
レノボのThinkBook 15 Gen3(AMD)は、15.6インチのフルHDディスプレイを搭載するスタンダードタイプのノートPCです。高性能なRyzen 5000シリーズ搭載で、価格は6万5000円前後からとコスパに優れる点が魅力。デスクに置いて大きな画面でじっくり作業したい人に向いています。

ThinkBook 15 Gen3(AMD)
ポイント
- 😄 高性能なのに安い
 - 😄 MIL-STD-810H準拠で頑丈
 - 🙄 キーボードがイマイチ
 
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

スペック
| OS | Windows 11 Home / Pro | 
|---|---|
| ディスプレイ | 15.6インチ 1920×1080 IPS 60Hz 非光沢 タッチ非対応 | 
| CPU | Ryzen 3 5300U / Ryzen 5 5500U / Ryzen 5 5600U / Ryzen 7 5700U | 
| メモリー | 8 / 16GB DDR4-3200 ※オンボード、スロット空き1、最大24GB | 
| ストレージ | 256GB~1TB NVMe SSD ※2.5インチ HDD増設可能 | 
| グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) | 
| 通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、有線LAN(1Gbps) | 
| インターフェース | USB3.2 Gen2 Type-C(充電 / 映像出力対応)×2、USB3.2 Gen1×2、HDMI、有線LAN、SDカードスロット、ヘッド本端子 | 
| 生体認証 | 指紋センサー | 
| サイズ / 重量 | 幅357×奥行き235×高さ18.9mm / 約1.7kg | 
| バッテリー | 約10.1時間 | 
本体デザイン

ThinkBook 15 Gen3(AMD)の外観。本体カラーはミネラルグレーで、実際の色合いはやや暗めのシルバーです

天板はアルミ製。指紋の跡はほとんど目立ちません

表面加工のきめ細やかさで2種類のトーンを表現。「ThinBook」のロゴはやや大きく目立ちます

キーボード面は樹脂(プラスチック)製。パームレストはやや明るめのシルバーで、キーの色はグレー

ディスプレイはほぼ180度まで開きます

ディスプレイのベゼルは左右が細めですが、上下は標準的。それでも画面周りはスッキリとしています

薄型ノートPCとしてはインターフェースは充実しています。Thunderboltには非対応ですが、ビジネス用途でも十分な構成です

ディスプレイ上部のWebカメラはプライバシーシャッター付き

電源ボタンは指紋センサー内蔵

電源アダプターは65WのType-C。重さは335g

スピーカーは底面配置。音の解像感は高めですが、低音域がやや軽く聞こえます。中音域はややこもり気味ですが、ビデオ会議や音声通話には問題ないでしょう

排気口はこの部分。排気は一度ヒンジに当たるので、ディスプレイには直接当たりにくい作りです

底面部は樹脂製でカラーはグレー
サイズと重量

本体サイズは幅357mm、奥行き235mm

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。B4サイズよりもやや大きい程度で、15.6インチタイプとしては標準的です

厚さは実測で19.9mm(突起部を除く)。数値としては標準的ですが、フットプリントが大きいのでわりとスリムな印象です

本体背面。底面部のゴム足(突起部)を含めた高さは23.9mm。ゴム足に影響で、設置時にはやや厚く見えます

重さは実測で1.842kg。最近の15.6インチタイプとしては標準的な重さですが、実際に手で持つとそれなりのズッシリ感があります
ディスプレイについて

画面サイズは15.6インチで、解像度は1920×1080ドット(フルHD)。ノートPCとしてはもっともスタンダードなスペックです

デスクトップの文字の大きさは2~2.8mm程度(スケーリング125%)。特に読みづらくは感じません

映像は自然な色合いですが、スマホやタブレットと比べると鮮やかさが控えめです。色域は公称値でNTSC 45%。ノートPC向けとしては、格安レベルのパネルが使われています

NTSC 70%あたりでワンランク上のパネル

さらにランクが上のsRGB 100%だとこんな感じ

色合いは高品質と言うほどではありませんが、文字中心の作業には問題ありません

画面の輝度は公称値で300nitですが実際にはそれほど明るくはなく、体感的には270nitあたり。作業には問題ない明るさです
キーボードについて

キーボードはテンキー付きの日本語配列。F1~F12キーはかなり小さめです

テンキーの場所を確保するために、Enterキー周辺で一部のキーがかなり窮屈に作られています。テンキーなしの14インチモデルのほうが配列は自然

キーボードはバックライト対応

キーピッチは実測で18.3mm。PCの標準値である19mmよりも狭く、やや窮屈に感じます。テンキーはさらに狭く、実測では15.4mmでした

キーストロークは実測で平均1.25mm。ストロークがかなり浅くペチペチとしたタイプ感で、強く叩くと底打ち感があります。指をあまり上げ下ろしせずに、軽いタッチで入力する人向き

タイプ音は軽い力でもカタカタと聞こえます。静かな場所では周囲への配慮が必要かもしれません。強く叩くと音がパチパチと響くので注意
ベンチマーク結果
試用機のスペック
| CPU | Ryzen 7 5700U | 
|---|---|
| メモリー | 16GB | 
| ストレージ | 512GB NVMe SSD | 
| グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) | 
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」の「電源スマート設定」を「エクストリーム。パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、Zen2世代のRyzen 3 5300U / Ryzen 5 5500U / Ryzen 7 5700Uと、Zen3世代のRyzen 5 5600Uが使われています。性能的にはRyzen 7 5700Uがもっとも高性能で、その次がRyzen 5 5600U。そしてRyzen 5 5500U、Ryzen 3 5300Uと続きます。
Ryzen 7 5700U搭載の試用機で検証を行なったところ、マルチコア性能を計測するテストでは非常に優秀な結果が出ました。おそらく筐体が大きいぶん冷却性能に優れ、性能低下の原因となる発熱を抑えられているのかもしれません。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
| CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア | 
|---|---|
| Core i7-1280P | 
 6086 
 | 
| ThinkBook 15(Ryzen 7 5700U) | 
 3918 
 | 
| Ryzen 7 5800U | 
 3792 
 | 
| Ryzen 5 5600U | 
 3640 
 | 
| Ryzen 7 5700U | 
 3512 
 | 
| Ryzen 5 5500U | 
 2817 
 | 
| Core i7-1185G7 | 
 2301 
 | 
| Core i5-1135G7 | 
 2063 
 | 
| Ryzen 3 5300U | 
 2010 
 | 
| Core i7-1165G7 | 
 1963 
 | 
| Core i3-1115G4 | 
 1314 
 | 
| Ryzen 3 3250U | 
 818 
 | 
| Athlon Silver 3050U | 
 624 
 | 
| Celeron N4500 | 
 426 
 | 
| Celeron 6305 | 
 416 
 | 
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
シングルコア性能を含めたCPUの総合力を計測するテストでは、同じCPUの平均値をやや上回る程度の結果が出ています。現在出回っているノートPCとしては非常に優秀で、重い処理でも快適にこなせるでしょう。
ただし今後はインテル第12世代やAMD Ryzen6000シリーズなど、新しい世代のCPUが登場する予定です。新CPUのほうが高性能であるはずなので、性能を重視するならもうちょっと様子を見たほうがいいかもしれません。
CPUの性能差 (総合性能)
| CPU | PassMark 10 CPU Markスコア | 
|---|---|
| Core i7-1280P | 
 24829 
 | 
| Ryzen 7 5800U | 
 19213 
 | 
| ThinkBook 15(Ryzen 7 5700U) | 
 18311 
 | 
| Ryzen 7 5700U | 
 18089 
 | 
| Ryzen 5 5600U | 
 17530 
 | 
| Core i7-1185G7 | 
 13135 
 | 
| Ryzen 5 5500U | 
 12362 
 | 
| Core i7-1165G7 | 
 11723 
 | 
| Ryzen 3 5400U | 
 11695 
 | 
| Core i5-1135G7 | 
 11249 
 | 
| Ryzen 3 5300U | 
 9527 
 | 
| Core i3-1115G4 | 
 6750 
 | 
| Ryzen 3 3250U | 
 4441 
 | 
| Athlon Silver 3050U | 
 3351 
 | 
| Celeron 6305 | 
 2302 
 | 
| Celeron N4500 | 
 2284 
 | 
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。Ryzen 7 5700U搭載の試用機で3Dベンチマークを行なったところ、CPU内蔵タイプとしては中位クラスの結果が出ました。悪くはありませんが、インテルのIris Xeよりは劣ります。Ryzen 3やRyzen 5モデルだと、性能はさらに劣るでしょう。ゲームやグラフィックスソフトで多少の効果が見込めますが、それほど高性能ではありません。
GPUの性能差(DirectX 12)
| GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア | 
|---|---|
| GTX 1650 | 
 3241 
 | 
| MX450 | 
 1996 
 | 
| Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) | 
 1528 
 | 
| Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) | 
 1302 
 | 
| Iris Xe(Core i7+DDR4) | 
 1149 
 | 
| ThinkBook 15(Ryzen 7 5700U) | 
 1068 
 | 
| Radeon (Ryzen 7) | 
 1000 
 | 
| Iris Xe(Core i5+DDR4) | 
 977 
 | 
| Radeon (Ryzen 5) | 
 784 
 | 
| UHD | 
 407 
 | 
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能差(DirectX 11)
| GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア | 
|---|---|
| GTX 1650 | 
 8513 
 | 
| MX450 | 
 4900 
 | 
| Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) | 
 4734 
 | 
| Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) | 
 4059 
 | 
| ThinkBook 15(Ryzen 7 5700U) | 
 3489 
 | 
| Iris Xe(Core i7+DDR4) | 
 3420 
 | 
| Radeon (Ryzen 7) | 
 3384 
 | 
| Radeon (Ryzen 5) | 
 2652 
 | 
| Iris Xe(Core i5+DDR4) | 
 2474 
 | 
| UHD | 
 1335 
 | 
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果はなかなか優秀です。コンテンツ制作のテストでは若干低めの結果が出ていますが、高いCPU性能がカバーしている用に見受けられます。9万円切りのThinkBook 15 Gen3(AMD)が20万円超の高級機を上回っていることを考えれば、コスパは非常に高いと言っていいでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
| テスト | スコア | 
|---|---|
| Essentials (一般的な利用) 目標値:4100  | 
 9377 
9477 
8362 
9667 
9418 
 | 
| Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500  | 
 8295 
6534 
8253 
8530 
7927 
 | 
| Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450  | 
 5987 
5363 
6187 
8109 
8486 
 | 
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
| ▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe | 
|---|---|
| ▶Surface Studio | Core i7-11370H / 16GB / RTX 3050 Ti | 
| ▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 | 
| ▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 | 
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公称値で、約10.1時間とされています。しかし公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこでRyzen 7モデルを使って最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から5時間19分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短い結果でしたが、消費電力が大きい状態でのテストであることを考えればやむを得ないでしょう。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Ryzen 3 53Whrモデル
| テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 | 
|---|---|---|
| ※公称値 | 小 | 約10.1時間 | 
| Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 5時間19分 | 
| 50%充電までにかかった時間 | - | 47分 | 
| フル充電までにかかった時間 | - | 1時間46分 | 
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム性能
ゲーム系ベンチマークを試したところ、ごく軽いゲーム(ドラクエ10やValorant、CS:GOなど)であれば普通にプレーできそうです。やや重いゲーム(FF14やApex、フォートナイトなど)はちょっと厳しいでしょう。ゲームは息抜き程度と考えてください。
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF15ベンチ (重い / DX11)

| 画質 | スコア / 評価 | 
| 高品質 | 1133 / 動作困難 | 
| 標準品質 | 1686 / 動作困難 | 
| 軽量品質 | 2139 / 重い | 
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)

| 画質 | スコア / 平均FPS | 
| 最高品質 | 2840 / 19.3 FPS | 
| 高品質 | 3698 / 25.3 FPS | 
| 標準品質 | 4532 / 31.5 FPS | 
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)

| 画質 | スコア / 評価 | 
| 最高品質 | 8708 / とても快適 | 
| 標準品質 | 11354 / すごく快適 | 
| 低品質 | 12191 / すごく快適 | 
※1920×1080ドットの結果
不満はあるがコスパは高い

ThinkBookシリーズは、ThinkPadの廉価版的な位置付けです。中身や堅牢性についてはThinkpad相当ですが、外観は格安なIdeaPadシリーズ相当と考えていいでしょう。ThinkBook 15 Gen3(AMD)については、性能面に不満はありません。パーツ構成やベンチマーク結果は妥当なもので、十分快適に利用できます。
しかしキーボードや本体の外観、ディスプレイの映像品質がそれほどよくありません。使えることには使えますが、ある程度の妥協が必要です。特にキーボードは配列 / タイプ感ともにイマイチで、ただちに改善していただきたいレベルに思えます。
とは言え、Ryzen 5搭載で6万5000円前後、Ryzen 7 + 16GBメモリー搭載で9万円前後はお買い得です。さらにメモリーや2.5インチストレージを追加可能で、自分でパワーアップできる点も魅力。性能面と拡張性の点では、非常にコスパが高い機種と言えます。

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