HP Spectre x360 14-ef シリーズは、高級感あふれるデザインが特徴のモバイル2-in-1ノートPCです。13.5インチでアスペクト比3:2のディスプレイを搭載し、CPUはインテル第12世代CoreプロセッサのUシリーズ。上位モデルでは、OLEDパネルに対応しています。

重さ1.36kgでコンパクトなモバイルタイプ
モバイル2-in-1としては高いパフォーマンスもさることながら、とにかく美しい映像と本体デザインが見所です。ルックスの良さは抜群で、『ノートPCを見た目で選ぶコンテスト2022』が開催されたなら、きっと上位にランクインするでしょう。

画面が360度回転するタイプの2-in-1
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

HP Spectre x360 14 ef
スペック
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
ディスプレイ | 13.5インチ タッチ対応 アスペクト比3:2 アンチリフレクションコーティング仕様 |
パネル | 1920×1280 IPS 400nit / 1920×1280 IPS HP SureView 1000nit / 3000×2000 OLED 400nit |
CPU | Core i5-1235U / Core i7-1255U |
メモリー | 8/16GB LPDDR4x-4266 ※オンボード |
ストレージ | 512GB / 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
インターフェース | Thunderbolt 4 / USB4(USB PD充電 / 映像出力対応)×2、USB Type-A Gen2×1、microSDカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
生体認証 | 指紋認証 / 顔認証 |
サイズ / 重量 | 幅299mm、奥行き220mm、高さ16.5mm / 約1.39kg |
バッテリー | 最大16時間(1920×1280) / 最大11時間30分(3000×2000) |
本体デザイン

HP Spectre x360 14 efの外観。本体カラーはアッシュブラック。実際の色合いはわずかに紫っぽいメタリックなダークグレーといったところ

エッジ部分はダイヤモンドカット風。ペールブラス(見た目はごく薄い黄銅のような色)がアクセントに使われています

前モデルはエッジの立ったシャープなフォルムでしやたが、新モデルではエッジ部分が丸みを帯びた柔らかなイメージに仕上げられています。最近流行りの「ラウンドエッジデザイン」を取り入れたフォルムです

ボディは質感と剛性に優れるアルミ製。表面はツヤ消しのサラサラとした手触りですが、指紋の跡がわずかに残りました。前モデルよりもシックな色合いで、落ち着いた雰囲気が感じられます

キーボード面

ベゼルは上下がやや太さがあるものの、2-in-1タイプとしては細く作られています

インターフェースはThunderbolt 4×2とUSB Type-A、microSDカードスロット。多くはありませんが、モバイルタイプであれば妥当な構成です

角の部分にThunderbolt 4とヘッドホン / マイク端子が配置されています。電源アダプターは65WのType-Cで、重さは303g

スピーカーは底面配置。薄型ノートPCとしては音に厚みがあり、解像感も高め。わずかにこもった感がありますが、ノートPCとしてはなかなか高音質です

ただしクラムシェル(ノートPC)スタイル以外では、スピーカーの音がさらにこもって聞こえます

カメラは静止画撮影時で500万画素、動画撮影時は最大で1080p 30Hz。顔認証用のIRカメラも配置されています

指紋センサーはキーボードのなかに配置されています。一般的なノートPCだと、右Ctrlキーにあたる部分です

排気口はこの部分。クラムシェルスタイルの際は、排気が直接ディスプレイに当たります

底面部の吸気口はやや小さめ
サイズと重量

本体サイズは幅299mm、奥行き220mm

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。A4サイズよりもわずかに大きい程度で、13.5インチタイプとしてはかなりコンパクトです

厚さは実測で16.8mm(突起部含まず)

本体背面。底面部のゴム足(突起部)を含めた設置時の高さは18.1mm

エッジが丸みを帯びている影響のためか、実際に手で持つとかなり薄く感じます

重さは実測で1.344kg。特別軽いわけではありませんが、13インチクラスの2-in-1としては、軽い部類に入ります

フットプリントが小さいので数値以上のズッシリ感がありますが、持ち歩きには問題ないでしょう
ディスプレイについて

画面サイズは13.5インチ。解像度は1920×1280ドットと3000×2000ドットの2種類が用意されています。アスペクト比3:2で、一般的な16:9よりもかなり縦長です

3000×2000ドットモデルはOLEDパネルで、一般的なIPSよりも色鮮やか。DCI-P3 100%と広色域で、クリエイティブワークにも向いています(IPSパネルはsRGB 100%)

IPSパネルではバックライトの影響により黒がややグレーっぽく見えることがありますが、OLEDは黒の表現が素晴らしく色にメリハリが感じられます

OLEDモデルの解像度は3000×2000ドット。OLED特有のコントラストの高さと相まって、映像は非常にとても鮮明に映し出されます

HPの「ブライトビュー」は光沢ありのグレア仕上げのことを指すのですが、HP Spectre x360 14 efでは映り込みがかなり抑えられています。全モデルに施されている「アンチリフレクションコーティング」の影響でしょう

一般的なグレア(光沢)タイプの写り込み ※写真は別の機種

明るさはIPS / OLEDモデルで400nit。非常に明るい映像です。プライバシーモード対応モデルは1000nitとありますが、おそらくプラバシー保護用のフィルターによって輝度がかなり低下するためバックライト側で対応しているのかもしれません
キーボードについて

キーボードはテンキーなしの日本語配列

バックライトに対応

HPの13インチはキーボード右側に特殊キーが並んでいることが多いのですが、HP Spectre x360 14 efでは違和感のない配列です ※写真はHP Pavilion Aero 13

ただしBackSpaceキーから左4つぶんのキーがわずかに小さく作られています。と言っても、実際に入力したところ、とくに違和感はありませんでした

キーピッチは実測で19mm前後で標準的なサイズ。カーソルキーが小さいものの、主要なキーについては違和感なく入力できるでしょう

キーストロークは実測で平均1.43mmでしたが、キートップに0.2mm程度のくぼみがあるので、実際には1.2~1.3mmあたりかもしれません。クリック感が固く思っていたよりもタイプ感はハッキリと感じられますが、若干のグラつきもありました

クリック感が固いので、軽い力でもタイプ音はカタカタと聞こえます。と言ってもうるさく感じるほどではありません

付属のHP MPPアクティブペン。ペン自体は4096段階の筆圧検知と傾き感知に対応しています

Type-Cの充電式

長さは144.2mmで太さは9.2mm。デジタルペンとしては標準的な使用感です

イラストやメモ書きのほか、ブラシを使った画像加工や範囲指定など、クリエイター向けソフトをマウスよりも感覚的に利用できるので便利です

ペンは本体にマグネットでくっつきます
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-1255U(Pコア×2+Eコア×8、15W) |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「HP CommandCenter」の「システムコントロール」→「デバイスモード」を「手動」の「パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第12世代のCore i5-1235UまたはCore i7-1255Uが使われています。プロセッサーベースパワー(従来のTDPと同義)は15Wで、薄型ノートPC向けCPUとしては中位クラスのシリーズです。
CPUベンチマークテスト結果は、なかなか優秀です。特にシングルコア性能については、トップクラスのスコアでした。高度な動画編集や大作ゲーム向きではありませんが、一般的なビジネス作業や学習、普段使いには快適に利用できます。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 6800U |
10183
|
Ryzen 7 5825U |
9728
|
Core i7-1260P |
8984
|
Core i5-1240P |
8928
|
HP Spectre x360 14 ef(Core i7-1255U) |
7819
|
Ryzen 5 5625U |
7580
|
Core i7-1250U |
7552
|
Core i5-1235U |
5989
|
Core i3-1215U |
5715
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (シングルコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
HP Spectre x360 14 ef(Core i7-1255U) |
1743
|
Core i7-1250U |
1726
|
Core i3-1215U |
1661
|
Core i5-1235U |
1648
|
Core i7-1260P |
1636
|
Core i5-1240P |
1606
|
Ryzen 7 6800U |
1471
|
Ryzen 7 5825U |
1433
|
Ryzen 5 5625U |
1404
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIrisi Xe Graphicsが使われます。3Dベンチマークテストの結果は、内蔵グラフィックスとしてはそこそこ優秀。ただしそれでも大作ゲームや高度な動画編集を行なうほどではありません。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Ryzen7) |
2211
|
HP Spectre x360 14 ef(Core i7+LPDDR4x) |
1618
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
1302
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
Iris Plus |
812
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は大きく上回っており、PCとしての性能はまったく問題ありません。ただしほかのハイスペック機種と比べると、性能はやや控えめです。それでも一般的な作業であれば、十分快適に行なえるでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10647
9477
10606
9667
10024
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
6968
6534
8578
8530
8593
8766 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5997
5363
7972
8109
9988
10284 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Yoga 770 | Ryzen 7 6800U / 16GB / Radeon 680M |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶GALLERIA XL7C-R36 | Core i7-11800H / 16GB / RTX 3060 |
▶GALLERIA UL7C-R37 | Core i7-11800H / 16GB / RTX 3070 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間はモデルによって異なります。今回試用したCore i7 + OLEDモデルは約11時間30分とされていますが、公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこでビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から11時間16分で休止状態へ移行しました。かなり公称値に近い結果です。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Core i7 OLEDモデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約11時間30分 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 11時間16分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 38分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間7分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
最上級の仕上がりを誇るハイグレード2-in-1
本体は小さいのにパワフルで、しかも映像は超美麗。完成度が非常に高く、仕上がりに不満は感じられませんでした。モバイル向けとしてはやや重くはありますが、回転機構を備えた2-in-1は部品が増えたり強度を高くしたりする必要があるので、このくらいは仕方がないでしょう。
強いて言うなら、値段が高い点が気になります。最安モデルはCore i5 + 8GBメモリーで16万円前後。このクラスの機種を使うなら16GBメモリーはマストと考えていいのではないでしょうか。また今回試用したCore i7 + OLEDは21万円台半ばで、けっこういい値段です。これくらいの出費ではビクともしないのであれば、即ポチしてもいいのではないでしょうか。

HP Spectre x360 14 ef
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