
7月に行なわれたAmazonのプライムデーで、「Shell(シェル)」ブランドの充電器が安くなっていたのでポチりました。かつてガソリンスタンドでよく見かけた貝のマークは、他社との経営統合によってすでに街中から消え去っています。しかしそのブランドは残っており、いまでは充電器で見かけることができるというわけです。それはともかく、これ以前から妙に安かったので、気になっていたんですよね。
AmazonのShellブランドページでは20種類以上の充電器が販売されているのですが、今回購入したのは以下の3機種です。
購入した充電器
| 製品名 | 購入価格 |
|---|---|
| Shell USB 充電器 20W 2ポート(USB-C+USB-A) | 639円 |
| Shell 充電器 30W 2ポート(USB-C+USB-A) | 854円 |
| SHELL 30W 充電器 Type-C 2ポート【巻き取り式ケーブル70cm】 | 899円 |
※購入価格は2026年7月9日のセール価格

AmazonではShellブランドの充電器が20種類以上販売されています
筆者は常々、「出所や責任の所在があいまいな充電器は扱うべきではない」と考えています。その意味ではこのShellブランド製品も「本当にあのShellなの?」という思いはあったものの、「あのShellがテキトーな会社にブランドの使用許諾を出すわけがないよね」という考えもあり、今回は確認のために購入しました。各種計測結果からの性能や信頼性ではなく、どういう会社が関わっていて、コスパ的にはどうなのかという話が中心です。
Shell USB 充電器 20W 2ポート(SWC34)

Type-CとType-Aの2ポート構成で、最大20W出力(2ポート同時使用時は最大15W)に対応する充電器。GaN採用でそこそこコンパクトではあるものの、GaNII採用の超コンパクト型を見慣れていると、それほど小さく感じないかもしれません。あとはプラグが折りたためない点も残念。ちょっと前にSNSで話題になったダイソーの770円の20W充電器(ラディウス製)のほうが小さくてプラグが折りたためるので、近くでのダイソー買えるならそちらのほうが満足度が高いかもしれません。

20Wタイプとしては少しだけ大きい印象

プラグが折りたためないのは残念

ダイソーの20W充電器(770円)との比較
底面部にはひし形のPSEマークがあり、法律で記載する必要がある届出事業者は「テークオフ株式会社」とあります。ここは千葉県船橋市に本社を置く実在の日本法人で、「Lacidoll」ブランドで加湿器などの小型家電を輸入販売している会社です。

出力とPSEマーク
Shell 充電器 30W 2ポート(SWC29)

Type-CとType-Aの2ポート構成で、最大30W出力(2ポート同時使用時は最大17W)に対応する充電器。こちらはGanII採用で、2ポートタイプとしては小さく感じます。これより小さい30Wタイプは、だいたいType-C 1ポート構成じゃないですかね。Type-A付きのものをどうしても持っておきたい人には、悪くない選択だと思います。Type-C 1ポートのみでいいなら、やはりダイソーの30W充電器(880円)がいいのではないかと。

プラグは折りたたみ可能

サイズ感はこれくらい

1ポートのダイソー30W充電器よりもひと回り大きい印象です
底面部のPSEマークには、届出事業者として「EZPOWER TECHNOLOGY CO., LIMITED」と記載されています。そのほかにも「Shenzhenshi Ezreal Technology Co., Ltd」の表記があり、これは製造業者名ではないでしょうか。どちらも会社名の頭に「EZ」とあることから、関連会社だと思われます。
ただし後者の「Shenzhenshi Ezreal Technology Co., Ltd」は中国シンセンに工場を持つ中堅のOEM製造会社であり、前者の「EZPOWER TECHNOLOGY CO., LIMITED」は香港にある小さな事務所の会社ということまでしかつかめませんでした。

底面部の出力とPSEマーク
Shell 30W 充電器 Type-C 2ポート 巻き取り式ケーブル70cm(SWC35)

巻き取り式のType-Cケーブル内蔵タイプ。Type-Cのみの2ポート構成で、最大出力は30W。ただし2ポート同時利用だと合計15W(1ポートあたり7.5W)まで下がる点に注意してください。急速充電で使いたい場合は、1ポートのみで利用するといいでしょう。
サイズは他社の巻き取り対応コンパクト型と同じくらいに感じます。他社製品だと35W対応のものもありMacBook Airなども充電可能ですが、30Wまでのこの製品はスマホやタブレット止まりです。ただ日常的に30Wまでで使い続けるなら、900円を切るコレならだいぶ高コスパだと感じます。

サイズ感はこれくらい

Anker Nano Charger (35W, 巻取り式 USB-Cケーブル)と同じくらいのサイズ

内蔵Type-Cケーブルの長さは70cm。巻き取る力が非常に強いので、端子を指にぶつけないように注意
底面部の記載情報は、前述の『Shell 充電器 30W 2ポート(SWC29)』と同じでした。

底面部の出力とPSEマーク
Shellブランドの充電器について
質感はいまひとつ
Shellブランドの充電器20機種以上のなかから、今回は価格の安い3種類の機種をチェックしました。値段の高いモデルだと印象が違うのかもしれませんが、安いモデルでは質感に高級さは感じられません。プラスチックの成型精度やロゴ印刷の精細さは、AnkerやCIOあたりと比較するとやや落ちる印象です。
ただ、白と黄色のツートンカラーに明るい赤のアクセントが入る構成と、有名な貝マークの組み合わせは、ポップでかわいいイメージを受けました。値段が1000円以内であることを考えれば、質感や精度については許容範囲だとも思います。人に見せてウケを狙うというのであれば、十分機能するでしょう。
発売元・製造元について

Amazonのブランドページに「TennRich|Official Shell Product Licensee」とあることからわかるように、Shellブランドの製品はShellの会社本体またはブランドの権利者が作っているのではなく、「TennRich(テンリッチ)」という会社がブランドの使用許諾を得て製造・販売しているものです。
TennRich International Corp.は、台湾の桃園市に本社を置く1986年設立の企業。ポータブル電源やワイヤレス充電の分野で、長年活動しています。米Energizer(エナジャイザー)のライセンス事業を16年以上継続しており、Shellブランドについては2020年から正規ライセンスパートナーと提携関係が始まりました。このTennRichが、Shellブランド充電器の企画・製造統括を担っているわけです。
SWC29とSWC35の底面に記載されていた「Shenzhenshi Ezreal Technology Co., Ltd」は、中国での正式登記名は「深圳市瑞吉达科技有限公司」で、2013年設立の充電器専業ODM / OEMメーカーです。SWC34については製造者の記載がありませんでしたが、製品の設計や情報の記載方法がかなり似ていることから、同系列の工場で生産されている可能性が高いと思います。
Ezreal Technology自身は、「Ezreal」の英語名で国際市場向けに情報を発信しています。公式サイト(ezrealpower.com)では、ODM / OEMメーカーとしての立ち位置を明示しているのを確認しました。ただしサイト自体はHTTPSに対応していないなど、消費者向けの情報開示水準としてはやや低めの印象。あくまで他社ブランドへの供給を本業とする、シンセンの中堅OEMメーカーというポジションでしょう。
PSE届出事業者について

今回確認した3製品のうち、ひとつだけPSEマークの届出事業者が異なるケースがありました。20W充電器のみ日本の「テークオフ株式会社」で、残りのふたつは香港の「EZPOWER TECHNOLOGY CO., LIMITED」です。
前述のとおりテークオフ株式会社は千葉県船橋市に本社を置く日本法人で、家電ブランド「Lacidoll(ラシドル)」を運営しています。事業実態は明確です。
EZPOWER TECHNOLOGY CO., LIMITEDは香港の法人で、製造を担当するEzreal Technology(Shenzhen)の関連会社と思われます。ただし関連性を直接示す公開情報が見つからないため、あくまで筆者個人の推定です。今回の件に限らず香港には日本市場向けのPSE取得と輸出窓口を担うためのフロント法人が数多く存在すると言われているので、そのパターンのひとつと考えるのが自然ではないでしょうか。
自己責任ならアリ?
ということで、今回はShellブランドの充電器3種類を軽くチェックしてみました。製品としては普通に使えていますし、製造元としても普通にちゃんとしているところではないでしょうか。
ただ製品が原因でトラブルがあった際は、どこに連絡を取ればいいのかという点については疑問が残ります。
ただの返品・交換対応であれば、最悪Amazonがなんとかしてくれるかもしれません。しかしもうちょっとややこしいことになると、話は別の可能性があります。Amazonのマーケットプレイスとして販売している「shellpower 専門店HK」は販売業者として香港の「EZPOWER TECHNOLOGY CO., LIMITED」が登録されていますし、掲載されている電話番号(+8613958909844)は中国の携帯電話です。揉めそうな案件だと、スムーズに対応してもらえるかに不安を感じます。

Amazonの出品者プロフィールに掲載されている「shellpower 専門店HK」の情報
ただ国内でPSEマークを取得しており、なおかつ20~30W出力の製品であれば、大きな事故にはつながりにくい(ゼロではありません)とも考えられるので、そこを割り切って使うならアリではないかなとも。不安に感じるのであれば、大手で過去の対応がしっかりしているメーカーの製品を選ぶべきだと思います。

購入判断は自己責任でお願いします