
※検証機は筆者が購入しました
Xiaomi(シャオミ)の『XiaomiモニターA24i』は、23.8インチフルHD(1920×1080ドット)でリフレッシュレート100HzのIPSパネルを採用するスタンダードタイプのPC用外付けディスプレイです。最大の特徴は、定価が1万0980円と異様に安い点。グローバルメーカー製でこの値段はあり得ません。

機能的にも映像品質的にもお値段以上!
この手の格安機種にはたいてい「安かろう悪かろう」的な部分があるのですが、XiaomiモニターA24iに関してはスタンドの可動範囲が狭い(ない)部分以外は、特に大きな不満を感じませんでした。むしろ作業用としては、「もうこれでいいんじゃない?」と思えるほどの出来映えです。
ということで今回は筆者が購入した実機を使って、外観や映像品質、実際に使った感想などをレビューします。

おことわり
・この記事の検証では、筆者が購入した機材を利用しています。記事中のリンクからほかのサイトを開き物品を購入すると、当サイト運営元が報酬を得る場合があります。
・記事執筆にあたり、機材を1週間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。
・記事の公開にあたり、メーカーによる事前の確認や校閲は受けていません。
スペック
画面サイズ | 23.8インチ |
---|---|
パネル | IPS |
解像度 | 1920×1080ドット (フルHD) |
リフレッシュレート | 最大100Hz |
応答速度 | 6ms(標準) |
色域 / 輝度 | sRGB 99% ΔE<2(キャリブレーション済み) / 250nit(標準値) |
映像入力 | HDMI×1 / DisplayPort 1.4×1 |
HDR | HDR10 |
VRR | AdaptiveSync |
スピーカー | なし |
チルト角度 | 対応 |
ピボット / スイーベル | 非対応 |
高さ調節 | 非対応 |
VESAマウント | VESA75 |
サイズ / 重量 ※スタンド含む |
幅539.9mm 奥行き170mm 高さ411.4mm / 約2.98kg |
インターフェース | なし |
付属品 | 電源ケーブル、HDMIケーブル など |
4/2追記:当初ヘッドホン端子ありと記載しておりましたが、ヘッドホン端子には非対応でした。訂正しておわびいたします
パッケージと設置
パッケージ

XiaomiモニターA24iのパッケージ

パネル以外の同梱物。同じXiaomi製のG27iおよびA27iには工場出荷時の検査結果を表わすファクトリーレポートが付いていましたが、A24iには付いていませんでした

付属のHDMIケーブル

付属の電源アダプターは丸口タイプ

PSEマーク付き
設置方法

付属のネジとドライバーを使って、台座にスタンドを取り付けます。最近のディスプレイはドライバーを使わないタイプが多いのでちょっと面倒です

組み立てたスタンドを、背面の溝にはめ込みます

スタンドの取り付け完了
ディスプレイアームの取り付け

パネル部分の背面

VESA75対応。最近のディスプレイアームは複数のサイズに対応しているものも多いので、普通に取り付けられる場合も多いでしょう。ただしVESA100のみのアームやスタンドは使えないので注意してください
本体の外観
デザイン

XiaomiモニターA24iの前面。ボディのカラーはブラックで、シンプルな作りです

側面。パネル部分は7.5mmと極薄です

背面。ボディの素材は樹脂(プラスチック)ですが、安っぽさは感じませんでした

電源オン時のロゴ表示

ベゼル(枠)はけっこう細め。マルチディスプレイ時は横向きであれば、余白はあまり気にならないでしょう
ベゼルの太さ
左右 | 5.2mm |
---|---|
上部 | 5.5mm |
下部 | 15.5mm |
可動範囲

スタンド利用時の可動範囲は、前後のチルトのみ。高さ調整や左右のスイーベル、90度回転のピボット等には対応していません
インターフェース

映像入力はHDMI×1とDisplayPortの構成。端子の数と種類が少ないのですが、格安タイプであることを考えれば仕方がないでしょう。左端にはOSD操作用のジョイスティック(電源ボタン兼用)
スピーカーは非搭載
XiaomiモニターA24iにはスピーカーがありません。PCやゲーム機側にヘッドホンやスピーカーを接続したり、背面のヘッドホン端子にサウンド機器をつなぐなどして音声を再生してください。
OSD

背面のジョイスティックを右方向へ倒すと、メニューが表示されます。まずは表示を日本語化しましょう

ジョイスティックの中央を軽く押すと、ラウンドメニューが表示されます

ジョイスティックを左に倒すと、映像入力端子を選択可能

上下で明るさを調整できます
映像系の機能

映像の色合いに関する機能。AdaptiveSyncや一部のモードでは利用できません
主な機能
モードの選択 | プリセットの変更。用途に応じて画面の色合いが変わる |
---|---|
明るさ | 画面の明るさを0~100%で設定できる |
コントラスト | 色のメリハリを調整。鮮やかさに影響する |
応答速度 | 画面の色が変化するまでにかかる時間。短いほど残像が少ない |
高度

映像系の拡張機能
主な機能
AdaptiveSync | 対応機器で接続すると、カクつきや映像のズレを抑えられる(主にゲーム向け) |
---|---|
HDR | HDRモードの有効/無効を切り替える。HDR10相当 |
そのほかの機能

メニューの表示位置やウィンドウの透明度を調整

初期化を行なうなら、この画面の「ファクトリーリセット」を選択
映像について
画面サイズと解像度

画面サイズは23.8インチで、解像度は1920×1080ドット。外付けディスプレイとしては、スタンダードな組み合わせです

21.5インチ/23.8インチ/27インチの比較。23.8インチは外付けディスプレイのなかでは一般的なサイズです ※写真は別の機種
映像の色合いと明るさ
※HDMIケーブルで接続した状態で検証しています

映像は自然な色合いです。格安ディスプレイにありがちな「黄色っぽさ」も感じられませんでした。やや赤系統が弱く感じるものの、PC用ディスプレイとしてはごく一般的な色合いです

そのほかの写真 その①

そのほかの写真 その②

そのほかの写真 その③

そのほかの写真 その④
色域測定結果(プリセット:標準)
sRGBカバー率 98.8% | sRGB比 110.4% |
DCI-P3カバー率 81.4% | DCI-P3比 81.4% |

i1 DisplayProによるキャリブレーション前後の映像の比較。あまり変化はないものの、調整前はわずかに暗く沈んだ色合いです

ディスプレイのガンマカーブ。途中まではバランスがいいものの、後半(右側)になるにつれて青が強く出ています。色味を重視する機種でもないので特に問題ありませんが、気になるようなら自分で色合いを微調整するといいでしょう

輝度は公称値で250nit(標準値)とのことですが、標準時の明るさが80%で、計測器度は199nitiです。そのままではやや暗い感じがするので、必要に応じて明るさを調整するといいでしょう

視野角は十分な広さ。撮影時のレンズの影響で斜めから見た画面の明るさが落ちていますが、実際にはけっこう明るく感じました

最低輝度で白を表示した状態。写真ではわかりづらいのですが、周囲の部分でやや太めの影が見られました。バックライトのムラが多少生じているようですが、格安タイプであることを考えれば仕方がないでしょう
プリセットの映像

標準モードの映像。ごく自然な色合いです

「省エネ」モードでは明るさが下げられており、暗い印象です

「映画」はかなり明るいのですが、わずかに青が強く出ている印象です

「ブルーライト低減」は画面が暗く、色温度は高めに設定されています
ゲームでの利用
リフレッシュレート

リフレッシュレートは100Hz。一般作業向けの格安タイプとしては優秀なスペックです。実際に作業で使うと、カーソルの動きや画面スクロール時の動きがなめらかに感じられました

リフレッシュレートを変えるときは、Windowsの「設定」を変更する必要があります
残像について

応答速度は標準時で「6ms」。シャッタースピード1/1600で画面の動きを撮影したところ、5フレーム目までの残像を確認できました。肉眼で見ても、残像感はかなり強めです

OSDの「応答速度」を「やや速い」に変更した状態。あまり変わっていない印象です

応答速度が「高速」の状態。残像の5フレーム目は見えなくなり、4フレーム目がうっすらと出ています

「応答速度」が「最速」の状態。上記「高速」よりも4フレーム目の残像が薄くなっています。過去の事例から雑に推測すると、このあたりで4~5ms台あたりでしょう
HDR

公式には明記されていませんが、いちおうHDR対応です。対応コンテンツでは明暗差がより豊かに表現されます。体感的にはHDR10相当かもしれません

HDRオフの状態。コンテンツによってはHDRの効果を実感しにくい場合があるでしょう。基本的にHDRについては、期待しないほうが無難です
他機種との比較
XiaomiモニターA27iとの比較
同じXiaomiから、27インチの「XiaomiモニターA27i」がアマゾン限定モデルとして販売されています。サイズ以外はほぼ同じスペックで、標準価格は1万5000円前後。タイミングによっては1万3000円前後で販売されていることもあり、こちらも激安です。

Xiaomi モニター A27i(左)とXiaomi モニター A24i(右)
Xiaomi A24iとA27iの比較
A24i | A27i |
---|---|
23.8インチ フルHD | 27インチ フルHD |
IPS | |
最大100Hz(DP、HDMI) | |
応答速度 6ms | |
色域 sRGB 99% | |
輝度 250nit | |
HDR10 対応 | |
チルト対応、ピボット・高さ調整は非対応 | |
VESA75対応 | |
幅539.9mm 奥行き411.4mm 高さ170mm / 3.6kg | 幅612.3mm 奥行き451.7mm 高さ170mm / 3.6kg |

27インチフルHD(左)と23.8インチフルHD(右)では、27インチのほうがアイコンや文字がわずかに大きく表示されます

文字の大きさはそれぞれであまり変わりませんが、27インチ(左)のほうが若干ドット感が目立つかもしれません
HP V24ie G5 FHD ディスプレイとの比較
同じ23.8インチの格安ディスプレイとしては、HPの「V24ie G5 FHD ディスプレイ」が大手メーカー製品として人気です。ただしこちらの価格は1万4000円前後(公式サイト)で、XiaomiモニターA24iよりもやや高め。スペック的にも大きな違いはなく、対応するマウントがVESA100である点が特徴です。

HP V24ie G5 FHD ディスプレイ(左)とXiaomiモニターA24i(右)。スペック的にはあまり変わりませんが、映像の色合いはHP V24ie G5 FHD ディスプレイのほうで、格安パネルにありがちな黄色っぽさを感じました
Xiaomi A24iとA27iの比較
A24i | V24ie G5 |
---|---|
23.8インチ フルHD | |
IPS | |
最大100Hz(DP、HDMI) | 最大75Hz |
応答速度 6ms | 応答速度 5ms |
色域 sRGB 99% | 色域 NTSC 72% |
輝度 250nit | |
HDR10対応 | HDR非対応 |
チルト対応、ピボット・高さ調整は非対応 | |
VESA75対応 | VESA100対応 |
HDMI、DisplayPort | HDMI、DisplayPort、VGA(D-sub15ピン) |
幅539.9mm 奥行き411.4mm 高さ170mm / 3.6kg | 幅538.9mm 奥行き397.9mm 高さ180.5mm / 3.6kg |
考察とまとめ
機能的には激安
まず、これほどの機能を備えたディスプレイを、わずか1万0980円で買えることが驚きです。リフレッシュレート100Hz / 見やすいIPS / いちおうオマケ的なHDRの組み合わせなら、マイナーな中華メーカー製でも1万5000円前後でしょう。Xiaomiはディスプレイに関しての実績は少ないものの、情報家電ではグローバルメーカーで知名度もそこそこあり、その辺の中華インディーズとは一線を画するメーカーです。XiaomiモニターA24iは業界騒然レベルの価格破壊的な存在と言っても、過言ではないと思います。

IPS 100Hzで1万円ちょっとは激安
ちなみに100Hzということでゲーム用として検討したい人もいるかもしれませんが、個人的にはあまりおすすめしません。ゲームには多少有利かもしれませんが、機能や性能の面では専用のゲーミングディスプレイのほうが上です。あくまでも作業用と考えてください。
稼働反映が狭いのは残念
個人的に残念に感じたのは、スタンドの可動範囲がかなり限られている点です。チルトだけでは、環境によっては使いづらく感じるかもしれません。代替案としてディスプレイアームを使えばいいものの、VESA75対応はあまり一般的ではありません。最近のディスプレイアームはVESA75/100両対応のものもありますが、VESA100だけの場合は使えないので注意してください。またマウンタがかなり下のほうにあるため、アームの構造によっては多少バランスが悪い可能性もあります。
作業用にはこれでいいんじゃない?
映像品質的には、問題ありません。さすがに高級ディスプレイほどではありませんが、文字中心の作業であれば問題なく使えるでしょう。実際にHPの格安ディスプレイと比べてみましたが、個人的にはXiaomiモニターA24iのほうが青みがスッキリとした色合いで好みです。外付けディスプレイを格安で入手したい人に向いています。
個人的には、これでトリプルディスプレイ環境を作ってみるのがおもしろいんじゃないかなと思います。ディスプレイだけなら約3万3000円。ディスプレイアームを使っても、おそらく数万円程度で納まるでしょう。トリプルディスプレイ環境としては破格の値段です。
なんとなく作ってみた https://t.co/DrqIrQ4i3s pic.twitter.com/sErtG5aYec
— こまめ (@littlebeansinfo) March 18, 2024
ぶっちゃけ、ディスプレイの映像品質にこだわらないなら、もうこれでいいんじゃないでしょうか。よくわからないインディーズ系の製品を選ぶよりもよっぽどマシですし、なんなら大手メーカー製品より高品質な部分もあります。外付けディスプレイを安く入手したいなら、ぜひ検討してみてください。

*
当サイトでは、パソコン・ガジェット関係のお買い得情報やレビューを公開しています。最新のお買い得情報はSNSやGoogleニュースでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
X(旧Twitter)でこまめブログをフォローする
Googleニュースでこまめブログをフォローする
関連記事