するのもアリです。追加するグラボの値段によっては、安くて高コスパなゲーミングPCに仕上げられるでしょう。

Victus 15L Desktop
価格
スペック | 価格 |
---|---|
Ryzen 5 5600G / 16GB / グラボなし | 7万4000円 |
Ryzen 5 5600G / 16GB / RX 6600 XT | 12万2760円 |
※2022年9月16日時点、上位モデルは7%オフクーポン利用時
この記事では筆者が購入したVictus 15L Desktopグラボなしモデルを使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
この記事の目次
- ▶ スペック
- ▶ 本体デザイン
- ▶ 分解方法とパーツ交換について
- ▶ ベンチマーク結果
- ▶ まとめ
※Victus 15Lの上位モデルは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます。
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
CPU | Ryzen 5 5600G(6コア12スレッド) |
チップセット | B550A |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) / RX 6600XT(8GB) |
メモリー | 16GB ※DDR4-3200、最大32GB、スロット×2 |
ストレージ | 512GB SSD / 512GB SSD + 2TB HDD |
拡張スロット | PCI Express x16×1、PCI Express x4×1、M.2×2 |
ドライブベイ | 3.5インチ×1 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN |
サイズ / 重量 | 幅155×奥行き297.3×高さ337mm / 約6.31kg |
電源 | 500W 80PLUS GOLD |
本体デザイン
外観について

PCケースは比較的コンパクト。公式には”ミニタワー型”に位置づけられていますが、一般的なミニタワー型よりもふたまわりほど小さく作られています

前面と背面。幅は約15.5cm

左右側面。奥行きは29.73cmで、高さは33.7cm

24.5インチディスプレイと組み合わせたときの設置イメージ。筐体のカラーが白なので、ディスプレイやゲーミングデバイス等も白で統一したいところ

底面部に通気口はなし。天面部にもなく、外気の取り込みは左側面からのみです
LEDイルミネーション

「Victusインフィニティミラー」と呼ばれるフロントパネルのエンブレム。奥行きがあり、見ているだけで不思議な感覚を覚えます

エンブレムのLEDは、標準収録ソフトで発光パターンや色を変更可能
インターフェースについて

前面にはヘッドセット端子とUSB Type-A Gen1×2、USB Type-A Gen2 ×2、USB Type-C Gen1×1

背面はオーディオ端子類とVGA(D-sub15ピン)、HDMI、USB2.0×4、有線LAN。映像出力端子はグラボの有無によって変わります
分解方法とパーツ交換について
パネルとフレームの取り外し

パネルやフレームを外すには、T15トルクスドライバーかマイナスドライバーが必要です

左側面のパネルを外した状態。ここからフレームを外すことで、マザーボードにアクセスできます。精度が高くないためか、パネルが装着時になかなかはまらず手間取ることがありました

まずは黒のメッシュフレームを取り外します。グラボの増設なら、このパーツを外すだけでもOK

次にフロントパネルを外します。パネル裏側にはLED用のケーブルが接続されているので注意。作業のジャマにならないよう、マザーボードから外しておくといいでしょう

3.5インチドライブベイ用のフレームを外します。フロント側から固定されているネジを外し、下部から開くように持ち上げてください

これでマザーボード上のパーツを操作できます
各部のパーツ

マザーボード全体。接続されていたSATAケーブルなどを取り外しています

マザーボード右側に電源ボタンやUSB端子が配置されている独自仕様です

CPUクーラーはトップフローの小型タイプ。Ryzen 5 5600GはTDP 65Wなので、このくらいの大きさでも問題ないとの判断かもしれません。ちなみにCPUベンチマーク時の平均温度は82度前後でした

メモリースロットは2基。規格はDDR4-3200で最大容量は32GB。SATAポートは3基

拡張スロットはx16×1とx4×1(x1×1)の構成。ストレージ用のM.2スロットはひとつだけ

電源ユニットは500Wの80PLUS GOLD。サイズは実測で幅93mm、奥行き165mm、高さ72mm。見た目はTFX電源(幅85mm×奥行き175mm×高さ65mm))のようですが、サイズが微妙に異なります

背面側から取り外し可能ですが、同じサイズの電源が見つかりづらいと思われるので、交換は難しいかもしれません。ちなみに電源ユニットの型番は「PA-5501-2HA」

拡張ボード用の電源ピン

ドライブベイ用のフレームには3.5インチストレージを取り付けられます(マウンタを利用すれば2.5インチも可能)。フレームの裏側にはなにかをはめこむスペースがありますが、おそらく光学ドライブ用でしょう。これはほかの機種と部品を共有しているためで、Victus 15Lにはスリムドライブを開閉するためのカバーがありません
グラボの増設

今回は別に購入したRadeon RX 6600を増設します

「MSI RX 6600 MECH 2X 8G」電源容量的にはRX 6650 XTやGTX 1650 SUPERあたりまでなら使えるはずです。RTXシリーズはちょっと微妙かもしれません

拡張スロット用のカバーを外します。ドライバーなどで叩いて取るのが手っ取り早いのですが、ほかの部分を曲げないように注意してください

取り付けたグラボのサイズは幅125mm×奥行235mm×高さ46mm。長さ的にはまだ余裕がありますが、幅がけっこうギリギリでした

グラボを取り付けた状態だ、とケーブルの影響でメッシュフレームが少し浮いています

グラボを取り付けた状態。固定金具もちょっと浮き気味なので、ネジで固定したほうがいいかもしれません

もろもろの影響で、サイドパネルもちょっと浮き気味です。こういうのが気になるなら、幅が120mm以下のグラボを選ぶといいでしょう
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 5600G |
---|---|
メモリー | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) / Radeon RX 6600(8GB) |
※各種ベンチマークテストは、Windows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「OMEN Gaming Hub」の「パフォーマンスコントロール」を「パフォーマンス」に設定して実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
ストレージ性能
ストレージにはMicronの3400シリーズ(MTFDKBA512TFH-1BC1AABHA)が使われていました。本来はPCIe 4.0 x4対応のSSDなのですがなぜかPCIe 3.0 x2で動作しており、アクセス速度の計測ではかなり遅い結果が出ています。
実際に使っていてもNASからベンチマーク用のファイルをコピーする際にかなりの時間がかかったり、ゲームをダウンドーロードするのにいつもより時間がかかったように感じます。

512GB SSDのアクセス速度。最近のPCとしてはかなり低速です(およそ1/2くらい)。SSDの影響なのかマザーボードの影響なのか判断がつきかねるところですが、もしかするとこのあたりが安さの理由なのかもしれません
CPU性能
CPUとしてはAMDのRyzen 5 5600Gが使われています。比較用のデータが少ないのですが、CPUベンチマークテストの結果は以下のとおり。ゲーミング向けとしては、それほど高性能ではありません。
ただしFPSで非常に高いフレームレートを目指すのでなければ、ゲーム用としてなら特に問題はないはずです。またPC全体で見れば、この結果でも十分高性能と言っていいでしょう。
CPUの性能(マルチコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Core i9-12900K |
25869
|
Core i7-12700K |
20452
|
Core i7-12700 |
15938
|
Ryzen 7 5700G |
14485
|
Core i7-11700K |
13568
|
Ryzen 7 PRO 5750G |
13134
|
Core i5-12400F |
12381
|
Ryzen 7 PRO 5750GE |
11278
|
Victus 15L(Ryzen 5 5600G) |
10414
|
Core i5-11400 |
7831
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能(シングルコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Core i7-12700K |
1931
|
Core i7-12700 |
1893
|
Core i9-12900K |
1850
|
Core i5-12400F |
1710
|
Core i7-11700K |
1572
|
Ryzen 7 PRO 5750GE |
1499
|
Ryzen 7 PRO 5750G |
1488
|
Victus 15L(Ryzen 5 5600G) |
1431
|
Core i5-11400 |
1404
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラボなしモデルでは、グラフィックス機能としてCPU内蔵のRadeonGraphicsが使われます。グラボ搭載の上位モデルなら、Radeon RX 6650 XTです。
グラボがない状態では、3Dベンチマークテストのスコアはかなり低め。ごくごく軽いゲームならなんとかといったレベルで、人気ゲームや大作ゲームを快適に遊べるほどではありません。
しかしグラボを追加すると、スコアはグンと跳ね上がります。どの程度向上するかはGPUしだいですが、ゲームをプレーするならグラボは必須と考えてください。
GPU性能(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア(DX12,WQHD) |
---|---|
RTX 3090 |
18521
|
RTX 3080 |
16540
|
RTX 3070 |
13072
|
RTX 3060 |
8870
|
Victus 15L(RX 6600) |
7811
|
GTX 1660 Ti |
6238
|
GTX 1660 |
5303
|
GTX 1650 SUPER |
4614
|
GTX 1650 |
3383
|
Radeon(Ryzen 7) |
1424
|
Victus 15L(Radeon) |
1211
|
UHD 730 |
531
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPU性能(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア(DX11,FHD) |
---|---|
RTX 3090 |
44130
|
RTX 3080 |
39977
|
RTX 3070 |
32448
|
RTX 3060 |
22471
|
Victus 15L(RX 6600) |
20261
|
GTX 1660 Ti |
15747
|
GTX 1660 |
13004
|
GTX 1650 SUPER |
11853
|
GTX 1650 |
9005
|
Radeon(Ryzen 7) |
4328
|
Victus 15L(Radeon) |
3671
|
UHD 730 |
1931
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ゲーム系ベンチマーク結果
ゲーム系ベンチマークについては、別記事にてまとめています。どのグラボを選ぶか決める際の参考にしてください。
グラボ付きモデルでもいいかも……
2022年9月中旬時点で、グラボなしモデルの価格は7万4000円です。そこそこ高性能なグラボを3万円以内で入手できるなら、合計価格は10万4000円でなかなか高コスパなゲーミングPCに仕上がるでしょう。
しかしやや高めのグラボを利用する場合は、逆に高くついてしまう可能性があるので注意してください。
仮にグラボを4万円で追加する場合、合計金額は11万4000円です。HPで販売されている上位モデルは表示価格が13万2000円ですが、7%オフクーポンを使えば12万2760円で購入可能。差額は8760円。上位モデルはさらに2TB HDD(6000円程度)が付いているので、実質的な差額は2000円から3000円程度です。
少しでも安くできるのはうれしいのですが、グラボの購入や取り付けにかかる手間を考えれば、必ずしも割に合うとは言えません。目安としてはRX 6600 XTやRTX 3060相当のグラボを、3~3.5万円程度で入手できるならグラボなしモデルを選ぶのはアリだと思います。
最近はグラボが激しく値下がりしているので、グラボなしモデルで安く仕上げることはできるでしょう。グラボを探すのや取り付けが面倒なら、グラボ付きの上位モデルを選んでください。それでも十分高コスパです。
※Victus 15Lの上位モデルは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます。
*
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