デルの「New Vostro 15 3000(3572)」は格安ノートPCのなかでも特に安く、さらに機能が充実している点が特徴です。DVDドライブやテンキーに対応しているのはもちろん、VGA(D-sub15ピン)や1000BASE-Tの有線LANなどビジネスシーンでよく使われる端子も利用可能。ひととおりの機能に対応した、いわゆる「全部入り」なスタンダードノートPCです。
Vostro 15 3000の注目ポイント
有線LANとVGAに対応
ビジネスシーンで使うことが多いVGA(D-sub15ピン)と、1000BASE-Tの有線LANに対応。さまざまな環境においても変換アダプターなしで利用できます。
DVDスーパーマルチドライブ搭載
DVDの再生と書き込みが可能なDVDスーパーマルチドライブを搭載。ファイルのバックアップやソフトのインストールにも利用可能です。
今回はNew Vostro 15 3000(3572)のCeleron/Pentium搭載モデル2機種の実機を使って、本体デザインや使い心地、ベンチマーク結果などをレビューします。
この記事の目次
- 1:スペックとラインナップ
- 2:本体デザインについて
- 3:液晶ディスプレイについて
- 4:キーボードについて
- 5:インターフェースと拡張性
- 6:駆動時間や発熱、騒音について
- 7:ベンチマーク結果
- 8:まとめ
法人モデルは個人でも購入可能
New Vostro 15 3000(3572)は法人向けのノートPCで、企業や官公庁、自治体、各種団体向けに販売されています。しかし個人事業主や自営業の方でも購入可能です。公式サイトから注文すれば、所属確認などは必要ありません。
New Vostro 15 3000(3572)
税込3万円台~
スペックとラインナップ
New Vostro 15 3000(3572)のスペック
OS | Windows 10 Home / Pro |
---|---|
CPU | Celeron N4000 / Pentium Silver N5000 |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 1TB HDD |
グラフィックス | Intel UHD Grahpics 600/605 |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ディスプレイ | 15.6型、1366×768ドット、非光沢、タッチ非対応 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1 |
インターフェース | USB3.1 Gen1(フルサイズ)×2、USB2.0✕1、VGA(D-sub15ピン)、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 |
セキュリティ機能 | セキュリティースロット、TPM 2.0、マカフィースモール ビジネス セキュリティ12ヵ月版 |
カメラ | 92万画素 |
サイズ/重量 | 幅380×奥行き260×高さ23.65mm/約2.08kg |
バッテリー | 40WHr(取り外し可能)※駆動時間は非公開 |
※2018年8月23日時点。構成は変更される場合があります
New Vostro 15 3000(3572)のラインナップ
New Vostro 15 3000(3572)には5種類のモデルが用意されていますが、基本となるのは以下の3種類です。このほかに用意されている「即納モデル」とは、注文から発送までの期間が短いモデルのことを指します。
ラインナップ
エントリーモデル | |
---|---|
税込3万円台後半 | |
エントリーモデル・Office付 | |
税込5万円台 | |
エントリー・プラスモデル | |
税込3~4万円台 |
※2018年8月23日時点。価格はタイミングによって変わります
本体デザインについて
New Vostro 15 3000(3572)は価格が安いだけあって、本体の品質が高いわけではありません。とは言っても普通に使えるので、デザインにあまりこだわらない人や安さを重視したい人におすすめします。
接地面積は、幅380×奥行き260mmです。B4サイズ(幅364×奥行き257mm)よりもひと回り大きい程度と考えれば、サイズ感をイメージしやすいでしょう。
厚さは公称値で23.65mmで、ゴム足(底面部に設置されたゴムの突起)が含めた設置時の高さは26mmでした。ちょっと厚みを感じますが、安いモデルであることを考えれば「こんなもんかな」という気もします。
重さは公称値で約2.08kg、実測値では2.207kgでした。手に持つとズッシリとした重みを感じます。15.6インチタイプとしては標準的ですが、持ち歩きにはちょっと厳しい重さです。
ノートPCの平均重量
画面サイズ | 平均重量 |
---|---|
11.6インチ | 1.126kg |
12.5インチ | 1.131kg |
13.3インチ | 1.253kg |
14インチ | 1.518kg |
15.6インチ | 2.174kg |
ノートPC全体 | 1.551kg |
※2017年12月~2018年5月に当サイトが検証したノートPC(2-in-1を含む) 50台ぶんの実測値より
液晶ディスプレイについて
液晶ディスプレイの大きさは15.6インチで、もっともスタンダードなサイズです。解像度は1366×768ドットと低めではありますが、VGA(D-sub15ピン)を使うことで1920×1080ドット、HDMIで3840×2160ドットでの外部ディスプレイへの出力が可能です。
内蔵ディスプレイの色合いはやや青みがかっています。内容は確認できますが、スマホやタブレットなどと比べると、色に違和感を感じるかもしれません。公式スペックには明記されていませんが、おそらくTNパネルが使われているものと思われます。格安なノートPCではよく使われるタイプです。
また視野角が狭く、映像を斜めから見ると明るさや色が変わって見えます。作業する際は文字や画像がはっきり見えるように、液晶ディスプレイの角度を変えるといいでしょう。
液晶ディスプレイの表面は光沢なしのノングレアで、光の映り込みが気になりません。映り込みは眼精疲労や集中力低下の原因になると言われていますが、非光沢のNew Vostro 15 3000(3572)は長時間作業しても、グレアタイプより眼が疲れにくいでしょう。
ただし、ノングレアタイプは液晶ディスプレイの表面処理の影響で、コントラストが低くなってしまいます。そのため文字が若干薄いのですが、文字自体は大きく表示されるため読みづらく感じることはありませんでした。
キーボードについて
キーボードはテンキー付きの日本語配列です。配列は標準的ではあるものの、Enterキーとその上部のキーがわずかに小さくなっています。使い始めのうちは少し違和感を感じるかもしれませんが、すぐに慣れると思います。
ちなみにキーボードは防滴仕様とのこと。水滴がこぼれても大丈夫らしいのですが、実際に試してみるのは不安なので検証していません。
キーピッチ(キーとキーの間隔)は実測で18.5mmでした。理想とされるフルピッチ(19mm)には少し足りませんが、それほど違和感なく使えました。
キーストロークは実測で1.0mm強です。正確には1.2~1.3mm程度かもしれません。ノートPCの標準である1.5mmに比べてタイプ感が浅く、ペチペチとした手応えです。また入力時に軽い底打ち感があるほか、ホームポジション(「F」「J」キー)周辺がかるくたわみます。キーボードに強いこだわりのある人なら、気になるかもしれません。
タイプ音は若干大きめです。軽いタッチで入力すると「カチャカチャ」とした音が聞こえ、強くタイプすると「ドスドス」と響きました。タイプ感も含めてこのあたりについては、価格が安いことを考えれば仕方がないでしょう。快適というわけではありませんが、文字の入力自体は普通に行なえます。
タッチパッドは比較的大きく、ダイナミックな動きにも十分なサイズです。カーソルの動きはスムーズというわけではありませんが、特に問題なく利用できました。ただしマルチジェスチャー利用時に、一瞬の間を感じます。これはタッチパッド側の問題ではなく、CPU性能が影響しているのでしょう。
インターフェースと拡張性
インターフェース(端子類)は、充実しています。ノートPCでは標準的な機能にはすべて対応している、いわゆる「全部入り」仕様です。USB端子は3ポートとそれほど多くはありませんが、特に問題なく利用できるでしょう。
左側面のインターフェース
- ① 電源コネクター
- ② 1000BSE-T対応有線LAN
- ③ VGA(D-sub15ピン)
- ④ HDMI
- ⑤ USB3.1 Gen1(フルサイズ)
右側面のインターフェース
- ① SDメモリーカードスロット
- ② ヘッドホン出力/マイク入力
- ③ USB2.0
- ④ 光学ドライブ
- ⑤ セキュリティースロット ※盗難防止用
注目したいのは、ビジネスシーンでよく使われるVGA(D-sub15ピン)と有線LANに対応している点です。最近は15.6インチのスタンダードノートPCでも、このふたつに対応する機種は多くありません。New Vostro 15 3000(3572)は格安モデルでありながらしっかり対応しているのは、高く評価したいところです。
駆動時間や起動時間について
ここからは、New Vostro 15 3000(3572)の性能テストの結果を紹介します。テスト機の主なスペックは以下の表のとおり。検証/ベンチマーク結果はパーツ構成や個体差、環境、タイミングなどによって大きく変わる点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Celeron N4000 |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 1TB HDD |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 600(CPU内蔵) |
バッテリー駆動時間計測結果
当サイトでの計測方法でバッテリー駆動時間のテストを行なったところ、最大で9時間41分という結果となりました。ただしBBenchのテストはバッテリー消費が少ないため、実際の利用ではもう少し短くなるはずです。おそらく6~7時間程度はもつと思われます。モバイル向けではありませんが、なかなか優秀な結果です。
バッテリー駆動時間のテスト結果
BBenchによる計測 | 9時間41分 |
---|---|
PCMark 8による計測 | ※計測中 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
なおバッテリー駆動時間は作業内容によって大きく変わる点に注意してください。
起動時間について
起動時間(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまで)は平均34.06秒(高速スタートアップ有効)でした。HDD搭載機としてはなかなか優秀ですが、これは使い始めてから日が浅いためだと思われます。長期間使い続けると、1分以上かかるようになるかもしれません。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
41.2秒 | 38.5秒 | 28.8秒 | 31.2秒 | 30.6秒 | 34.06秒 |
ベンチマーク結果
ベンチマークテストではCeleron N4000搭載のエントリーモデルと、Pentium Silver N5000搭載のエントリー・プラスモデルの2機種で検証しています。それぞれの主なスペックは以下のとおりです。
試用機のスペック
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エントリー | エントリー・プラス | |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home | Windows 10 Home |
CPU | Celeron N4000 | Pentium Silver N5000 |
メモリー | 4GB | 4GB |
ストレージ | 1TB HDD | 1TB HDD |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 600(CPU内蔵) | Intel UHD Graphics 605(CPU内蔵) |
ストレージ性能
テスト機で使われていた1TB HDDは7200回転/分タイプでしたが、5400回転/分タイプと同程度のアクセス速度でした。少し遅めで、ファイルアクセスにはやや時間がかかります。
CPU性能
New Vostro 15 3000(3572)で使われているCeleron N4000/Pentium Silver N5000はGemini Lake世代で、2017年12月発表の比較的新しいCPUです(2018年8月時点)。CPU性能を計測するベンチマークテストを試したところ、従来の格安モデルよりも優れた結果が出ています。
CPU性能比較(マルチコア)
名称 | 搭載ノートPCの価格帯 | CINEBENCH R15スコア マルチコア |
---|---|---|
Core i7-8550U | 9万円台~ |
|
Core i5-8250U | 7万円台~ |
|
Core i3-7100U | 5万円台~ |
|
New Vostro 15 3000 (Pentium Sliver N5000) | 4万円台 |
|
Celeron N4100 | 4~5万円台 |
|
Celeron N3450 | 4~5万円台 |
|
New Vostro 15 3000 (Celeron N4000) | 3万円台 |
|
Celeron 3865U | 4~6万円台 |
|
Celeron N3350 | 2~3万円台 |
|
※スコアは当サイト計測の平均値
CPU性能比較(CPU Mark)
名称 | 価格帯 | PassMark CPU Markスコア |
---|---|---|
Core i7-8550U | 9万円台~ |
|
Core i5-8250U | 7万円台~ |
|
Core i3-7100U | 5万円台~ |
|
Core i3-6006U | 5万円台~ |
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New Vostro 15 3000 (Pentium Sliver N5000) | 4万円台 |
|
Celeron N4100 | 4~5万円台 |
|
Celeron N3450 | 4~5万円台 |
|
Celeron 3865U | 4~6万円台 |
|
New Vostro 15 3000 (Celeron N4000) | 3万円台 |
|
Celeron N3350 | 2~3万円台 |
|
※スコアは当サイト計測の平均値
Celeron N4000の性能は低めではあるものの、格安ノートPCのなかでは比較的高性能な部類に入ります。問題なく利用するには多少のコツが必要ですが、ネットの調べものやメール、動画視聴、ちょっとした文書作成には十分な性能です。
もう一方のPentium Silver N5000はなかなか性能が高く、中級クラスのCore i3に迫る性能です。価格はPentium Silver N5000のほうが安いので、コストパフォーマンスに優れていると言えます。
3D性能
3D性能のテストでは、かなり低めの結果となりました。従来の格安ノートPCよりも性能は高いのですが、ゲームのプレーについてはかなり厳しいと考えたほうが無難です。
3D機能の性能比較
名称 | グラフィックス機能 | 3DMark Fire Strikeスコア |
---|---|---|
Core i7-8550U | Intel UHD Graphics 620 |
|
Core i3-7100U | Intel HD Graphics 620 |
|
Celeron 3865U | Intel HD Graphics 610 |
|
New Vostro 15 3000 (Pentium Silver N5000) | Intel UHD Graphics 605 |
|
New Vostro 15 3000 (Celeron N4000) | Intel UHD Graphics 600 |
|
Celeron N4100 | Intel UHD Graphics 600 |
|
Celeron N3450 | Intel HD Graphics 500 |
|
Celeron N3350 | Intel HD Graphics 500 |
|
ゲーム系ベンチマークでも、プレーには厳しい結果が出ています。ドラクエ10は低品質で「普通」という評価ですが、このスコアでは実際にはかなりカクつくでしょう。ただしUWPアプリやブラウザーゲームなどごく軽めのものであれば、解像度や画質を調整することで問題なくプレーできます。
ゲーム系ベンチマーク結果(1280×720ドット)
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中規模クラスの目安 | |
---|---|
標準品質(デスクトップPC) | |
996(動作困難) | |
ドラゴンクエストX ※軽めのゲームの目安 | |
低品質 | |
3734(普通) |
3万円台なのに機能充実!
New Vostro 15 3000(3572)は3万円台の格安価格でありながら、VGA(D-sub15ピン)や高速な有線LANなどに対応している点が魅力です。HDD容量も1TBの大容量で、空き容量が足りなくて困ることは少ないはず。性能が低いので使い方には多少のコツが必要ですが、性能よりも価格を重視したい人やとりあえず1台持っておきたい人に向いています。
New Vostro 15 3000(3572)のまとめ
- VGAと有線LAN、光学ドライブ対応
- 1TBの大容量HDD
- 映像品質とキーボード