デルは2018年5月に、15.6インチタイプのハイエンド向けノートPCとして「New XPS 15(9570)」を発表しました。通常価格は税別14万4980円からですが直販サイトではすでにセールによる値引きが行なわれており、税込12~13万円台で販売中です。
6月に行なわれたデル主催のイベントにて、New XPS 15の実機が展示されていました。外観や使用感をチェックしてきましたので、今回はその感想をお届けします。
New XPS 15のスペック
OS | Windows 10 Home / Pro |
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CPU | Core i5-8300H / Core i7-8750H / Core i9-8950HK |
メモリー | 8 / 16 / 32GB |
ストレージ | 1TB SSHD または 256GB / 512GB / 1TB SSD(PCIe) |
グラフィックス | Intel HD Graphics 630(CPU内蔵) または GeForce GTX 1050 Ti(4GB) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチ、1920×1080 / 3840×2160ドット、光沢 |
タッチ/ペン入力 | タッチ非対応(フルHD)/タッチ対応(4K)、ペン入力非対応 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2 |
インターフェース | USB3.1 Gen 1(フルサイズ)×2、USB3.1 Gen 2/Thunderbolt 3兼用Type-C端子×1、HDMI、SDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力 |
カメラ | 92万画素 |
サイズ | 幅357×奥行き235×高さ11~17mm |
重量 | 1.8kg(タッチ非対応)/2kg(タッチ対応) |
セキュリティー | マカフィーリブセーフ(12ヵ月版)、セキュリティースロット |
バッテリー駆動時間 | ※未公開 |
※2018年6月20日時点。構成は変更される場合があります
高性能なCPU&GPUを搭載
New XPS 15はCPUとして、第8世代のCore i5-8300HまたはCore i7-8750Hを搭載しています。当サイトではCore i5-8300Hついては未検証ではあるものの、Core i-7-8750HはCPUのベンチマークテストでデスクトップPC並みの高いスコアが出ました。
CPUの性能比較 その1
CPU | CINEBENCH R15のCPUスコア |
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Core i7-8700 ※2 |
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Core i7-8750H |
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Core i5-8400 ※2 |
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Core i7-7700 ※2 |
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Core i7-7700HQ |
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Core i7-8550U |
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※結果は当サイト計測の平均値 ※2 デスクトップPC向けCPU
CPUの性能比較 その2
CPU | PassMark PerformanceTestのCPU Markスコア |
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Core i7-8700 ※2 |
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Core i7-8750H |
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Core i5-8400 ※2 |
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Core i7-7700 ※2 |
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Core i7-7700HQ |
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Core i7-8550U |
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※結果は当サイト計測の平均値 ※2 デスクトップPC向けCPU
実際にNew XPS 15で上記ベンチマーク結果と同等のスコアが出るとは限りません。特にNew XPS 15は薄型ですので、熱対策のためにスコアが伸びない可能性があります。しかしそれでも、従来のノートPCに比べて高いパフォーマンスを期待できるでしょう。
グラフィックス機能としてはCPU内蔵(iGPU)のIntel UHD Graphics 630のほかに、専用グラフィックス機能(dGPU)としてGeForce GTX 1050 Ti(4GB)に対応しています。Intel UHD Graphics 630のベンチマークスコアが手元にないため実際の性能はわかりませんが、Intel UHD 620やIntel HD Graphics 630を少し上回る程度と考えれば、非常に高いパフォーマンスを期待できそうです。
3D機能の性能比較
GPU | 3DMark Fire Strikeのスコア |
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GTX 1060(6GB) |
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GTX 1050 Ti |
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HD Graphics 630 |
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UHD Graphics 620 |
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※結果は当サイト計測の平均値
GeForce GTX 1050 Tiはちょっとした3Dゲームも楽しめますが、現状ではどちらかというとクリエイティブな作業向きのdGPUです。動画変換にかかる時間が短縮されるほか、クリエイティブ系ソフトのプレビューが高速化されたり、OpenCL/CUDA対応の高度な処理が高速化されるメリットがあります。
dGPU搭載のメリット(一例)
- NVENC利用で動画変換が高速化
- 3D系エフェクトが利用可能に
- OpenCL/CUDA対応機能が高速化
- サムネイル、ズーム表示が高速化
- リアルタイムプレビューが高速化
- 3Dレンダリングが高速化 など
Adobe RGBカバー率100%&400nitのディスプレイ
液晶ディスプレイのサイズは15.6インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHDか3480×2160ドットの4Kです。輝度は400nitと非常に明るい上に、フルHDディスプレイはsRGBカバー率100%、4KディスプレイではAdobe RGBカバー率 100%と広い色域を実現しています。
実際に映像を確認しましたが、とにかく画面が明るくて色鮮やかです。液晶ディスプレイを斜めから見ても明るさやコントラストが落ちることはありません。また4Kディスプレイは非常に高精細で、ドット感がまったく感じられませんでした。文字表示もとてもなめらかです。
色域が広いということは、写真やイラスト、動画が本来の色に近い状態で映し出されるということにつながります。ハイアマチュアレベルやWeb素材であればsRGBでも十分だと思いますが、印刷用の写真やグラフィックデザインではAdobe RGBを利用することも少なくありません。その点においてNew XPS 15は、色に関わるプロの作業にも(ある程度)対応できるというわけです。
指紋センサー付きキーボード
キーボードはややストロークが浅く感じたものの、普通に利用できました。ただしNew XPS 15を触る前にストローク感がまったくないXPS 15 2-in-1を体験していたので、実際よりも深めに感じているかもしれません。
電源ボタンには指紋センサーが組み込まれており、あらかじめ指紋を登録しておけば、すばやくサインインできます。実際のところ顔認証のほうが手軽で早いのですが、New XPS 15カメラ位置が液晶ディスプレイの下なので、違和感のないのは指紋認証のほうかもしれません。
ちなみに、New XPS 15には英字配列キーボードも用意されており、購入時に無料で変更可能です。
極薄&コンパクト
本体サイズは幅357×奥行き235mmで、15.6インチタイプとしては非常にコンパクト。14インチタイプのノートPCと同レベルの大きさです。
重量はタッチ非対応のフルHDモデルで1.8kg、タッチ対応の4Kモデルで2.0kg。実際に持ってみたところ、ちょっと重みを感じました。とは言え、15.6インチタイプとしては軽い部類です。たまに外出先へ持っていったり、自宅や社内で持ち歩くには問題ないでしょう。
ノートPCの平均重量
画面サイズ | 平均重量 |
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11.6インチ | 1.126kg |
12.5インチ | 1.131kg |
13.3インチ | 1.253kg |
14インチ | 1.518kg |
15.6インチ | 2.174kg |
ノートPC全体 | 1.551kg |
※2017年12月~2018年5月に当サイトが検証したノートPC(2-in-1を含む) 50台ぶんの実測値より
Thunderbolt 3対応
New XPS 15のインターフェース(端子)類は、それほど多くはありません。標準的な15.6インチタイプと比べるとかなり少なめです。しかし高速なThunderbolt 3に対応しているほか、映像出力としてHDMI端子を用意しています。特に問題なく利用できるでしょう。インターフェースが足りない場合は、オプションの「Dell Thunderbolt Dock | TB16」の購入をおすすめします。
左側面のインターフェース
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- ① 電源コネクター
- ② USB3.1 Gen1(フルサイズ)
- ③ HDMI
- ④ USB3.1 Gen2 / Thunderbolt 3 兼用 Type-C端子
- ⑤ ヘッドホン出力
右側面のインターフェース
- ① microSDメモリーカードスロット
- ② USB3.1 Gen1(フルサイズ)
- ③ バッテリー残量確認ボタン
- ④ セキュリティスロット ※盗難防止用
XPS 15 2-in-1との違い
先日2-in-1タイプのXPS 15 2-in-1が発表されましたが、New XPS 15とは利用スタイルが異なるだけでなく、細かな部分がいろいろ違っています。一番大きな違いはCPUとdGPUについてでしょう。
New XPS 15とXPS 15 2-in-1の比較
New XPS 15(9570) | XPS 15 2-in-1(9575) |
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スタイル | クラムシェル | 2-in-1(コンバーチブル) |
CPU | Core i5-8300H Core i7-8750H Core i9-8950HK |
Core i5-8305G Core i7-8705G |
dGPU | GeForce GTX 1050 Ti | Radeon RX Vega M |
ペン入力 | 非対応 | 対応 |
大きさ | 幅357mm 奥行き235mm 高さ11~17mm |
幅354mm 奥行き235mm 高さ16mm |
重さ | 1.8kg(フルHD) 2kg(4K) |
2kg |
USB | USB3.1 Gen 1(フルサイズ)×2 USB3.1 Gen 2/Thunderbolt 3兼用Type-C端子×1 |
USB3.1 Gen 2/Thunderbolt 3兼用Type-C端子×2 USB3.1 Gen1(Type-C)×2 |
映像出力 | HDMI DisplayPort(USB3.1) |
DisplayPort(USB3.1) |
メモリーカード | SD | microSD |
実際にどちらのほうがパフォーマンスが高いかは、ベンチマークテストなどで検証しないとわかりません。しかし筆者としてはNew XPS 15のほうが総合的なパフォーマンスに優れているのではないかと考えています。
スペック以外の部分では、XPS 15 2-in-1は磁気浮遊式のMagLevキーボードを採用している点が挙げられます。実際に試してみましたが、タイプ感の点では従来方式を採用するNew XPS 15のほうが筆者の好みです。
動画編集や写真加工、グラフィックデザイン向き
高いCPU性能とGeForce GTX 1050 Tiによる優れたグラフィックス性能、そして明るく色域の広い液晶ディスプレイを搭載したNew XPS 15は、クリエイティブな作業向けのモデルです。動画編集や画像加工、RAW現像、グラフィックスデザインなどで活用できるでしょう。
プロのクリエイターであれば、より高性能なデスクトップPCを使っているかもしれません。しかしNew XPS 15なら外出先での作業や打ち合わせ、プレゼン用としても利用できます。若干重くはありますが、機動性の高いクリエイティブノートPCとしてもおすすめです。
New XPS 15(9570)
税込12~13万円台から