
Amazonは2026年10月8日(米国時間)、タブレットの新シリーズ『Alexa Tablet』を発表しました。ラインナップは12インチの『Alexa Tablet 12 Pro』、11インチの『Alexa Tablet 11』、8.7インチの『Alexa Tablet 8』の3機種です。発売日は北米地域で10月14日、欧州の一部で10月19日。日本での発売は発表されていません。
これまでのFireタブレットとは違い、OSはFire OSではなくAndroid OSを採用しています。アプリストアはGoogle Playストアにも対応。さらに生成AI版アシスタント「Alexa+」も標準搭載です。
主要なスペックはすでに各メディアで報じられていますが、Amazonの開発者向けサイトで公開されている詳細仕様には、報道では触れられていない細かな違いがいくつもありました。そこでこの記事では、開発者向けの情報から各モデルの違いについて、ザックリと考察します。
3機種のスペック比較
それぞれの機種の違いは、以下の表のとおりです。開発者向けの情報を参考にしているため、販売ページやプレスリリースには書かれていないこともまとめています。

Amazonの開発者向けページで詳細情報を公開中
関連リンク
Alexa Tabletのデバイス仕様 概要 | Amazon Fireデバイスの仕様
3機種のスペック
Alexa Tablet 12 Pro |
Alexa Tablet 11 |
Alexa Tablet 8 |
|
|---|---|---|---|
| 米国価格 | 499.99ドル~(Nanomatte版549.99ドル~) | 329.99ドル~ | 229.99ドル~ |
| OS | Android 16 | Android | Android |
| ディスプレイ | 11.95インチ、2800×1840ドット(280ppi)、最大120Hz、3:2 | 11インチ、2560×1600ドット(276ppi)、最大90Hz、16:10 | 8.7インチ、1340×800ドット(180ppi) |
| 反射低減ガラス | Nanomatte(選択式) | ― | ― |
| SoC | MediaTek Dimensity 8400(MT8793N) | MediaTek MT8189 | MediaTek MT8189 |
| CPU | Cortex-A725×8(3.25GHz×1、3.0GHz×3、2.1GHz×4) | Cortex-A78×2+Cortex-A55×6(2.0GHz) | Cortex-A78×2+Cortex-A55×6(2.0GHz) |
| GPU | Mali-G720 | Mali-G57 MC2 | Mali-G57 MC2 |
| メモリー | 8GB/16GB ※16GBはNanomatte版 | 8GB(LPDDR5) | 4GB/8GB(LPDDR5) |
| ストレージ | 128GB(UFS 3.1)/256GB(UFS 4.0) ※256GBはNanomatte版 | 64GB/128GB | 64GB/128GB |
| 通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3 |
| インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C(DP)×1 | USB2.0 Type-C×1 | USB2.0 Type-C×1 |
| ペン入力 | 対応(USI 2.0) | 対応(USI 2.0) | 非対応 |
| カメラ | 背面13MP、前面8MP | 背面8MP、前面8MP | 背面8MP、前面5MP |
| マイク | デュアル | デュアル | シングル |
| センサー | 加速度、ジャイロ、光 | 加速度、光 | 加速度、光、近接 |
| マルチタッチ | 5点 | 10点 | 10点 |
| 動画再生 | 1080p/60fps、4K(非セキュアのみ)、AV1対応 | 1080p/60fps | 1080p/60fps |
| ドルビー | Dolby Atmos対応 | Dolby Atmos対応 | 非対応 |
| 低レイテンシオーディオ | 対応 | 非対応 | 非対応 |
| DRM | Widevine L1 | Widevine L1 | Widevine L1 |
| バッテリー | 最大16時間(動画再生時) | 最大15時間(動画再生時) | 最大14時間(動画再生時) |
| 重量 | 約550g | 約466g | 約329g |
| 販売対象にAmazon.co.jp | 登録なし | 登録あり | 登録あり |
押さえておきたい細かな違い
8と11は中身がほぼ同じ
SoCはどちらもMediaTek MT8189で、CPUはCortex-A78×2+Cortex-A55×6、GPUもMali-G57 MC2と共通です。違いは画面サイズと解像度、メモリー容量(4GBと8GB)、マイク(シングルとデュアル)、そしてドルビー対応の有無です。100ドルの価格差は、処理性能ではなくディスプレイのパネルとサウンド面への上乗せと見てよさそうです。
ドルビー非対応は8だけ
開発者向け仕様のオーディオコーデック欄を見ると、11と12 ProはEAC3(Dolby Digital Plus)、EAC3 JOC(Dolby Atmos)、AC-4をドルビーのデコーダーで再生可能で、ドルビーポストプロセッシングにも対応しています。
一方の8は、この3つがすべて「サポートなし」です。動画配信サービスの音声をDolby Atmosで楽しみたいなら、8は最初から選択肢に入らないことになります。
低レイテンシオーディオは12 Proだけ
「低レイテンシオーディオ」は12 Proだけが「サポートあり」で、8と11は「なし」です。音の遅れが効いてくる音ゲーや楽器・DTM系のアプリを使うなら、差が出る部分だと思います。
ちなみにBluetoothのコーデック(SBCやAAC、LDACなど)は記載がなく、3機種とも「Bluetooth 5.3」とあるだけでした。従来のFireタブレットではSBC / AAC / LDACだったので、8と11は同じくSBCやAACに対応している可能性が大です。
12 Proは4K動画に対応(ただし非セキュア)
動画視聴の面で見ると、12 ProはH.264/H.265/VP9で4K動画の再生に対応しています。ただし開発者向け仕様では「4K非セキュア」とされていて、対象はDRM(著作権保護)のかかっていない動画、たとえば自分で撮影した動画や手持ちの動画ファイルが対象です。
DRMで保護された動画のデコードは3機種とも1080p/60fpsまでなので、仕様上はNetflixやPrime Videoの4K配信は12 Proでも再生できません。なお11の解像度は2.5Kですが、DRMなしでも動画の再生は1080p / 60fpsまでとされています。

Alexa Tablet 11の解像度は2560×1600ですが、動画再生は1920×1080まで
12 Proは容量でストレージ規格が違う
12 Proは128GBがUFS 3.1、256GBがより高速なUFS 4.0です。256GBは標準モデルにはなく、Nanomatte版の16GB構成のみ対応しています。
センサー周りは記載ミス?
12 Proのマルチタッチは「5本の指(同時に)」で、8と11の10点より少なくなっています。センサーも、ジャイロスコープは12 Proだけ、近接センサーは8だけという構成で、上位モデルが全部入りというわけではありません。このあたりは記載ミスの可能性もあるので、実機の情報が出てくるのを待つといいでしょう。
12 ProとiPadの違い

12 Proは価格とサイズ的には無印iPadに近いのですが、iPad AirやiPad Proの要素まで含んだような印象を受けます。たとえば反射低減ガラスの「Nanomatte」は、iPad Proの「Nano-textureガラス」を思わせる名前ですし、上位構成の選択肢として用意されている点も同じです。120Hz表示も、iPadではProのみが対応しています。
ペンはUSI 2.0対応で、本体にマグネットで付けて充電します。別売りの「Pro Keyboard」もマグネットで装着するだけで、Bluetoothのペアリングや充電は不要です。このあたりはApple PencilやiPadのキーボードの使い勝手そのものように見えます。一方で、画面比率の3:2はiPadにはない選択です。読書や作業のしやすさで差別化しようという意図が見えます。
それぞれのスペックの違いは、以下の表のとおりです。数字の上では12 Proは無印iPadより150ドル高いぶん、画面・音・拡張性ではっきり上回っています。
Alexa Tablet 12 ProとiPadの比較
| Alexa Tablet 12 Pro(128GB) | iPad(A16、128GB) | |
|---|---|---|
| 米国価格 | 499.99ドル(Nanomatte版549.99ドル) | 449ドル |
| 国内価格 | 未定 | 74,800円 |
| ディスプレイ | 11.95インチ、2800×1840ドット(280ppi)、最大120Hz、アスペクト比3:2 | 11インチ、2360×1640ドット(264ppi)、60Hz ※アスペクト比約10:7 |
| SoC | MediaTek Dimensity 8400(MT8793N) | Apple A16 |
| メモリー | 8GB | 6GB |
| ストレージ | 128GB(UFS 3.1) | 128GB |
| 通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3 |
| インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C(DP)×1 | USB2.0 Type-C×1 |
| カメラ | 背面13MP、前面8MP | 背面12MP、前面12MP(センターフレーム) |
| スピーカー | 4スピーカー(Dolby Atmos) | 2スピーカー |
| バッテリー | 最大16時間(動画再生時) | 最大10時間(動画再生時) |
| 厚さ / 重量 | 6.5mm / 約550g | 7.0mm / 約477g |
8と11はエントリータブ的な位置づけ?
12 ProがiPad対抗に見えるのに対して、8と11はこれまでのFireタブレットを、そのまま普通のAndroidタブレットに寄せたような印象です。
たとえば8と11はUSBが2.0、Wi-FiはWi-Fi 6で、メモリーは4GB、画面は1340×800ドット、ドルビー非対応と、従来のFire HD 8の延長線上にあります。さらに中国系のエントリーAndroidタブ、たとえばALLDOCUBEの製品と並べると、立ち位置がなんとなくわかるでしょう。
ALLDOCUBE製品との比較
| Alexa Tablet 8 | iPlay 80 mini Pro | Alexa Tablet 11 | iPlay 70E 2026 | |
|---|---|---|---|---|
| 画面 | 8.7インチ、1340×800ドット | 8.4インチ、90Hz | 11インチ、2560×1600ドット、90Hz | 11インチ、FHD、90Hz |
| SoC | MediaTek MT8189 | UNISOC T7300 | MediaTek MT8189 | UNISOC T7300 |
| メモリー / ストレージ | 4GB / 64GB~ | 8GB / 128GB | 8GB / 64GB~ | 8GB / 128GB |
| microSD | なし | あり | なし | あり |
| 4G LTE | なし | あり | なし | あり |
| 価格 | 229.99ドル~ | 2万8999円 | 329.99ドル~ | 2万6999円 |
8はスペックの多くの部分において、ALLDOCUBEのiPlay 80 mini Proに負けています。しかも価格はALLDOCUBEのほうが安い。11は2560×1600ドットの画面とドルビー対応で、FHDのiPlay 70E 2026に勝っています。CPUはどちらも高性能コア2基のエントリー~ミドルロー帯で、大きな差はなさそうです。
つまり8と11の上乗せ分は、アルミのユニボディ、4年間のOSアップデート保証、そしてAlexa+やKindleなどAmazonのサービスとの連携ということになります。ここをメリットと考えられるかどうかが、判断ポイントとなるでしょう。
もっとも、Amazon製品はセールで安くなることがあるので、従来どおりであれば時期によって大きく値引きされる可能性はあります。
日本での発売は?
日本での発売は発表されていませんが、「発売されるかもしれない」と判断できる手がかりはあります。
まず、開発者向け仕様ページの「販売対象のマーケットプレイス」です。8と11にはAmazon.co.jpが登録されています。これは日本国内での販売を示しているのではないでしょうか。ただし12 Proは登録されていないため、この機種については不明です。まだ予定が立っていないのか、もしくは前述の件と同じく、記載ミスの可能性もあります。

8と11は開発者向けページに「Amazon.co.jp」の記述あり ※赤枠筆者
次に、すでに日本でも発売中のAmazon キッズ タブレットの存在です。開発者向けページを見ると、キッズ タブレット 8のモデル番号はAlexa Tablet 8と同じ「RL3YT5」。おそらく中身は同じハードウェアでしょう。以前のキッズ向けのタブレットも、ハードウェアはFireタブレットでした。

発売中のキッズモデルとAlexa Tabletでモデル番号が同じ
これらを並べると、8と11は日本向けのハードウェアの準備がすでにできていて、Alexa+の日本提供を待っている状態ではないかと思えます。Alexa+を前面に出していないキッズ版だけが先に日本に来たのも、そう考えるとつじつまが合います。
実際のところはどうなるかわかりませんが、そう遠くないうちに、Alexa+の日本提供と合わせて国内でも発表されることになるのではないでしょうか。
Alexa Tablet 12 Pro
Alexa Tablet 11
Alexa Tablet 8